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はちみつ色の午後が過ぎてく はちみつ色の午後は何味?


by konosetu
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カテゴリ:自作小説( 83 )

無修正・完全バージョンです。

一部に性的な表現が含まれています。(あまり過激ではないと思いますが)
苦手な方、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。念のため。

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by konosetu | 2009-11-29 23:36 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)
主な登場人物
○ジャスティス……人気サイト「ネギま!Heaven!」の管理人。一応、本作の主人公。魔法は少しだけ使えるらしい。
○佐々木まき絵……ジャスティスの彼女で中学3年生。勉強は苦手だが、運動神経が抜群で、体操の選手。明るい性格で、学校でもクラスのムードメイカー。
○佐々木優愛……魔法使い。とはいっても、この世界とは違う異世界の技術を組み込んだ魔法を使う。悪い人はおしおきなの~。苗字は同じだが、まき絵と関係があるのかどうかは不明。
○佐々木彩音……魔法剣士。優愛の妹。ちょっと意地っ張りなところもあるが、姉のことを誰よりも慕っている。二刀流の使い手で、姉のサポートを勤める。お姉ちゃんは私が守る!
○コゴリオ……謎の青年。氷魔法の使い手で、主に荒っぽい技が得意。その戦闘力は群を抜いている。素っ気無い印象を与えるが、実は妹のシャベットを溺愛している。
○シャベット……謎の少女。兄のコゴリオと同じく氷魔法の使い手で、主に幻術を駆使し氷の獣をけしかけての戦法が得意。しかし、潜在能力は兄を上回る。人間を凍らせて気に入ったものをコレクションするという趣味を持っており、特に美少女には目がない(男にも興味がないわけではない)。
○アルテア……いつも人間達にちょっかいをかけては楽しんでいる、イタズラ好きな妖精の少女(少女といっても、その年齢は100歳をとっくに過ぎている)。ジャスティス達もよく彼女のイタズラが引き起こす騒動に巻き込まれているが、今回は……?



人気のない路地裏。2つの人影がある。青い青年と白い少女。2人は‘空間の裂け目’から、そこに静かに降り立った。
青年の方は、水色のイガグリ頭。長身で黒いジャケットを着込んでいる。肌は氷のように冷たい色を醸し出している。鼻には横方向に古い切り傷が走っている。
一方、少女の方は、流れるような真っ白な長髪に真っ白の肌。雪のようにとにかく白い。その幼い容貌に、艶かしい雰囲気を漂わせている。
「フッ、この世界のこの時間軸ならば、さすがの“フラウレイアーズ”も手は出せまい」
「ウフフ、さすがですわ、兄上。ここで態勢を立て直し、奴らに復讐の機会を」
「焦るな、シャベット。何度も次元や時空を跳躍するのは、さすがにリスクが高い。ならばいっそ、活動拠点をこちらの世界に移してしまえばよい」
「そうですわね、兄上。さすがですわ」



今日は12月24日、クリスマスイヴ。
街ではクリスマスに彩られている。クリスマスソングが流れ、ツリーが飾られている。サンタクロースの格好をした者達が、クリスマスセールやケーキの宣伝のため、チラシを配っているのがちらほらと見受けられる。
親子連れや恋人達が楽しそうに行き交い、街は活気に満ち溢れている。
曇り空。天気予報では、夕方くらいから雪になる見込みだ。

そんな中を、佐々木まき絵は、友人ら3人とはしゃぎまわっている。
4人ともそれぞれサンタクロースのコスチュームに身を包み、彼女らもクリスマス気分に浸りきっている。
「えへへ~、ジャスティスさんに渡すプレゼント~♪」
まき絵は恋人へ贈る‘プレゼントの材料’の入った紙袋を嬉しそうに抱き締めながら、集団の先頭をぴょんぴょんと跳ね回る。
「はぁ、いいねぇ、カレシのいるまき絵は」
まき絵を呆れた様子で見て、やれやれと溜息をつく明石裕奈。
「楽しそう」
大河内アキラが小さくつぶやく。
「それにしても……ダイタンやなぁ、まき絵も」
和泉亜子が顔を赤く染める。
「う~む、確かに最高のプレゼントだな。あんなものを送られたら、どんな男でもイチコロだね」
裕奈も顔を赤くしつつ、ニヤニヤと笑う。
確かに、まき絵の考えているプレゼントは、ある意味破壊力抜群だ。あんなモノを送られた日には、クレイジーにならない男はそうそういないであろう。まき絵はデートの最後に、その究極のプレゼントをジャスティスに贈る計画なのである。
「ふふ。とにかく、クラスのみんなでやるパーティの時間が来そうだから、早く帰ろう」
アキラの言ったとおり、昼のうちに彼女らの学校のクラスメイトで集まってクリスマスパーティを開くことになっている。
彼女達はパーティ会場へと急いでいった。



「あ~、緊張するなぁ。今夜はまき絵ちゃんとデート」
ジャスティスは今夜のまき絵とのデートに思いを馳せる。
「プレゼントを交換しあって、一緒に遊びまわって、そして最後は……」

ぽわわわ~ん

「はっ、イカンイカン。まき絵ちゃんはまだ中学生なんだ。うん、ダメダメ。ちゃんと節度は守らないと。うん」
甘甘なイケナイ妄想を振り払い、気を引き締めようとするジャスティス。しかし、すぐにまた表情がユルユルの恵比須顔へと変形していってしまう。
「は~、まき絵ちゃん……あぁ、もう待ち遠しいなぁ~」
完全にまき絵に首っ丈のジャスティスであった。



人気のない広場。
「ウフフ、綺麗ねぇ。コゴリオ兄上」
「そうだな、シャベット。この世界の人間も良質のコレクションになるだろう」
青い青年コゴリオと白き少女シャベットは、目の前の1組のカップルを見てほくそ笑む。カップルは微動だにしない。まるで彼らの周囲だけ時間が停止してしまっているかのようだ。なぜかというと、彼らの体の周囲が氷で固められているためである。彼らは驚きの表情を浮かべたまま、その時間を停止していた。
「さぁて、もう少しコレクションを増やしましょう。ワタクシ達の力とするために」
「そうだな。しかし、その前に戦(いくさ)だ」
「え?」
「この世界にも、魔法使いはいる。ほとんどは“フラウレイアーズ”の足元にも及ばぬ、取るに足らない連中だが、油断は禁物だ」
そのとき、建物の陰から2人組の少女達が姿を現した。
「な、なんということを! あなた方、それでも魔法使いですか!」
金髪の年上らしい少女の方が、凍ってしまったカップルを確認し、こちらを睨み付けながら言い放ってくる。
「この世界の魔法使いだな。フフフ、たいしたことなさそうだ」
そのコゴリオの言い草にカチンときたのか、金髪の少女がビシッと指差してくる。
「言ってくれましたわね、この高音・D・グッドマン、悪い魔法使い達を懲らしめて差し上げますわ。行くわよ、メイ!」
「はい、お姉様!」
箒を持った背の低い方の少女が、元気よく返事する。臨戦態勢は万全のようだ。高音と名乗った方の少女の背後に、巨大な黒い人影が何体も出現する。
「ふぅ、影使いか。ま、とっとと片付けるとしようか、レディ達」
「まって、兄上。所詮こいつらは噛ませ犬。ワタクシがやりますわ」
シャベットの冷たい笑みが、少女2人に向けられる。
「メイプル・ネイプル・アラモード……」
メイと呼ばれた少女が、呪文を唱えだす。
「まぁ、いいだろう。あまり消耗しないよう、手早くやれ。なるべく殺すなよ。いいコレクションになりそうだ」
「フフ、言われずとも」
そう言って前に歩を進めたシャベットに、影人形達が一斉に飛び掛ってくる。
「たわいもない」
周りの空気が一気に冷え込んだ。すべての影が冷気に包まれ、凍っていく。
「なっ!」
驚愕に目を見開く高音。
「紫炎の捕らえ手!」
メイが拘束魔法を打ち出す。円筒状の火柱がシャベットに向かってくる。
「へぇ、炎ねぇ」
シャベットは、あっという間に炎に包まれる。
「やった!」
メイが歓喜の声を上げる。しかし……
バフッ!
「え!?」
炎の渦はあっという間に掻き消えた。
「フフ、バリアで防ぐまでもないわね。その程度の炎で、ワタクシをどうにかしようと?」



「今日はクリスマスイヴだね、彩音ちゃん」
「そうですね、優愛お姉ちゃん」
佐々木優愛とその妹の彩音が、2人で街中を歩き回っている。パトロールである。麻帆良学園女子中等部の近衛学園長に依頼され、こうして浮かれたお祭り騒ぎ一色の街を巡回しているのである。
やはり、こういった浮かれた人々の好きに付け込み、悪事を働く輩は必ずといってもいいほどいるものだ。
「今年も平和で終わるといいんだけどねぇ」
「そうもいかないのでしょうね」
そのとき2人は、魔法の気配を察知する。2人は顔を見合わせる
「……やっぱり何か起きるんだねぇ」
「そういうお話ですから」
2人は駆け出した。



「お姉様ぁー!!」
「メイ、逃げ―――」
影をすべて氷漬けにされ、丸裸になってしまった高音は、カップルと同じように氷の中に捕らえられてしまった。
「さぁて、後はアナタだけね」
不敵な笑みを漏らしながら、呆然とする佐倉愛衣ににじり寄っていくシャベット。
「い、いやぁ……」
得意の炎の矢も、無詠唱魔法も、まったくこの少女には通用しない。すべて冷気でかき消されるか、ひどいときはノーガードにもかかわらず、ダメージを与えられない。
「あなたはどんなに美しい芸術品になるのかしら。楽しみですわぁ。そこのお姉さんと一緒に、ハダカで氷漬けにしてあげちゃいましょうか。ハダカで抱き合う少女達の氷漬け。フフフ、エロチックですわね♪」
「い、いやぁ……」
後退する愛衣だが、突然足元にできた氷の塊につまずき、尻餅をついてしまう。
「うひゃああああ!?」



「!? お姉ちゃん!」
「急ごう、彩音!」



夕方。
冬至を越えたばかりの、短い日照時間が終わろうとしている。街はますますクリスマスムードが高まっている。クリスマスを楽しむ人々や、ここぞとばかりに商売に精を出す人々で賑わっている。
しかし、その一方で、迷走する者達がいた。
麻帆良学園都市に住まう、魔法先生や生徒らである。
「ダメです。こちらでも生徒が大勢やられてしまいました」
「こっちもです。みんなカチンコチンになって……」
「くぅ、いったい何者の仕業なんだ」
「すでに一般人にまで被害が及んでいます。もはや、非常事態です!」
彼らは混乱の中にあった。学園都市のいたるところで、氷漬け事件が相次いでいる。これまでに、魔法関係者、一般人合わせて80人以上の被害者が出ている。
「うわああああああ!?!?」
「!?」
魔法関係の教師や生徒らがその悲鳴に駆けつけてみると、そこには真っ白な狼達がたくさん群がっていた。真っ白、そう、文字通り真っ白。まるで雪像のような狼。
「雪でできた狼。ゴーレムの一種か!?」
「ならば、遠慮なしに叩けるな」
魔法教師らが得意の魔法で応戦していく。狼の1匹が粉々に砕ける。
「よし。むっ!?」
粉々の狼の破片が、その教師の体を包み込んでいく。
「しまったぁ!?」
数秒後、彼は氷の中の彫刻と化した。
「う、うわあああああああ!?」
他の魔法教師や生徒が、狼達の口から発せられた吹雪の餌食となった。
「な、なんて奴らだ」
「焦るな。術者がどこかにいるはず。そいつを仕留めれば……」
「危ない!」
スイカほどの大きさもある雪球が、雪崩のごとく辺りに降り注いだ。
「ぐああああああああ!?」



「ありゃりゃりゃ~。大惨事だな~、これ」
世界樹の上から街の惨状を見物する人影が1つ。プラチナブロンドの髪を持つ、少女である。その手には箒が。
「おもしろそうだし、もうちょっと様子を見てようっと。芽美ちゃんの依頼をこなすのは、その後でもいいよね♪」



「う~ん、まき絵ちゃん、遅いな~」
待ち合わせ時間になってもやってこないまき絵に、ジャスティスは心配になってくる。
「途中で事故に遭ってないかな? 変な人に絡まれていないかな?」
いてもたってもいられず、さっきから彼女の携帯電話に何度もかけているのだが、まったく繋がらない。
「はぁ、どうしよう。下手に動いて行き違いになっても困るし。うーん……え?」
悩んでいると、そこで意外な人物が現れた。佐々木彩音だ。ジャスティスの親戚の女の子。しかし、なんと傷だらけではないか。体中ボロボロで、警察官が見たら呼び止められそうだ。
「ちょっと、彩音ちゃん、大丈夫!?」
「あ、ジャスティスさん。お、お姉ちゃんが……」
「優愛ちゃんに何かあったの?」
「それが……ハッ!」
一瞬の出来事。周りにいた人々がどんどんと氷漬けになっていく。
「うわ、何コレ!?」
「ジャスティスさん、全力で逃げますよ!」
「わっ、待って!」



1時間後。
「フフ、これでこの街の3割は、雪と氷の中だわ」
シャベットが不敵にほくそ笑む。
《うむ。お前のペットの狼どもがよくやってくれている。こちらも大方片付いた。この街の制圧まであと一息だ》
「楽しい聖夜になりそうですわね、兄上」
《……美しい傑作でも見つけたか?》
「はい。このピンク色の髪のオンナノコ。胸はペッタンコだけど、この肢体はスラリと伸びてカワイイの。確かまき絵とか呼ばれていたけど」
その氷の中に閉じ込められた少女を見て、満足そうに妖艶な笑みをこぼす。その背後には3人の少女が、驚きや恐怖の表情を浮かべたまま固まっている。
「ウフフ、あの優愛とか呼ばれていた娘とハダカで抱き合わせて凍らせれば、極上のコレクションになりますわぁ~♪」
《ハッ、お前も物好きだな》
「はい。ワタクシはカワイイオンナノコを凍らせていじるのが趣味ですから♪」
シャベットはそう言うと、ピンクの髪の少女―――佐々木まき絵を捕らえている氷を、小さな艶かしい舌で舐め回す。
「ま、男に興味がないわけじゃないけど、あなたはタイプじゃないわ」
「ぐっ」
魔法教師の1人、タカミチが氷の中に囚われつつある。迂闊であった。ある見知った生徒(明日菜である)を庇おうとしたのだが、なんとその生徒が敵の雪人形だったのだ。その生徒を助けようと手を伸ばした瞬間、感じた冷たさと同時にその姿が粉々になり、この状況へと追い込まれてしまったのだ。
「おやすみなさい。さて……」



《そちらはどうです?》
「ああ、こっちもあらかた片付いた。少しばかり苦戦する相手が現れたがな」
先ほどから空からたくさんの雪が降ってきている。天は兄妹に味方しているかのようだった。
《あら、兄上が苦戦? どんなお相手だったのです?》
「ダークエヴァンジェルだっけ。吸血鬼を名乗る女だ。従者の機械人形と一緒に攻撃してきやがった。氷漬けにしようとしても防ぎやがったから、どちらも“氷化”させてやった」
そう言って、長い金髪の少女―――エヴァンジェリンと、その従者のロボット―――茶々丸を見下ろす。2人とも不自然な格好で硬直していた。
氷化―――平たく言えば、石化の氷版だ。コゴリオのやり方は、敵の体に流れる体液を氷結させ、そのまま凍らせてしまうというもの。氷で閉じ込めるだけと違い、相手を凍死させてしまう方法だ。
「もっとも、コイツ不死身みたいだから、まだ生きている。だが、当分は動けまい。何せ、この世界とは術式がまるで違うのだからな。ロボの方は、固めた後にバラバラにしといたから、戦闘どころか行動も不能だ」
《そう。お疲れ様。そろそろ合流しましょうか》
「そうだな。だが、その前に……」
ガッ!
コゴリオを狙った銃弾は、冷気で空間に固定されてしまった。反対にコゴリオは、銃弾が飛んできた方角……ではなく、あさっての方向に、冷気の塊を放つ。
「チッ!」
女の声がした。直後その建物の壁は、あっという間に凍結してしまった。
「跳弾を利用したか。考えたものだ。しかし、この俺から姿を隠しても無駄だ。色黒のスナイパーさんよ。それと……」
コゴリオの手に氷の粒が集まっていき、氷の長剣が現れる。
「細目の忍者さん!」
「ぬうっ!」
奇襲をかけてきた女忍者―――長瀬楓の巨大手裏剣を弾き飛ばす。
「はあっ!」
分身した楓は、一斉にコゴリオに飛びかかっていく。
「運のツキだな。……アイスレイジ」
空気中の水蒸気があっという間に氷結していく。宙にあった楓の分身達が次々と貫かれていく。
「うぐっ!」
本物の彼女の体をも掠めたようだ。肩から血が流れ落ちる。
「無駄だよ。この世界の能力者達では、我々には勝てん。理(ことわり)が違うのだから、当然といえば当然だがな」
「お主達の目的は何でござるか?」
楓の詰問にもどこ吹く風のコゴリオ。
「娯楽だよ。なに、ちょっとした余興さ。しばらくこの世界で過ごそうと思ってね。この学園都市で遊ぶことにしたのさ」
「ぬうっ、不覚……」
楓の足が、分厚い氷に侵されていく。まったく脚が動かせない。どんどんと氷は上半身へと上昇していく。
「安心しろ。しばらくの間、眠るだけだ。下手な真似さえしなければ、また日の目を見ることもできよう」
ダァン!
1発の銃声が聞こえた。コゴリオのいる場所から5メートル程も離れた場所に、着弾した。
「何!?」
狙撃者―――龍宮真名が驚愕の声を上げる。降雪で視界が悪いとはいえ、まさか射撃の名手の自分が、止まった的を外すなんて。
「くっ、まさか、このパウダースノー……光の屈折か!?」
「よく気づいたな、スナイパーさん。無数の氷の粒“スターダスト”をこの辺りの空間に撒いた。お前は目測を誤った。射撃手では、この俺には勝てんよ」
ニヤリと笑ってみせる。
「お前のペットを借りるぞ」
《どうぞ良しなに、兄上》
念話で妹に了承を得ると、コゴリオは指笛を吹く。辺りに群れていた氷の狼達が集合してきた。それは1か所に集まっていき、その氷の塊が次第に巨大化していく。それは、体長10メートルはあろうかという大きな氷のドラゴン。
「くっ!」
真名は手持ちの銃をこれでもかと乱射していく。ドラゴンにどんどんと穴が開いていく。
「足元が疎かになっているぞ」
「しまった!」
気づくと、真名の腰辺りまでが、すでに氷に包まれてしまっていた。
「龍宮殿! うぐ……」
楓はもはや頭部を残すのみ。
「おやすみ、レディ達。俺のコレクションに、加えてやるとしよう」



「状況は最悪です。もうすでに、被害者は千人以上に上っているようです」
「そんな……。まき絵ちゃん……!」
いてもたってもおられず、ジャスティスは外へ飛び出そうとする。
「ダメです、今出て行ったら、奴らの思うつぼです」
彩音が制止する。
ここは図書館島。学園都市でほぼ唯一無事な場所である。
「でも、もしまき絵ちゃんがやられていたらと思うと……」
「私だって、お姉ちゃんのことが心配です。でも、今は耐えて」
「こんなところで遊んでいていいのかな~」
「なっ!?」
2人がその声に驚いて振り向くと、そこには1体の小さな雪だるまが。
「彩音さんとジャスティスさんだね。君達の大事な人達を預かっているよ。助けたかったら、大きな木の下に来るように。それじゃあね」
雪だるまはそう言うと、ただの雪の塊になってしまった。暖房を炊いているため、徐々に溶けていく。
「行こう、彩音ちゃん。僕達は守るべき大事な人がいるんだ」
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by konosetu | 2006-12-23 23:30 | 自作小説 | Trackback(2) | Comments(2)
世界樹の木の下の広場。
「おやおや、やっときたようだな」
「もう、待ちくたびれましたわ」
兄妹がジャスティスと彩音を迎える。ジャスティス達は急いだのだが、途中で氷のモンスターに襲われたり、襲われている人を助けたりで、遅くなってしまったのだ。
「まき絵ちゃんと優愛ちゃんを返せ」
ジャスティスは強気に出る。
「おやおや、せっかちだねぇ、君は」
「大丈夫ですわ。2人とも、私の大事なコレクションなんだから、傷つけたりはしません」
「勝手なことを!」
彩音が怒りに肩を震わせる。
「どうしても返して欲しければ、一度だけチャンスをあげましょう」
「なんだって!?」
ジャスティスは敵に飛び掛らんばかりの勢いだ。しかしそのとき、彩音が衝撃的なものを見つけてしまった。
「なっ、ジャスティスさん!」
「なに?」
彩音に袖を引かれて、彼は振り向くと、なんとそこには4つの氷の像が。その中には見知った顔が。
「あわわわ、ネギ先生!?」
「刹那さんまで!」
ネギ・スプリングフィールド、神楽坂明日菜、近衛木乃香、桜咲刹那。氷の中で眠っている。
「明日菜とかいう子と、木乃香という子を景品に、ネギとかいう小さい男の子と刹那とか言う剣士さんには、殺し合いをしていただきました」
シャベットが不敵に笑う。
「なっ!?」
「あまりにグズグズしていたのでな。全員に眠ってもらった。だが、お前達が着くのがこうも遅いのなら、もう少し遊ばせておいても良かったな」
コゴリオがつまらなさそうに言う。
「お、お前らはぁ!」
ジャスティスが怒りの咆哮を上げる。しかし、敵2人はどこ吹く風だ。
「さて、あなた達には、彼らと同じことをしてもらいましょう。ジャスティスさんが勝てばまき絵さんを、彩音さんが勝てば優愛さんをそれぞれお返ししましょう」
虚ろな目のまき絵と優愛が、宙に出現した。その手足は、氷の輪が枷となって固定されている。
「ジャスティス……さん」
「あや、ね……逃げ……」
「まき絵ちゃん!」
「お姉ちゃん!」
2人は愛すべき人に駆け寄ろうとするが、あっさりそれを遮られる。分厚い氷の壁だ。彩音が強行突破しようと、刀で切り刻むが、それは一瞬で再生してしまう。
「さて、殺し合いをスタートしていただきましょうか。そこの4人みたいになりたくなければ、全力で相手を排除なさい。でないと……こうよ!」
ビャリッ!
「―――ッ!」
シャベットの小さな手の指から、鋭い氷の爪が伸び、まき絵の服を切り裂いた。
「ウフフ、カワイイ胸ね」
いやらしい舌使いで、まき絵の開いた胸元を攻める。残っていた服の切れ端をすべて取り除いてしまう。寒空の中、裸にされてしまったまき絵。
「や、やめろぉ、やめてくれぇ!!」
ジャスティスは必死に叫ぶ。
「まったくだ」
コゴリオの氷の刃が、優愛の服も切り裂く。それに気づいたシャベットが、優愛の服も取り払い、丸裸にしてしまう。
「う、お姉ちゃーん!!」
彩音が悲鳴を上げる。
「ウフフフ。この2人をね、私のコレクションにしようと思うの。凍らせてね、おうちに飾るの。そしてね、ワタクシが気持ちよくなりたくなったら、そのときだけ解凍してね、一緒に遊ぶの。気持ちの良くなるオトナのイケナイア・ソ・ビ♪」
そう言ってシャベットは、優愛の頬を舐める。
「う、うわあああああああああ!!」
彩音がジャスティスに飛び掛ってくる。
「うわ、彩音ちゃん、落ち着いて!」
彩音の二刀流の斬撃を、かろうじてかわしていくジャスティス。しかし、純粋な戦闘力では、彼女の方が上だ。それに、たとえ彼女を倒せたとしても、まき絵がちゃんと帰ってくる保障はどこにもないし、優愛を犠牲にもしたくない。
「あっ!」
そのとき、ジャスティスは降り積もった雪の上で足を滑らせ、尻餅をついてしまう。すぐ上を、彩音の斬撃が掠める。髪を少しもっていかれた。
「ダメね。あと3分以内にケリをつけなさい。でないと、みんな氷漬けよ」
シャベットの非常な宣告。もはや、迷っている暇はない。
「ゴメン、彩音ちゃん!」
ジャスティスが戦闘態勢に入ろうとしたまさにそのときだった。

バァァァァァァァーン!!!!!

凄まじい衝撃音と共に、辺りの氷や雪が吹っ飛んだ。
「なに?」
「こ、これは!?」
ものすごい雪煙の中、視界を遮られる一同。兄妹は慌てて雪煙を吹き飛ばす。視界が開けたと思うと、彼らはまたも驚愕することとなる。
「あ、あれ、僕……?」
「ん、あら?」
「あやや?」
「これは?」
ネギ、明日菜、木乃香、そして刹那を捕らえていたものが、氷解していた。
「バカな、これはいったい……」
「兄上!」
見ると、ゾロゾロと広場に集まってくる人だかり。兄妹にこっぴどくやられた魔法先生や生徒達だ。
「よくもやってくださいましたわね!」
と高音。
「許せません!」
と愛衣。
「お前達には、高いツケを払ってもらう必要がるな」
と真名。
「覚悟してもらうでござるよ」
と楓。
「観念するんだ。君達も、ここまでだ」
とタカミチ。
他にも十数人ほど集結してきている。
「よくも私のことをコケにしてくれたな。しかも、茶々丸を壊しおって。何千倍にして返してやろうか」
空中を見ると、ブチ切れて怒りマークをたくさん額に浮かべたエヴァが、ワナワナと震えている。
「い、いったいなぜ……」
シャベットがやっとのことで言う。
「ちょっと、よくも凍らせてくれたわね。しかも、ネギと刹那さんを戦わせるなんて」
「そうです。許せません!」
状況を呑み込んだ明日菜とネギが凄んでくる。
「お嬢様やみなさんを傷つけた罪、償ってもらうぞ」
刹那も鋭い眼光を放ってくる。
「……シャベット、ここまでのようだな。引き上げるぞ」
そう言って、コゴリオが宙へと舞い上がる。
「待って、兄上。せめて、この子達だけでも!」
手近にいたまき絵と優愛の体を念力で浮かび上がらせ、飛んでいこうとするシャベット。
「待て、逃がさない!」
彩音が2本の刀を振りかざす。
「やあああああ!!」
「なっ!?」
シャベットの左腕が宙を舞う。その拍子に、まき絵と優愛の体が宙を舞う。
「まき絵ちゃーん!」
「お姉ちゃん!」
まず、彩音が優愛の体を抱きとめる。そして、ジャスティスはというと……
「へぷうっ!?」
まき絵をキャッチ。雪で滑って転んだため、背中で……
「ぐううう……よくも!」
彼女の左腕の切り口に氷の粒が集結していき、再生していく。ただ再生するだけでなく、獣のような太い腕と化していた。その先は鋭い氷の爪となっている。彩音を切り裂かんと肉薄する。

ダァァン!

真名の狙撃銃が、その腕をまたしても粉々に砕く。
「うああああ!!」
シャベットは牽制に氷の狼の群れをけしかける。しかし……
「風花……武装解除!」
ネギの魔法が炸裂し、氷の狼達は霧散する。さらに、シャベットが張っていた氷の壁も粉々にする。
「チッ!」
粉々になった氷の粒を、氷の矢に変えて飛ばしていく。さらに、自分の白く長い髪をハリネズミのように尖らせ、針状にして噴射させる。しかし、それらを余裕で切り払いながら、刹那が迫ってくる。わずかに髪の冷凍針が刹那の体を掠めるが、まったく意に介さない様子だ
「奥義、百烈桜華斬!!」
「きゃあああああ!?」
目にも止まらぬ速さの斬撃に切り刻まれるシャベット。
「おのれぇぇぇ!!」
特大の氷玉を放つ。しかし、そこに飛び込んできた人影、明日菜の大剣が、それを真二つにする。しかし、氷玉はフェイント。この一撃が本命。
「ブリザードストーム!」
「そんなの効かないわよ。うわああああああ!!」
しかし、魔法無効化能力(マジックキャンセル)を持つ明日菜には通用しない。彼女を物理的に凍らせることはできたが、魔法攻撃はかき消されてしまうことは、シャベットは知るよしもなかった。
「まったく世話の焼ける!」
妹を庇い、明日菜の斬撃を氷の盾で防ぐコゴリオ。しかし、
「うごぉっ!?」
その体はものすごい衝撃で地面に叩きつけられる。タカミチの渾身の一撃がクリーンヒットしたのだ。
「兄上! あっ……」
「覚悟!」
分身した楓の攻撃の嵐。
「きゃああああ!!」
兄とは離れた場所に墜落する。
「うう、おのれ……」
「悪い人達は退治するの」
意識を取り戻した優愛が、彩音の上着を羽織って愛用の杖を構えていた。チャージはすでに完了している。
「お姉ちゃん。この子は人間じゃない。魔物だから遠慮なくぶっ飛ばして!」
「オッケー」
「あぁ、やめ……」
「シュゥゥゥトォォォーーー!!!」
「まき絵ちゃん、好きよぉ。愛しているわぁぁぁぁぁーーーーー!!!」

ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーン!!!!!

嫌な断末魔を上げ、シャベットは消滅した。
「まき絵ちゃん……」
未だ意識の戻らないまき絵の体(木乃香が上着をかけ、傷を癒してくれた)をギュッと抱き寄せる。もう絶対に離すもんか。
「うおお、シャベット―――!? お、おのれぇぇ、かくなる上は!!」
コゴリオは、自らの体を変形させていく。そして、20メートルはあろうかという、巨大な氷のドラゴンの姿を形成していく。
「消え失せろ、この下衆どもがぁっ!」
しかし、変身が完了する直前、エヴァの怒りの爪が、ドラゴンを両断する。
「フゴオオオオオオオオ!?!?」
崩れ行くコゴリオの体を見て、すかさず優愛と彩音が動く。
「お姉ちゃん!」
「うん!」
佐々木姉妹の連携攻撃。
「奥義……」
長い方の刀のみに力を込めていく彩音。
「シャイニング……」
優愛が魔力を杖の先端の赤い玉に収束させていく。
チャージ完了!
「断魔閃光!!」
「バスタァァァァーーー!!!」
2色の閃光が当たりに満ち、凄まじい怒号が辺りに響き渡った。



「あれ?」
「あ、まき絵ちゃん。気がついた。よかったぁ」
ジャスティスの部屋で目を覚ましたまき絵に、ホッと安心するジャスティス。なぜジャスティスの部屋なのかというと、今街の方は、事後処理に大わらわだからだ。仕方なく、そう、仕方なく、優愛と彩音の進言で、まき絵を運び込んだのだ。なんだかあの2人はニヤニヤと含み笑いをしていたのが気にかかるが……
「あれ、私……そうだ。変な人達に襲われてそれから、変なことされて……」
「まき絵ちゃん!」
話を聞いてみると、まき絵はあの兄妹、特に妹の方にされたことをかすかに覚えているらしかった。
「う、あ、まき絵ちゃん。ううう……」
ジャスティスは、悲しくて胸が詰まる思いだ。まき絵ちゃんを守れなくて、ひどい目に遭わせてしまった。彼女を守れなかった、そんな弱い自分が悔しい。
「そんなことないよ、ジャスティスさん。だって、最後にはちゃんと助けてくれたじゃない。落っこちそうになった私を助けてくれたよね」
「まき絵ちゃん……」
背中でキャッチしてしまうという、情けない助け方だったのだけれども。
「ジャスティスさん、ダイスキ♪」
チュッ
頬に感じた彼女の唇。もうたまりません。おっとっと、ちゃんと理性は保たないとね。でも、今日のまき絵はどうも色っぽい。寒い中、裸にされてしまったから、風邪を引いてしまってないか心配で、先ほど彩音体温を測ってもらったが、幸いにも熱はないようだ。体が丈夫なまき絵ならではだ。
彼女は友人達のことや街の様子を気にしていたが、心配ないと安心させた。状況が落ち着いたら、亜子ちゃん達にも会わせてあげないと。
「ジャスティスさん、デートはダメになっちゃったけど、私、ジャスティスさんにプレゼントがあるの。受け取ってくれる?」
「あ、うん。もちろんだよ。その前に、僕からプレゼント」
「うわぁ、開けていい?」
「うん」
目をキラキラと輝かせながら、丁寧に包みを開いていくまき絵。
「うわぁ、ペンダントだぁ」
雪の結晶を模ったペンダント。早速首に下げるまき絵。鏡を見せると、嬉しそうにジャスティスに礼を言った。
「じゃあ、今度は私からプレゼントね」
「うん」
「あ、でもね、ちょっと用意するのに時間がかかるんだぁ。だから、少しの間目をつぶってくれる?」
「え? うん、分かったよ」



「まったく、してやられちゃったわね、兄上」
「フッ、まったくだ。いったい誰が魔法使い達の氷を溶いたのか……」
兄妹は生きていた。小さな光の粒子の集まりの姿となっている。コゴリオの方は少し青みがかった、シャベットの方は美しき白を発しながら飛んでいる。
「く~、それにしても悔しい。まき絵ちゃん、結構気に入っていたのになぁ」
魔法使い達が倒した兄妹の肉体は、氷の人形に過ぎなかったのだ。彼らの正体は、氷の妖精。それも知性の高い者達だ。
「まぁいい。少し時間を置いて、また奪いに行けばいいさ」
この世界ではない異世界から、その世界の魔法使い達に撃退され、この世界に逃げ延びてきていたのだ。
「そうね。ほとぼりが冷めたらまた……」
「ダ~メ。あなた達は元の世界に帰るの♪」
「ぬっ!?」
「なな!?」
兄妹の前に現れたのは、箒に乗った少女。
「ぱんぱかぱ~ん♪ どうも~こんにちは~。サンタクロースのおねぇさんだよ~ん♪」
赤い服と赤い帽子。背中には大きな白い袋。典型的なサンタクロースの格好をしている。もっとも、箒に乗ったサンタクロースなんて、誰も聞いたことがないだろう。
「いやいや、昔のイタリアでは、サンタクロースは魔女だったという説があるんだよ♪」
いや、誰に言ってんの?
「まさか、お前は……」
「“月光の皇女”、アルテア!? ということは、魔法使いどもを解放したのはあなたね?」
「ピンポンピンポンピンポンピンポン、だいせいか~い♪」
ブワッと紙吹雪を手から出現させて、辺りに撒き散らす、妖精のアルテア。
「と、いうわけで、サンタさんからのプレゼント。一緒に元の世界に帰りましょ~」
「なんだと!?」
「くっ、どうしてあなたが!?」
兄妹が周囲の水蒸気を冷やしながら尋ねる。いざとなったら、形成させた氷を使ってアルテアを煙に撒くつもりだ(戦っても絶対に勝ち目はない!)。
「芽美ちゃんに頼まれちゃってさぁ~♪ 妹達に素敵なプレゼントをくれたもんだから、そのお礼にね。それじゃあ、いっくよ~♪」
「くっ、芽美・マリー・シンフォニアが!?」
「まったくあの女。許しませんわ!」
兄妹は逃走を図る。物理的に逃げても間違いなく捕まる。コゴリオは空間転移で、シャベットは時空転移と、あえて異なる手段で離脱を試みる。ところが、もはや体がまったく動かせない。
アルテアが、背負っていた袋の口をこちらに向けていたからだ。そこからものすごい勢いで、辺りの空気が吸い込まれていく。その吸い込む力には、拘束の魔法が込められているらしく、そのために行動不能になったらしい。
それでも粘る2人に、更なる追い討ちが。集めていた氷の粒が、突然勝手に変形を始めたのだ。トナカイの姿、2匹。アルテアの仕業である。彼女は兄妹の集めた氷を利用して、トナカイを形成したのである。
「トナカイさんのサービスだよ~♪」
2人はそのトナカイ達に突き飛ばされ、遂に袋に吸い込まれていく。
「し、しまった。うわぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁぁぁ~~~~ん!?」
こうしてコゴリオ&シャベットの兄妹は、元の世界へと強制送還されたのであった。

「はいはいはい。お仕事しゅうりょ~♪ さて、帰ったら、妹達と楽しく過ごすとしますか♪」
そう言うと、アルテアは鼻歌交じりに飛び去っていった。



「目を開けていいよ、ジャスティスさん」
まき絵にそう言われ、期待に胸を膨らませて目を開く。そこにあったのは、1つの大きな袋。
「まき絵ちゃん?」
辺りをキョロキョロと見回すが、まき絵の姿は見当たらない。さては……
(ははぁ、さては袋の中に隠れて、僕を驚かせようってことだな。そして、笑って本物のプレゼントを渡そうと。ふふ、まき絵ちゃんらしいや)
そう分析し、ジャスティスはわざとらしく言う。
「あれぇ、まき絵ちゃん、どこへいっちゃったのかなぁ。おかしいなぁ」
しばらく間をおく。
「ようし、このプレゼントあけちゃえ~」
きっと「ばぁ!」とまき絵が元気よく飛び出してくるに違いない。そう思って、袋のリボンを解くと……
「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
……ジャスティスの想像の遥か上をいっていた。
「ジャスティスさん、メリークリスマス。プレゼントは……わ・た・し……だよ」
体中に大きなリボンを巻きつけ、際どい部分こそ隠しているが、まき絵はそれ以外、他には何も身に着けていない。いや、さっきプレゼントしたペンダントを首から提げて、頭にはサンタ帽を被っているが、本当にそれだけだ。
恥ずかしそうな流し目で、指を咥える仕草が艶かしい。軽く香水をかけているのか、オトナの雰囲気が漂ってくる。
「ま、まき絵ちゃ……」
「……抱いて。私を、ジャスティスさんのモノにして」
オーマイガット!
「ヘンな子に触られちゃったもん。でも、ジャスティスさんに触ってもらったら、私、嫌なこともきっと忘れられる」
「…………」
しばらく待ったが、ジャスティスから反応がない。
「ジャスティスさん?」
まき絵は不安になって彼の方を見る。
……立ったまま昇天していた。
「うひゃー! ジャスティスさん!?」
その瞬間、鼻血を吹いて昏倒してしまった。
「うわ~、しっかりして!」
そのとき人の来る気配が。
「あの~、まき絵さんがこちらにいると伺ったんですが」
「大丈夫、まきちゃ……うげっ!?」
ネギと明日菜が部屋に入ってきてしまった。その後ろには、亜子、裕奈、アキラの姿もある。
そこに慌てて優愛と彩音が駆けてくる。手違いがあったのだと悟ったようだ。あちゃ~と額に手を当てている。
「あ、ネギ君、明日菜、こここ、これは……」

この後、大変な騒ぎになってしまったのは、言うまでもないだろう。
しかし、ジャスティスとまき絵の絆は、より深いものとなった。
大変なクリスマスだったけど、ジャスティスに想いを伝えられて、まき絵は幸せいっぱいなのであった。

Fin.
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by konosetu | 2006-12-23 00:29 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)

テューリップ

戦闘方法:
闇打ち、暗殺など正面からやりあうより、敵の死角から不意打ちする技が得意。2つの武器、体術を駆使して戦う。体術では暗殺拳法『闇幻(あんげん)流』を使う。

武器:

○エレメントマグナム199:
科学の結晶とも言われる秘術によって作られた、この世界では最新式の銃。モードを切り替えることにより、この銃1つで何種類かの弾を打つことができる。また、ハンドモードとスナイパーモードがあり、近距離・遠距離攻撃を使い分けられる。

・ノーマルモード
基本モード。普通の金属の弾丸を放つ。バースト(掃射)モードにすると遠くには飛ばなくなるが、敵をあっという間に蜂の巣にすることができる。
・アイスモード
氷の弾丸を発射する。弾の硬度を設定することができ、それによって殺傷能力を調整することができる。また、散弾モードにすると、細かい氷の粒を無数に発射させることもできる。
・ファイアモード
炎の矢を発射する。距離が遠くになるにつれて威力が落ちるので遠距離攻撃には向かないが、威力はかなり高い。威力を調節することもでき、着弾時の爆発の威力を最大にすると半径100メートルは焦土と化す。最小にすると焦げ臭いがする程度。ただし、威力を高くすればするほどチャージに時間がかかる。
・スパークモード
電気を帯びた弾丸を発射。もしくは電撃を発射。近距離にしか使えないが、敵施設の電気系統や機械兵器などを麻痺させたりショートさせたりするこどができる。チャージに時間がかかるが、最大威力時は敵を瞬時に黒焦げにしてしまうことができる。威力を調節すれば、敵の身体を麻痺させるのにとどめることも可。

使用例
ハンドモード+ノーマルモード(バーストモード)→敵を蜂の巣に
スナイパーモード+ノーマルモード→要人狙撃
ハンドモード+アイスモード(威力弱)→相手を殺さずして屈服させる
ハンドモード+アイスモード(散弾モード)→目潰し
スナイパーモード+ファイアモード(威力強)→拠点爆撃
スパークモード+ハンドモード→敵を気絶させる
などなど

○エレメントナイフ198
刀身は20~110cmに調節できる。エレメントマグナムと同じくノーマル、アイス、ファイア、スパークモードに使い分けられる。

・ノーマルモード
両刃。切れ味抜群。刀身を伸ばせば槍のように使うことも可能。
・アイスモード
刃が氷になる。硬度を調節でき、それによって殺傷能力が決まる。また、刃を前方に飛散させることもでき、割れたガラスの大群のごとく敵に突き刺すこともできる。
・ファイアモード
刃が炎になる。実体はないので、何でもすり抜け、温度調節次第で燃やしたり溶かしたりしてしまえる。
・スパークモード
刃が電撃になる。用途はバーストモードと大体同じだが、機会兵器や水中に対して使うと効果的。

技:
○アイスクラッシャー:『エレメントマグナム199』のハンドモード+アイスモード(バーストモード)を使用。硬度強の氷の弾丸を掃射し、敵を蜂の巣に。弾丸はいずれ溶けてしまうため証拠隠滅に役立つ。
○アイスミスト:『エレメントマグナム199』のハンドモード+アイスモード(散弾モード)を使用。霧状の小さな氷の粒をたくさん発射し、敵を目潰し。距離感も狂わせる。
○バーストバーン:『エレメントマグナム199』のハンドモード+ファイアモード(バーストモード)を使う。炎の連射で近距離の敵を焼き尽くす。
○エクスプロージョン:『エレメントマグナム199』のスナイパーモード+ファイアモードを使用。威力を最大にすると半径100mは焦土化す。拠点爆撃に有効。
○プラズマスラッシュ:『エレメントナイフ198』のスパークモードを使用。敵を切り裂き感電死させる。ただし、威力を弱めて殺さず戦闘不能にさせることも可能。
○暗殺拳法『闇幻(あんげん)流』:基本は中国拳法に近い。トリッキーな動きで敵を翻弄する。

備考:
テューリップが信頼している研究者が開発した。ノーマルモードは普通の弾丸を込めるが、他のモードはバッテリーを消費することにより使用できる。電池切れを起こすとノーマルモード以外使えなくなるので、予備を持ち歩く。


武器の説明、分かりましたか?
銃の方では、ハンドモードとスナイパーモード、4つのタイプ、単発かバースト(掃射)モードか。組み合わせ次第で色んな攻撃法があります。
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by konosetu | 2006-09-05 09:32 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)

葱丸さんへ その2

名前:クリシス
HN:いけやん
年齢:15歳
性別:女
容姿:茶髪のロングヘアで、瞳の色は灰色。可憐さは残るが、温和なお姉さんっぽい雰囲気。普段は白を基調とした長袖肩出しルックのフリルドレス、白いロングスカートに、白い吊りニーソックスを履いている。背中の右側には片側50センチ程の白い羽の天使の片翼がついている。翼は収納可能。

性格:普段は無口で無表情で感情に乏しい。これは「ある事件」の後遺症である。しかし、ルシアにキスしてもらうと、1日に1度数時間だけ元の性格を取り戻す。元の性格は甘えん坊で天然ボケだけど、いざというときは冷静でしっかりしたお姉さん。親友のルシアがツッコミ役なら、クリシスはボケ担当。戦闘モードになると、冷徹無慈悲な戦闘兵器に。そのため、ルシアや仲間達の歯止めが必要になる。だけど、ルシアとアヤシイ雰囲気になってしまうと、甘えん坊なイケナイオンニャニョコに変貌。しかも、時にはいつもと逆に大胆にもクリシスの方がルシアを襲ってしまうことも……

一人称:あたし

台詞:
「………」(感情が乏しい状態ではあまり発言がありません)
「……ルシア、好き」
「……邪魔」

(ほんわか口調で)
「パパイヤってお父さんが嫌いなんですねぇ」(なんでやねーん!)
「わぁい、ネコさんですよぉ。ネコさ~ん♪」
「あうう、転んでしまいましたぁ~。ぐすん」
「へ~、男の子が恋人になることもあるんですねぇ」(え?)
「わ~、この子カワイイですぅ」(抱きつき)
「う~、お菓子が食べたいですぅ」(ウル目)
(真剣に)
「あなたは独りじゃない。大切な友達がいるじゃないですか」
「あたしは生きている。どんなに辛いことがあっても生を貫いてみせる。だから、あなたも……」
「命は儚いの。だから大切にしなくちゃいけないんです」
(甘い声)
「あぁう、ルシアぁ、こんなところで、だめだよぉ」(何やってんの!)
「やぁん、ダメ。恥ずかしいよぉ、ルシアぁ」(いやん)
「ん、ん~、ルシア、熱いよぉ。激しすぎだよぉ……」(何が!?)
「フフ、たまにはあたしにリードさせてよぉ♪」(お)
「焦らないで。夜はまだまだ長いんだよぉ♪」

(冷たいドスのきいた口調で)
「どけ。貴様らに用はない。邪魔をするなら容赦しない」
「……雑魚が。笑止千万。失せろ、目障りだ」
「……潰す。貴様らただではおかない」
「ルシアを傷つけてみろ。貴様のチリ1つ残さん」

設定:ルシアと同じく、歌うのが得意。人間のよく食べる果物が好物。
天界に住んでいた天使の一族の娘。背中の右側のみに白い片翼がついているが、もう片方はある事件(※)の際に失われた。同時に感情までも失われてしまったが、ルシアの懸命な尽力で命を救われた。そしていろいろワケあって、今は人間の世界で人間に紛れて生活している。なお、遅いながらも飛行は可能。
ルシアと同じく3つの「顔」を持つ天使と呼ばれる事もある。が、感情を取り戻したときにも3通りあるので、「顔」は5つではないかと言う者もいる。

※事件の詳細
クリシスはあるとき、悪魔に魅入られてしまった。是が非でも彼女をモノにしようと卑劣な策で彼女を追い詰めていく。片翼を失った上、瀕死の重傷を追ってしまうクリシス。しかし、親友であるルシアに救われる。その際、ルシアは別の悪魔の力を借りた禁断の魔法を使ってしまい、堕天使となってしまった。自分の寿命を半分削ってクリシスに分け与えたのだ。命が連結してしまったため、片方が命を落とすともう片方も死んでしまう。2人はこれから、愛の力で共に運命を乗り切っていこうと誓い合う。
なお、愛を交し合うと(キスとかアレとかw)2人の寿命はその分延びていき、また、クリシスが感情を保っていられる時間もだんだん長くなっていくらしい。

要望:こんな感じで。百合色が似合うお2人を演出していただければと思います。
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by konosetu | 2006-08-18 19:38 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)

白魔葱丸さんへ

応募キャラクターです。

名前:ルシア
HN:いけやん
年齢:15歳
性別:女

容姿:黒いロングヘアで、瞳の色は深い青。童顔で優しい顔立ちだが、ちょっぴり妖艶さも含まれている。普段は頭にフリルつきの黒いカチューシャ、黒を基調とした長袖肩出しルックのフリルドレス、白いミニスカートに、黒い吊りニーソックスを履いている。背中には片側50センチ程の黒い羽の天使の双翼がついている。翼は収納可能。
性格:普段は元気一杯で活発な性格。親友のクリシスがボケ役なら、ルシアはツッコミ担当。戦闘モードになると、一見冷静な“静かに燃える”戦士に。勇気もあって、仲間のためなら身をも投げ出す。だけど、クリシスとアヤシイ雰囲気になってしまうと、妖艶なイケナイオンニャニョコに変貌。

一人称:私

台詞:
「よっしゃ。さあみんないくよっ。がんばるよっ。ファイトだよっ!」(おー!)
「はにゃ、ケンカしちゃだめだよっ。仲良くやっていこうよっ」(イエイ!)
「ワオ! みんなめちゃんこ強くてかっこいいね♪」(感激!)
「ふに~、お腹すいたね~。何か食べようよ~」(ヨダレたらたら~)
「なんでやねーん! なーんちゃって。これが人間のツッコミ方なんだよね?」(にゃはは♪)

「フッ、笑わせる。あなたのような輩に手心は加えられないわね」(殺気の冷気)
「何度来ても同じ事よ。徹底的に潰す!」(ガクガク……)
「みんなは私が守って見せる。あんた達の好きにはさせない!」(コオォォォ……)
「私はもう独りじゃないんだね。みんな、ありがとう」(切なげな涙ぐんだ笑顔)

「クリシス、百合の花は好きかしら。私は好きよ。ウフフ……」(え、ちょっと、顔近いよ。息が……)
「クス、もうクリシスったら、イケナイ子ね。もうアナタは私のモノなんだから……」(抱いて髪を撫で撫で……ぁ)
「フフ、怖くなんてないのよ。これから気持ち良くなっていくんだから……」(もわわぁぁぁぁ~ん)
「カワイイわ、クリシス。いい子ね。ベッドはこっちよ。いい夜になりそうね、クリシス♪」(オイオイオイ!)

設定:声は高めでちょっと幼げ。歌が上手。趣味は歌う事と空の散歩。
天界に住んでいた天使の一族の娘だったが、ある事件(※)で親友の天使の少女クリシスを救うため、黒い羽を持つ堕天使となってしまった。そしていろいろワケあって、今は人間の世界で人間に紛れて生活している。
その性格のためか、3つの「顔」を持つ天使と呼ばれる事もある。

要望:一応もう1人の女の子とセットのキャラなのですが、1人でも稼動できるように編集しました。3つの「顔」をうまく使い分けてくれれば幸いです。

※詳細をご希望でしたら言ってください。
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by konosetu | 2006-08-15 23:33 | 自作小説 | Trackback | Comments(1)

番外

「ああ? たったこれっぽっちか」
「全然足りねぇじゃねぇかよ」
「舐めてんのか、コラ」
蹴り。
「あうっ」
薄暗い場所で男子生徒5人に囲まれて睨みつけられ、ガクガク震えている少年。
「正治。おめぇ俺らに逆らうのかオラ!」
殴る蹴る。
明らかにこれは陰湿な‘いじめ’というものである。
「今度までにもっと持ってきやがれ。そうでないと……」


正治は力なくズキズキ痛む体を引きずり帰途に着く。
奴らのいじめが始まってかれこれ半年近くになろうか。今でも日に日にひどさを増していく。
辛すぎる。もう何度自殺を考えては思い留まったことか。もはや死ぬしか道は無いかに思えた。
奴らの仕返しを恐れて、両親にもこのことを言えない。
自分のクラスの担任教師はこの事態に気付いているだろうが、いい加減な性格でそ知らぬフリを決め込まれている。
他の友人達も、奴らの復讐を恐れてか見て見ぬフリをしている。もはや八方塞だった。
(やっぱり、もう、これしか……)

そして、ビルの上から身を投げた。



「う、あ……」
気がつくと、空と人の顔が見えた。
「気がついたか」
まだぼんやりとする頭で覗き込んでくる人の顔を認識する。
「全く外傷は無い。もう少し休めば、頭も冷えるだろう」
その顔は整った顔立ちの美女であった。かなり若そうだが、長くて白い髪が見える。これが彼女の地毛なのだろう。
そのツリ気味の双眸には確固たる決意がみなぎっている、今の正治とは対称的な表情だ。
「あ、あなたは?」
かろうじて言葉を発する。
「お前を助けた者だ」
そっけなく答える。
「どうして……」
「とにかく、今は休め」


それからどれほどの時間が経ったのだろう。それ程経過してないと思われたのだが、結果として1時間はそのままの状態で眠っていたようだ。その白髪(しろがみ)の女性に膝枕してもらって。
起き上がったとき辺りを見回すと、そこは静かな川辺のベンチの上だった。
正治はしばらく女性と共に透き通るような青空を眺めていたが、やがて切り出す。
「どうして、僕なんかを助けたんですか」
恨むように言った彼を、彼女は責めるような鋭い視線で射抜く。
「愚問だな。助けたかったから助けた。それだけだ」
正治より少し上ぐらいの年齢に見える女性は、空を見上げたまま答えた。またもやそっけない返事。
「余計なお世話です。やっと、やっと苦しみから解放されるかと思ったのに……」
それを言った途端、正治は身の毛もよだつような悪寒に苛まれた。その冷気のようなものの発生源。それはまさしく、その女性から発せられているものだと何となく直感する。
「愚かな。お前のような独りよがりには飽き飽きする」
正治の方を見もせずに毒づく。
「あなたは知らないんです。僕が毎日のように地獄のような日々を送っているってことを」
悲痛な面持ちで言葉を吐き出す正治。
「いじめと言うのも安っぽいくらいのことをされているんです。もう、あいつらに渡せるお金も底を付いて…」
そこまで言うと、いったん黙り込む。
しばらくの沈黙。女性がおもむろに彼の手を握る。たじろぐ正治に構わず、彼の思考を読み取るような表情。あくまで視線は宙を見据えているが。
「この物質的には豊かで恵まれた国にいて地獄か。確かに、貴様も地獄なのかもしれんが。この世にはお前の比でない不幸を背負った者も無数に存在する」
そして咎めるような口調が、正治の胸をズキリと痛ませる。
「そんなこと―――」
「それでも―――」
僕には関係ないと言おうとしたのを遮られる。
「それでも、どんなに辛い状況下でも幸せに暮らしている者も大勢いる。お前も……」
そこに来てやっと女性は政治の瞳を覗き込むような視線を向ける。
「幸福になれぬはずがない」
彼女がわずかに微笑んだように見えた。
正治の胸が、今度はドキリと一瞬跳ね上がった。
「お前にもあったはずだ。幸せだった頃が。それを思い出せ。この世もまだまだ捨てたものではないぞ」
………綺麗だ。
「どうしても死にたいというのなら、もう止めはしない。だが、自ら終わりを決め込む前に、せめて死ぬ気で闘ったらどうだ。野たれ死ぬのも、闘って殺されるのも、大した違いはない」
いつの間にか頷いていた。
そうだ。このまま死んでしまったら、あいつらの思うツボだ。だったら、その前に一矢でも報いてやればいい。そう思うようになっていた。
意外にあっさりと迷いは晴れた。戦おう。
「忠告しておく。単に‘戦う’のではない。これは自分との、そして堕落した者の心との‘闘い’だ」
真摯な瞳を女性は向けてくる。
「復讐鬼にはなるな。戦闘狂にもなるな。それは非生産的な方法だ。人類はそうやって愚かな戦いの歴史を繰り返してきた。ある動物には、相手が死ぬまで戦闘をやめないものもいる。人間はそうあってはならない」
いつしか女性は優しい目になっていた。
「どうしても勝てないようなら、逃げてもいい。逃げることは恥でもないし、負けでもない」
彼女はそっと彼の左頬に右手を添えてきた。
「健闘を祈る」

気が付くと、彼女の姿は消えていた。あれは幻だったのか?
しばし唖然とする正治であったが、次の瞬間、決意したように空を見上げた。



数日後。
「ぐあっ」
正治が勢いよく倒れ込む。
「俺らにやる金はねぇだって!?」
「なに俺らの言うことに逆らってんだ、アア?」
「もっと伸してやらねぇとわかんねぇようだなっ!」
「ぐっ」
すでに全身傷と汚れだらけの正治に蹴りが入り、唾が吐きかけられる。

今回は最初から正治を狙って絡まれたものではなかった。正治以外にもいじめを受けている同級生がいたのだ。政治はその現場を偶然にも目撃してしまった。
しかし、もう正治は逃げなかった。その同級生を救うべく立ち向かっていった。同級生は一目散に逃げていった。残された正治はその身代わりとなってボコボコに殴られる。
「ところで最近よぉ、妙にセンコーどもがうっせぇんだよな」
「うぜぇったらありゃしねぇ」
「おめぇ、誰かにチクったんじゃねぇのか」
「誰に言った。言わねぇと、オラ、殺すぞ、ああ?」
胸倉をつかまれる。
「もう一発キツいのをかましてやれ」
「おうよ」
相手は拳を振り上げる。指に金具が付いているのがチラッと見えた。今殴られたらかなり痛そうだ。覚悟をして強く目を閉じる。
「このおっ―――」
ボン!
「あぎゃああああ!?」
その絶叫に正治は思わず目を見開く。
今まさに正治を殴りつけようとしていた拳が、血まみれになってあり得ない方向に捻じ曲がっているという光景が目に入ってきた。
「ぐお、ぐお、ぐおおぉぉーーー!?」
拳を砕かれた野郎は、地面を転げ回る。
「な、なんだぁ? お、おぐおおお!?」
いじめ集団の別の1人もまた、のた打ち回り出す。両の脚が曲がってはいけない方向に曲がっていた。
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by konosetu | 2006-05-01 00:00 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)

猫になったジャスティス

猫になったジャスティス

……いつのまに四足歩行になってしまったのだろう。そうだ、これはきっとあいつのせいに違いない。
毛むくじゃらの身体になって、猫科特有の肉球がその手についているのが見える。
さっきから目の前にいる彼女に何度も話しかけているのだが、てんで通じない。ただ「にゃーにゃー」叫ぶしかできない。



僕、ジャスティスのいつもと変わらぬ朝。
いや、ちょっぴり違う朝。
今日は彼女である佐々木まき絵ちゃんとデートの約束をしていた日なのだ。
バレンタインデー以来、親交を深めてきて最近はかなりいいカンジである。周りにはバカップルとまで呼ばれてしまっているほどだ。
大好きな彼女のために遅刻しないよう早起きして。さっさと準備を終えて待ち合わせ場所へと急ぐ。
さすがに彼女はまだ着ていなかった。待ち合わせ時間まではまだまだ余裕がある。それに、女の子だもの。何かと時間がかかってしまうのだろう。
ワクワクとはやる気持ちを抑えつつ、僕は今日過ごすはずであるまき絵ちゃんとの楽しい1日を想像する。
まず、この辺りの丘を歩き回って綺麗な桜で一緒にお花見。夜まで楽しく過ごして劫火ディナー。そしてその後は……
おっと、ダメダメ。彼女はまだ中学生なんだった。あくまで節度を守ってね。
でも、なんだか想像してしまう。まき絵ちゃんの恥ずかしそうな赤い顔。お互いの息がかかるほど近い距離で見つめ合って、そしてその柔らかい唇に……
その果てには、柔らかいベッドの中で『優しくしてね』なんて潤んだ瞳をして……
(バカバカ、なに考えてんだーー!)
頭を振って想像というか、妄想を断ち切ろうとする。
「よし、キミに決めた!」
「へ?」
突然、僕の肩にその人物の手が乗せられた。
「『すーぱーぎんぎんくんZ』。コレを飲めば、あなたの精は元気イッパイハツラツよ。彼女も喜ぶ逸品。今ならただでお試しいただけます♪」
「はぁ?」
目の前の人物は帽子にサングラス、ベージュのコートに身を包んだ以下にも怪しい人物。
「あなた、彼女とデートするんでしょ? だったらコレを飲んだらもうウハウハの夜を過ごせること間違いナシ♪」
「いや、いいです、結構です」
どうやら割合若い女性のようだが。もちろん当然断る。こんな見るからに怪しいシロモノ、なにが起きるか分かったもんじゃない。
「いりません。あっちへ行ってください、しっしっ」
「キミに決めたと言ったの。無理矢理にでも飲ませちゃう♪」
「え?」
そこで僕のの意識が飛んだ。
いや、飛ぶ前にかすかに聞いたような気がする。
「ありゃ。これ、『ぎんぎんくん』じゃなくて『ネコトキシン380(みやーお)』じゃん。千影か鈴凛か、さてまた四葉辺りの仕業ね、こりゃ。ま、いっか。これでも面白そうだし♪」



そうこうしているうちに、彼女がきてしまった。
「ジャスティスさんは……まだだね。ちょっと早かったかな」
まき絵ちゃん、僕はもうここにいるよ。
「にゃーみゃあー」
「あはっ、カワイイ♪ おいでー」 
優しいまき絵ちゃん。猫の姿になってしまったジャスティスの頭を「よしよし」と優しく撫でる。
「それにしても遅いなぁ、ジャスティスさん。時間は守る人なのに。何かあったのかなぁ?」
心配そうな表情を浮かべるまき絵ちゃん。そんな彼女を見ていると、心が痛む。
約束の時間からすでに2時間。何度か携帯電話で連絡を取ろうとするまき絵ちゃん。しかし、繋がらないらしく、ますます心配そうな表情になる。
ジャスティスが目を覚ますと、すでに携帯電話やその他の荷物、そして着ていた衣服もなくなっていた。おそらく彼に薬を盛ったあの女が持ち去ったのであろう。
「はぁ~。どうしちゃったんだろう。事故にでも巻き込まれちゃったのかなぁ」
まき絵ちゃん、泣かないで。僕はここにいるよ。
そのとき身体に感じる冷たい刺激。
「あ、雨」
ぽつぽつと降ってきて、やがてざあざあと激しくなってくる。
「うそ~。今日天気いいって言ってたのに」
あっという間にずぶ濡れになっていくまき絵ちゃん。そして猫になったジャスティス。このままじゃ風邪を引いてしまう。
「あらあら、こんなところでどうしたんですかまき絵さん」
「あ、彩音ちゃん」
佐々木彩音ちゃんだ。水色の髪とツリ目がチャームポイントな女の子。お願い、僕のことに気づいて~。
「ジャスティスさんから言伝です。急に大事な用ができてこられなくなったとあなたに伝えてほしいって」
「え、そうなの? でも携帯では……」
「どうやら調子がよくなかったようで。まき絵さんにごめんなさい、と」
「そうだったんだ。ありがとう、彩音ちゃん」
そんな、どうして彩音ちゃんがそんなことを? 僕はそんなことひとことも……
あ、彩音ちゃんの口元がニヤリとつりあがった! あの子はそんな評定するような性格じゃないはずなのに。きっと目の前の“彩音ちゃん”はニセモノなんだ。あ、こっち向いて舌出してウインクなんてしているし!
「そっか。それじゃあ仕方ないか。帰ろうっと。あ……」
歩き出そうとしたまき絵ちゃんが僕の方を振り返ります。
「君もずぶ濡れだね。一緒に来こない?」



「う~ん、魔法の気配がするね、彩音ちゃん」
「そうですね、優愛(ゆあ)お姉ちゃん。調べてみる必要がありそうです」



「そんで約束すっぽかされたんかいな。ひどいやっちゃな、ジャスティスさんも」
「ううん。そんなことないよ、亜子。大事な用があったんだもの。仕方ないよ」
「でもなーウチやったら許さへんで」
タオルで身体を拭いているまき絵ちゃん。話を聞いた亜子ちゃんがご立腹。当然だよね。ちなみに僕は亜子ちゃんにタオルで濡れた身体を拭いてもらっている。
「ジャスティスさんには後日抗議するとして。それにしても、ごっつい雨やなぁ」
外は大雨。天気予報は大ハズレだ。
「ひっくしゅん」
「ありゃりゃ、まき絵身体をあっためてきた方がええんとちがう? 風邪引いてまうで。ほら、この猫ちゃんもずぶ濡れやし」
「そうだね。ちょっとシャワーでも浴びよっか」
え?
「にゃにゃみゃー」
それはひょっとして、もしかしなくても……あとずさり。
「あ~、やっぱり猫はオフロが嫌なんかなぁ」
「ダメだよ、猫ちゃん。ほら、私と一緒にカラダ洗おう♪」
「みゃみゃー!?」
それはマズイってまき絵ちゃん!
「あ、こら、逃がさないよ~。亜子、捕まえるの手伝って!」
「了解や~」
結局あっけなく捕まってしまった僕は、そのまままき絵ちゃんと亜子ちゃんにシャワー室まで連行されて、そして……
「これで準備万端~♪」
マズイ、マズイよまき絵ちゃん。何にも着ていないまき絵ちゃん。はぁ~、綺麗な肌だなぁ~。新体操で鍛えたれているだけあって、なかなか肉付きもよくって。胸は小ぶりだけど、女の子っぽい曲線を描いた身体で……
って、チガウチガウ! これじゃあ僕、チカンと一緒だよー!
「んじゃあ、身体のお洗濯、はじめちゃおー!」
「おー!」
亜子ちゃんまで。
はうぅぅ。僕、鼻血出てないよね。でも、なんだかイケナイところが硬くなっちゃっているような……
シャカシャカ、シャカシャカ。
「きゃはは~♪」
「ひゃはは~♪」
女の子2人で楽しそうに洗いっこしているよ~。もう目の保養……じゃなくて毒だよ~。
「じゃあ、今度は君の番だよ、猫ちゃん♪」
「2人で洗ったるで~♪」
2人の泡だらけの手が僕の身体を刺激します。ああ、なんだか気持ちいい……
「にゃあ~♪」
「へへ、気持ち良さそうだね」
「せやな~」



「優愛お姉ちゃん、女子寮の方から気配がします」
「そうだねぇ。またA組の人が何かしているのかな?」



シャカシャカシャカ、シャカシャカシャカ。
もう僕は気持ちよくって眠っちゃいそう……。大好きな人にこうして身体を洗ってもらえるなんて幸せ。し、しかも彼女は一糸まとわぬ生まれたままの姿。そのお友達まで。僕はもう……ちょっぴり、ううんかなり自己嫌悪……
ぼわん。
ん? なに? 今、ヘンな効果音しなかった?
ふとまぶたをかすかに開くと、呆気にとられてポカンとしているまき絵ちゃんと亜子ちゃん。
「え?」
なが~い沈黙。30秒ほどくらい静かだった。沈黙が破られるときこそ、修羅の時間の到来。



「「き、キャアアアア嗚呼嗚呼あああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」
「優愛お姉ちゃん!?」
「大変、事件なの!」



「あ~あ、薬の効き目、もう切れちゃったんだ。コレからが面白いところなのに。いや、これでも十分面白いかな♪」



「ゴメン、本当にゴメン!」
僕は深々と頭を下げる。僕の身体は傷やアザだらけ。混乱したまき絵ちゃんと亜子ちゃんに猛攻撃をもらってしまったからだ。
でも、それは仕方がない。ワザとでは、決してワザとじゃないけど、2人のマルハダカを見てしまったのだから……言い訳のしようがない。
「ううん、もういいよ。ワザとじゃなかったんでしょ?」
「まき絵?」
「しょうがないよ、亜子。優愛ちゃんと彩音ちゃんの話じゃ、事故だったっていうんだもん」
「せやけどな~」
煮え切らない様子の亜子ちゃん。顔が赤いのは湯上りであるというだけの理由じゃないはずだ。もちろん、まき絵ちゃんの方も同じくまだ赤い。
「ゴメン、まき絵ちゃん。どんな形であれ、キミにいやな思いをさせちゃって。約束すっぽかして雨の中待たせてしまった上に、今度は……」
「おっと、蒸し返すのはもうよした方がいいですよ」
僕の言葉を優愛ちゃんが遮った。
「そうですね。あんまりこういうこと言うのを繰り返されると、思い出しちゃってかえってますます恥ずかしくなっちゃいます」
彩音ちゃんが相槌を打つ。
「……ほんと、ゴメン」
「もういいよ、ジャスティスさん」
優しいまき絵ちゃんの声。
「見られちゃったのは、恥ずかしかったけど。でも、ジャスティスさんになら……いいよ」
「え、ええっ!?」
「おいおい……」
面食らう僕と亜子ちゃん。
「い、今はまだ中学生だし、胸も小さいけど。でも、あと何年かしたら、きっともっと成長して、セクシーになってジャスティスさんをメロメロにしてあげるから、だから……」
「ま、まき絵ちゃん……。ううん、いいんだよ、君はそのままで。今のままのまき絵ちゃんが大好きなんだ!」
「ジャスティスさん……」
見つめ合う2人。
「あ~、オホン」
「「うひゃ!?」」
「私達がいることをお忘れなく」
優愛ちゃんと彩音ちゃんに注意されちゃった。亜子ちゃんもいるのに、またラブラブモードに入ってしまった。反省、反省っと。
「それにしても、一体犯人はどこにいっちゃったのかな?」
「どうやら、バレンタインデーのときの騒動と手口が似ているようですが、まったく何者なんでしょう?」
優愛ちゃんと彩音ちゃんはご立腹だけど、僕はこの犯人にちょっと感謝している。だって、もっとまき絵ちゃんと仲良くなれたんだもの。もちろん、今後こんなことはもうゴメンだけど。今回の件は、優愛ちゃんと彩音ちゃんが内密に処理してくれるみたいだ。
「まき絵ちゃん。大好き」
「ジャスティスさん、ダイスキ♪」



「ふい~、なんだかアツアツだね~。まあ、いっか。仲がよくて何よりだよ♪」
その少女アルテアは、指を弾いて「ぼわん」と出したほうきに跨って、大空へと飛び去っていった。



解説
この作品は、4月7日のジャスティスさんの誕生日記念に作成しました。この話を彼にお贈りします。
ちなみにあえてどんな猫になったのかは描いておりません。ご想像にお任せします。それでは~♪
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by konosetu | 2006-04-08 23:57 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)

思いつきで…

思いつきで急遽こしらえた作品です(^w^;)
ネギま!がベースになっていますが、ジャスティスさんのために作らせていただきました。
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by konosetu | 2006-02-14 23:48 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)
今日は2月14日バレンタインデー。
3世紀の古代ローマ帝国で聖ヴァレンタインが、愛を守るために殉教した日。戦乱の世の中、婚姻を禁ぜられた兵隊達を結婚させ、その結果処刑されてしまう悲劇の聖人。
そして1700年の時を経た今日(こんにち)。
日本という国においては、一般的に女性が男性に甘いチョコレートに想いを込めて愛の告白をする日とされている。


その少女、佐々木まき絵もその例外ではなかった。

「う~。このチョコレートうまく渡せるかな」
バレンタインデーの朝。前日の晩までに精魂と、真心と、大好きだという想いをを込めて作った手作りチョコを手に、まき絵が緊張気味に言う。
「大丈夫やって。まき絵やったらきっと一発でOKやで」
彼女の親友である和泉亜子が励ます。
「そうかな……そうだよね。絶対あの人にこれを渡して、この気持ちを打ち明けるんだ」
ドキドキドキ。
「ああ、あのまき絵と同姓の人ね。がんばれまき絵。玉砕覚悟でね」
「うん、カミカゼ特攻かけるよ~。って、それじゃ困るよ、裕奈!」
これまた親友の1人である明石裕奈にからかわれる。
「でも、確かあの人って結構人気高いらしいからな~。ウチの朝倉の情報だと、彼のためにチョコレートを作っている人が50人入るとかいないとか」
「ええ~!?」
裕奈の情報に面喰うまき絵。
「ど、どうしよう……心配になってきちゃった」
「今から心配していても仕方ないと思う」
暗い面持ちになってしまったまき絵に、親友その3の大河内アキラが言う。
「せっかく思いを打ち明けるんだから。もっと明るい顔でいないと」
「アキラ……うん、そうだよね。笑顔でいかないと」
アキラの激励に表情が明るくなる。
「せや、せや、まき絵には笑顔が一番や」
「あんまり笑いすぎてバカ面にならないようにね」
「もう、ゆーなってば!」
まき絵の勇気が膨れ上がっていった。


「うそ、こんなに……」
目的の男性―――佐々木ジャスティスはすぐに見つかった。なぜなら、彼の周りにはすでに大勢の女子が群れていたからである。
「あちゃあ。朝倉の情報、当たってほしくないときに限って当たっているからなぁ」
裕奈が溜息混じりに言う。
「みんな我先に渡そうと必死やなぁ。こりゃまき絵が入る余地ないんとちがう?」
亜子が神妙そうに言う。
「こうなったら、方法は一つ。放課後、人気のない場所に彼を呼び出して渡す。これしかないと思う」
とアキラが提案した。
「そ、そうだね。うん、そうする」
チョコレートの束を持って歩いていく彼を心配そうに見つめるまき絵。先ほどの威勢と勇気は、急速にしぼんでいってしまったのだ。


「ジャスティスお兄さん、大人気だね」
ピンクの髪の活発少女、佐々木優愛(ゆあ)が微笑みながら言った。
「まあ、お兄さんのモテモテぶりは昔からですので」
水色の髪のツリ目少女、佐々木彩音がボソリと相槌を打つ。
この2人は、話題の渦中の佐々木ジャスティスの親戚の女の子達なのだ。
「それより、お姉ちゃん。麻帆良学園に妙な気配というか、違和感がしませんか」
妹の彩音が尋ねる。
「う~ん、そうだよね。なんだか感じたこともないような、こう変な存在が紛れ込んだみたいな」
姉の優愛が思考を巡らせながら言う。
「少し調査してみる必要がありますね」



そうして向かえた放課後。なんとか今一度勇気を絞って、ジャスティスを広場へと呼び出すのに成功したまき絵。ベンチに腰掛けて彼を待つ。
「いや~。それにしても、ネギ君は大人気だよね」
と裕奈。
「ウチのクラスはもちろん、よそのクラスや学校からもたくさん送られてきていみたいやで」
と亜子。
「ほんと、みんなから好かれているんだ」
とアキラ。
などと世間話をしながら待ち合わせ時間を待つ。その時間まであと30分ほど。
「まき絵、やっぱり緊張してる?」
「………」
「まき絵?」
「え、あ、ゴメン。なに?」
「もう、まき絵。しっかりしなよ」
裕奈が呆れ顔で言う。
「う、うん。でも、うまくいくかどうか心配で心配で……」
「もっと気を楽に持たないと、もたないよ」
アキラがそう忠告する。
「そうだよね。わかってる。わかっているんだけど……」
まき絵が溜息をついたときだった。
「バカだね~。そういう時はいつもみたくバカ丸出しの間抜け面で能天気にやってりゃいいのよ」
「うん、いつもみたいにマヌケ面……って、それは言いすぎだよ!」
思わず乗り突っ込み。
「……今の私じゃないよ」
裕奈が怪訝な顔で首を傾げる。
「ウチも違うで」
「私もそんなことは……」
亜子とアキラも否定する。
「へ? じゃあ誰が?」
「ふむふむ、ハートのチョコレートかぁ。こんなの送るなんて、人間のすることは分からないわね~。特にこの世界の」
まき絵達が振り向くと、そこには1人の少女が。その手には、いつの間に掠め取ったのか、まき絵の真心込めて作ったチョコレートが。
「和美? ああっ、私のチョコレート!」
まき絵達のクラスメートである朝倉和美が、手に持ったチョコレートを振り回してニヤニヤしている」
「へへ~んだ! 返してほしけりゃここまでおいで~♪」
そう言って和美が走り出す。
「あ、ちょっと待ってよー!」
まき絵が後を追って駆け出す。
「ど、どないなっとるねん?」
「わ、分かんないわよ」
「とにかく、私達も追おう」
亜子、裕奈、アキラも後に続く。


パトロール中の佐々木姉妹。
とはいっても、なぜか両手に大量のチョコレートを抱えている。そのすべてがジャスティスのチョコレートの山である。
なんでも彼にはすでに意中の人がいて、その人からのチョコでなければ食べる気がしないそうだ。なので、この2人に回ってきたのである。
「やれやれ、こんなにどうしましょう……」
妹の彩音がぼやく。
「う~ん、寮の子に分けてあげるとか」
姉の優愛の提案。
「あ~、それ却下。もし自分や友人が渡したはずのチョコレートが私達の手にあるのを知られたらマズイでしょ」
そのときだった。
「! 彩音お姉ちゃん」
「うん。今おかしな気配がしたよね。行ってみよう」
しかし、2人ははたと気づいた。
「どうしよう、このチョコ」
そこにちょうど女子生徒が通りかかった。
「あ、そこの人、これあげます。どうぞお持ちください」
と彩音。
「全部好きにしていいからね~」
と優愛。
「え、え?」
突然のことに戸惑う相手に、2人はチョコを押し付ける。
「行きましょう、お姉ちゃん!」
優愛と彩音は、気配をたどりつつ駆け出した。

「お~い。どうしろっていうのよ……」
途方に暮れる女子生徒―――朝倉和美は、チョコの山を見て溜息をついた。



「へへんだ、悔しかったらこっちまでおいで~♪」
「ちょっと、そんなこと冗談でもやめてよ、朝倉。それ、大事なものなんだから!」
もう半泣きになりながら追いかけるまき絵。
「ナハハ、返してやんないよ~だ。べ~」
目を指で引っ張って舌を出し。あっかんべー。
「も、もう許さないんだからー!」
リボンを取り出したまき絵は、得意のリボン攻撃で和美の体をぐるぐる巻きにした。
「おおっ!?」
そこに裕奈とアキラが追いついてきて、和美を拘束した。
「ちょっと、いくらなんでもこんなことするなんて!」
「やっていいことと悪いことが……」
と言っていた裕奈とアキラだったが……

ぼわ~ん

と、一瞬マヌケな効果音と煙が立ち込める。
「あれ?」
気がつくと、裕奈とアキラの身体中にこげ茶色っぽいモノがたくさんこびりついている。しかも一糸まとわぬ姿で。
「ヒ、ヒィィィィィーーー!?!?!?」
「ナニコレ!?」
パニックを起こす2人。
「ニャハハ、2人の服をチョコレートに変えてやったのよん♪ んじゃね~」
いつの間にか、拘束から抜け出していた和美がまた逃げ出した。しばし呆然としていたまき絵がハッと我に返る。
「なにやってんの、まき絵! 早く追わないと」
前を腕で隠しながら裕奈が叫ぶ。
「あ、で、でも……」
「ここはウチに任しとき。はよう追わな」
「う、うん!」
この場は亜子に任せて、再び駆け出すまき絵。



「待てー!」
「お、きたきた」
まき絵が追いかけてきたのを確認すると、和美は立ち止まって振り返る。
「待てーと言われて待ってあげました~。私って親切でしょ♪」
「なにそれ?」
まき絵が一定の距離を開けて立ち止まる。
「もう、悪い冗談はよしてよ。本当にそれは大事なものなんだから」
「だったら、力ずくでどうぞ♪」
「む~、えいっ!」
まき絵が再びリボンを操る。
「おっと。同じ手は喰わないわよ」
和美はヒラリとそれをかわす。しかし、まき絵の狙いはあくまで手元のチョコレート。うまくリボンでキャッチし、自分の手に取り戻すのに成功する。
「あら、あなたにしちゃあ賢いじゃない」
「ヒドイよ、朝倉。一体どういうつもりなの?」
まき絵の訴えるような瞳に、しかし和美はニヤリと笑った。
「え~、こういうつもり」
パチンと指を鳴らす。その瞬間、まき絵のリボンが勝手にシュルシュルと動き出し、彼女をぐるぐる巻きにしてしまう。しかも結構複雑な縛り方。エロい。
「はわわわわ……」
「トドメはこれ♪」
再び指をパチン。ボワン。まき絵の衣服がチョコレートと化し、こげ茶色のドロドロが身体中にこびりついてしまう。
「アヒャアアア!?」
さらにエロい。
「う~ん。これをつけて、っと。ハイ出来上がり♪」
カードを添える。その内容は、
『プレゼントはわたし た・べ・て♪』
「い、いやあああ!?」
「にゃははははは、一度やってみたかったんだ。コレ」
和美は声高に笑う。
「そこまでよ! 悪い子にはお仕置きなの」
「これ以上の暴挙は許しません!」
そこに駆けつけてきたのは、佐々木優愛と彩音の姉妹。
「あなた、誰!」
「麻帆良の生徒じゃありませんね!」
優愛と彩音の詰問に、“朝倉和美”は苦笑いしながら頭をかく。
「んん~、なんだーもうバレちゃったのか。しょうがないなぁ」
再びパチンと指を鳴らすと、ぼわんと煙が立ちこめ、中から和美とは違う別の少女が姿を現した。
それは、プラチナブロンドヘアでスラリと背が高く、なおかつスタイルのよい美少女であった。
「はわわわ、朝倉じゃなかったの?」
恥ずかしい格好のまま身動きが取れないまき絵が、驚愕の表情になる。
「何者!?」
彩音が思わず叫ぶ。
「にゃはは、私ぃ? アルテアっていうの。まあ、短い付き合いになると思うけど、よろしくね♪」
チャームなウインク。優愛と彩音から発せられるピリピリとした空気を無視したマイペースである。
「もう許さないんだから!」
「ダメです、お姉ちゃん。一般生徒の目があります。ここでは使えませんよ」
彩音が慌てて姉を制する。
「にゃはははは、そんなこと言っている場合かな~っと」
アルテアが愉快そうに笑う。
「あ、そのチョコ、返しといてあげるからね。そんじゃ、ばいびー♪」
アルテアはまき絵の方へ振り向いてそう言うと、サッと駆け出した。
「あ、待ちなさい!」
「逃がしませんよ!」
ものすごいスピードで後を追っていく佐々木姉妹。
「あ、待ってよ~」
あられもない姿のまま放置されてしまったまき絵。
「た、助けて~、誰か~」



「きゃあ~、チョコレートが!」
「ひゃああ、服が~」
「ブウウゥゥゥーーー!」
「うへ~、べとべとだよ~」
「うお!? お前何で全裸(ヌード)なんだよ?」
男女の悲鳴や何かを吹き出す効果音などが、相次いで辺りに響き渡る。犯人は間違いなくアルテアと名乗る少女だろう。
「このままじゃマズイよ」
「仕方ありません。誰も私達に構っている余裕などないでしょうから、武器を使いましょう」
そう言うと、彩音は2本の刀を抜く。
「うん、なんとか止めないと」
優愛の方は杖を取り出す。一対の羽、そして先端には赤い玉と2つの黄色い輪をあしらった意匠である。

優愛「いざ」
彩音「出陣です!」


裕奈達が気づいてきてくれないだろうか。まだまだ冬真っ盛り。寒くて凍えてしまいそうだ。
しかし、重大なことに気づいた。このあられもない姿を誰か男の人に見られでもしたら。赤っ恥じゃすまない。考えただけで恐ろしい。だが、このまま凍えてしまったら、それどころではなくなってしまう。
「あわわ、ど、どうしたんですか、まき絵ちゃん!?」
「あ」
まき絵の顔がサーっと青ざめていく。サイアクだ。よりにもよって大好きな男性、ジャスティスにこんな格好を見られてしまったのだから。
「『プレゼントはわたし た・べ・て♪』って、ええええええーーーーー!?」
「い、いやあああああああ!?!?!?!? 見ないで 見ないで きゃああああああああ!?」
大パニックを起こしてしまったまき絵の視界がグルグル回っていく。そして、いつしか意識が遠くなっていった。



「ん?」
温かいベッドの中で、まき絵は目を覚ました。
「あ、よかった。気がついた」
「あ」
そこには心配そうな顔をした親友3人の姿があった。辺りを見回すと、寮の自分の部屋だ。
「私、いったい……ひ、ヒックシュン!」
大きなくしゃみをしてしまう。
「あ、あかんて、まき絵。ちょっと熱があるんやから」
と亜子が制する。そういえば、体が熱っぽくてだるい。あんな格好で外に放置されていたのだから無理もない。
「その、ジャスティスさんがまき絵のいる場所を教えてくれたのよ」
裕奈が言いにくそうにおずおずと話す。
「あ、はうううう……」
思い出してしまった。自分のあんな格好をみられた。ただでさえ熱で赤い顔が、さらに赤みを増していくのを感じる。
「それで、どうする? チョコレートは取り返せたみたいだけど……」
裕奈が尋ねる。すぐ枕元には渡すはずだったチョコレートが置いてある。
「もう無理だよ。もう顔を合わせるなんてできないよ……」
まき絵が涙目で首を振る。
「でも、実は寮の外で待ってもらっているんだけど」
とアキラが言う。
「もうダメ。私、きっと嫌われちゃった……」
布団で顔を隠してしまう。
「も~、まったく意気地なしなんだから、まき絵ちゃんは~」
「え?」
その口調に、まき絵はハッと体を起こす。アキラがそのチョコを手にとって立ち上がるところだった。
「そんなこと言うなら、私が渡しちゃうよ~♪」
「アキラ……?」
亜子と裕奈もポカンとしている。
「ま、まさかあなたアルテアとかいう人……」
「は~い、ピンポンポンポンピンポ~ン♪ 大正解のまきまきまき絵ちゃ~ん♪ ただし、“人”っていう部分は違っているけどね~」
アキラに変身(変装ではなく)していたアルテアは、ヒラリ身を翻すとあっという間に部屋を出て行ってしまった。
「あ、待って!」


寮を出たまき絵。しかしそこで待っていたのは……
「まき絵ちゃん?」
「あ、ジャスティスさん……」
まき絵は固まってしまう。
「あの、その、ゴメン」
「あ」
ジャスティスの謝罪に思わず顔を背けてしまう。
「謝らないでください。ジャスティスさんは私を助けてくれたんでしょう?」
「うん」
「あの、その……」

「ちょっと、大丈夫アキラ?」
「うん、ちょっと頭がくらくらするけど」
「なんでトイレで眠っとたんや?」
3人が寮から出てくる。どうやら本物のアキラは眠らされていたようだ。

ぼわん
またまたマヌケな効果音と煙。今度はまき絵の手元。その煙が晴れると、盗られたはずのチョコレートが。
「あ」
まき絵が呆気に取られていると、不意に声が。
「あ、あの、ジャスティスさん、これ、受け取ってください」
それはまき絵の声。もちろん本人は喋っていない。しかし、確かに彼女の声。
「へ?」
「お願いします。私の気持ちを受け取ってください!」
またまたまき絵の声。繰り返すが、まき絵本人は発言していない。
「え、えええええ~~~!?」
ジャスティスは素っ頓狂な声を上げた。
「ほ、本当にいいの?」
驚いた表情。気持ちが高ぶっているのか。
「え、あ、あの、は、はい! もらってください!」
今度はまき絵本人の言葉。謎の声の勢いに押されてつい言ってしまった。
(言っちゃった)
まき絵は下を向いて目を閉じて、チョコの入った箱を差し出した。
「う、うん。ありがとう」
ジャスティスは照れながらそれを受け取った。
「開けてみてもいいかな」
「は、はい」
包みを丁寧に取っていくジャスティス。
「あ」
「え、えええええーーー!?」
その、まき絵が精魂と真心を込めたハート型のチョコレートは、見るも無惨に粉々になっていた。
「そ、そんなぁ~~~」
脱力。へたりと座り込んでしまうまき絵。その瞳から涙がこぼれて地面にしみを作った。
「だ、大丈夫。大丈夫だよ。ほら」
ジャスティスは、そのすべての欠片を一気に頬張った。
「ん~、おいしぃ。今まで食べたチョコレートの中でも格別だぁ。最高だよ~」
感激しながら幸せを噛み締めるように顎を動かす。そしてゴクンと喉を鳴らして飲み込んだ。
「ほら、これでまたチョコレートはひとつに戻ったよ」
そうまき絵に微笑みかけてくる。
「ジャスティスさん……」
まき絵はすくっと立ち上がった。まだ涙は残っているが、明るい表情を浮かべている。
「あなたのことが……」
一度深呼吸。
「あなたのことが大好きです。私と、私とつきあってください!」
「え、えええええーーー!?」
ジャスティスが叫んだ。
「ほ、ホントに? 本当に僕でいいの!?」
「はい!」
「う、うわああ……」
彼は文字通り言葉を失った。そんな彼の様子に、まき絵はだんだん心配になってくる。
「あ、あの……」
おずおずと話しかけるまき絵。
「感激だよ。僕もずっと君のことが、その、好きだったんだよ!」
「えっ、ええええーーー!?」
彼がまき絵に抱きついてきた。
「大好きだよ、まき絵ちゃ~ん!」
「ジャスティスさん……」
彼の腕の中で赤くなるまき絵。しかしどういうわけか、さっきまで感じていた悪寒と体のだるさがすぅーっと引いていく。
「これから、よろしくね」
腕をほどいた彼は、まき絵の顔を見つめながら言う。
「は、はい!」
満面の笑みで返事をしたまき絵だった。


「ありゃりゃりゃりゃ」
「よかったなぁ、まき絵」
「ちょっと妬けるなぁ」
その一部始終を見守っていた亜子、裕奈、アキラはそれぞれつぶやいた。


「回復魔法完了っと。さすがに風邪を引かせちゃ悪いからね」
近くの木の枝に座ってまき絵達を見ていたアルテア。まき絵に魔法をかけて体調を回復させたのは彼女だったのだ。
「それじゃ、そろそろおいとましましょうか。なんだか学園がさっきより騒がしくなってきたことだし」
どうやら、この騒動を引き起こした何者かのことを魔法関係者らが探っているらしい。
「ま、所詮は人間。私を捕まえるどころか、見つけることすらままならないでしょうけどね」
と、アルテアは指をパチンと鳴らす。すると、ホウキが出現した。それに跨る。
「がんばってね、まき絵ちゃん☆ そんじゃあね~。バイバイき~ん♪」
雲はあるけれど晴れ渡った冬の空に向かって飛んでいくアルテアであった。



オマケ

「やっと捕まえましたよ~。お姉ちゃん!」
彩音が剣技(みねうち)で相手をねじ伏せた。
「悪い子はお仕置きなの。覚悟しなさい!」
魔法で構成したビーム状の紐で相手を縛り上げて拘束する優愛。
「ちょっと、私が何したわけ? ねぇ、知らないってば~!」
「しらばっくれるな! さあ、正体を見せなさい」
刀を突きつける彩音。
「ヒィィィィーーー! もう勘弁して!」
震えながら涙ちょちょびれる‘本物の’朝倉和美。
近くには大量のチョコレートが。優愛も彩音もそのチョコのことをすっかり忘れていた。
「こうなったら、先生に引き渡してじっくりと……」
「ふむ。そうですね、お姉ちゃん」
「だから違うって~~~!!」

その30分後に、ちょうど通りかかったネギ・スプリングフィールドと、とりまきの女子生徒達に助けられるまで、寒空の下延々と尋問されてしまう和美であった。
今回の事件の最大の被害者は彼女であったことは言うまでもない……(しかも悪いのはアルテアじゃないし)
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by konosetu | 2006-02-14 23:40 | 自作小説 | Trackback | Comments(0)