虹色の奇跡 第184回「忘れられない夜」(フルヴァージョン)
※以下性的描写あり。苦手な方、18歳より若い方は閲覧をご遠慮ください。
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# by konosetu | 2001-02-28 20:00 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第60回「脅威の力」
フォシテスが雨子にトドメをさせようと、バズーカを発射させようとしたまさにそのとき、地下から美幸が!
フォシテスはそちらに気をとられ、目を逸らした。その隙を狙ってフォシテスを蹴り飛ばす。そして美幸の方へ跳躍!
「美幸―!!」
次の瞬間、遺跡の地下から吹き飛ばされた美幸は、うまく雨子にキャッチされていた。
「ザマあないけど、しかたがない。ここは退散だ!」
雨子は美幸を肩に担ぎ上げ、大きく跳躍する。
「逃がすか!」
体勢を立て直したフォシテスが、雨子に向かってバズーカを発砲する。雨子の背中に着弾するが、彼女は構わず逃げ続ける。
「夢蜘蛛の攻撃を受けてみるかい?まだ反撃に使っていないダメージ分のエネルギーが残っているよ。」
「なっ!カイゼル!?」
雨子の前にカイゼルが出現する。
「がはあっ!!」
その一瞬の後、雨子の腹にめり込むような強烈な衝撃が襲った。美幸がカイゼルに与えるはずだったパンチのダメージだ。
「ああ…」
そのまま崩れ落ちる雨子。美幸が地に落ちる。
「カイゼル様!お久しゅうございます!」
フォシテスがカイゼルの姿を見て、表情をパッと明るくする。
「うむ。よくぞ来てくれた。わが同志フォシテス。」
「いいえ、もったいないお言葉。このフォシテス、必ずやあなたをお守りします。」
フォシテスは深々と頭を下げる。
「さて、この娘2人はいかがいたしましょう?」
「処刑だ。危険の芽は今の内に紡いでしまわねば…」
「ははっ!」
フォシテスがキャノン砲に変形させた腕を美幸達に構える。
「死ね!」
「させない!」
ズオオオオーン!!
「なに、新手か!?」
フォシテスは驚きに目を見開く。開いた異世界ゲートから2人の人物が降り立ち、美幸達を守った。
「救世主、安部 将太(あべしょうた)参上!!」
「同じく救世主、花美真司 美奈(はなみしんじみな)参上!!」
1人の少年と1人の少女が美幸達を救出に現れた。
「お前ら!」
「雨子さん、早くゲートへ!」
将太が美幸を担ぎながら叫ぶ。美奈が雨子の手を引きながらゲートへと走り出す。
「逃がすか!」
フォシテスのキャノン砲の音が鳴り響く中、4人は命からがらゲートへと逃げ込んだのだった。


「すみません、カイゼル様。やつらを取り逃がしました。」
フォシテスが申し訳なさそうに頭を下げる。
「もうよい。それよりも私はウェイアードへ帰る前に欲しいものがある。この遺跡に納められ、私を眠らせていたあの黄色い宝石。あれを…」
「了解しました。ありかはおおよそ分かっていますので、ただ今…」
「いや、私が自ら行く。共に来い。」
「ははっ!」



ウェイアード、シンフォニア学園都市。大浴場施設。
自然豊かなシンフォニア学園都市の山中から湧き出てくる聖水。
この聖水が、この浴場の利用者達の心身を癒し、温かく包み込んでいるのだ。学園都市に住んでいる者なら入ったことのない者はほとんどいない、そんな魅力溢れる浴場。
「フゥ…」
世羅零菜は、大浴場で戦いの疲れを癒している。今は他に利用者がいない。普段は利用されることのない時間帯だからだ。
そのため、零菜はこのとてつもなく豪勢な浴場を独り占め状態だ。彼女は傷が緩やかに回復しているのを感じていた。
「ダグバ…ディバイン・クルセイダーズ、か。いかれた魔族どもだな。」
落ち着きを取り戻したものの、やはりダグバとの一件が頭から離れない。
「アイツは私の事を…。いや、そんなことはありえない。決して…」
頭に浮かんだことを、首を振ることで打ち消そうとする。顔を両手でペシペシと叩く。
「まったく…ん?」
零菜は気づいた。浴場に誰かが入ってくる。気配は2人。それも零菜がよく知る2人。
「美幸に雨子か。」
花美真司美幸と国後雨子は下を向いている。生々しい傷跡が体中に見られる。
回復魔法をかけてもらったようだが、それでも傷がくっきりと残っているということは、よほどひどいダメージを負ったのだろう。
再生能力の強い奴らだからすぐに完治するだろうが、傷跡が残ってしまうかもしれない。
「カイゼルはどうなった?」
零菜はおもむろに聴いてみた。
「……」
「……」
2人の沈黙がすべてを物語っていた。零菜は一応慰めの言葉をかけてみる。
「…そうか。…まあ気にするな、と言ってもムリだとは思うが、とにかく自分を責めんな。大事なのはこれからのことなんだし。」
そこでようやく2人は顔を上げた。表情は闘志満々となっていた。
「ああ、分かっているよ!」
美幸が自分の広げた左の手の平に、右手の拳を叩き込みながら意気込んだ。
「今度会ったら、叩き潰す!」
雨子も拳を前へ突き出す仕草をする。零菜は満足そうな表情をして、後輩達に笑顔を向けた。
「ようし、それでよし!それでこそ我が夢蜘蛛一族だ!」
雨子は違うけど。
「まあ、今はゆっくり休んで、今度戦うときは盛大にやるとしよう。」
零菜は湯船に入るよう、2人を促す。そこに花美真司美奈も入って来た。これで寮のルームメイト4人組が揃ったわけだ。
「あれれ?美幸さんも雨子さんも元気になられたんですね。」
美奈がニッコリと笑いながら湯船に入ってくる。
「あたぼうよ!こんなことじゃあへこたれないぜ。」
雨子が言いながら美奈を羽交い絞めにする。
「え?え?あわわ…」
「モチのロン!…ところで美奈ちゃん。また胸が大きくなったね~♪」
美幸が手を伸ばして…
「ひゃっ!い、いや~ん…」
美奈は顔を高潮させて悶える。
その光景を目の当たりにして、零菜は口まで湯船につけてブクブクしたのだった。ちょっとダグバにされそうになったことを思い出しながら…



「どうした。カイゼルとやら!たいしたことないな!アハハハハハ!!」
エヴァの高笑いが辺りに響く。カイゼルは劣勢を強いられていた。おそらく美幸達との戦闘で体力を使い果たしてしまったのだろう。
復活したばかりなので、体力も続かず、回復も遅いのだ。返り討ちに遭うのが関の山だった。
「ダメージカウンターが通じない。ナゼだ!?」
カイゼルは焦っていた。花美真司美幸を撃退した技がこいつら――マホラワールドの連中――には通用しない!
「カイゼル様!ここはお退きを!せっかく復活したというのに、こんなところでは負けられません!」
フォシテスが叫ぶ。
「逃がすかー!!雷鳴剣弐の太刀!!」
素子の技がほとんどの下っ端たちを葬った。
「てええええい!」
小太郎がフォシテスに殴かかる。
「くそっ!」
腕に装着した銃をバルカン砲タイプにして撃ちまくるが、小太郎にはまるで通じない。
「どりゃああ!」
「うおおおお!?」
フォシテスがぶっ飛ぶ!そのまま地面をえぐりながら、ズザザザザザーッと…。
そのときだった。異次元ゲートが再び出現し、開いた。
「大丈夫ですか、カイゼル様?」
「プロネーマか。よくぞ来てくれた。」
カイゼルがそのプロネーマと呼ばれた女を賞賛する。
「今からゲートを暴走させてやつらを撒きます。しっかり私に捕まってください。」
「ああ、分かった!」
ネギ達は新たな来訪者に警戒心を高める。
「いきます!」
プロネーマが叫んだ瞬間だった。辺り一帯に何十もの異世界ゲートが一斉に開いた。
「何これー!?!?」
アスナが叫ぶ。ゲートはそれぞれ強烈な吸引力でみんなを吸い込もうとする。そのどさくさに紛れてカイゼルとプロネーマ、そしてフォシテスも姿を消していた。
「あいつらどこにいったんや!?」
小太郎が叫ぶ。
「それよりこの暴風を何とか…」
素子が言いかけた瞬間だった。このかが足を滑らせた。
「はわっ!せっちゃーん!!」
「このちゃん!?くそっ!!」
とっさにこのかの手を握る刹那。しかし吸い込みはますます強力になり、やがて…
「ひゃああああああ!!」
「うわああああああ!!」
このかも刹那も暴走した異世界ゲートに飲み込まれていった。
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# by konosetu | 2001-01-01 01:00 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第61回「そしてまだ見ぬ世界(みらい)へ」
「ひゃああああああ!!」
「うわああああああ!!」
このかも刹那も暴走した異世界ゲートに飲み込まれていった。
「くそっ!」
素子は後輩達を救うために、後に続いて飛び込んだ。
「このかー!刹那さーん!って、ひょえええー!!」
「アスナさーん!」
ネギの叫びも虚しくアスナも、このか達とは別のゲートに吸い込まれていった。
「なになに、どうしたの…って、あひょえー!」
「なんやー!?」
「まき絵さん!亜子さん!」
ネギが気づいたときにはもう遅かった。不用意に避難シェルターから外に出てきてしまったまき絵と亜子が、これまた別のゲートに吸い込まれていく。
「ちょっとー!」
なるがとっさにまき絵の手を握る。しかし、そのままなるともども吸い込まれていった。
「なるー!」
後を追うように景太郎も飛び込んでいった。
「もうだめです~!」
夕映が吸い込まれていく。
「へぷっ!?」
夕映は偶然可奈子にぶち当たって、そのまま一緒に…以下略。そして…
「きゃ~!」
「どしぇぇぇぇぇ!」
「アニキー!」
のどかと和美、そしてカモまでもが吸い込まれていった。
「もうダメアル~」
「ダメか…」
「拙者もここまでのようでござ…」
古菲・真名、そして…
「…るー!!」
楓の声も遠ざかっていった。
「ぼーや!これは…マズイ。吸い込まれたやつらを助け出すには…あっ!?」
茶々丸にしがみついていたエヴァだったが、茶々丸がバランスを崩し…以下同。
「うおおおぉぉぉぉぉ…」
「ネギ先生…」
「エヴァさん、茶々丸さん!!」
ネギは決意した。残っている小太郎に顔を向ける。
「小太郎君!」
「しゃあないな!いっちょやったるか!」
頷きあった2人は、そのまま暗いゲートへと自ら飛び込んでいったのであった。



しばらくしてなんとかゲートの暴風は治まった。現場で居合わせた中で残ったのは、自慢の発明品で何とか暴風をしのいだカオラただ1人であった。
「なんや、えらいことになってもうたな…」
さすがのカオラもなす術がない。シェルターが開いてしのぶや3―Aの面々が出てきた。
「カオラ、まき絵さんと亜子さんは見なかった?…あれ、他のみんなは?」
しのぶの質問にカオラは、答えるのに窮してしまった。
「あ、あんな…」
「あら、今ネギ先生がこちらにおられませんでしたか?」
あやかが聴いてきた。
「あの~彼が、各自解散と言ってましたよ~。」
むつみが機転を効かせてそう言った。
「あら、そうなんですの?」
「え~。もっとネギ君と遊びたかったな~。」
桜子が愚痴る。
「まあ、しょうがないんじゃない。帰ったらまた何かして遊びましょう。」
円がなだめるように言う。
「それにしても、さっきまでいったい何があったのかな?」
夏美が首を傾げる。
「さあ。あんまり気にしないほうがいいんじゃない?」
千鶴はあんまり気にしていない様子だ。
「そんじゃあひとまず帰りますか。」
美砂が言った。メンバーらはひなた荘の住民らに礼を言うと、各自で帰っていった。



カオラから事の顛末を聴いたしのぶはアワアワ目回し状態に…
「ど、どうするの、カオラー!」
「ナハハ~……」テンション下がって「どないしよ…」
途方にくれるカオラ。いつもの彼女らしくない落ち込み様だ。
「まあ、気にしたってどうにもならんのやろ。あいつらのことや。大丈夫やて。」
みつねが言った。
「そうですね。浦島さん達を信じて待ちましょう。」
むつみが優しい表情で言った。そこに裕奈とアキラが引き返してきた。
「あの、まき絵と亜子知りませんか?」
アキラが聴いてきた。
「ああ、先に帰るって言うてたで。」
みつねが機転を効かせてそう答えた。
「そうなの?分かりました。どうも。」
と裕奈。それを聴いて、裕奈とアキラは、首を傾げながらも帰っていった。



「なにこれー!?た、助けてー!!」
突如現れた異世界ゲートが、さよを吸い込もうとしている。
「さよちゃん!」
生霊となり、ひょんな成り行きからさよと知り合った、元プラネットウォーリアのネプチューンことセリアが、さよを必死につかむ。
「しっかりしろ!」
同じく生霊となった元プラネットウォーリアのマーズも手を貸す。
「なんなのじゃー!?」
学園長が柱にしがみついて叫び声を上げる。
3人はちょうど学園長室を訪ねていた。エヴァにマーズとセリアが復活するための助けを請うためだ。
しかし、エヴァは先にサンを退治しに行くと言ったので、3人は学園長室で待っていたのだ。
そのときサンが倒されるのを感じて校舎の外へと出た。そしてこんなところにもゲートが、本当に偶発的に開いてしまったのだ。
「あーれー!?」
「ウッ!」
「きゃああああ!」
1人の幽霊と2人の生霊達は異世界ゲートへと吸い込まれていってしまった。そう、なぜか呪縛霊であるはずのさよまで。
そしてゲートはあっという間に閉じてしまった。後にポツンと取り残されたのは学園長ただ1人。
「いったい何が起こっとるんじゃ?」
困惑する学園長。時刻は、人々が朝の活動を活発化させる時間帯になっていた。



「そんじゃ、そろそろウェイアードへ帰りましょうか。」
羅・尉鵡(ら・いむ)が包帯と絆創膏だらけの姿で他のみなに呼びかけた。
「ああ、わかったよ。」
同じく傷だらけの海瀬 悠が、すっかり自信と気力を失った様子で言った。
「………」
体のあちこちがアザだらけの春原 さくらは一言も喋らず、黙りこくっている。戦いに敗れたのが、よほど悔しかったのだろう。
「我々の戦いは無駄に終わった。カイゼルは復活してしまった。もうウェイアードもこの世界も終焉を迎えるだろう。」
大きなコブをこしらえたガイ・フォークスは落ち着き払って言った。もっともその内心はひどく動揺しているであろう。
「そうとは限らない、と思う。少なくともやつらがいる限り…」
伊武神 沙弥人はシンフォニアにいる戦士達のことを思い浮かべた。手にはマーズが持っていた魔剣とお守り代わりの鈴がある。
「まだ望みはある。」



「ものすごい異常値です!各地で空間が捻じ曲がっています!」
世界樹のある広場で、聡美がコンピュータの画面を見ながら驚愕の表情で興奮している。
「これは緊急事態アル。直ちに対策を講じる必要があるアルよ」
鈴音が深刻な表情で言った。何気なしに世界樹を見やる。ザワザワとざわめいている。
「このままじゃ、異世界から何が来るか分かったもんじゃないアル…」



パララケルス島。
「助けて、パパー!」
「サラ、つかまるんだ!」
瀬田がサラの方に手を伸ばす。突如開いた異世界ゲートがサラを飲み込もうとしていた。
瀬田達は破壊し尽くされた遺跡を見て回っていた。世羅零菜とダグバが熾烈な戦いを繰り広げた結果、この有様だ。
そのとき突如、ぱっかりとゲートが開き、恐ろしい吸引力で、たまたまそこにいたサラを吸い込み始めたのだ。
とっさに柱の残骸に捕まったサラだったが、ものすごい吸引力のせいで、足はゲートの方を向いて突風になびくような形になっている。
「うわあああ!!」
「サラ!!」
「サラ!!」
瀬田の手をつかみ損ねたサラは、暗いゲートの中へと吸い込まれていった。その瞬間ゲートは、まるで意思を持った生物が獲物を丸呑みにように口を閉ざしてしまった。
あっという間の出来事に、残された瀬田とはるかは、ただ呆然とするしかなかった。



異世界ウェイアード。魔法の国。人々が魔法を一般的に使って暮らしている国。
ウェイアードで、ネギ達の世界、通称“マホラワールド”や“地球”と呼ばれる世界を知っている人々は数多くいる。
しかし反対にネギ達の世界でウェイアードの存在を知る者はほんの一握りの者だけ。魔法の存在を知らない者が、ほとんどであるから当然といえば当然である。
ネギ達は今、そのウェイアードへと旅立った。人々が幸せに暮らす世界。しかし、この世界にも危機が迫っていた。
そして更に、ネギ達がサンを倒すために遺跡の封印を解いてしまったことにより、ウェイアードは混沌という泥沼の中へと沈もうとしている。


「向こうの世界の子達が来ちゃった、か…。いったいどうなるのかな。」
シンフォニア学園都市の高台にそびえる大樹。世界樹と呼ばれるそのかなり年季の入った大木の根元で、華道芽美がつぶやいた。
心地のよいすがすがしい朝の風を顔に受けて。長い髪が風に揺れる。目を閉じて深呼吸する。
大樹もザワザワと枝と葉を揺らす。輝く緑色の葉。木漏れ日が美しい。
この日は夏休みだが、学園都市内にあるレインボー魔法学院では登校日だ。そして間もなく夏休みも終わる。
これから先もこれまでのように、平穏無事に授業をしていけるのか。芽美はそのことを気にかけている。
今数多くの悪意が世界に満ちてこようとしている。これらが一斉に暴れだしたら、果たして止める手段はあるのだろうか?
芽美は空を見上げた。眩しく煌く日の光に目を細める。そしていつの間にか近くまで来ていた若い女性に、空を見上げたまま話しかけた。
「唯菜ちゃん、感じる?“マホラワールド”にある麻帆良学園の子達が来るのを。あと、あの中の1人に黄色の宝石(ジュエル)と惑星カードを持っている子がいるね。」
「…うん。ただ、みんなバラバラみたいだから迎えにはいけそうにないね。芽美姉ちゃん。」
芽美の幼馴染であり、後輩でもある青緑 唯菜(あおみどり ゆいな)も空を見上げながら深呼吸する。
唯菜のポニーテールが揺れる。まだ幼さの残るその表情に不安の影がよぎる。
「大丈夫だよね。この世界もマホラワールドも。絶対…」
今度は唯菜が尋ねるようにつぶやく。
「信じましょう。絶対、大丈夫だよ。」
芽美は、強く微笑みながら空と世界樹“ユグドラシル”をしっかりと見据えたのだった。


隠された過去。まだ見ぬ世界。まだ見ぬ未来。人々の想い。『虹の宝石(レインボージュエル)』は真実を知っている。



戦いは…続く…………
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# by konosetu | 2001-01-01 01:00 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第59回「“アイゼン・クロイツ”の影」
「カイゼルは連れて行かせないよ。」
雨子は異世界ゲートから現れた大勢の兵士達と対峙する。敵の兵士達の中のリーダー格の人物が前に進み出た。
「やはりシンフォニアの奴らも手を打っていたか。どけ、カイゼル様を迎えに来た。」
リーダーの男が雨子を睨みつける。
「ヘン、い・や・だ・ね!どうしても親分を連れて帰りたければ、あたしを倒すんだね!」
雨子はニヤニヤと挑発的な態度で言う。
「いいだろう。後悔しても知らんぞ。やれ!」
敵のリーダーが合図すると、鎧(組織の制服なのだろう)をまとった兵士達が飛び掛ってきた。剣や槍、もしくは拳銃で武装している。
「へへ~んだ♪くらいな!!」
ダムッダムッダムッ…!!
愛用のリボルバー拳銃の引き金を引く。闇雲に飛び掛ってくるだけの兵士達は次々と倒されていく。まったくもって力の差は歴然としていた。
「数出しゃいいってモンじゃないよ!オラオラオラ!!」
次々と引き金を絞る。敵の屍がたくさん出来上がった。残ったのはリーダーだけ。

「フン、さすがだな。カイゼル様を討伐しに来ただけのことはある。」
「アタシを誰だと思っているんだい?あんなザコども何人来ようが恐れるに足りないねぇ♪」
雨子が余裕の表情で聴いた。
「聞いたことがある。『ファイティング・ゴッド(武神)』や『リボルバー・クイーン(拳銃女王)』という2つもの異名を持っている超戦士。国後雨子。だがパワーアップして復活したこの私には勝てん!」
相手は突如、腕にはめているバズーカを発射した。
「――ッ!!」
反射的に回避する雨子。背後ですさまじい大爆発が起こる。
「まだまだ!」
男はさらに今度は散弾銃を発射してきた。一度に何発も!そして連射、連射、連射!!!
「オイオイオイ…なんだ、この威力と速さは!?」
雨子は側転ジャンプで何とかかわしていく。すさまじい着弾音が辺りに響き渡る。とっさに物陰に飛び込む。
「であああ!!」
男は次に小型ミサイルを発射してきた。物陰に隠れていた雨子はやむなく跳躍する。その一瞬後に雨子の眼下で、次々と爆発が起こる。
男は跳び上がった雨子を見逃さなかった。すぐさま機関銃を発射しまくる。
ズダダダダダダダダダダ………
「わわわわわっ!!」
とっさに体をねじった雨子。しかし右わき腹を弾が掠めた。
「ぐああっ!?」
さらに男は雨子のいるところまで跳び上がり、その腹に腕にはめた銃口を突きつけて至近距離で発砲した!
ズドォォォォォーン!!
辺りが煙に覆われた。数秒後に男が地面に着地した。雨子の方はというと、体を血まみれにして背中から落ちてきた。
不運にもそこは壊れた遺跡の瓦礫があり、破片が右肩に突き刺さってしまった。
「くはっ…!」
雨子は激痛のあまりそのまま動けなくなってしまった。
「さあて、厄介な芽は今の内に潰しておくとしよう。覚悟するんだな。」
男が近づいてくる。
「くうう……。フッ、オイお前、名前ぐらい教えたらどうなんだ?」
雨子は掠れた声で何とか言葉を紡ぐ。そう言っている間もどんどん出血している。
「私の名はフォシテス。アイゼン・クロイツの幹部、7聖刃の1人だ。」
雨子は目を見開く。
「へ…へぇ。そいつぁ驚いたな。数年前にアイゼン・クロイツが壊滅した時、死んだって聞いていたけど…」
「死んでいたさ。しかし大いなる神のご加護を受けて、見事に復活した。そういうことさ。さて、お喋りはここまでだ。」
フォシテスは冷酷な眼差しを雨子に向ける。雨子は何とか形勢を覆そうと必死に思考を巡らせる。
しかし、無常にもフォシテスの腕にはめ込まれた銃口が、雨子のこめかみに突きつけられる。
それでも雨子は『ファイティング・ゴッド』の名に恥じない堂々とした態度を保ち、苦痛の中でも笑みさえ浮かべている。
「ハァハァ…。ハハハ、まだ終われないねぇ♪」



「ハハ、やっと会えたねぇ♪」
美幸は今、ある人物と対峙している。美幸は不敵な笑みを浮かべ、腕組みする。彼女は地下を進んでいった結果、その捜し求めていた人物を見つけ出したのだった。
「どこかで見たことがあると思ったら、昔エターニアで会った夢蜘蛛の娘か。久しぶりだな。あの時は私の部下達を、大勢殺してくれたね。」
女とも男とも取れるその明るく響く声を久々に聴いた美幸は、複雑な表情を浮かべる。
「相変わらずスカした奴だねぇ。いいかげん男なのか女なのかはっきりしたらどうだい?気味の悪い…」
美幸はくどくどと話しかける。相手はやんわりとした口調で返す。
「性別なんてさして重要ではないさ。それはお前がよく分かっているはずだ。肉体なんて不完全な物は幻影さ。」
その人物――アイゼン・クロイツのリーダーカイゼルは、ベールに包まれたその顔から皮肉な笑みを見せた。
「フン。まあ、世間話はこれくらいにして、始めようや。復活したばかりで悪いが、今ならお前の力も弱い。一気に消えてもらうよ。」
美幸は愛用の機関銃を構える。一方カイゼルは微動だにしない。その反応に警戒を解くことなく、美幸は慎重に、しかし豪快に攻撃に転じる。
「オラオラオラ!!」
機関銃を思い切りぶっ放す美幸。カイゼルにどんどん命中していき、いわゆる蜂の巣状態と化していく。
「うああああああ…」
カイゼルは悲鳴を上げる。美幸は弾を撃ち尽くし、今度は魔力を込めていく。ビリビリと空気が震撼してくる。
「レッド・クロス!!」
赤い色をした雷がほとばしる。それはカイゼルに炸裂し、どんどん焼け焦がしていく。ついでに自分にもわざと雷を落す。
この雷を自分で浴びれば、身体能力を一時的に向上させられるからだ。
「たりゃああああ!!」
西洋刀で斬りつけまくる。まだ紅い雷を帯びているらしく、バチッバチッと火花が散る。亜麻色のポニーテイルが揺れている。
「う、うあああ!!」
「ドドメだー!!うおおおおおー!!」
茶色い皮膚、筋骨むき出し、エイリアンのように長い顔に頭の後ろに数本の角。美幸の夢蜘蛛としての本性が顕になる。
「チェストオオオオオオ!!」
魔力を込めた渾身のパンチがカイゼルを捉えた。
「うおおおおおおお!!」
カイゼルはぶっ飛び、遺跡の地下の壁を突き破って…

チュドォォォォォーン!!

美幸は変身を解除した。それでも警戒を緩めない。
「ハァハァ…フゥ。…あっけない。あっけなさすぎる。これがウェイアードを破壊と支配の恐怖に陥れた、アイゼン・クロイツのボスの力なのか?」
美幸は疑問に思った。相手は目覚めたばかりで、まだ本調子でないとはいえ、これほど簡単にカタがつくとは思えない。
こういう場合、必ず何か良くないことがある。その予感は、美幸の戦いの熱が冷めてきた頃、2分ほど経って突然現実のものとなった
美幸はカイゼルの生死を確認しようと捜索している時であった。
「かかったな、夢蜘蛛の娘。滅!」
「なにっ!?」
カイゼルの手が美幸の体を羽交い絞めにした。身動きが取れなくなる美幸。
「チッ、放しやがれ!」
美幸はジタバタとあがく。そして何とかもう少しで引き剥がせそうになったそのときだった。
そこにとてつもない、激痛といってもまだ足りないくらいのものすごい衝撃が美幸を襲った。
「うがあああああ!!」
体中から血が吹き出る!さらには口からも流れ出る。
「な、なんじゃ…こ…」
「知りたいか?教えてやろう。ダメージカウンター。受けたダメージを吸収し、他人へと移す技だ。今お前が私に仕掛けた技のダメージは、すべてお前へと移した。私からのささやかなプレゼントだ。」
「な!?そ、そんなプレゼ…ント…いらねぇ…」
美幸の声はかすれていて、かろうじて聞き取れる程度だ。その場に倒れ込む。
「分かったろう。己の力の大きさが。お前に殴られた者の痛みがな。フフフ…」
「(なろおおお…こ、これがヤツの力だっていうのか!?それも本調子でないのに…)」
あまりの激痛のショックで、声を出すことでさえままならなくなった美幸は、それでも何とか立ち上がろうとする。
「さすがは夢蜘蛛。まだ立つか。でもお前には決して勝ち目はな…」
「であああああ!!」
カイゼルが話している最中に仕掛けた。まさに最高のタイミング。再び夢蜘蛛化して一気にたたみかける。
「眼底砕きぃぃぃぃぃ!!!!!」
美幸は相手の眼を潰してしまう、強烈な技を目にも留まらぬ速さで繰り出した。
がうっ!
骨の砕ける音がしてカイゼルがつんのめった。さらにダメ押しにと回し蹴りを脳天に叩き込む!
バコーン!!!
カイゼルは再び壁にめり込んでいった。
「ハァハァハァ…さ、さすがに防ぐ暇もなかったろ…」
美幸はニヤリと笑った。その直後だった。
「ギャアアアアア!!!」
美幸の悲痛な悲鳴が辺りに響き渡った!
「眼が、眼…があっ…!」
美幸の眼が潰された。声が途切れたのは、脳天に衝撃が走って吹き飛ばされたからだ。自分の回し蹴りのダメージをその身を待って味わう美幸。夢蜘蛛化が解ける。
「愚かだね。夢蜘蛛とあろうものが無様だよ。言ったはずだ。肉体などその者がこの世での影に過ぎんとな。私の体をいくら傷つけても私を倒すことはできない。」
カイゼルは淡々と語る。美幸の頭をグリグリと踏みつける。
「そろそろお前と遊ぶのも飽きた。終わりにさせてもらうよ。」
「くう…あ…あ…」
体の感覚がなくなってしまうほどのダメージを受けた上、視界まで奪われてしまった美幸は、寝転がったままただうなるしかなかった。
カイゼルが美幸のポニーテールをつかみ上げる。その男かも女かも分からない戦士カイゼルは、美幸にすさまじい波動を加え、地上へと吹き飛ばしたのだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:59 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第58回「新たなる混沌(カオス)」
「…ただいま。」
全身ボロボロの世羅零菜が帰って来た。
「お帰り~。大変だったわね。すぐ傷の手当するからね。」
芽美が手厚く零菜を出迎える。大きなタオルで零菜の体を優しく包み込む。
「…私としたことが。せっかく追い詰めておいて、もう少しのところで取り逃すなんて…」
零菜はかなり悔しそうだ。体がふるふると震えている。
「…傷の方は再生能力のおかげで、だいぶよくなってるわね。お風呂入って体を洗ってきなさいな。」
芽美が優しく笑いかける。
「私は…」
零菜はなおも体を震えさせている。敵にトドメをさせなかったことへの、自分に対しての怒りが、彼女を責め立てている。
芽美は零菜の唇に人差し指を当て、先の言葉を遮った。
「このままじゃ泥沼にはまっちゃうわよ。過ぎたことを考えるより、これからのことを考えましょ。さあ、お風呂で気分転換してきなさい。」
芽美の方を見た零菜に、ウインクしてみせる。それだけで零菜は、心が晴れていくのを感じた。
そこでようやく零菜は、パララケルス島で回収した、オレンジ色の宝石を取り出す。
「あ、そうだ。これを…」
「ありがとう。伝説の古代戦士、ユアンの作ったやつね。お手柄だよ。大事に隠しておくね。そうそう。あと宝石のことは他言無用だから…」
芽美は笑顔で宝石を受け取った。
「分かっているよ。…そういえばカイゼルの方はどうなったんだ?」
零菜が思い出したように言う。
「そっちは美幸ちゃんと雨子ちゃんに任せているわ。ついさっき遺跡の封印が解かれたの。サンは倒されたみたいだけど、案の定カイゼルは復活しちゃったみたい。」
芽美はなおも笑顔で言う。
「大丈夫。あの2人なら絶対勝てるって。」
「だといいけどさ…」
そう言うと零菜は、芽美に促され、浴場へと向かった。



「師範、来るって何が来るんです!?」
刹那がこのかの手を引き、走りながら素子に尋ねる。なぜ走っているかというと、突然神殿が崩壊を始めたからだ。
「分からない!しかし…」
「相当ヤバイものなのは、間違いない!」
エヴァが素子の代わりに答えた。
「なんで!?もうサンっていう親玉をやっつけて終わったんじゃないの?」
アスナが叫んだ。
「この気配は只者ではないでござるよ!サンよりも遥かに強力な何かでござる!」
楓が言った。彼女は夕映を背負いながら走っている。
「そんな!いったいどうなっているんです!?」
ネギがのどかの手を引きながら言った。
「とにかく脱出が先だよ!みんな、近道しよう。すぐに発掘キャンプに戻れる。」
景太郎がみんなを先導する。
「強力な何か、か。おもろそうやないか!」
「そうアルね!また腕がうずくアルよ!」
相変わらずヤル気満々な小太郎と古菲。
「そんなのんきなことを。さっき殺されそうになったばかりではないですか。」
そんな彼らに可奈子が釘を刺す。
「出口が見えたわ!」
なるが叫んだ。明かりが見える。崩落まで若干余裕を残して一同は脱出したのだった。



「うひょ~。神殿がものの見事に崩壊しちゃってるじゃん!」
神殿にたどり着いた異世界の住人、ナイスボディーな女性、花美真司 美幸(はなみしんじ みゆき)が言った。
「まあ、こういうジャンルの映画とかでは、遺跡崩壊っていうのはお決まりだけどね。」
同じくウェイアードの住人、国後 雨子(くなしり あめこ)が腕組みしながら言った。
「さて、カイゼルの奴はどこだ?」
美幸が辺りをキョロキョロ見渡しながら言う。
「探すしかないか。とはいってもこの瓦礫の中を探すのは容易じゃないねぇ。」
雨子はやれやれと首を振りながら答える。
「でもぐずぐずしていたら、アイゼン・クロイツの奴らがカイゼルを迎えに来ちまう。そうなったらかなり面倒だよ。」
美幸が言う。とりあえず瓦礫の山を歩く。雨子がふと思い出す。
「そういえば、この遺跡って地下にも広がっているんだったよね?」
「そうか。だったらちょっと掘り起こせば見つかるかも。よしさっそく…」
言いかけて美幸はハッとなる。雨子も反応する。
「この気配…奴らか!」
「くそ、いくらなんでも来るのが早すぎやしないか?」
美幸がごねる。しかし気配は強くなってくる一方だ。
「空間に歪みが!どうやらアイゼン・クロイツの奴らがカイゼルの復活を察知したようだな。そんで親分をお出迎えだ。」
そういった雨子は決心する。
「しかたがない。アタシが空間転移してくる敵を相手する。美幸は地下へ潜ってカイゼルを捜索してくれ。復活したばかりの奴ならまだ力を発揮できないはず。あんただけでも勝てる可能性は高い。」
「まあ、2人なら確実ってことで一緒に来たんだけど、もともとアタシ1人で来てもよかったぐらいなんだ。そんじゃ、ここは任せたよ。」
そう言うと美幸は、地下通路への道をすぐさま見つけ出し、奥へと進んで行った。残された雨子は現れた空間ゲートを見据える。
「さあ、どんなやつでもかかってきな!」



「フフフ、すがすがしい朝だ。久しぶりの外の空気。気分も上々。」
その人物は上から射してくる光に目を細めた。遺跡の地下から外が見える。何年ぶりだろう、こうして光を浴びるのは。
ニヤリと笑う。男とも女とも断定できないその美しい容姿が、露になる。ふんわりとした声。
アイゼン・クロイツ。その人物が作り上げた魔族の秘密結社の名称である。カイゼル。それがその人物の名である。
「待っているよ。我が優秀な部下達よ。」
カイゼルは必ず迎えに来るであろう、かつての部下達に思いを馳せるのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:58 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第57回「惑星ガーディアンズ撃滅!」
黄色に輝く宝石が、星美遺跡神殿の上空に出現した。遂に遺跡に封印されていた、大いなる力が解放されたのだ。
刹那はその宝石を手に取る。その瞬間、刹那は光に包まれた。
宙を舞っていた9枚の惑星カードと彗星カードがその光の中に吸い込まれていく。
「あ、あれは!?」
素子が叫ぶ。光が晴れた。そこから現れたのは、虹色の髪、虹色の瞳、虹色の衣装、そして虹色にまぶしく輝く双翼であった。
「これが星美遺跡に伝わる“虹色の奇跡”なのか…」
景太郎が興奮した様子でつぶやく。しかし、誰にもその声は届いていない。みんな刹那のその神々(こうごう)しい姿に心を奪われている。
辺りにしばしの沈黙が流れた。



遺跡発掘キャンプ場。
「ねえ、あれはなんなの!?」
まき絵が神殿の上空に虹色に輝く物体を指差して問う。
「分からないわよ。でも…」
裕奈もその美しさに息を呑む。
「綺麗やな。」
亜子もウットリとした表情を見せる。
「これは記念写真を撮っておかないと。」
桜子が提案する。
「うん、撮ろう撮ろう。」
美砂も賛成する。
「よし、じゃあ朝倉…あれ、どこいった…?」
と円。
「ああ~ほんと、来てよかったわね、あやか。」
「ええ、そうですわね。」
「いったいなんなんだろう?」
千鶴もあやかも夏美も驚くばかりだ。
しかし、しのぶはこの美しさに目を奪われながらも、ひそかにこの状況を危惧していた。
「なんだかイヤな予感が…」
それは近い将来、少なからず的中するのであった。
「おい、しのぶ。今パララケルス島におる瀬田から連絡があったんやけど…」
みつねがやって来た。
「どうかしたんですか、キツネさん?」
「なんだか大変なことが起こったみたいなんです~。」
むつみにしては真剣な面持ちである。みつねが話し始める。
「それがな、変な宝石と変な化けモンが…」



「いくぞ、サン!今度こそ決着を着けてやる!」
レインボー刹那が意気込む。愛刀である夕凪にも虹色の光が渦巻いている。
「みなさんにも力を!!」
ネギの一声で、サンを除く全員に虹の力が宿る。
「これは…すごい!力が満ち溢れてくるでござる!」
楓が叫ぶ。
「よし、一気にいったろやないか!!」
小太郎がサンに攻撃を仕掛ける。
「なんのこれしきのことで…なっ、早い!?」
「犬神流風牙 連続斬り!!」
小太郎が影分身、否虹色の光でできた分身を繰り出し、サンに斬りつけまくる!さらには楓も虹の光分身でサンに襲い掛かる。
「覚悟でござる!」
「うおおおおおお!!」
とっさに受身を取ったサン。しかしそれは意味を成さなかった。
「馬蹄崩拳!!」
古菲も負けじと続く。
「小娘があぁぁぁ!!」
サンはなんとか結界を展開して防いだが、次の瞬間には結界が消滅してしまった。
「そこだ!うらああああああ!!」
「いったるでー!!」
真名もカオラも思いっきりぶっ放す!!
ズドドドドドドーン!!!
「むぐっ!」
サンはその攻撃にひるんだ。その隙は逃されない。
「浦島流 神龍牙・極!!」
可奈子も超必殺を繰り出す!
「ラブラブダブルパーンチ!!」
景太郎となるのダブルパンチも炸裂する!
「ぐおおおお!おのれー!ビッグバン…」
「ネギ先生!今です!」
のどかがネギに的確な指示を送る。
「ラス・テル・マ・スキルマギステル!風精召喚 剣を執る戦友!!迎え撃て!!」
「くそっ!フレイムボール!」
なんとかネギの攻撃を打ち消すサン。しかし…
「本命の攻撃はこっちよ!てええええええい!!」
アスナが剣形態になったハマノツルギでサンを斬りつける!
「あぎゃあああああ!!」
苦しみ悶えるサン。ダメ押しにと茶々丸の右ストレートと左アッパー、極めつけの回し蹴りがサンを捉える。
「くあっ…」
まるで人形のように宙に舞うサン。
「いくぞ、刹那!」
「はいっ、師範!」
刹那は飛んでサンの方へ向かい、素子は高く跳躍してサンの方へ向かう。
「神鳴流…」
素子が静かに、しかし迫力のこもった声で言う。
「決戦奥義…」
刹那が言葉を紡ぐ。
「滅殺…」
「斬空…」
「「斬魔閃!!!」」
刹那は横一閃、素子は下から上への逆袈裟で、サンの体を斬り裂いた!
「おぷっ…オオオオオオオ!!」
ズドォォォォォォォーン!!
大爆発が起こった。辺り一面を虹色の煙が覆った。
「ウオオオオオ!!!こうなればキサマらも道連れだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
それでもサンはその煙から脱出し、ネギ達に襲いかかって来る!体中にものすごい炎をまとわせている。自爆するつもりだ。
「ぼーや、トドメをさすぞ!」
「はい、マスター!!」
エヴァとネギが迫り来るサンの方に跳躍する。
「リク・ラク ラ・ラック ライラック!契約に従い我に従え氷の女王、とこしえのやみ、えいえんのひょうが!」
サンが氷づけになっていく。それでも勢いは止まらない。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル!来たれ虚空の雷薙ぎ払え!!」
ネギは渾身の力を叩きつける!
「雷の斧!!」
ズババババババババァァァァァァァァァァァァーン!!
「ごああああああああ!!」
「全ての命ある者に等しき死を 其は安らぎなり…おわるせかい!」
「くああああああああ!!わ、私が負けるはずは…」
サンはうめきながらもなおも言い続ける。
「お前達はとんでもないことをしたのだぞ。遺跡の封印を解かなければカイゼルは復活しなかったものを!私が世界を支配していれば、すべては安息の世になっていたものを!お前達は…すべては滅びるのだ、確実に!」
遂にサンにも限界が来た。
「エル族に栄光あれ!オオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
サンは砕け散り、消滅していった。しばしの間、辺りは沈黙が支配した。


「「「「「「ヤッター!!」」」」」」
みんなの歓声が辺りにこだました。
「ついに、ついにやりました!」
「やったわね、ネギ!」
「やったな、ネギ君。」
「よっしゃあ!!」
ネギもアスナもこのかも小太郎も…みんな飛び跳ねて喜ぶ。
「あ、あれは?」
可奈子の指差す方向、そこに1枚のカードがヒラヒラと落ちてきた。ネギがそれをうまくキャッチする。
「こ、これは…“Sun”のカード!?」
「恒星のカードだね。」
景太郎がカードを覗き込みながら言う。
「これで、本当にすべてのカードが揃ったというわけだな。」
真名が言った。
「まあ、なにはともあれ、これで全部終わったちゅうわけや。」
小太郎がニヤニヤ笑いながら言う。
「うん、いや~ここまで長かったね~。」
和美がしみじみと頷く。
「あなたはほとんど何もしていないのでは…」
夕映がツッコミを入れる。


みんながワイワイ騒いでいる中、素子とエヴァだけは浮かない表情をしている。
「本当にこれで終わったというのか…。しかしなにかが引っかかる…」
素子が顎に手を当てて、思考を巡らせる。
「そうだな。あれだけの力が眠っていた遺跡…。あの力は何かを封印していたとすると…」
エヴァは茶々丸に質問する。
「おい茶々丸、さっき南の方角から感じた、膨大な力の正体は分かったか?」
「はい、マスター。今桜咲さんが持っていらっしゃる宝石と同種類のものです。場所はパララケルス島の辺りです。」
「で、その宝石は今どうなっている?」
茶々丸は少しの間調べていたが、やがてエヴァに告げる。
「反応が消えました。なぜか忽然と。別の地域に現れたりもしていない模様です。」
「そうか…。誰かが、持ち去ったとは考えにくいか。ならば消滅したか…」
「それと、もう1つ。かなり邪悪な力を観測しました。それも今では感じられません。宝石の力が解放されたと同時に出現し、やがて消えました。」
考えにふけかけたエヴァに茶々丸が付け加えた。エヴァはふと閃く。
「ああ、やはりそうか。このシチュエーション今の状況に似ている…」
「!?何かが…来る!」
素子の叫び声にみんなが振り返った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:57 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第56回「遺跡の秘宝」
「みんなシェルターに非難完了したね。」
しのぶがみんなを見渡す。キャンプにいたメンバーは、全員揃っているようだ。
「大丈夫や。しかしなぁ、みんなになんて説明するんや?本当のことを教えるんはマズイんやろ。」
みつねがしのぶに尋ねる。
「何とか誤魔化してください。キツネさん。」
「あら、そういえば、浦島さんとなるさんは?」
むつみの問いにしのぶが答える。
「ああ、先輩達はまた敵さんの所へ戻られました。」
「なんやまたかいな。まあ、発掘を邪魔されてヤケになっとんやな。」
しのぶはみつねの分析に異を唱える。
「いいえ、きっと純粋に人を助けたいからだと思いますよ。」
しのぶは2人の無事を心から祈るのであった。



「契約執行90秒間!!ネギの従者、神楽坂明日菜!!」
アスナにネギの魔力が宿る!
「てえええええい!!」
剣形態になったハマノツルギでサンを攻撃するアスナ。しかし、弾かれる。
空から今にも究極の炎の技が落ちてきそうな状況で、一同は必死にサンの詠唱を食い止めようとしている。
しかし、サンの張った結界は思いの他強力で、一向に破れる気配がない。さらに大勢のザコを呼んで、邪魔してくる。
「戦いの歌!」
ネギはあらゆる魔法をどんどん駆使していくが、戦況はなかなか好転しない。そのとき、のどかと夕映がザコに襲われる。
「きゃあー!!」
「サギタ・マギカ魔法の射手連弾雷の17矢!!カク打頂肘!!」
ザコを吹き飛ばすネギ。さらに…
「…………戒めの風矢!!」
敵を捕縛し、
「ラス・テル マ・スキル マギステル!吹け一陣の風…風花風塵乱舞!!」
ザコ集団をかく乱させ、
「風の精霊11人………!!」
ザコを壊滅させた。起こった爆発にネギは怯むことなく、すぐさまサンの方に向き直り、攻撃を仕掛ける。
「来たれ雷精、風の精。雷を纏いて吹きすさべ、南洋の嵐…」
エヴァも負けじと加勢する。
「来たれ氷精、闇の精。闇を従え吹雪け、常夜の氷雪…」
「雷の暴風!!」
「闇の吹雪!!」

ズドドドドドドドドドーン!!

辺りに爆音が鳴り響く!
しかし、エヴァは煙が収まる前から、今の攻撃が無駄骨に終わったことを知る。
「くそ!サン・エル・サラマンドラめが!いまいましい!」
さすがのエヴァにも焦りの色が見え始める。間もなくサンの詠唱が終わる。
そうなれば、この辺り一帯は確実に焦土と化すであろう。
「ハハハ、無駄だ、無駄だー!ジェスティル・ファービュラリシア、テネブラリス・イルヴィツアー…」
「この、この、このー!!」
力任せに小太郎がサンの結界を叩く。全く持って無意味である。古菲の武術も真名の弾丸も楓の忍術も、すべて通用しない。
「斬魔剣弐の太刀!!」
素子が破魔の剣技を使う。しかし、これさえも意味を成さない。
「結界破壊弾発射!」
「光化学ブラックホールバスターや!」
茶々丸が大きなキャノンで攻撃し、カオラも必殺武器を見舞うが、やはり無駄であった。
「ここまででしょうか…」
「さすがに…これは…」
夕映とカモが弱音を吐く。
「最後まで諦めてはダメです!きっと何かいい手があるはずですよ。」
ネギがみなを励ます。
「ぼーやの言う通りだ!ここで、負ければすべてが終わってしまうのだぞ!」
エヴァも皆に活を入れる。
「お、あれは!?」
和美が神殿の屋上へ駆け上がってくる2つの人影に気づく。
「カードだよ!この遺跡の産物、太陽系カードを使うんだよ!」
景太郎となるが駆けつけてくる。
「お兄ちゃん!」
「なる先輩!」
可奈子と素子が2人の方を向く。他の一同も振り向く。
「カードって、僕の持っている合体衛星カードと…」
「私の惑星カードのことですか!?」
ネギと刹那が口々に言う。
「そうよ、敵に狙われていた4人で使うのよ!太陽の祭壇で!」
なるが言う。その言葉に刹那はピンときた。
「そうか、分かりました!ネギ先生、このちゃん、アスナさん、急いでついて来て下さい!みなさん援護をお願いします!」
刹那はこのかの手を引き、ネギとアスナもそれに続く。そして、サンの背後にある巨大な祭壇へと進む。
「太陽の神殿の頂上にある超巨大な祭壇。ここでカードの力を解放すれば…」
景太郎は誰ともなしに言う。
「星美遺跡の封印が解ける!解き放たれた力を駆使すれば、いくらサンでもひとたまりもないはずだよ。」

そうこうしている内に、ネギ達はサンの猛攻をくぐり抜け、祭壇へとたどり着いた。
ネギは合体衛星カードを、刹那は9枚の惑星カードと彗星カードをそれぞれ掲げる。すると、カードが宙を舞った。
「念じるんだ。これで遺跡の封印は解かれる!」
景太郎の声が響く。すでに4人は集中力を研ぎ澄ませている。ネギとこのかがありったけの魔力を結集させる。
すさまじい力が飛び交う。その力が、なんと上空の渦をかき消してしまった。サンの究極の魔法が不発に終わった。
「バカな!ぐぐ…おのれー!やめろー!」
ヤケになったサンが、火の矢を無数に発射する。
「近づけさせないんだからー!!」
アスナが身を挺して立ちふさがる。爆風が起こり、アスナは転倒する。
しかし、彼女のマジックキャンセラーが功を奏して、アスナも他の3人も祭壇もほとんど無傷だ。

そのとき、このかの体がまぶしく光る。ネギの力も最大限に解放され、合体衛星カードが閃光を放つ。
閃光は四散し、激しく弾ける。やがて、神殿の地下へと光は吸い込まれていき、そして…
「黄色い宝石!!」
景太郎が興奮して叫んだ。他のみなも目を細めつつも、驚愕している。
「なんて魔力を秘めた宝石だ。まるでこの世の物ではないような…」
エヴァでさえもこの宝石の力が驚きに値するようだ。虹の7色の内の1つ、黄色。これこそがまさに、この遺跡に眠っていた秘宝であった。



パララケルス島。海辺。
「ん?サラ、それはなんだい?」
瀬田はサラの持っているオレンジ色――これも虹の色の1つだ――の宝石に気づいて言った。
「へへ、どう、パパ。逃げるときのどさくさに紛れて拾ったんだ。」
「ほう、こいつはお手柄だな。」
はるかがサラを褒める。
「おお~これはすごい。ん?どうしたんだい、ニャモちゃん。」
見るとニャモは体を震えさせている。
「セタ、コレ、キケン。イマスグ、ステテ。」
「え?」
瀬田は困惑の表情を浮かべる。
「なに言ってんだよ、ニャモ。せっかく苦労して手に入れたのに!」
サラが憤慨するが、瀬田が押し止める。
「ニャモちゃんの怖がり片は尋常じゃない。これは彼女のカンを信じる方がよさそうだ。」
そう言うと、瀬田は宝石を手に取ると、海へと投げ捨てた。
「ああー!あ~あ、もったいない…」
サラががっかりしたように言う。
「まあ、そう言うなって。これで本当に危なかったら、ニャモに感謝しなくちゃな。」
はるかがサラをなだめる。
「ハハハ、そうだね…って、あれはなんだ!?」
瀬田が上空から何かが降って来たのに気づく。

ズボーン!!

何かが勢いよく海へとダイブしていった。ちょうど宝石が落ちた辺りだ。さほど距離もなかったので、大波が起こる。
「あわわわわわ…」
瀬田、はるか、サラ、ニャモ、その他海岸近くにいた何人かは、大慌てで退散した。


水の中。
「ムシシシ…ダグバ様直々の指令だ。必ず宝石を回収して手柄を立ててやる。」
魚人タイプの怪人が空に開いた異世界ゲートを通って、ここパララケルスへとやって来たのだ。十数人の部下を連れている。
セリフ通り、こいつはダグバの部下であり、指令を受けて宝石の回収をするつもりだ。
「させっか!!」
そこへ零菜が颯爽と現れる。宝石を渡すまいと、夢蜘蛛へと変身する。水中タイプで尾びれや背びれがある。
「お前か。ダグバ様のお気に入りとは。ムシシシ、お前も連れて行ってやるよ。」
「うるさーい!!」
零菜のものすごいスピードのアッパーが怪人を捕らえる。
「あーれー!!」
怪人は海上から吹っ飛ばされ、上空で大爆発した。部下は恐れをなして退却…する暇もなく、零菜の餌食となった。
魚人達の残骸には目もくれず、零菜はオレンジ色に輝く宝石を回収する。
「ふ~…とてつもない、ものすごい魔力だ。こりゃ、ダグバみたいな化け物を封印できるわけだ。」
零菜は陸を目指しながらつぶやく。
「さて…そろそろウェイアードに…シンフォニアへ帰るとするか。」


瀬田達は、大波の後、上空で起きた爆発に唖然としていた。
「ハハハ、やっぱニャモの言う通りにしておいてよかったよ。」
サラがニャモの方を向きながら言う。
「やっぱり僕らって、とんでもない物を掘り出しちゃったみたいだね。」
さすがの瀬田も堪えたようだ。
「ああ、そうだな…」
はるかも呆然とした様子で、まだ上空に残る煙を眺めている。

ここ、パララケルスにも朝がやって来た。いつもと変らぬ朝が。
それは他でもない、世羅零菜の尽力のおかげだということを知っているのは、ウェイアードにいる者達だけだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:56 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第55回「ほえろ、零菜!」
爆炎の中から零菜が突進してくる。クレイモアがまさにダグバを捉える瞬間だった。ところが…
ガシッ!!
「なにっ、新手か!?」
クレイモアと剣が交差する。今零菜の目の前には、冷酷な目つきをした少年がいる。キッと零菜を睨みつけている。
静かな気迫を込めて零菜も雷雪を睨み返す。刃同士を弾き合い、2人は後ろへ跳躍し、距離を空ける。
「おお、おめえ黒竜雷雪じゃねえかー。久しぶりだな。ヒッヒッヒ!」
「お前も相変わらずだな、ダグバ。」
黒竜雷雪と呼ばれた少年は情のこもっていない口調で応える。
「黒竜雷雪だと!?あの冷酷無慈悲の暗殺者か。」
零菜がウェイアードでは有名な殺し屋の名を思い出す。
「話は後だ。お前を迎えに来た。俺と来い。」
黒竜雷雪と呼ばれた少年は振り向かずに、背後にいるダグバに冷え切った口調で言う。
「ヘン、雇われ傭兵の分際で俺に指図すんな。古い友人のよしみでタメ口は許すけどよぉ。」
黒竜雷雪はディバイン・クルセイダーズの正式なメンバーではない。腕を買われ、幹部クラスの者に雇われているのだ。
巨大組織ディバイン・クルセイダーズの総帥である、ダグバとは古くからの知り合いだ。
「分かった。好きにしろ。しかし、俺の任務はお前を連れ帰ることだ。お前の気の済むまで待たせてもらう。」
そう言うと、雷雪はダグバの後方へと下がった。傍観することにしたらしい。

自分が会話に参加する余地もなかった零菜は少しポカンとしている。
「なんだ?アイツ…。まあ、狙いはダグバ1人。邪魔しないならほっとくと。」
再び迎撃体勢になる零菜。眼前ではダグバが未だにニヤついている。ベロリと舌なめずりをする。
「ククク…そろそろケリを着けようか。ハァァァァァ…」
「ムッ!」
突然ダグバの気力が、かなりの実力者である零菜ですら驚くほど一気に上昇する。
「なんなんだよ、このバカデカイでたらめな力は!?」
さすがの零菜もひるむ。ダグバの目が赤い光を放つ。ダグバの筋肉質なボディが、さらに隆々としてくる。
「オオオオオオ…だあぁぁぁぁっ!!!」
ダグバは一気に零菜との間合いを詰める。
「ウゴッ!…オ、オ…。ぐあっ!」
腹に固く重いパンチをくらい、さらに組んだ手がハンマーのごとく頭上に振り下ろされる。
ズドォォォォーン!!!
もろに顔面から地面に激突する零菜。それでもなんとか起き上がろうとする。しかし、そこにダグバが強力な蹴りを入れ、再び地面に沈む。
「く…は…あ…」
うめき声を上げる零菜に、ダグバは容赦なくグリグリと足で零菜の頭を踏みつける。
「ククク、どうだよ、女。俺の強さが分かったか?はっきり言って俺は、まだ本気の半分の力も出してないんだぜ。」
ダグバは零菜の青いショートヘアを背後から逆手で鷲づかみにすると、持ち上げて自分の顔を零菜の顔に近づけて覗き込む。ニタニタ笑って…
「へへ、やっぱりなかなかの美人じゃねぇか。いいか、今からお前は俺のモンだ。ククク…」
ダグバは零菜の左頬を舐める。
「や、やめ…きたねぇ…」
かすれた声で抵抗の意を見せる零菜。しかし、体を動かせない。
「へへへ、フン!」
ダグバは零菜を仰向けにする。舌なめずりしながら零菜の体をしげしげと見つめる。
「さあて、楽しませてもらおうか…。お前のすべてを俺がもらう。かわいがってやるぜぇ。すぐに気持ちよくなるからよぉ。俺と一緒に快楽の世界へ行こうぜぇ。」
ダグバが手を一振りすると、零菜の着衣がすべて切られ、塵と化し消滅した。よだれが零菜の体に垂れていく。
「ハァハァハァハァ…うまそうだ。いただくぜぇ…」
自分のよだれが零菜に触れたとき、ダグバの興奮は頂点に達した。零菜の肉付きのよい身体に手を伸ばす。

そのときだった。不意に零菜の目がカッと見開かれた。その目には猛烈な殺気が込められている。
「触るな…このゲス野郎がー!」
その瞬間、零菜が信じられないような怪力で、ダグバの腕をがっしりとつかんだ。
「うがああああ!?!?」
ボキボキと骨が砕ける音がしてダグバが悲鳴を上げる。
「つああああああ!!!」
続けて零菜の膝蹴りが、ダグバの腹に入る。
「ごぶっ!?」
ダグバの目が飛び出そうになる。零菜は間を空けず、回し蹴りをダグバの頭部に見舞う。
ズガァァァーン!!!
ダグバは上空30メートルほど飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ぐほっ…なんだ、この女…なっ!?」
ダグバは目を見張った。目の前にいるのはさっきの美女ではなく、1体の異形の者であった。
茶色い皮膚、エイリアンのような長い顔、頭に数本の角。世羅零菜が変身した姿である。
ウェイアードでも、このマホラワールドでも最強の魔物の一種である、人呼んで――夢蜘蛛。
夢蜘蛛化した零菜の低い声が響く。めいっぱい怒気と殺気が込められた声。
「よくも私をコケにしてくれたね。このお返しは…イタイよ!」
その瞬間、零菜の姿が消えた…ように見えた。
「チッ、保護色か!」
周りの風景に溶け込ませるカメレオンの能力。ダグバは彼女のこの能力を瞬時に見破った。そうと分かれば…
「チェストォ!!」
…応戦できなかった。ダグバは零菜の見えない一撃を、場所は察知したものの、あまりの速さのために防ぎきれなかった。
「どおおおおおお!?」
宙に投げ出されるダグバ。零菜も跳び上がって宙で連続に殴りつける!
バキッ、ズガッ、ベキッ、ボキッ、ゴキッ、ドウッ…ヒュウウウウ……ズガァァァァーン!!!!!
粉塵が辺りを覆った。約20秒後、ようやく砂埃が晴れ、ダグバの姿が露になった。
「フッ、どうした。私はまだ半分どころか10分の1のパワーも使ってないぞ。」
先ほどのダグバのセリフをそっくり返してやる。
「フ、フフフ…アハハハハハハハハ!!」
零菜の予想に反して、ダグバは笑い出した。
「いいねぇ、その強さ。惚れ惚れするねぇ。ますますお前が欲しくなったぜ。」
「ケッ、まだ言うか…」
ダグバは、醜い異形の姿になってもなお零菜を欲している。

「ダグバよ、もうその辺にしておけ。腕まで折られてまだやる気か。」
それまで沈黙を守っていた黒竜雷雪が口を開いた。
「あん?」
ダグバは雷雪の方を見やった。雷雪は厳しい表情でダグバを見据えている。ダグバにさえ、有無を言わせぬ表情。
今のままではダグバに勝ち目がない、そう考えたのだろう。
「そろそろ行くぞ。」
ダグバは肩をすくめ、行きかけたが、思い出したように零菜の方に目を向ける。
「ククク、そういやまだ名前を聞いていなかったな。」
これを聞いて、雷雪が「ほほう」と目を細めた。女をモノ扱いしているダグバが、相手の名前を尋ねるなんて珍しいからだ。
「あんまり名乗りたくはないが…まあいいだろう。零菜、世羅零菜だ。」
「零菜か。お前が気に入った。俺のモンに…いや、側近になれ。」
「はぁ?」
突然の誘いに零菜は顔をしかめた。
「何の冗談だ?」
「冗談などではない。お前を俺の側近に…、いや…俺の愛人に…」
言いかけたとき、いつの間にか近くにいた雷雪が、ダグバの肩に手を乗せた。
「もういいかげんに行くぞ。我らの迎えが来た。これ以上ここにいるのは、さすがにマズイ。」
雷雪はダグバを半ば強制的に引っ張っていく。
「フ、世羅零菜。また会おう。お前の胸の青いバラの刺青…いつかあれを俺の色に染めてみせる。」
ダグバは最後に言い残すと、ゲートをくぐって行った。
「逃がすか!このっ…」
駆け寄ろうとした零菜に、雷雪の放った電撃が飛んでくる。
ドン!!
小規模の衝撃だったが、零菜の目潰しには十分だった。
「クソ…ここまで追い詰めて…」
ゲートが閉じたのを確認した。人間体に戻った零菜は、歯軋りし、しこたま地面を殴りつけたのだった。
「チクショオオオオオオオオオ!!!!!」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:55 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第54回「パララケルス島の死闘」
「オラオラオラ!!」
零菜の魔法具『ニューナンブ警察拳銃』が火を吹く。
普段は実弾専用だが、魔力を込めることのよって、魔法銃にも化ける優れものだ。
「チッ!どういうことだ?俺のディバインフォースが通用しねぇ…」
ディバインフォースとはディバイン・クルセイダーズの能力者特有の力で、己の体内で活性化し、様々な効果を生むという、一種の魔法のようなものだ。
今、ダグバが使っているのは、もっとも分かりやすい効果である、破壊の力。
この力を、殺した盗賊達から奪った剣や銃に込めて、零菜を攻撃しているのだ。
しかし、長期に渡って封印されていたためか、体がなまっているのか、零菜にはものの見事にさばかれていた。
冷静な判断で戦闘に挑むのが得意な零菜にとって、いたずらに力を振りかざすだけのダグバは、分のよい相手だ。
「やはり俺専用の剣がほしいところだな。それならもっと力を発揮できるんだがよ。」
「ボヤいたってないものはないんだろ?あきらめるんだな、坊や。」
零菜は一気に愛銃に魔力を結集する。
「バーストイグナイト!!」
ズガァァァァァーン!!!!!
大爆発が起こり、辺りは粉塵に包まれた。数十秒後の後、砂埃が晴れていく。零菜は勝利を確信している。
「(確かにヤツはまだ生きちゃあいるようだが、相当の深手を負ったはず…。仕留めるのは造作もない!)」
ダグバの姿が見えた。立っている。ダグバの服はすべて破れていた。しかし、肝心の本体はほとんど無傷であった。
「ふ~気持ちいいぜ。へへへっ。」
「ケッ、思ったよりも頑丈なんだな。その上、立派なイチモツをお持ちで。」
零菜は否が応でも目に入る、ダグバの露になったソレに苦笑する。
「へへへ、久しぶりだからよ、かなり興奮してきたぜ。お前のそのデカイチチを見たくてよ…。お前を俺のモンにして犯したくってよぉぉぉ!」
「チッ、この変態野郎が!」
ダグバの下劣な様子にさすがの零菜も露骨に嫌悪感を表す。

ダグバは目覚めたことの悦びと、セクシーな美女の出現に興奮しきっているため、この有様なのである。
「お前のチチに俺のモノを挟み込んで、揉んで、そんで、○○してやって、××して、○○をたっぷりぶっかけてやって、そんでもって××を(ピー)して、舐めまくって、そして最後にはお前のアレ中に(ピー)して…」
お聞き苦しい限りで…
「アホか!そんな18禁用語ほざいてばっかりいると、連載中止になっちまうだろうが!」
「ヒヒヒ、だからそのシーンだけカットすりゃあ…」
「もう付き合っていられん。さっさと終わらせるよ!」
下品なやり取りはこのくらいにして、2人は戦闘を再開した。

零菜はクレイモアーと呼ばれる、190センチくらいの巨大な剣を振りかざす。剣にはすでに魔力が込められている。
一方、ダグバは適当な武器が手元にないため、素手…ではなく、先ほど述べたダークフォースを剣状に固めた物を構えている。
「はあっ!!」
零菜が横一閃、剣を振った。ヒラリとダグバは身をよじってこれをかわす。
後ろの遺跡の壁が真二つになり、(もっともすでに遺跡自体がボロボロであるのだが)崩れ落ちる。
これは零菜の計算の内。すぐさまダグバの方へ向き直ると、今度は剣を突いてしかける。
「へぇ、射撃だけではなく、剣もうめぇんだな。」
攻撃を後方へジャンプしてかわしながら、ダグバは言う。
「ケッ、ちょこまかと!これならどうだ!」
こういう調子で、攻防が10分ほど過ぎた。ダグバの方がほぼ防戦一方で、零菜が押しているのは明らかだ。
「ハァハァ…へへへ、いいねぇ、ますますお前が欲しくなってきたよ。」
ダグバの体は汗ばんでいる。それから…
「ますます興奮してきたぜぇ。お前のユッサユッサと揺れる、チチを見ているだけで、イっちまいそうだぜ。フッフッフ…」
「ああ、すぐにイかせてやるよ。地獄へな!」
零菜は牽制に引き金を搾る。避けたダグバに剣を振りかざそうと、接近する。
分が悪いと判断したダグバは、身を翻し、さらに一気に後退する。そこに零菜が炎の弾丸を見舞う。
「チッ!」
ダグバは、とっさに結界を張って何とか凌ぐ。眼前で大爆発が起こる。
「かかったね!」
爆炎の中から零菜が突進してくる。クレイモアがまさにダグバを捉える瞬間だった。ところが…
ガシッ!!
「なにっ、新手か!?」
クレイモアと剣が交差する。今零菜の目の前には、冷酷な目つきをした少年がいる。キッと零菜を睨みつけている。
刃同士が弾き合う。2人は後ろへ跳躍し、距離を空ける
「おお、おめえ黒竜雷雪じゃねえかー。久しぶりだな。ヒッヒッヒ!」
ダグバが不敵に笑った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:54 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第53回「戦慄の大空」
「どうだ、サン・エル・サラマンドラ。お前にもはや勝ち目はない。この勢いはもはやキサマごときでは止められんぞ。」
エヴァがサンに紛れもないこの状況を突きつける。
「ぐぐぐ…。フフフ…、ハハハハハハ!!かくなる上は…こうだー!!」
サンが一気に力をより集めていく。いつしかサンの作った異空間は消滅し、一同がいる場所は太陽の神殿の頂上となっていた。
「ふはははははは!!この程度で私を倒したつもりかね?まことに残念だよ!」
サンは一見、冷静な態度であるが額には怒りのマークがいくつも浮かび上がっている。
「残念だよ…ネギ・スプリングフィールド君。せっかくいいパートナーを見つけたと思ったのだがね。」
サンが両手を掲げた。
「マズイ!あの構えは!」
エヴァが声を上げたとき、不気味な詠唱が聞こえてきた。
「…ガ・ゲル・ガゲガゲル・エルガゲル…」
「火の最上級魔法、ビッグバン・サラマンドラ!?しかも…かなりでかい!!」
麻帆良学園をすっぽりと覆ってしまうほどの巨大な渦が上空に出現した。
「あ、あれが落ちたらどうなるのエヴァちゃん?」
アスナの質問にエヴァは、
「言わずとも想像がつくだろう!この辺り一帯が瞬時に焦土と化すぞ!止めろ、ヤツの詠唱を!」
慌ててサンを止めようと攻撃する一同。が、強力な障壁が張られているのか、全くビクともしない。
「消え失せろー!!みんな全部消えてしまえー!!跡地に私の世界を作ってやるよ!ワーハッハッハッハッハー!!」
渦から稲妻が光り、周囲の気温が一気に上昇する。間もなく、巨大な炎の塊が地上に放たれるであろう。
「カリドゥムサギッタ・ギガントエルクロス・サギッタマギッカ・ベレクロウクルス…」
サンの不気味な詠唱が辺り一帯に響き渡っていった。



「な、なんですの、アレは!?」
遺跡発掘所キャンプにいる、あやかが驚きの声を上げた。朝一番に目が覚めて、ふと空を見上げた結果だ。
他のメンバーも何事かと、まだ眠い目を擦りつつ、テントから這い出してきた。
「ひょええええ!アレは!?」
叫んだのは夏美だ。それはサンの発生させた超巨大な渦であった。
「はわわわわ…なんなの、アレは?」
まだ眠そうだったまき絵も、一気に目を覚ましたようだ。
「知らんわ。なんやねん、いったい!?」
亜子も唖然としている。
「さあ、なんでしょう…」
「なんだか、イヤな感じだね。」
裕奈も桜子も呆然としている。
「あらあら、これは一大事ですねぇ~」
「乙姫さんがおっしゃると、全然大事には感じられませんが…」
千鶴がむつみの様子に苦笑する。
「それに…なんだか暑くない?」
円が言った。
「そうね。いくら真夏とはいっても、こんな朝からこの暑さは尋常じゃないわよね。」
美砂が賛同する。
「ただの異常気象ではない、か。」
アキラがつぶやく。

「あわわ…これはもしかして…」
しのぶが恐れおののく。
「たぶん…そのまさかやな…」
さすがのみつねもいつになく深刻そうな表情になる。
「おーい!しのぶちゃん、大丈夫かーい!」
その時、景太郎となるが戻って来た。
「浦島先輩、なる先輩、あれはいったい…?」
「相当マズイことになっちゃったみたい。」
なるが息を切らしながら説明しようとする。
「う~ん。確かに素子ちゃんが、ここのキャンプの周囲に展開している結界は強力だけど、果たしてあの攻撃に耐えられるかどうか…」
景太郎も深刻そうに言う。
「でも、今更逃げようとしても…」
「そうね、たぶんあの攻撃の有効範囲外に逃げるのはもう無理でしょうね。」
なるが言う。
「そ、そんなー。そ、そうだ、カオラの超強力シェルター“メカタマカプセル”を使えば…」
しのぶが提案する。景太郎が答える。
「何もしないよりはましか。よし、用意を急ごう、みんな!」
「「はい!」」
気温がさらに上昇していく。運命の歯車は絶え間なく回り続けるのだった。



「セタ、ハルカ、サラ、ダイジョウブ?」
「なんとかね。ありがとうニャモちゃん。」
パララケルス島の住人、ニャモ・ナーモに介抱されて、3人は一息ついていた。
ニャモはしのぶの色黒バージョンみたいな娘だ。ひなた荘の住人達とも面識がある。
「それにしてもなんなんだよ、あの化け物は?」
サラが彼女らしくもなく、恐怖に震えている。
「さあな。とにかくこれで分かったな。あの変な医者を名乗っていたやつらが言っていたことの意味が。」
はるかが言う。
「ふむ、どうやら僕達は、とんでもないものを甦らせてしまったようだね。」
瀬田が困ったような顔をしながら言う。
「どうすんだよ、パパ?」
「さあ、どうしようか…」
サラの質問に瀬田は返す言葉が見つからなかった。



「…で、女よぅ。俺に何の用だ、え?」
パララケルス島の遺跡にて復活を遂げた、ディバイン・クルセイダーズのトップ、ン・ダグバ・ゼバ。
彼は、突如異世界のゲートをくぐって現れた、1人の美女と対峙している。
ちなみにダグバは今、殺した盗掘者の衣服を奪って着ている。
「なーに、アンタを再び眠らせてやろうと思ってねぇ。それも前より深くて永遠のね。」
美女は、その鋭い眼光を相手に向けながら、冷静に話す。その眼光には、相手を引き込んでしまいそうな不思議な魅力を感じられる。
ダグバは、その美女の肉付きのいい体を、舐め回すように眺める。
美女は青髪のショートヘア、165cmくらいの身長で、タンクトップの間から青いバラの刺青が覗いている。
「うひぇひぇひぇ、お前かなりできるな。どうだ、俺の女(モノ)にならねぇか?」
露骨に下品に笑うダグバにも、彼女はどこ吹く風だ。
「そうだねぇ。アンタが地獄に墜ちてから1億年経ったら、考えてやってもいいかナァ。たぶん答えは『No』だけど。」
美女は――その名も世羅 零菜(せられいな)――は、静かな笑みを浮かべ答える。
「まあ、そう言わずに今すぐなれよ。色々サービスしてやるからよ。クックック…」
「じゃあ、その前に…私を倒してみな。」
「いいだろう、久しぶりに暴れてやるぜ。復活して早々、いい体の女とやり合えるなんて、うれしいねぇ。」
「気色ワルゥ…。とっとと終わらせてやるぜ。」

ここ、パララケルス島でも壮絶な戦いの火蓋が切って落とされた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:53 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第52回「強き想い」
ネギが杖を構える。のどか達に向けて…
「風花 武将解除…」
ネギは非情にも、のどか達に攻撃魔法を放った。
「やめなさいよ、このバカネギィィィィィー!!!!!」
アスナの跳び蹴りがネギの右肩に炸裂する。
「あぴれぽれー!!」
クルクルと回転しながら、飛ばされていくネギ。のどか達に放った攻撃魔法はギリギリで逸れた。
「ハァハァ…このバカ!なんで、どうして敵に加担したりするのよ、ネギ。あんたと私達の絆って、こんな程度のことでダメになってしまうの!?」
いつしかアスナの目からは、大粒の涙が零れ落ちていた。
「操られているのは分かってるけど。でも、それくらいあんたならどうにでもできるんじゃないの!ネギー!」
アスナはネギに飛び掛っていく。右ストレートがネギを捕らえようとした時、サンの放った矢がアスナの腕に突き刺さった。
アスナには魔法が効かないと知っていたので、本物の矢を射たのだ。
「うっ、あああ…」
矢が刺さった衝撃に耐え切れず、転倒するアスナ。サンはアスナに刺さった矢を消滅させた。腕からおびただしい量の血が流れ出る。
「アスナー!!」
このかが青い顔をして叫ぶ。ネギがアスナの傍までやって来て、冷徹な表情で彼女を見下ろす。
「アスナさん、もう降伏してください。そうすればみんなが助かるんですから。…ねっ!」
ネギがアスナの左脚を思い切り踏みつけた。
「ああああああ!!」
激痛に悶えるアスナ。踏まれた脚は不自然な方向へ曲がってしまっている。
「ね、これまでなんですよ。さあ、降参してください。」
ネギはしゃがみ込むと、アスナの右側のツインテールを鷲づかみにし、顔を近づける。
「さあ…」
「ネギ君、もう止めて、ほんまにやめてぇな!」
このかが泣き叫ぶ。のどかは座り込んで手で顔を覆ってしまっている。涙が零れ落ちていく。
夕映もうつむいてガタガタ震えている。不意に和美が駆け出す。その肩にはカモが。
「もう見てられない!ネギ先生!」
「アニキ!」
しかし、無常にもサンの火の弾が飛んでくる。和美の足元に着弾する。
ズドーン!!
「うわあああっ!」
和美とカモは吹き飛ばされ、床に叩きつけられた。
「私のパートナーに変なことを吹き込まないでほしいね。ネギ君の“元”生徒のみなさん。」
サンが不敵な笑みを浮かべる。その瞬間、サンは一気に間合いを詰めて、夕映の腹にパンチを入れた。
「…っ!?」
声を上げることもできずに、崩れ落ちる夕映。
続けてサンはのどかに手刀を入れる。のどかの意識はそこで途絶える。
そして、遂にサンはこのかに手を出した。炎の渦で、このかを縛り付ける。そして宙に浮かせる。
「さて、君にも私のパートナーになってもらうとしようか、近衛木乃香。ククク…」
サンは不気味な表情でこのかを見つめる。
「ああ…い、いやや…あ、ああ…」
このかは体をよじらせようとするが、全く動かせない。
刹那に助けを求めようと彼女の方を見る。倒れたままピクリとも動かない。
楓も、真名も、古菲も、小太郎も、のどかも、そして夕映や和美、カモさえも、もはや行動不能だった。
「さあ、仮ではなく、本契約だよ。ネギ君の時は別の方法を取ったがね。では、誓いのキスを。」

そんなこのかの様子をアスナは見る余力すら残していなかった。
「ネ…ギ…私はアンタを信じて…いるから…。私達は…私はあんたのこと…」
アスナは最後の力を振り絞ると、残った右脚を使って起き上がり、なんとか動かせる左腕で、ネギの体を抱き締めた。
しかし、ネギはそれを払い除けようとする。それでもアスナは信念を持ってネギを抱き締め続ける。
「ネギのこと…好き…だ…から…」
「僕も好きですよ。だから、もう傷つけたくない。降伏してください。」
それでもネギは、依然としてサンの支配下にある。
「もう一度だけいいます。降伏してくださ…」
ネギの唇が塞がれた。アスナの唇によって。
「………」
ネギは沈黙した。アスナの涙が流れ落ちる。そしてネギの杖へと…。

「ネギ君、何をしているんだい!早くアスナを私の方に差し出しなさい。」
その様子に気づいたサンが、ネギに向かって怒鳴る。
ネギはアスナの唇から離れ、サンに言った。しかしなんと、その言葉はサンの期待を裏切るものだった。
「…嫌です。」
「なんだって!?」
不意にネギの腕がアスナの背に回される。優しく、しっかりと抱き寄せる。
「ネギ…」
その変化を確かにアスナは感じた。
ネギの心の中にうずいていた、邪悪でドロドロしたものが、温かく柔らかなものになっていくのを。
その瞬間から、アスナの涙はうれし涙へと変わった。
「バ、バカな!契約が解消されたというのか!?」
サンが驚愕の表情を浮かべる。
「そういうことです。僕は麻帆良学園の教師であり、そして…」
ネギはアスナを優しくそっと横たえながらサンを睨みつける。
「みなさんのお友達です!」
「ネギ君、君はそのお友達を傷つけたのだよ。この有様を見たまえ。」
サンは新たな手を打った。ネギが自分の生徒達を傷つけたことに絶望し、戦意を失うのを狙っている。
そして、今のセリフを言ったのだった。しかし、サンの思惑はまたしても破られることになった。

「やめておけ。もうぼーやの心を支配するのはムリだ。」
「マスター!」
エヴァンジェリン一家が、ゲートから登場した。
「ぬぬ、ハイデイライトウォーカー!?」
サンが敵意をむき出しにする。
「麻帆良に数千の兵士を放つとは大胆だったな。だが、所詮はザコだ。時間はかかったが、すべて敷地内に侵入する前に壊滅させたよ。」
エヴァが自慢げに言う。
「フン、さすがだな。しかし、私は倒せん。決してな。」
「それはどうかな?こちらには遺跡の力が込められたカードが、すべて揃っているんだ。使い手もいる。このぼーやがな。」
エヴァがネギに視線を送る。
「ぼ、僕が…!?」
「そうだ!衛星のカードをすべて集めろ。念じればできるはずだ!」
「は、はい!」
ネギが手をかざすと、みなの懐にあった衛星カードが1箇所に集まってきた。
ネギの掌で1つになったカードは、銀河を現すデザインになっている。黒い空間にキラキラと星の光が輝いている。
「これが衛星のカードの真の姿…」
ネギはまじまじとカードを見つめる。
「バ、バカな。私にはそんなことはできなかった。やはりサウザンドマスターに、遺跡のガーディアンになる呪いをかけられているせいで…」
サンは戸惑っている。こんなはずでは…

「バカはお前だよ。使いこなせなかったのは、ヤツの呪いのせいではない。お前の想いが弱かったんだよ。」
「なに!?」
「お前がカードに込めた想いがくだらないと言っているんだよ。なにがエル族の新天地だ。そんな物はただの空想に過ぎん。」
「違う!!決して空想などでは…」
しかし、エヴァはサンに反論させない。
「それとだ。お前のぼーやに対する感情は、アスナのぼーやに対する想いにはとうてい及ばないということだ。サウザンドマスターへの復讐心からぼーやを自分の腕に仕立て上げようと企んだんだろうが、それもくだらん動機だ。」
「いいではないか!復讐の何が悪い!私は、私は…」
その時、3つの人影がこの空間に入って来た。
「フッ、復讐などという茶番に振り回されていたのか。我々は。」
そう言ったのは素子だ。
「呆れて物も言えませんね。覚悟してもらいましょうか。」
可奈子が毅然とした態度で、サンを見据える。
「ウシシ、やっつけたるで。」
カオラが言った。
「木乃香お嬢様…!!斬魔剣弐の太刀!!」
素子の技で、このかを拘束していた炎の鎖が切れ、このかは解放された。
さらに素子は残っていた遺跡の聖水を宙にまく。それにこのかが素早く反応して、練習用の魔法杖を取り出す。
「癒しの水よ、仲間達を癒せ…」
遺跡の癒しの水がアスナを、刹那を、楓を、真名を、古菲を、小太郎も、のどかも、そして夕映や和美、カモをも癒していく。
「ち、力が…力が戻ってくる。」
「おおっ…スゴイアル。」
真名と古菲が言った。
「よし、私も!」
刹那がネプチューンのカードを発動させる。髪や瞳が青くなったネプチューン刹那が癒しの力を仲間達に与える。
「おお!力がみなぎってきたで!」
「いけますよ、これは!」
と夕映。えらく活力が入ったようだ。彼女にしてはテンションが高い。
「よっしゃあ!!」
和美も元気を取り戻したようだ。
「もう大丈夫です。」
のどかもしっかりと立ち上がる。
「ネギ、やったじゃん!」
アスナがネギに駆け寄り、頭を撫でる。
「アスナさん、よかった、本当に!」
次々と復活していくネギ達。さすがのサンも、自分が追い詰められていくのに、焦りを感じずにはいられない。
「うう…おのれ、おのれ…!」
サンは最後に残された切り札を使うことを決意するのだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:52 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第51回「ネギを倒せ!」
「風花 風塵乱舞!!」
不意にかなり強烈なネギの魔法がみなに襲い掛かって来た。正気の時の技より邪悪で強力だ。しかも無詠唱。
「うわあああああ!!!」
みんな後方へ吹き飛ばされていく。マジックキャンセラーを持つ、アスナを除いて。
「みんなー!」
アスナがみなの方に振り向いた時、ネギのパンチがアスナの左脇腹を直撃した。
「……………!?!?!?!?!?!?」
声も出せずに飛ばされるアスナ。楓が素早く反応してアスナをキャッチした。
「大丈夫でござるか?」
「ううう…な、なんとか…」
アスナはかろうじて答える。
「おい、ええかげんにせいや、ネギのアホが!!」
小太郎が狗神を使ったが…
「ダメだよ、小太郎君。そんなんじゃ僕を倒すことなんて絶対に出来ないよ…」
ネギの元へ到達する前に、すべてかき消されてしまった。
「このー、犬神流風牙!!」
小太郎が直接ネギを叩きに突っ込む。しかし…
「ダメだってば…フンッ!!」
小太郎の技をものともせず、強烈なカウンターパンチやキックの嵐を小太郎に叩き込む。
「ごおっ、ぐっ、ぶっ、があっ、ぐあああああ!!」
ぶっ飛ばされる小太郎。何とか着地したものの、息が絶え絶えだ。
「影分身!!」
影分身を使った小太郎が再度ネギを攻撃するが…
「雷の17矢…」
「ぐおおおおお!!」
雷の矢がすべての分身、そして本体に命中した。地に落ちる小太郎。体中にビリビリと電撃が走っている。
それでもなんとか起き上がろうとする。
「な、なんや…これ…。この邪悪に満ちたネギの…パンチや魔法は…。い、いつもより強…す…ぎ…や…」
ドサッ。小太郎は倒れ込んでしまった。
「クソッ!」
真名が発砲しようとした時、ネギの姿が消えた。
「なにっ!?」
「龍宮、右だ!」
刹那が叫ぶ。慌てて右に向き直る真名。ところが…
「遅すぎるよ。龍宮さん。」
いったん右側に行き、直後に左に回り込んでいたネギが手を真名の背中に密着させる。
「しまっ…」
「白き雷…」
ズババババババー!!!!
「ぐあああああああ!!」
至近距離から雷の魔法を受けた真名はそのまま崩れ落ちていった。無詠唱だったので、避ける暇もなかった。
「真名ー!ネギ坊主、やめるアルー!!」
「遅すぎですよ、クー老子…双撞掌!」
「!!!」
宙へ飛ばされる古菲。ネギが跳び上がる。踵落しで古菲の体を地面に叩きつけた。
「あ…が…」
それでもなんとか起き上がろうとする古菲。しかし…
「馬蹄崩掌!!」
「ぐふっ!?!?」
ドサッ!
床に落ちた古菲はそのまま動かなくなった。
ここでようやく、サンとネギの融合が解けた。分裂する2人。しかし、ネギの瞳には依然として邪悪な意思が宿っている。

「ヴィーナスよ、このちゃん達を守ってくれ。」
ヴィーナスのカードの力で、黄金色の結界をこのかとのどか・夕映・和美の周囲に展開する。
刹那はウラヌスとネプチューンのカードを取り出しながら、ネギに突進して行く。
「ネギ先生、お覚悟を!風水連携 烈水斬空閃!!」
青い髪となり、同じく青いハルピュイアの羽(元々は白い)を出した刹那が、水の力を帯びた風の刃をネギに向けて繰り出す。
「フンッ!」
ネギが障壁を張り、何とか防ぐ。
「これで終わりですか、刹那さん?」
「まだまだ!烈風 百烈咲華斬!!」
ものすごいスピードで技を繰り出す刹那。
「くっ、うっ、のあっ…わっ、わああああ!!!」
刹那の連続攻撃がもろに入った。マーズのカードを使い、ダメ押しと刹那がもう一撃加える。
「火神奥義 紅蓮斬岩剣!!」
炎をまとった斬岩剣がネギを捉える。
「アアアアア!!」
ドサッと地に倒れ伏せるネギ。
「ネギ!?」
「ネギ君!」
「大丈夫です、アスナさんにこのちゃん。峰打ちです。急所もはずしましたし…」
ネギを心配するアスナとこのかに説明する刹那。
刹那は油断することなく、サンの方を向く。すでに楓が戦っている。
「ハハハ、なかなかいい動きだよ。甲賀中忍、長瀬楓。さすがはジュピターを倒しただけのことはある。だが…!!」
サンは右手を上にかざす。瞬時に巨大な火の塊が出来上がる。
「ファイヤーアロー!!」
「うおっ!」
火の塊から出てきた、燃え盛る火の矢を何とかかわしていく楓。
「フレイムボールシャワー!!」
今度は無数の炎の弾がまるで大雨のごとく降ってくる。
「しまった!」
炎の塊が楓に直撃…しなかった。
「水流斬岩剣!!」
刹那の技が炎の弾を相殺した。刹那はもう一撃放つ。そのまま怒号のごとく水流がサンを襲うが、
「ムダだ!そのカードは元々私が使っていたことを忘れぬよう。」
水流が蒸発してしまった。
「この!行け、植物の力よ!そして地の力よ、地塵斬空閃!!」
アースの力でツタをサンに絡め、サータンのカードを使った攻撃。地面をえぐるように進んでいく。
ツタはすぐに燃やされていくが、地塵斬空閃はサンにヒットする…かに思えた。
「フン、愚か者が。マジックドレイン!」
サンのとった行動は予想外のものだった。一気に斬空閃に向かって行き、そしてその強烈な衝撃を吸収してしまった。
「なにっ!!」
とっさになにが起こったのか理解できない刹那。楓が巨大手裏剣を投げつけるが、簡単にあしらわれる。
「…ガ・ゲル・ガゲガゲル・エルガゲル!!」
そのときサンが手を振りかざす。さっきよりも大きな力を感じる。サンの手に集まっているのは、火というより光だ。
「これをくれてやる。ビッグバン・バースト!!」
超強烈なまばゆい光が辺りを覆う。
「うああああああああー!!!!!!」
「おおおおおおおおおー!!!!!!」
刹那も楓もその焼けるような痛みをもろに受けながら吹き飛ばされた。

「あわわわ、ヤバすぎだぜ、これは。」
ビーナスの障壁の中で、戦いの様子を見守っているカモが、かなり深刻そうに言う。
「ううう…このままでは負けるのは確実です。どうやってもうまく返されるのが目に見えています。」
夕映がカオラのマシンを使いながら言った。
「魔法の本を使って相手の心を読んでも、展開が早すぎてみんなに教える暇がないよ~。うう…ネギ先生…」
のどかはベソをかいている。
「くぅ…八方塞か…」
和美がそう言った時、ビーナスの障壁が消えてしまった。
「ヒイイイイイ!!」
丸腰になってしまい、焦る4人(カモ含む)。ネギがむくりと起き上がり、意地の悪い表情を彼女らに向ける。
「このかさん、のどかさん、夕映さん、朝倉さん、カモ君、あなた達は分かってくれますね?僕はあなた達を傷つけたくはないんです。」
「ネギ君、あかんよ!いつもの優しいネギ君に戻ってえな!」
このかが叫ぶ。ここまで必死に叫ぶ彼女は非常に珍しいだろう。
「い、いや…ネギ先生~」
のどかが哀願する。涙をボロボロとこぼしており、もはや前がよく見えていない。
「ネギ先生、正気に戻って下さい!」
夕映が懸命に訴える。もう顔は緊張で真っ赤だ。
「ネギ先生、しっかりしてよ!」
和美もいつになく真剣に呼びかける。
「頼むよ、アニキ!」
カモも必死に説得しようとする。しかし…
「そうか…残念だよ、本当に…」
「!!!!!」
ネギが杖を構える。このか達に向けて…
「風花 武将解除…」
ネギは非情にも、このか達に攻撃魔法を放った。
「(危ない!!)」
その瞬間、アスナは反射的にネギの方に突っ込んで行った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:51 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第50回「ネギの暴挙」
ようやくアスナは遺跡の最深部についた。
なぜかずいぶんとハイテクな感じだ。機械のような物が壁に張り巡らされている。
サンの姿は見当たらない。アスナは辺りを見渡す。ネギも見当たらなかった。
ふと、大きな窓から外を見ると、遥かな大空と大地が広がっていた。それはサンの作り出した異世界だった。
「な、なんなのよ、これ。星美遺跡でも麻帆良学園でもないわ。きゃ、きゃあ!」
アスナはその空間に吸い込まれた。アスナは宙に浮いていた。
やがて、巨大なピラミッドの様な祭壇の上へと降り立った。
「ここはどこなの?いったい…」
「ようこそ。我が新世界へ。」
サンが現れた。
「あなたがサン・エル・サラマンドラね!いったいここはどこなのよ?ネギをどうしたの!?」
エルは皮肉な笑みを浮かべ、諭すように答えた。
「そう、いきり立たないで、落ち着きたまえ。いつも短気なプラネットウォーリアの小娘共にも言っていたんだが、“短気は損気”だよ。」
「あんなやつらと一緒にしないでよ!」
「フフフ…まあ元気があっていいか。ここは私の創った世界。我々エル族の新たな新天地。ここを拠点にエル族の世界を広げていくのだよ。全世界へとね。」
「なによ、それって…」
「ハハハ…俗に言う侵略というものかな。本当はそんな汚いものではないが。君たちのおつむでは私の理想など理解できまい。」
アスナは相手を睨みつけながら、言い返す。
「ふん、どうせ私はバカよ。でもあんたの理想だって、どうせ陳腐でいいかげんなものなんでしょ。」
「私は神になる。この世界をエル族にふさわしいものに作り変え、すべての頂点に立つ。その世界は何も争いごとなどは起きない。悲しみや苦しみなんてものもない…」
サンが遠い目をする。
「好きな人がいなくなるようなことはないし、死を恐れる必要もない。争いもいさかいもない。何もかもが完璧な世界。人間は弱い。私が彼らを救う神となるのだ!」
アスナはうんざりしたように言った。
「まったく、なに夢みたいなことを…。ロープレのゲームじゃあるまいし…。」
サンがニヤリと不気味な笑みを浮かべる。
「夢だよ、今はね。私がこの世に君臨すれば、それはすぐに現実のものとなる。そう、私が頂点に立つ、完璧な世界が。」
サンがアスナの方に歩み寄って来る。
「さあ、私の夢と理想のために君にも協力してもらおう。神楽坂明日菜君。」
「いや…来ないで…来ないでよー!!!ア、アデアット!」
アスナはハマノツルギを構える。ハリセン形態だ。
「ハハハ、そんなおもちゃは私には通用しないよ。さあ、こちらに来たまえ。」
「ううう…くらいなさーい!!」
ズガがーン!!
サンにハマノツルギを炸裂させた…と思いきや。
「フ、やはりそれだけかい?そんな力では、私を倒すなど到底不可能だ。おとなしく私の元へ来なさい。その方がお互いのためだと思うがね。」
ハマノツルギがサンのかざした手に止められていた。
「ぐぐぐ…負けるもんですか!てい、てい、てーい!!」
ハリセンで叩きまくるアスナ。しかし、焼け石に水とはこのこと。サンは澄ました顔をしている。
「ハァハァハァ…くううう…」
「で、どうするんだい?私も少々忙しくてね。君と遊んでいる暇はないのだが。」
サンはもう一度語り出す。
「もう一度言う。私が頂点に立つ世界になれば、苦しみも悲しみもなくなる。みなが笑って暮らせる世界になるんだ。」
そのとき、アスナが聞き慣れた声が響いた。
「ウソです、そんなに都合のいい世界が作れるわけがありません。」
「確かにこの世界には悲しみや苦しみがあるでござるな。しかし…それらがあるからこそ、喜びやら感動というものもあるのでござるよ。」
「そ、そうです。世の中悲しいことばかりじゃありません。」
夕映と楓、そしてのどかが言った。古菲と真名も後から近づいて来る。さらに…
「好きな人との別れもいつかはくるんや。それを恐れとったら誰とも会われん。」
小太郎がゆっくりとこちらに歩みを進める。プラネットウォーリアの女、セイラのことを思い出しているようだ。
「生きている限りいつかは死ぬときが来る。それが自然の摂理。命には限りがある。だから大事なんだ。」
「せや、みんな自分の力で幸せになれるんや。」
刹那とこのかが言った。
「このか!刹那さん!みんな…」
アスナは急に勇気が湧いてくるのを感じた。それに対し、エルはおかしそうに笑った。
「アハハハハハハ!なにかの映画のワンシーンみたいだな。その台詞もどっかからのパクリだろうが!」
「うるさいわね!みんな準備はいい?あいつをやっつけるわよ!」
アスナが意気込んだ。
「フッ…やるのかね。それではみなさんに私のミニステル・マギをご紹介しましょう!」
サンがパチン、と指を鳴らすと、サンの足元の小さな魔方陣が光り、人影が姿を現した。
「ネギ・スプリングフィールド君!」
その人影は、紛れもなくネギだ。しかし明らかに目つきがおかしい。
「ネ、ネギ!?」
「サウザンドマスターには借りがありましてね。彼の息子を私のしもべにして差し上げたのだよ。」
サンがしてやったりといった表情を見せる。
「みなさん…、サン様に逆らわずに降参してください。僕も生徒たちを傷つけたくありませんから。」
「う、嘘よね?ネギ!」
狼狽するアスナ達。
「そ、そんなネギ先生が…」
「ネギくんが敵!?」
のどかとこのかも驚きを隠せない。サンがほくそ笑む。
「どうだい、降参する気になったかね?ああ、一つ言っておくが、契約するのにキスしたわけではないから安心したまえ。」
「なにバカなことを言ってるのよ!ネギ、そいつの言うことなんて聞いちゃダメよ!」
その時、サンがネギに向かって力を使い始めた。
「ふふふ、ネギ君の魔力は私の物だ!!…ガ・ゲル・ガゲガゲル・エルガゲル!!融合儀式支配対象者ネギスプリングフィールド融合時間90秒間!!」
なんと、サンとネギの体が融合してしまった。あまりの出来事に一同は唖然としている。
姿形はネギがそのまま大人になったような感じだが、邪悪な意思と気迫が魔力の弱い素人でも感じられるほどだ。

それでもアスナはネギに近づいていく。
「ネギ、しっかりしなさい!」
「ダメですよ、アスナさん。来ないでください。それ以上近づいたら、僕の大切な生徒が傷ついてしまいます。」
「本気で言ってるの!?自分が何言っているのか分かってんの!!」
アスナはネギの至近距離まで近づいた。
「来ちゃダメですってば…来るんじゃない…来るなぁぁぁー!!!」
ネギの顔つきが豹変した。
「風花 風塵乱舞!!」
不意にかなり強烈なネギの魔法がみなに襲い掛かって来た。正気の時の技より邪悪で強力だ。しかも無詠唱。
「うわあああああ!!!」
みんな後方へ吹き飛ばされていく。マジックキャンセラーを持つ、アスナを除いて。
「みんなー!」
アスナがみなの方に振り向く。そのアスナに、ネギの魔力を帯びた強烈なパンチが襲いかかった…
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# by konosetu | 2001-01-01 00:50 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第49回「極悪非道な戦士」
パララケルス島。
瀬田たちはB-ジャックと嘉島春水を倒した。
彼らは不意に現れた異世界へのゲートへと吸い込まれていき、消えた。
そして、遺跡の封印を解放するための鍵である、モニュメントを祭壇の台座に、はめ込もうとするところまではよかったが…
「ここまできて…くっそー!!」
サラが悔しそうに叫ぶ。
「こいつは…まいったね。」
瀬田が苦笑いをしながら冷や汗を流す。
「まったく、ろくなことがないな、ほんとに。」
はるかもヤレヤレといった様子だ。
3人は完全武装した盗掘者の集団に囲まれてしまっていた。ざっと40人はいる。どうやら大規模な国際的犯罪組織らしい。
銃を突きつけられて脅されてしまったため、しかたなく瀬田はモニュメントを彼らに渡したのだった。
「ウヒヒヒヒ、これでお宝は俺たちのものだぜ!ヒャハー!!」
「さあ、パララケルス遺跡の封印の解放だー!!」
「Let’s try!」
盗掘団の男がモニュメントを型に当てはめた。
ゴゴゴゴゴゴ…
大きな音が辺りを包み込む。遺跡の壁が、天井が、石像が、変形していく。
「オオオオオオオオオオ!!!」
盗掘者たちの歓声が響き渡る。その時すさまじい光が辺りを覆った。そこにいた者達全員が目を覆う。
やがて光が晴れ、遺跡の変化がやんだ。どんなお宝が眠っているのか。盗賊達はさっそく行動に出る。ところが…!
「ぎゃあああああああああ!!」
突如、モニュメントをはめ込んだ男から絶叫が発せられた。場の空気が一瞬にして凍りついた。
その屈強な男は、体を血まみれにして生き絶えてしまった。
「な、なんだ、いったい…ぐおおおおおおっ!?」
別の男も断末魔を上げ、息絶えた。1人の人影がこちらに近づいてくる。
「Oh, shit!」
英語の声も上がった。それもかなり緊迫している様子だ。
「う、撃てー!!!」
「Fire!!」
盗掘者たちが一斉に射撃を行う。しかし、それも虚しく次々と恐怖に歪んだ表情と絶叫がこだましていく。
ものすごい爆音が辺りに響く。遺跡の壁がボロボロと崩れていく。
「パパ!」
「ああ、どうやらとんでもないことになっているようだ。今の内に退散しようか。」
「そうしたほうがよさそうだな…」
瀬田、はるか、サラは凄惨な光景を尻目にそそくさと退却したのだった。
「ん?」
逃げる際、サラは1つの宝石を見つけた。ほんの小さな、オレンジ色に輝く宝石を。
とっさにそれを拾って行ったサラ。…実はそれはパララケルスの秘宝中の秘宝。
その宝石が秘めている力が、殺戮者をこの遺跡に封じ込めていたものであることを、サラは知る由もなかった。


盗掘者たちは、そのほとんどが凄惨な最期を遂げてしまった。
ほんの数人だけ生き延びた幸運な者も中にはいたが、それは彼がたまたま見過ごしたからに過ぎない。
その殺戮を終えたその長身の少年は、全裸で遺跡の祭壇に佇んでいる。盗掘者の男の首をつかんで。
年齢は少なくとも17歳ぐらいに見える。不敵な笑みを浮かべ、口元を吊り上げる。
「フーッ、フーッ…ハハ、アハハハ…。気持ちがいいぜ。久しぶりに狭い暗闇の世界から外に出られた。」
つかんでいる大柄で屈強な男を、上へと掲げる。まだ虫の息を残していた男のうめき声が漏れる。ゴキッと、イヤな音がした。
「なあ、すがすがしい日だ。本当によ。もうなんでも来いって感じだ。」
少年は完全に事切れてしまった男を放り捨てると、「クッ、クッ、クッ」っと笑いを漏らす。
それから、凶悪で邪悪な意思を持った瞳で、大穴の開いた遺跡の天井から空を見据える。
「ディバイン・クルセイダーズの神、ン・ダグバ・ゼバ、ここに復活せり。ウオオオオー!」
ダグバの上げた雄叫びが、遺跡中にこだまする。
彼は、彼が遺跡に封印された後も、残党としてひっそりとながらも活動を続けている、部下たちに思いを馳せる。
「間もなくディバイン・クルセイダーズは完全復活する。待っていろよ、我が同胞達よ!」



ウェイアード、シンフォニア学園都市。
「あのディバイン・クルセイダーズの邪神といわれている、ン・ダグバ・ゼバが遂に復活したようね。」
シンフォニア学園都市の学園長兼レインボー魔法学院学院長である、桜御ことみが緊迫した面持ちで、つぶやく。
「はい、恐れていたことが現実となってしまいました。早く彼の者を再び封印しなければ、もう…」
女王も見たところ落ち着いているようであるが、内心ではひどく動揺している。
才臥やB―ジャックたちが帰って来てから間もなく、ダグバの復活を感じた、シンフォニア女王、桜御ことみ、そして華道芽美はこの由々しき事態に対処するための案を共に練っている。
「一応手は打ってあります。しかし、うまくいくかどうか。彼女なら負けることは、まずないと思いますが、倒すとなると…」
華道芽美が、思考を張り巡らせながら、事態を打開する策を打ち出そうと必死になっている。
「私が自ら行くことも考えなければいけませんね。」
芽美が決意したような表情で言った。しかし、ことみがそれに釘を刺す。
「それはダメよ。確かにあなたの力は強大よ。でもあなたに、万が一のことがあったら、あなたの子どもたちはどうなるの。まだ、小さいのに…。それに、あなたを心の拠り所として慕っている人々が、大勢いることもお忘れなく。」
「それは重々承知しています。ですが…」
「ことみさんのおっしゃる通りです。あなたは自重するべきだと、私も思います。」
女王がことみの意見に賛成する。しかし、芽美はそれでも反論する。窓の外に目を向けながら言う。
「でも、私が行かないと、下手をすると私達の生徒らが危険な目に遭います。事態の収拾が着かなくなる前に、なんとしてでも早急になんとか手を打たないと…」
これにはことみも女王も返す言葉がなかった。
学校の生徒たちが危険な目に遭う。それはこのままだと、近い将来ほぼ確実に起こることなのである。
少しの間流れた沈黙を破ったのはことみであった。
「それはしかたのないことなのかもしれないわね。確かに教師として、生徒たちを戦いに巻き込むことは、躊躇われることだけれど…」
「…もうすでに戦っている子達もいるんです。それも大勢。彼らは強いですよ。私たちが思っているよりもずっと。」
女王がことみの言葉を継いだ。
「分かっています。しかし、ン・ダグバ・ゼバやカイゼルと戦うとなれば、話は別です。」
芽美は他のどの教師たちよりも、生徒達を大切に思っている。まるでみんなが自分の本当の子どもであるかのように思っている。
色んな種類の生徒がいるが、みんなかわいい子達ばかりだ。(ちなみに本当の息子と娘が1人ずついたりもするのだが…。)
かなりの実力の持ち主、ひょっとしたら絶大な力を待っている自分よりも、さらに強い生徒がいるというのは知っている。
しかし、このかなり過酷になるであろう戦いに生徒たちを駆り出すなど、芽美にとっては耐え難いことであった。
「でも、ダグバの元に送り込んだ子だって、生徒なのよ。」
ことみが鋭い指摘をする。
「え?あ……そうでした~♪友達みたいに対等に接している子だから、生徒だって事すっかり忘れてました~。私よりもずっと年上だし。(見た目は17歳ぐらいですが)アハハハハハ……」
頭をかきながらバツの悪そうな表情で苦笑する芽美。なんだかいつもの調子に戻ったみたいだ。
「あのねぇ…」
ことみが呆れたように額に手を当てながら、やれやれと首を振る。
「とにかく今は…」
芽美はまたクールな表情になって言う。
「彼女を…世羅零菜ちゃんに賭けるしかありませんね。彼女ならきっとダグバを倒せると思います。」



まもなく朝が来る。ここウェイアードでも。そしてマホラワールドにも。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:49 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第48回「新たの戦乱の予感」
パララケルス島にて。
「医療器具を武器に使ってくるなんて、医者の端くれかな?」
瀬田記康は攻撃してくる相手、B-ジャックに話しかける。
「まあな。だが、今は違う。真の医者は医療器具を武器などにはせんからな。」
B-ジャックは目を細めて言った。
「いろいろとワケありみたいだね。でも、ここで負けるわけにはいかないんだよ。」
いつもの緩やかな余裕の表情を崩さずに、瀬田は返答する。飛んできたメスや注射器の束を器用にかわす。
「そうだ。いろいろあって私は医者という職業に絶望した。やってられんよ、まったく。」
「それで?どうして僕達の邪魔をするんだい?」
「言ったはずだ。遺跡の封印を解くことは危険なことだと。ウェイアードだけではない。この世界、マホラワールドも危険にさらされるのだぞ。」
瀬田が怪訝な表情になる。
「う~ん…さっきから言っていることが見えないのだけれど…。もう少し詳しく…。」
しかし、B―ジャックは聞く耳を持たないようだ。
「うるさい!いいから早くここを立ち去れ!」
メスや注射器の雨が襲ってくるが、瀬田は大きなキックでこれをなぎ払った。次の瞬間、一気に間合いを詰める。
「な、なに!?」
「これで決まりだよ。」
「し、しまっ…うおおおお!!」
左ストレート、右アッパー、そして上段回し蹴り!宙を舞うB―ジャック。瀬田の渾身の一撃がB―ジャックを仕留めた。
元天才外科医の哀れな末路であった。(死んでないけど…)


嘉島春水とはるか・サラペアの戦いもそろそろ雌雄が着こうとしていた。
春水は苦戦を強いられていた。最初こそは余裕をかましていたが、2人の巧みな攻撃に次第に押されていった。
サラの父親譲りのクンフー。そしてはるかの銃さばきに。
「ぐ~なんだ、このオバサンとガキ…最強の暴走族と恐れられたこの俺様が…」
「だ・れ・が・オ・バ・サ・ンだって~。」
「ガキ扱いするなよ!!」
「あ…」
春水は絶句した。どうやら禁句を口走ってしまったようだ。
はるかが春水の至近距離にまで来て、彼の魔法の力のうずいているバットを取り上げた。
そしてそれを…へし折った。
「ひぃぃぃぃぃ…」
さらにサラが素早く近づいて来て、春水の股間を思い切り蹴飛ばした!
「△■○×☆*$%@◇▼#&◆!?」
地に倒れ伏し、言葉も出せず、身悶える春水。ダメ押しにと、はるかの鉄拳が左頬に入る!
遺跡の壁に激突し、完全にノックアウトしてしまった。
残されたのは、過去に最強のスラッガーと呼ばれた男の、憐れな成れの果てであった。(まだ生きているけど…)



所変わって星美遺跡。
素子は幽霊のユリウスと死闘を繰り広げていた。
(ちなみにサンの刺客が数十人ほど襲ってきたが、素子が彼らを瞬時に片付けてしまった。)
「斬魔剣弐の太刀!!」
「ちぃぃぃ、これしきのことで!」
刀と剣が交差する。
ジャキン、ジャキン、ジャキーン!
「この幽霊が!浦島となる先輩を倒しても、この私は倒せんぞ。なぜなら…」
素子が愛刀の『ひな』を逆袈裟に振り上げる。
「神鳴流の本来の役割はお前たちのような悪霊を倒すためなのだからな!」
「うわあああ!!」
盾ごと斬られたユリウスは、追い討ちを逃れようと後退する。
「弓矢ならどうだ!」
矢を信じられないほどのスピードと正確さで矢を射り、素子を攻撃する。
しかし素子は、それらを余裕で叩き落していく。
「トドメだ!」
素子は一気にユリウスににじり寄る。
「神鳴流決戦奥義 真・雷光剣!だああああ!!」


一方、可奈子とカオラは才臥を相手にしている。
「どんどんいくで。てええええい!!」
「うおっ!?」
カオラのミサイル攻撃とメカタマの大群に押されぎみの才臥。
さらに可奈子が追い討ちをかける。
「よくも兄を!許しませんよ!浦島流柔術 落葉!!」
可奈子の踵落しが才臥の肩や腕に命中する。
「やるな、小娘どもが…。しかし私も名門校である、レインボー魔法学院の教師。そのメンツにかけて負けるわけにはいかん!」
才臥が大技を使おうと、力を思い切り溜め始めた。
「はああああああ!!」
しかし、可奈子たちはそんな暇を与えなかった。
「浦島流龍牙・極!」
「メカタマ、ツインサテライトバスターキャノンやー!!」


「うぎゃああああああ!!」
「うおおおおおおおお!!」
ユリウスも才臥もノックアウト!景太郎・なる戦の時と比べて、なんともあっけない決まり方である。
「トドメをさせる必要はない。行くぞ、可奈子にスゥ。」
「ええで!いよいよ親玉が相手やなぁ。」
「分かりました、本当は兄が気になりますが…行きましょう。」
3人はネギま!組を追って神殿の奥へと進んで行った。



後に取り残された才臥とユリウスは、未だ床に倒れたままだった。
「ぐううう…ま、負けた…」
ユリウスが悔しそうに言う。
「残念だが、あやつらの決心は固いようだ。我々には止められん。」
才臥も苦虫を噛み潰したような表情で言う。
「私も衰えたものだ…」
そう言いながら、才臥は目を閉じた。
「あいつらはおそらくサンには勝てるだろうが…」
ユリウスが何とか起き上がりながら言う。幽霊なだけに体力的には自信がある。
一方才臥の方は並の人間に比べると、相当高いものの、それでも年(38歳)のためか体力が続かない。
「ああ、おそらくアイゼン・クロイツの長、カイゼルに滅ぼされるであろう。いくらこの遺跡の強大な力を手にしたところで…」
「カイゼルに勝つには、並みの力じゃ太刀打ちできないってか。ちくしょう…」
ユリウスは地団太踏んだ。しかし、遺跡の封印が解かれることが、半ば決定してしまった今となっては、麻帆良の連中が勝つことを願うしかない。
「まったく、サウザンドマスターもサン・エル・サラマンドラなどという、賊をガーディアンなどにするからこんなことになるんだよ。」
ユリウスはこちらの世界で最強級の魔法使い、サウザンドマスターに思いを馳せ、愚痴を言う。
「今更そんなことを言っても意味がない。それよりこれからどうする?」
才臥がそう言った時、近くの空間に歪みが生じた。その部分の空間だけが、渦を巻いたように揺れている。
「おっと、お迎えが来たようさね。」
ユリウスがその異世界ゲートを見て言う。
「2人ともお疲れ様。どうぞ帰還してくださ~い。B-ジャックさんと嘉島 春水君も帰ってきましたよ。」
迎えに来たニコニコ顔の女性――華道芽美が言った。
「おっとこれはこれは、芽美先生ですか。まさかあなたがお迎えに来てくださるとは。」
才臥はこの自分より10歳以上年下の若い、カウンセラー兼心理学教師に対して、低姿勢な言葉で話しかけた。
「で、パララケルス島の方はどうだったの?」
ユリウスの方は親しげに話しかける。すると、芽美のニコニコ笑顔が一転、冷笑に変った。明るかった声もトーンが下がる。
「こちらと同じ。ディバイン・クルセイダーズの神が復活するのも時間の問題ね。」
芽美はあくまでクールに答えた。腕を組み、やや下を向いている。
「これ以上ここにいてもできることはないわね。それより、ウェイアードで信じられないことが起きてしまったわ。」
「なんですと!?」
才臥の表情がますます強張る。
「その対策を早急に練る必要があるわね。世界は確実に混沌へと道を歩んでいるわ。それを止められるのは…」
芽美は、普段の彼女からは想像もできないほどの深刻な表情をしている。
いつもの明るいポケポケお姉さんの面影は、微塵も感じられない。
「あの子達だけ…」
彼女は戦士達の姿を思い描いた。まだ大人にも達しない戦士達。自分の生徒達。
かつて芽美も子どもの頃、1人の魔法使い少女だった。
その当時の自分と同じ様な境遇の者達が今、これまでよりずっと激しく厳しい戦いへと巻き込まれていく。
そう思うといたたまれなくなる。
「最悪の場合、ウェイアードは愚か、このマホラワールドまで、滅びの道を歩むことになりそうね。さあ、行きましょう。」
芽美に急き立てられ、才臥とユリウスは、ゲートを通ってウェイアードへと帰って行った。
芽美は目を閉じて、今この神殿で戦っている、麻帆良学園の生徒達へと思いを馳せた。
「歩む道は違っても、みなさんに幸運がありますように。」
芽美の想いは届いただろうか?
最後に彼女は、シンフォニア学園都市とソックリな麻帆良学園のことを想いながら、ゲートをくぐっていった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:48 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第47回「確固たる決意」
「えええい!!」
なるのパンチが神凱才臥を捉える。しかし、才臥はこれを余裕でガードした。
「ふんっ、この程度かー!」
パンチを返す才臥。なるはこれをうまくかわす。続けて繰り出されたパンチもうまくかわす。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ…
才臥のパンチやキックが空を切る。
「へへーんだ。私だってやれるんだから。」
得意げな様子のなる。
「チッ、なかなかやるな。ならこれは…どうだぁぁぁー!」
才臥が力を一気に解放し、気弾を放つ。間一髪でかわすなる。
ズガーン!!!
後方で神殿の外壁が崩壊する。
「ひいいい、ちょっとー!」
バランスを崩し、倒れ込むなる。そこに才臥の容赦ない攻撃が入る。
バキッ!
「あひょえー!!」
ゴチーン!!!
神殿の壁に叩きつけられてしまったなる。彼女は頑丈なためか、幸いケガは軽かったが…
「いたたたた…。あう、脚を痛めちゃったみたい…」
「しまった!なる。」
景太郎はそんななるを助けに行こうとするが、そこにユリウスが割って入って邪魔をする。
「させないよ!くらえ!!」
弓矢で攻撃するユリウス。何発も撃ってくるが、景太郎は余裕でそれらをかわす。
「なんのこれしき…いいっ!?」
矢をよけた瞬間、ユリウスが長剣で接近戦に持ち込んできた。
「古代のグラディエーターを舐めんなよ!ていていてーい!」
「あわわわわ…。しかたがない、それなら!」
景太郎はユリウスの攻撃をうまくかわし、後ろへ大きく後退し、間合いを取る。
「幽霊にはこの技だ!素子ちゃん直伝、斬魔剣弐の太刀!!」
「おわあああ!」
景太郎が、どこから出してきたのか、竹刀を使って神鳴流の技を繰り出した。
魔のみを断つ必殺技だ。どうやら素子との修行により、身につけたらしい。
ユリウスは身の危険を感じ、脇へ退いた。
「しまった、避けられた!」
体勢を整えなおそうとする景太郎。しかし、背後から才臥が迫って来ていることに遂に気づかなかった。
「烈破豪神拳!!!」
「うわー!!」
才臥の一撃を受けてしまった景太郎は、倒れているなるのそばまで飛ばされて、そのままノックアウトしてしまった。
「あううう…負けた~」
「景太郎~…ってなに胸を触ってんのよ!」
「あひょえー!!」
才臥は、もはや景太郎たちには目もくれず、歩み始める。背後では景太郎達が騒いでいるが…。
「あの2人にトドメはさせないのかい?」
ユリウスが才臥に問う。才臥は静かに、しかし迫力を込めた調子で答える。
「我々の目的はなんだ?最優先の目的は遺跡の封印を阻止することだ。これ以上あの2人と遊んでいる暇はなかろう。」
「そりゃそうだ。」
ユリウスが苦笑いしながら才臥に続く。
「まあ、ついでにサンを抑えられるといいが。あの麻帆良の子ども等を敵に回す必要はない。むしろ我々の味方となり得る存在なのだから。」
2人は神殿の奥へと進んで行った。



「分かれ道か…」
先立って歩いていた素子が言った。遺跡の奥へと進んでいた一行は、2方向への分かれ道へと突き当たったのだ。
「さて、どちらに進むか。ここで選択を誤れば、取り返しのつかないことになるやもしれん。」
みんなは悩む。
「そうだ本屋、あんたのアーティファクトを使えば…」
和美が提案する。これにはのどかの代わりに夕映が答えた。
「ダメです。心を読み取る相手がいませんので、無理かと。」
途方にくれていると、機械の音がしてきた。スゥが立てた音だ。
「ジャーン、ここで登場するんが『ドラゼロ君』や!ほれ、これを着けてみ。」
スゥが妙なポケットから、怪しげな機械を出した。これまた不気味で目のような模様が入っている。
「つこうたら、これからどうすればええんかを教えてくれるんやで。」
「お~なんだかスゴイアルね~。ハカセみたいアル。」
古菲が感心する。
「で、問題は誰がこれを使うかですが。」
可奈子の言葉に夕映が反応する。
「私がやりましょう。もし何かがあったとき、みなさんの手が空いているほうがいいでしょうから。こんな私でもお役に立てるのなら、ぜひやらせてください。」
みんななるほど、と納得する。夕映は妙なマシンを目に装着した。
「おお、こ、これは…」
「どうでござるか?」
楓が聞いてみる。夕映が少し焦った声で答える。
「右側の道から敵がこちらにやって来ます!さっきのあのお2方が足止めしたはずの2人です!あ、後方からはサンの兵士たちが数十人ほど。」
「はわわ、敵さんも本気みたいです。」
のどかもアーティファクトを見ながらオドオドしている。
「うへー、こりゃおもろそうやな。この気はさっきのやつらか。」
小太郎が手をポキポキ鳴らしながらで言った。
「確かにさっきのやつらだ。才臥とかいう男とユリウスとかいう女の幽霊。浦島達は敗れたのか?しかたがない、ここで時間をとってはいられない。私はここで足止めをする。その間にみなは早く奥へ!」
「師範が!?しかし、あなたに奥に行って頂きたいのですが。その方が戦力に…」
躊躇する刹那に素子は諭すように言う。
「幽霊が相手なら、私達に任せてほしい。それに…」
素子は右手を刹那の右肩に乗せて言う。
「刹那、ここから先はお前たちの腕前を信じたいと思う。木乃香お嬢様をお守りしつつ、サンを倒せるのはお前たちしかいない、そう思っている。」
「師範…分かりました。みなさん行きましょう!」
「刹那、いかなるときも冷静さを忘れぬようにな。」
素子が念を押す。
「はい!行きましょう、このちゃん、みなさん。」
刹那はこのかの手を引いて、歩み始める。他の皆も後に続く。
ネギま!組はラブひな組の素子・可奈子・カオラを残し、左側の道から先へと進んでいった。
そのとき、背後と右側の通路から複数の足音が。
「さて、敵を掃除しますか。」
「やったるで!」
「ああ、可奈子、スゥ行くぞ!」
直後現れた敵に3人は向かって行くのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:47 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第46回「強行突破!」
「神鳴流奥義 百烈咲華斬!!」
ズガガガガガーン!!!!!
刹那のものとは比べ物にならないくらい強力な素子の技で、敵が一気に百体程消滅した。
さすがは神鳴流最強の剣士の一角。伊達ではない。しかし…
「くそっ!敵の数が多すぎる!!」
「ええ…これではキリがありませんね。なんとか振り切って先に進まなければ…」
素子の言葉に可奈子が敵をさばきながら答えた。
「邪魔だ、拡散斬光閃!!」
素子は再び大技を繰り出した。敵が3百体程消し飛んでいく。
他の面々もおのおので敵を撃破している。
「ネギー!!!」
不意にアスナがハマノツルギのパワーアップモードを大きく振り上げ、遺跡の壁にたたきつけた。
壁は粉みじんに吹き飛び大穴が開いた。敵も4百体ほど巻き込んで。
「ネギ、待ってなさい!すぐに行くから!」
「!!!!!!!!!」
みんなが唖然としているのを尻目に、アスナは一人で駆けて行ってしまった。
「いかん!彼女は狙われているんだ。一人にしてはいけない!!」
素子が焦りの声を発するものの、敵の大群のせいで思うように動けない。
「うわっと!」
バランスを崩した景太郎がなるの胸をムギュッ…
「こ、このエロガッパー!!!!」
なるパンチが炸裂!!しかしパンチが逸れて、またもや敵に…
「ぎゃあああああ!!!!!」
敵の大群がぶっ飛んだ。一気に5,6百体は消し飛んだ。
「うそ…」
パンチを出した本人までもがまたもや唖然としてしまった。
そして、敵の攻撃が沈黙した。
「今のうちでござる!アスナの後を追うでござるよ。」
「アスナさんはサンって人のいる方へ向かったみたいですよ!」
楓にかばわれていたのどかが魔法本を見て叫んだ。
「ちょうどよかったアル。急ぐアルよ!」
古菲の叫び声でみんなは動き始めた。
「このちゃん、私のそばを離れないでください。」
「わかったえ、せっちゃん。」



しばらく進むと人影が。
相手は一人だが…
一同が立ち止まるとその男は自ら名乗った。
「来たか。我が名は神凱才臥(しんがい・さいが)。遺跡の力の解放は許さん。」
「また出たか。悪いがお前などを相手にしている暇はない。」
刹那が睨みをきかせながら言った。
「そうだな。単純にこの人数差ではお前は時間稼ぎすらできんだろうな。」
真名もいたって冷静だ。
「フハハハハハ!!間抜けなヤツらだな。何の事情も知らずにノコノコと…」
「だ、だれだ!?」
「俺か?ユリウス・パルメキオってんだ。これでも女なんだけどな。」
ユリウスと名乗った女は銀の鎧をまとっており、体が白い光で包まれている。
「(幽霊か!?)」
霊感の強い真名は瞬時にそう判断した。
その瞬間、このかが急に笑い出した。
「キャハハハハ、や、やめてー!」
「このちゃん!?」
ユリウスがいつの間にかこのかに近づいて、くすぐっていたのだ。
「まあ、間抜けな女だから狙われてもしゃあないか、特に近衛木乃香はな。」
そう言うと、ユリウスは才臥の元へと離れていった。
「キサマー!!」
頭に血を上らせ敵に特攻しようとする刹那。
「刹那よ、くれぐれも己を見失うことの無きよう。たとえどんな状況になったとしてもだ。」
「え?は、はいっ!師範!」
我に返り冷静さを取り戻す刹那。
「お前たちは誤解をしている。我々はお前たちの敵ではない。我々にとってもサンは倒さねばならん敵だ。しかし遺跡の封印は決して解いてはならん。」
才臥が説明を始めた。
「何ですって!?遺跡の封印を解かないとヤツを倒すのは無理だと…」
可奈子が意見しようとしたが、素子がそれを制して言った。
「待て。話を聴こうじゃないか。何が言いたい?」
才臥は落ち着いて話し始めた。
「確かにヤツはこの遺跡に眠る虹の力を使わねば倒せぬ。あれがヤツの唯一の弱点だからな。しかし、虹の力を解放することは決してならん。」
「え?どうして解放してはいけないんだい?」
景太郎が首をかしげた。ユリウスが答える。
「今桜咲刹那が持っているカード、そしてアスナ、このか、刹那の3人。確かにこれらがすべてそろえば遺跡の力は解放し、サンを倒すことはできる。だがな、それは新たなる災いを呼ぶ力を復活させてしまうことも意味するんだよ!」
「新たな災い!?」
景太郎は息をのんだ。ユリウスが続ける。
「そう。この遺跡には超絶大な虹の力が眠っているが、ある強力な力がその力によって封印されているんだよ。」
「この遺跡に封印された強力な力だって!?それはいったい?」
景太郎が身を乗り出した。しかし、才臥がそれを制した。
「今はそんなことを話し合っている場合ではない。とにかく遺跡の封印を解くことは許されん。ここは通せない。」
「ばかなことを!そんなこと私は認めん!!このちゃんを助けなければ!」
「サンは世界を征服しようとしているんだ!ヤツを倒さなければ!!」
刹那と素子がいきり立つ。他のメンバーも身を乗り出す。
「来るか。しかし我々と戦うのは時間と体力が無駄になるだけだ。無益な戦いに他ならんぞ。」
すると景太郎が前に進み出た。
「待って。みんなは先を急いでよ。ここは俺が食い止めるからさ。」
「だったら私も。時間稼ぎ程度なら私にだって出来るわよ。」
なるも景太郎に倣う。
「分かりました。先に行きます!」
素子たちとネギま!チームは景太郎となるを残し、神殿の奥へと進んでいった。
「待てっ!」
神凱才臥とユリウスが後を追おうとしたが、景太郎となるが立ち塞がる。
「ここから先は通さないよ。」
「あんたたちなんてやっつけてなるんだから!」
かくして2対2のタッグマッチが開始されたのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:46 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第45回「サンの正体」
「へえ、なかなかやるね。」
ここはパララケルス島。ここにある古代の遺跡で、瀬田とB-ジャックが死闘を繰り広げている。
ジャックは医療器具を武器に瀬田をじわじわと追い詰めようと、躍起になっている。
「くらえ、ピストンポイズン!」
毒を含んだ注射針を何本も繰り出してくる。
「おっとっと、危ない。」
すんでのところでかわした瀬田。針が刺さった場所にあった遺跡の壁が、ドロドロと溶解している。
「おおっ、これはマズイ。遺跡が崩壊しかねない。」
マイペースな瀬田もさすがに深刻な表情になる。
「そう、その通りだ。私はそれで構わない。ディバイン・クルセイダーズの神の復活を阻止できるならな。」
「おうよ、絶対させねぇ!」
はるか・サラペアと戦っている嘉島春水も意気込む。
「ベアーバット!!」
トゲトゲが生えたバットではるかを攻撃する春水。
「ちっ、やってくれる!」
はるかは間一髪攻撃をかわす。
「負けるかよ!」
サラの技が春水を襲う。
「くそ、このガキがー!そんなに滅ぼされたいのか。あの悪魔に!」
各人の死闘は続くのであった。



「ぷはー!おいしー!この水。」
とアスナ。
「すごいです、のどか。ぜひ持ち帰りたいですね。」
夕映が興奮して言った。
ネギま!チームは差し出された遺跡の聖水を飲んで、元気を取り戻していた。
「この聖水にはあらゆる傷…精神の異常も含む…を直す力とあともう一つ、遺跡に眠る虹の力を使用できるようになるという効果があると調査の結果分かっています。」
可奈子が丁寧に説明した。
「確かに効果は本物のようですね。さっきの戦闘の傷どころか、疲れまで吹き飛んでしまいました。」
ネギが不思議な飲み物を目の前にして、興味深そうに言った。
「それにしても、なんだか体が熱くなってきたアル…」
「そうでござるな…。なぜでござろうか?」
「遺跡の力と呼応しているといったところかな。」
古菲と楓の疑問に真名が推論を言う。
「そう、その通り。いかにしてその効果を発揮できるか少々研究して、うまいこと調合したんだ。」
景太郎が得意げに言う。
「そもそも俺たちがここに調査に来たのは、ちょっとしたいきさつがあってね。」
「いきさつ?ほほう…興味がわくね~」
和美がいろいろ質問したそうにうずうずしている。
「少し前にパララケルス島というところにカメ文明の遺跡を発見してね。」
「あ、それ知ってますよ。存在が確認されたのは5,6年前のこと。それでつい3ヶ月ほど前に、超巨大な建造物を発見したとか。確か超古代の遺跡で、世紀の大発見だと騒がれていましたね。ニュースでも大きく取り上げられていましたし。」
物知り夕映が思い返して言った。
「そうそう、その発見をしたのが私たちなのよ。」
なるが答えた。
「それでその遺跡で発見された地図らしきものに書かれていたんだよ。日本にある『星美』という地名がね。大学からの援助が出たものだから、それでこの辺りの調査をしていたんだけれど…」
「遺跡の守り神と名乗る集団から攻撃を受けたわけです。もっとも我々が返り討ちにしましたがね。」
景太郎の説明を素子が継いだ。

そのときだった。
「聞こえるか、ボーヤたち?」
「エヴァさん!」
エヴァが念話を使って話しかけてきた。少し切迫したような話し方だ。
「敵の正体が分かった。奴等、遺跡の番人みたいなことをぬかしていたが、まほネット犯罪者にそれらしいヤツが載っていた。」
「そ、それはいったい…」
ネギたちが息を呑む。
「サン・エル・サラマンドラ…太陽の力を最大限に利用できるという究極の魔法使い。これまでに多くの屈強な戦士や魔法使いを葬っている恐るべき力の持ち主。最近ますます力を上げ、世界に君臨する準備をしているそうだ。」
するとカモがふと思い出したように付け加えた。
「待てよ待てよ…そいつはまさか…」
「どうしたのよ、エロガモ?」
「カモですぜ、アスナ姐さん…じゃなくて。エル・サラマンドラといえば、魔女狩りを成し遂げたエル族の子孫じゃねえか!」カモが叫んだ。こちらも興奮気味だ。
ネギが少しためらいながら、
「カモ君、そのエル族ってそんなにすごいの?」
と聞いた。
「ああ兄貴、奴らは昔から魔力が高く、吸血鬼の真祖とも互角に戦えるようなマグマドラゴンの一族だぜ。そのエル族ってのは魔法界では恐れられ、かつての戦争でも高値で雇われるような腕だったと聞くぜ。」
さらにエヴァが付け加える。
「その戦闘に出されたエル族を絶滅まで追いやったのがボーヤの父、ナギの団だ。」
「ええっ!?!?」
ネギとカモは驚いた。そこにアスナが口を挟んだ。
「強そうなのはわかったわ。とにかくそのエル・サラマンドラって生意気なヤツをやっつけちゃえばいいのね?」
「アスナさん、勢いをそぐようで悪いですが、事はそんなにうまくいくものでは…」
刹那が言った。
「手下たちでさえ、あの強さだったからな。」
真名も深刻そうな表情で言った。楓が付け加える。
「うむ。それにそれほどの強敵が相手だとすれば、他のクラスのみんなにも被害が及ぶかもしれないでござる。」
「その心配はありません。」
黙って聴いていた可奈子が口を挟んだ。
「あなた方のクラスメートのみなさんは、私たちの遺跡発掘チーム専用のキャンプ場にいます。」
「はい。敵の存在を知り、あなたたちがここに来るのを知って手助けをすることにしたんです。戦闘できない方々を我々の手元に置き、保護するためキャンプ場に誘導しました。そしてそのキャンプ場周辺には強力な結界を張りました。彼女らはまず安全です。」
と、素子が説明した。
「そ、そうでしたか、さすがは師範。」
刹那が憧れのまなざしを向ける。
「あまり買いかぶらないでくれ。私もまだまだ未熟者なのだからな。」
「でも神鳴流の中でものすごく強い人アルね。今度手合わせ願いたいアル。」
古菲も目がらんらんと輝いている。
「ええ、ぜひ私も。」
刹那もうずうずしている様子。
「おいおい、決闘や修行もいいが話を戻すぞ。それでサンを倒す方法だが、その遺跡に眠る力が鍵を握っているらしい。」
エヴァが説明を再開した。
「遺跡の力か…もしかしてあのカードのことか?」
小太郎が気づいた。
「そうだ。まさにあの惑星の力を持った9枚のカード。あと衛星のカードもだ。」
「惑星のカードは私が持っています。衛星のは?」
刹那が聞くと、みんなが思い出したようにカードを出してくる。
「あるわよ、ネギは?」
「はい、ちゃんと持っています。」
「あったアル。」
「あるでござるよ。」
「私も持っている。」
「俺もや!」
「麻帆良のみなさんは持っているようですね。では私たちのものと合わせて数えてみましょう。」
可奈子の指示でみんながカードを勘定し始めた。

それをよそにネギはのどかや夕映に話しかけた。
「あの、のどかさんや夕映さんはそのキャンプ場に戻っていてください。今回の戦いは相当危険なものになりそうなので。」
「な、何言ってるんですか!?私たちだってみなさんが心配です!」
「そ、そうです~私たちだって戦えます。アデアット!ほらこの魔法本だって…」
のどかが魔法本を広げたときだった。そのままのどかは手を震わせて固まってしまった。
「ど、どうしたえ、本屋ちゃん?」
このかが本を覗き込む。
「ほえっ!こ、これは…」
「どうしたの、このか…」
「どうされましたこのちゃん…えっ…」
アスナと刹那も自分の目を疑った。
そこには無数の戦士たちの姿が描かれており、今まさにここに近づいてこようとしていたのであった。
さらにエヴァが叫ぶ!
「ま、まずい!やつら麻帆良学園にも兵を向けやがったぞ!何百、いや何千人といる。くそ…学園長のじじぃめ、夜の魔法はまだか!?準備が出来たら私もまた戦う。今度も持たせるんだぞ!」
「これは一気に勝負を決めるべきだな…臨戦態勢をとるぞ!」
素子が叫ぶと同時に、敵がネギたちの元へなだれ込んできた。鎧を身につけ、剣や槍などで武装している。
と、不意にネギの足元に穴が!
「え?うわああああああー!!」
「ネ、ネギー!?」
アスナの声が遠ざかっていく。そしてネギが落ちた穴は…塞がってしまった…
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# by konosetu | 2001-01-01 00:45 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第44回「救世主④」
「な、なんなんだ、お前は!?」
「貴様は…!!」
突如現れた新手に動揺し、慌てふためく沙弥人とガイ。
「師範!?青山素子師範ではありませんか!!」
刹那はふらふらと立ち上がった。
意識が途切れそうになっていたが、一気に目を覚ましたようだった。
「師範ですって!?それじゃあ刹那さんのお知り合いですか?」
ネギが刹那に尋ねる。
「ええ、彼女は…」
「いかにも。私は神鳴流を継ぎし者、青山素子である。」
素子が毅然とした態度で言った。素子は胴衣と袴姿の京美人で、ネギも思わず見とれてしまった。
はっきりと地に根を張っているような存在感と、刹那よりもずっと強い、しかし静かで自信に満ちた気迫を感じ取ることができる。
「何が師範だよ。神鳴流じゃあ、どうせ俺たちには勝てない。うりゃあああ!!」
いきなり沙弥人が素子に奇襲をかけた。
「魔光斬!!」
しかし、素子は余裕の表情だ。
「神鳴流裏七八式斬魔掌弐の太刀!!」
刀を使わない技。しかし、威力は十分すぎるほどであった。
「うがっ!ば、ばかなぁぁぁぁぁ!!」
がくっ…
沙弥人は一瞬の出来事に、何が起こったのかも理解できぬまま気絶した。
「む、貴様まさか…」
ガイが驚愕の表情でつぶやく。
「お前は気づいたようだな。そうだ、今の技は素手で繰り出した。」
素子は挑戦的な表情でガイを見据える。
「だがお前には敬意を表して、刀でやらせてもらうとしよう。」
素子は愛刀である妖刀“ひな”を構える。
「フハハハハハ!!素手で、しかも一撃で沙弥人を倒すとは。」
ガイも身構える。
「おもしろい、久しぶりに骨のあるヤツに出会えたようだな!いざ尋常に勝負!!」
「臨むところ!!」
素子とガイが激突した。
ズガーン!!
「す、すごい…すごいですよ、刹那さん!あの素子って人、ボクなんかや刹那さんよりもずっと…」
「あ、当たり前です!なんといっても神鳴流最強剣士の一角なんですから!私なんかの何百倍、いえ何千倍の実力をお持ちか。」
「そ、そうなんですか…」
「ほんと強すぎだぜ。あの姉さん」
ネギもカモも素子の戦いぶりに目を丸くしている。
ネギは、素子の戦闘を目の当たりにして興奮している刹那の横顔を眺めた。
刹那の瞳は爛々と輝いていた。憧れの最強戦士の一人である素子の戦いぶりを、この目で直に見られるなんて!
刹那は素子の素早い、しかしどこか美しさの見られる身のこなしぶりに夢中になっていた。
「グラビトンウェーブ!!」
小太郎と古菲を一撃で沈めた技。しかし…
「それがどうした?」
素子は軽くあしらう。刀で弾かれた重力の波が、後方で神殿の壁を砕く。
「チッ、ブラックホールウインド!!」
ガイの手から小さなブラックホールが出現した。
どんなものでも吸い込んでしまい、もし吸い込まれると二度と戻ることはできない。
石屑などがどんどんと吸い込まれていく。素子の髪がバサバサと揺れる。
しかし素子は、まったく慌てる様子もなく、刀を大振りした。
すると、強烈な吸引力を誇るはずのブラックホールが、ガイの手から消滅した。
なんと刀の一振りで、魔力をかき消してしまったのだ。
「な、なんと!?」
狼狽するガイに素子は急接近しようとする。
「バカめ、かかったな!!グラビティゼロ!!」
「ムッ!」
素子の体が宙に浮いた。そのまま床に叩き付けられる。
「く、ううっ!」
もう一度宙に浮く。もう2回叩き付けを繰り返した後、
「今度はグラビティアッパーだ!!」
ガイの元へ一直線に吸い込まれていく素子。その先ではガイが拳を構えている。
重力の力が渦巻く拳。食らったらひとたまりもない。
…と、突然ガイの左上空から黄金の鳥が飛んで来た。
素子の式神“疾風”だ。主の気力の大きさによってその体の大きさが変化するのだ。
今の“疾風”の体の大きさは大きな鷹をも凌駕している。
“疾風”はガイに強烈な体当たりを見舞った。
「うおおおお!!」
バコーン!!!
すごい勢いで突き飛ばされたガイは神殿の壁に叩きつけられる。重力から解放された素子は床にうまく着地する。
「フッ、今の攻撃は効いたぞ。」
素子が挑発的な態度で言った。実際は微々たるダメージだったに違いない。
「おのれ、神鳴流!俺をここまで追い詰めるとは。許さん!」
ガイと体勢を立て直した素子が対峙する。お互い気力を最大限まで上げていく。
「くらえ!渾身の一撃、ガイアプレッシャー!!」
「くだらん!奥義雷鳴剣弐の太刀!!」
素子の放った閃光はガイの重力気弾攻撃を完全にはねのけ、ガイをねじ伏せた。
ズガーーーーーーン!!!!!!!
「ウオオオオ!!バ、バカなぁぁぁぁ!?」
吹き飛ばされるガイ。床に叩きつけられる。それでも何とか起き上がろうとするが…。
「うう…ま、まさかそんな。私の重力を…はねのける…ことの…できるやつがい…る…と…は…」
ガクリ…と倒れ伏せるガイ。
「フ、他愛もない。」
素子は剣を鞘に納めた。


「師範…」
素子が刹那とネギの下へ歩み寄って来た。
「久しぶりだな、刹那。お前も腕を上げたようだな。しかし、まだまだだな。」
「は、はい。面目ありません。まだまだ未熟なもので…。そういえばどうしてここに?」
「ああ、実はな…」
そのとき、入り口の方向から何人かがこちらへ近づいてきた。
「オーイ!!素子ちゃん!」
「浦島か。ああ、他のみなさんも。」
浦島景太郎――遺跡発掘チームのリーダー――を筆頭に団体さんがご到着。
「せっちゃ~ん!大丈夫やったか!?」
「あ、はい。何とか大丈夫ですよ。このちゃんもご無事で何よりです。」
「ネギ、あんたボロボロじゃない!?また無茶しちゃって!」
「心配かけてすみません、アスナさん。」
いつものようなやりとりで感傷に浸っていると、
「いや~みんな無事で何よりだよ。うわっとと!」
「おおおわっと!」
景太郎がつまずいて素子を押し倒してしまった。
「あたた…ゴメン素子ちゃん…あ…」
ちょうど景太郎の手が素子の胸元に。そして背後から殺気が…
「なにやってんのよ、景太郎~!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「わー!ごめんなるー!」
なるパーンチ!!
見事に炸裂して空の彼方へと飛んでいった…
…景太郎ではなく、彼らに不意打ちを食らわせようと背後から忍び寄ってきていた沙弥人とガイたちが…
「あーれぇぇぇぇぇぇー!!!!!」
「どあぁぁぁぁぁぁー!!!!!」
キラン☆
「あら…間違えちゃった…」
舌を出して失敗失敗の表情のなる。傍らで景太郎は冷や汗を流している。
素子と可奈子は見慣れているためか、やれやれモード。
スゥはナハハと笑っている。
ネギま!チームは…あっけにとられるばかりであった…
夕映がこうつぶやいた。
「またうるさい人たちが増えました…」
「ある意味、千鶴姉ちゃんより怖いかも…」
こちらは小太郎のつぶやきである。
ここ星美遺跡の夜は、だんだんと明けていく時間帯となっていた。空に太陽が昇りつつある。
静かな朝。しかしこの日が、ネギたちにとって前日よりも、さらに過酷な日になろうとは、まだ誰も知らなかったのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:44 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第43回「救世主③」
ウェイアード、シンフォニア学園都市の外れにある王宮。
ここで学園都市長兼有数の名門校、レインボー魔法学院の院長である桜御ことみは、シンフォニア女王と対談していた。
「…やはり、“アイゼン・クロイツ”の長、カイゼルの復活は避けられない模様です。」
ことみは一息つく。
「それから“ディバイン・クルセイダーズ”の神と称されている、あの邪悪な戦士も…」
「復活はやむをえないというわけですね」
「残念ながら、時間の問題かと…」
いつもはぶっ飛んだ性格のことみでも、今ばかりは真剣な面持ちだ。
「その2つの他にも邪悪な意思が多数蠢いています。」
女王は悲しそうな声でつぶやいた。
「はい。通常の魔物とは違った存在“ミュータント”。世界公務員シスターたちが懸命に討伐を行っております。」
ことみがミュータントの映像を魔法で映像化しながら説明する。
「人に取り憑き、その者を不幸にした挙句殺してしまう、人間の不幸をその糧とする“厄災神”。嘩亥眞八さんの率いるハッピーズのみなさんが日々退治してくれていますが…」
醜い姿をした様々な種類の化け物たちが映像に映し出される。
「そして、かつて世間を騒がせたジャドーカードに似た“エヴィルカード”。我が娘、ゆいが封印する役目を担っております。」
ことみは日々戦っている娘を想像した。
「他にも未確認ながら厄介な敵が複数存在しているものと思われます。」
報告し終えると、ことみはまたもや溜息をついた。
「生徒たちを戦わせなきゃならないなんて情けない話ですが、我々が非力なせいで…」
「それはしかたのないことです。私たちの出来ることは、その子達を暖かく見守って差し上げることなんですから。」
女王は暖かな眼差しをことみに向けた。
「しかしながら、私たちも何か行動を起こさなければならないこともまた事実です。」
「芽美さん、元女王として、そして様々な子供たちと触れ合う事の多い、学園カウンセラーとして、あなたのご意見をお聞かせください。」
女王は元女王こと、華道芽美に意見を求めた。
「このままでは間違いなく、ウェイアードはおろかマホラワールド、すなわち地球も滅びの道をたどっていくことになるでしょう。」
伏せていた顔を上げる芽美。
「今こそ力を結集していくべきです。それにはウェイアードのみなさんだけでなく、地球のみなさんの助力を仰ぐ必要もあるでしょう。」
「そうですね。しかしながら今、その麻帆良学園が危機に陥っています。邪悪なエル族の生き残り、サン・エルサラマンドラによって…」
ことみが言った。
「打倒サンには、カイゼル復活もやむを得ませんね。地球で有力な魔法使い、サウザンドマスターが彼に“ガーディアンの呪い”をかけたのがアダになるなんて、なんとも皮肉なものですね。」
芽美は沈痛な面持ちでベランダに出た。ことみと女王も後に続く。
夜空には無数の星が瞬いている。夜明けが近づいてきていた。おもむろに芽美が言った。
「麻帆良学園の人たちの健闘を祈りましょう。」
3人は、まだ見ぬ麻帆良の生徒たちの戦っている姿を思い描いたのだった。



「ハァハァ…」
ガイに攻められ、息も絶え絶え、体中傷だらけのネギが杖にまたがってよろよろと飛んでいた。
太陽の遺跡の中に逃げ込んだのだ。その後をガイが悠々と追ってくる。
その気になれば、いつでもネギにトドメをさせられる状況であった。
しかしさっさと勝負を決めてしまってもつまらないので、泳がせているのだ。
ガイはこの状況を楽しんでいた。
「どうした?速く逃げないと追いついてしまうぞ。ハハハ!」
「うう…」
ネギの体に激痛が走る。
「アニキ!大丈夫か!?」
「カモ君!」
ネギの相棒のオコジョ妖精カモが、飛んでいるネギの頭に捕まった。
「なんとか追いついたぜ。今オコジョフラッシュで後ろのヤツの目潰しを…」
そのときであった。
「うわああああああ!!」
遺跡の天井を突き破って刹那が落ちてきた。
「せ、刹那さん!?」
「刹那の姉さん!!」
「ぐ、あ、ああああ………ネ、ネギ先生…?ぐっ…くうううう…」
もはや刹那の体は血まみれであった。翼が、羽が胸に腹、手足にいたるまでが血で赤く染まっている。
プルートが生きていたらどんなに喜んだことであろう。
しかし伊武神沙弥人にそんな趣味はない。
「フ、その程度か神鳴流。情けないなぁ。カードがあっても勝てないんだものな。」
刹那の飛び込んできた穴から入ってきた沙弥人は、刹那から奪った9枚のカードを扇子のようにして持ち、ひらひらさせた。
「すみません、ネギ先生。カードを取られてしまいました…」
「刹那さん…」
「ほう、伊武神沙弥人か。お前も絶好調のようだな。」
ガイが追いついて沙弥人に話しかけた。
「おうよ。でもこんなヤツに本気を出すまでもないぜ。」
「フッ、そうだな。」
沙弥人は刹那の方に向き直ろうとした。
「それじゃあそろそろ…おおっと!」
「斬岩剣!!」
沙弥人は斬りかかってきた刹那の攻撃をかわし、カウンターで技を決める。
「未熟者目が!爆龍斬!!」
ズゴーーーン!!!
「うああああああ!!」
倒れこむ刹那。
「刹那さん!!」
ネギは刹那を助けようとしたが、なにぶん自分の体がボロボロなため、思うように動けない。
沙弥人は刹那の傷口をクリグリと踏みつける。ますます血が吹き出る。
「うぐっ!あああ…」
「ふん、惨めなもんだな。それじゃあそろそろトドメといきますかな。ちんけな神鳴流のお嬢さん。」
沙弥人が刀を構えたとき、不意にガイが叫んだ。
「ん、だれだ!?」
シュパッ!!
「んぎゃああああ!!」
その一撃を間一髪直撃は免れたものの、避けきれなかった沙弥人がつんのめった。
「斬岩剣とはこう繰り出すのだぞ、後輩よ。さっきのお前の斬岩剣では、威力はともかくスピードが劣る。」
「あ、あなたは…!?」
刹那は朦朧とした意識の中で、その女性の姿を確かに見た。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:43 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第42回「救世主②」
半年前。ウェイアード、シンフォニア学園都市一角にて。
対峙する2人の少女たち。
「うう~決闘なんて困るよ~。」
京川さくらが困惑しながら言った。
「黙れ!さくらはこの春原さくらだけで十分だ。“カードスレイヤーさくら”よ、覚悟!」
春原さくらは構わず攻撃を開始する。
「待って!」
「問答無用。くらえー!!」
春原が、ものすごいスピードと攻撃力で京川に襲い掛かる。
「さくら、しゃあない。力を見せつけたれや!」
京川のパートナーの白猫、ソラが叫ぶ。
「でも…」
「さくら、このままじゃやられるぞ!」
「さくらちゃん…」
京川さくらの彼氏、李小龍(りーしゃおろん)と大親友の鹿苑寺雪奈(ろくおんじゆきな)も心配そうだ。
「やかましい!手出し口出しするな!!」
春原が小龍たちに向かってエネルギー弾を放つ。
「うわっ!」「きゃっ!」
「小龍君!雪奈ちゃん!…許さない!」
さくらの周りに魔方陣が現れた。
「古代英雄ジャドーの力を秘めし宝石(いし)よ、契約の元、真の力をさくらに示せ…封印解除(レリーズ)!!」
すると、宝石が星をあしらった杖へと変化した。
さくらは封印された際にジャドーカードが変化した“さくらカード”を取り出し、そのうちの1枚を宙で回した。
そして杖を反応させる。
「ウィンディ!!」
カードから風の精が出現し、春原を拘束する。
「とうとうヤル気になったか!」
2人の激突が開始された。そして約10分間の死闘の末…
「ウォーティ!!」
カードから現れた水の精が、春原を思い切り突き飛ばした。
「な、なに!?うわあああ!!」
「これで終わりよ、ファイアリー!!」
火の精が春原を包み込み…爆発した!
ズド-ン!!!!
「うぎゃあああああ!!ま、負けたのら~…。ガクッ…」
春原は完全にノックアウトしてしまった。
「ハァハァ…ほええええ~…な、なんとか勝てた…」
「さくら!」「さくら!」「さくらちゃん!」
仲間たちが駆け寄った。もちろん、これは京川のことである。
こうして、春原さくらと京川さくらの決闘は幕を閉じたのであった。



…そして現在。
ギリギリギリ…このかの首を腕で絞めつけるさくら。
「う、うう~…」
「さあどうだ。降参する気になったか?」
さくらはアスナたちに降伏を促した。
「す、するわけないでしょ!このかを離しなさい!!」
ヤケになってさくらに飛びかかっていくアスナ。
「フン、しゃらくさい!!」
さくらの放ったエネルギー弾がアスナの足元に着弾する。
ボンッ!!
「ひゃあ!」
後ろへ倒れこむアスナ。
「アスナ!ぐ、こりゃダメだ…する、降参するよ。あんたにゃかなわない。」
和美がさくらの降伏勧告を受け入れた。
「フッ、当然だ。で、アスナはどうする?」
「何言ってんのよ、朝倉!?冗談じゃないわよ。このままじゃこのかが…」
「おとなしく降参すれば、全員これ以上傷つかなくて済む。でも、これ以上逆らえば…」
このかへの絞めつけがどんどんきつくなっていく。
「うぐぐぐぐぐぐ…ア、アスナ…あぐっ」
「ああ…このか!アスナさん、もういいですよ、十分ですよ!!」
夕映が叫んだ。のどかはもう泣き出しそうである。
「このか…うう…わ、分かったわよ。降参すればいいんでしょ、降参すれば!」
アスナはそう言うと、ハマノツルギを納めた。
「(ウヒヒ…これでターゲット2人確保。大手柄だよ~♪)いい子ね。さあアスナ、サンのところへ行きましょう。こっちに…」
そのとき右の方向から声がした。
「まだ、降参なんてしないにゃ。」
「エヴァちゃん!?」
エヴァに似た声のほうを向いたアスナ。しかしその表情からすぐに希望の色が消えた。
というより驚愕した。のどかたち、そしてさくらまでもが。
そこにいたのは1匹の黒猫だった。
ただの猫ではない。浮いていた。そして…喋った!?
「まだまだ勝負はこれからだにゃ。こんな茶番じゃ終われないんだにゃ。」
「ね、猫が喋ってる!?しかも浮いてる!?」
さくらは驚きのあまり目を丸くした。
アスナとのどかたちは最初こそ驚いたが、喋るオコジョを見慣れていたため、すぐに落ち着きを取り戻しつつあった。
「な、なんなんだ!?何者なんだこいつ…」
「それはウチのパートナーやえ。」
不意にさくらの腕に首を巻かれたままの、このかが言った。
「へ?どういうことだよ。な、何を言って…」
「こういうことや!!」
突如このかの肘鉄がさくらのみぞおちに入った。
「ぐおっ!」
苦しみながらのけぞるさくら。続けてこのかの連続パンチが腹や胸に4発入る。
「ぐあっ!があっ!ごおっ!どああっ!!」
そして顎を膝で蹴り上げ、宙に浮いたところを背中に回し蹴り!
「ぷげろもあー!」
ズザザザザザー!
蹴り飛ばされたさくらは地に這いつくばる。
「ゲホッ、ゴホッ!こ、こいつこんなに強かったのか…?」
唇から流れる血を拭いながら、さくらが愕然としてつぶやいた。
驚いたのはさくらだけではない。アスナものどかも夕映も和美も目を丸くしていた。
「こ、このか…あんたいったい!?」
「い、いくらなんでも強すぎるよ、あんた。」
アスナと和美が唖然と言った。
「強くて当然だミャア。」
黒猫が寄ってきた。
「クロ、下がってなさい。このかさん、もう出てきていいですよ。」
するとこのかが草むらから顔を出した。さっきさくらに飛ばされて突っ込んだ辺りだ。
「ええええええええ!?こ、こ、このかが…2人!?」
「落ち着きなってアスナ。きっとそっちの人が私と同じ様に変装しているんだよ。」
「ご名答。」
偽このかがクールに言った。
「くそぉっ!私を欺くなんていい度胸しているじゃないか!!」
さくらは怒りに燃えながら偽このかを睨んだ。
「ええ、お褒めの言葉ありがとうございます。」
と澄ました顔をした。
「あれ、ゆえっちの声!?」
「え?私は何も…」
和美と夕映がそうつぶやいたときだった。
さくらがものすごい勢いで偽このかに殴りかかってきた。
「舐めんじゃねえよ!さくらマッハパンチ!てえええええい!てい、てい、てい、てい!てーや!!」
しかし偽このかはなんなくこの連続パンチをかわす。続けて繰り出されたキックも難なく受け流す。
「これならどうだ!連携桜吹雪!…そして波動弾!!くらえー!!」
さくらの目潰しのための桜の花びらと超強力なエネルギー弾が偽このかに炸裂!顔の一部が剥がれ落ちた。
「残念ですが、痛くもかゆくもありません。」
パンッパンッと服をはたきながら余裕で言い放った。
「な、なんなんだよ…てめぇ何モンだ!?」
さくらの脚はガクガク震えていた。
「いいでしょう、お教えします。」
バサッ!
「あるときは図書館司書。あるときは女性看護師。またあるときは長瀬楓。またまたあるときは近衛木乃香。かくしてその実態は…」
バサッバサッ!!
「浦島可奈子です。」
「ななっ…!お前はあの遺跡発掘チ-ムのメンバーの1人!?」
「そろそろあなたには眠っていただきます。いつまでもあなたと遊んでいるわけにもいかないので。」
「なんだと!?」
可奈子はものすごい勢いでさくらとの間合いを詰めた。
「くそ、さくら波動!!」
「浦島流山彦返し!!」
エネルギー弾がはね返される。
「浦島流柔術落葉!!」
大きく円を描くようにして繰り出されたキックはさくらの右肩に命中する。
「あぎゃ!」
「トドメです。浦島流龍牙!!」
「うぎゃああああ!!」
ピボーン!!!
よろよろ…
「うにゃあああ!!や、やっぱりだめなのら~!?どうしても京川さくらを超えられないのか…みゃあ…」
ゴテッ…。
さくらは完全にのびてしまった。
その有様を呆然として見守るアスナと和美と本物のこのか、そしてエヴァに声がそっくりな黒猫のクロであった。



さくらの戦いの様子を水晶で見ていたサンは、溜息をついた。
「バカめ…京川さくらに対する嫉妬の心を捨てぬ限り、お前に勝利はない。わかっていないよ、お前は…」
サンは立ち上がった。
「そろそろ、私自らが行かねばならぬようだな。それには、まず…」
ニヤリと口元を歪ませる。
「麻帆良学園に兵を向けるとするか。」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:42 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第41回「救世主①」
羅・尉鵡は楓の体を羽交い絞めにした。
そして、そのまま高く跳び上がると、楓の体を地面に思い切り叩きつける。
「必殺!電撃イズナ落としぃ!!」
「うおあー!」
地面が大きくへこんだ。
楓は羅・尉鵡の強烈な一撃の前に沈んだ。
もう動く気力すら残っていない。
「覚悟はいいかい?」
「拙者の負けでござる。ここまでのようでござるな…。」
楓は潔く、覚悟を決めた。
「ほな、トドメや~!」
羅・尉鵡が刀をまさに楓に振り下ろそうとしたときだった。
「キーーーーック!!!」
「あぷろぷれ~!」
羅・尉鵡は素っ頓狂な声を上げながら転がった。
「な、なんだ~!?よける暇も分身を出す余裕さえなかったぞ。」
「ナハハハハハ!ウチのキックは効いたやろ。次はこれや。量産型メカタマや!!」
あの色黒金髪美女だ。無数のカメ型ロボが羅・尉鵡の動きを封じてしまう。
「ひいいいい!!動けない~!」
さすがの羅・尉鵡も身動きがとれず焦りだす。
「お、お主はいったい…む、もしや龍宮殿とクーを救ったという…」
ようやく楓が気付いた。
「いや~あのときの姉ちゃんらの友達か。どや、バナナでも食うか?」
「いや、今は遠慮するでござるよ。それより敵を…」
「ああ、せやな。ほないくで~。メカタマ27や!」
先の戦いで忍者軍団を壊滅させた人型機動兵器が現れた。
巨大な銃型兵器を装備している。
「月が見えたで!エネルギー充填完了。ツインサテライトバスターライフル発射や~!!」
美女がどこか別世界の兵器の名を叫ぶと、人型兵器メカタマ27は超兵器の引き金を引いた。
「よ、よけられなーい!!分身、分身で~!」
ズバーーーーーン!!!!
分身を繰り出したものの、攻撃は羅・尉鵡にもろに命中。分身もすべて消滅した。
ひゅ~う…ドスン!
「はいな~…ま、負けました~…。コテッ…」
羅・尉鵡は撃破された。黒焦げである。
「死んだでござるか?」
「いんや、まだ生きとうで。加減したし。それよりバナナでもどや?遺跡の聖水で冷やした特性バナナやで。」
「かたじけない。それではいただくとするでござるかな…それでお主は何者でござるかな?」
「ウチか?ウチは…」
美女は相変わらずニコニコしながら、
「カオラ・スゥや。よろしくな。」
と名乗った。
「ふむふむ。拙者は長瀬楓でござる。此度は恩にきるでござる。このバナナいけるでござるよ。」
楓はバナナの力で元気を取り戻したようだった。



「やーい、やーい!弱虫泣き虫や~い!」
海瀬悠は幼い頃、ひどいいじめを受けていた。
あくる日もあくる日も執拗に自分を苦しめてくるやつら。
そんなやつらから自分を助けてくれた存在が1人だけいた。
「やめろ!こいつをいじめるやつは俺が許さない!」
その少年が一括すると、いじめっ子たちは去っていった。
「…ありがとう。」
「いいってことよ。」
2人は強い友情で結ばれている…そう信じて疑わない悠であった。
ところがある日、悠はとんでもない光景を目の当たりにしてしまった。
いじめっ子たちと悠をいじめる算段を立てているその少年を。
悠を助けてくれていると思っていた少年は、実はそのいじめっ子たちの一味だったのだ。
近いうちに悠を痛めつけて、絶望させてやろうと芝居をしていたのだ。
救いの手を差し伸べると見せかけて、その手を払いのけてやろうという、かなりたちの悪い計画であった。
いずれにせよ、悠は絶望した。
いじめ計画を事前に知ったとはいえ、絶望するには違いなく、その時期が少し早まっただけだ。
怒りに燃えた悠は、それまでいじめられていた時とは打って変わって、乱暴な性格に。
その奥に秘められていた強靭な力を駆使して、裏切った友を含めた、いじめっ子たちを次々と…。
その後、悠は人が変わったように、我流の拳法の修行に没頭していったのであった。


真名はもはや傷だらけで立っているのもやっとという状態であった。
「はぁはぁはぁ…。くそっ…まさかこれほどとは…。こうまでやられてしまっては…。情けない…」
「そうだな、屈辱だよな。でも俺の受けた苦痛はこんなものじゃなかったんだぞ。俺は親友を…あいつを信じていたそれを…それをーーー!!!」
悠の右の拳が真っ赤な炎を上げている。
「俺はあいつを砕いてやった…この拳でな。今度はお前の番だ!くたばりやがれー!!ゼットバーニングストレート!!」
「くそっ、よけられない…」
真名は死を覚悟した。そのとき…
「のああああああ!!」
悠の悲鳴が聞こえてきた。悠が繰り出そうとした炎の拳は真名に当たる前に止まっていた。
その右腕がつかまれて、きつくひねられている。ひねっているのは1人の青年であった。
「おおっと、女の子をいじめるなんてひどいな。しかも一方的に。」
その青年が悠の腹に強烈な蹴りの一撃を加えた。さらにもう一発、今度は右肩に。
「どわー!!な、何者!?」
「アハハ、ただのしがない考古学研究生さ!」
「なにっ、ということはお前が例の遺跡発掘チームのリーダーか!?」
「まあね。さて、いくよ!」
パシッ!ピシッ!パシッ!
青年は強烈なパンチの連打を叩き込む。悠はかろうじてこれを防ぐが…
「ぐぐっ、これはクンフーか!?並みの実力者じゃないな!?」
「なーに、俺の技なんてたいしたことないよ。」
青年は余裕の笑みを浮かべながら言った。
悠はしだいに押され始めていく。
「隙あり!超連撃バーニングパンチだー!とお!とお!とお!とお!とおっ!!」
悠の繰り出したパンチは…
「ほっ!ほっ!ほっ!ほっ!ほっ!…残念だね、なかなか筋はいいけど、決め手に欠けるね。」
パンチはすべて受け止められた。
「ちくしょー!うりゃー!爆裂キーック!!」
ドーーーーーーーン!!!
悠の懇親の一撃は決まった。ところが技は見事に防がれていた。
青年は後方に飛ばされたりもせず、立ったままの姿勢でキックを受け止めていた。
「こ、こんなバカな!?う、嘘だ!こんなわけが…」
「残念だけど現実をよく見ないとね。世界は広いんだ。いつもいつも自分が一番だ、なんておごりを持っていると、勝てるものも勝てないよ。あともう一つ言うと…」
青年は目にも留まらぬ速さで連続パンチとまわし蹴りを悠に見舞う。
「はうっっっ!?そ、そんな…」
悠はその場に崩れ落ちていく。
「憎しみの力には限界があるんだよ。そんなものを糧にしても何にも得られないよ。」
「ぐはっ…お、おの…れ…」
悠は完全にノックアウトした。勝負あり。
「大丈夫かい君?」
青年が笑顔で話しかけてきた。
「あ、ああ…助かった。礼を言う。あんたはいったい…?」
「さっきも言ったでしょ?ただのしがない考古学の研究生さ。あ、俺の名前は浦島景太郎さ。」
「ただの考古学者って、あんたのその腕前はただモノでは…」
「おおっと、君の仲間を助けに行かなくていいのかい?」
青年は言いかけた真名の言葉を遮って他の者たちの場所へと向かった。
「それもそうだな…」
真名もそれに倣った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:41 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第40回「負けられない」
「グラビトンハンマー!!」
「うわーーー!!!」
「まだまだ!グラビティブロック!!」
重力の塊がネギに直撃した!
そして、思い切り遺跡の壁に叩きつけられた。
「あ…がああっ…」
ネギはガイの繰り出す技に悪戦苦闘していた。
「今度は地面に叩きつけてやろう。グラビティクラッシュ!!」
「うぐーーー!!!」
ネギの悲痛な絶叫が辺りに響き渡る。
「どうだ、俺の重力を使った技は?貴様のような非力なガキはお呼びではない。」
「うぐぐぐぐ…ラ、ラステルマギステル…」
「バカが!グラビティゼロ!!」
ネギが宙に舞う。そのままガイの方へ一直線。
「くらえ、重力の拳を!グラビティアッパー!!」
「ぐあー!!!!!」
空高く舞い上げられたネギの体は、さらにガイの強力な重力に引かれてそのまま地面へ激突!
ズドーン!…がくっ…
地面が割れてネギがめり込んでいる。
ギャグ漫画によくあるような光景ではあるが、まともにこうなると悲惨としか言いようがない。
「ふん、くたばったか。サウザンドマスターのせがれだと聞いてもう少し出来るヤツかと思ったが、とんだ見当違いだったようだな。サンも俺などを呼ばなくてもよかったものを。」
しかし、ネギは…
「ま、負けません…ぼくは決して負けません…。ゆ、夢ではダメでしたけれど…この勝負は絶対に勝ちます…みんなのためにも…僕自身のためにも…」
そう、ネギが昨夜見た夢はこの場面の予知夢だったのだ。
ネギはよろよろしながらもゆっくりと立ち上がった。
「ほう、あれだけの攻撃を受けてまだ立てるとはな。おもしろい。これを賞してお前を徹底的に叩きのめしてくれよう。」
再びネギに重力を使った攻撃の波が押し寄せてきた。



「本当に泊まっていってよろしいのですか、前原さん」
あやかが確認する。
「はい、賑やかでいいですし。ひょっとしたら遺跡の大発見に立ち合わせてあげられるかもしれないしね。」
料理上手な長髪美女Sこと、前原しのぶがニコニコ顔で答えた。
「わーい!ログハウスは居心地がよかったけれど、やっぱりキャンプって言ったらテントだよ。」
まき絵がルンルン気分で浮かれている。
「そうそう。ここは明かりが少ないから星空も綺麗だし。」
桜子たちも楽しそうだ。
「あっ、流れ星!!」
「え?どこどこ?」
裕奈の声にみんな反応する。
「もう消えちゃったよ~。」
「うう~ネギ君ともっと仲良くなれるようにお願いしたいのにな~。」
「わたくしもですわよ!」
まき絵とあやかは流れ星に情熱を燃やすのであった。
「あらあら、みなさんお揃いで。バードウォッチングですか?」
オトボケ美女Mこと乙姫むつみが現れてうふふと笑った。
「バード…?天体観測ですよ。」
「みゅう。」
「あ~ええ湯やった~♪温泉のお湯はまた一味ちがうわ~。」
亜子とアキラが湯上りの格好で戻ってきた。
「ドラム缶のお風呂だね。ほんと気持ちいいよね~。」
まき絵が声をかける。
「そりゃそうや。ひなた温泉の湯は最高やからな~。」
酒臭いグラマーな女性、キツネこと紺野みつねがやって来た。
「もうお酒臭いですよ。キツネさんたらまた飲みすぎですよ。少しぐらいは家事なり発掘なりを手伝ってくださいよ。」
「まあまあええやんか、しのぶ。こんなにええお星様が出とう夜に飲まんといつ飲むっちゅうんや?」
「いつも飲んだくれているくせに…」
しのぶは呆れ返っていた。
「みんなも飲むか?」
とみつねはA組メンバーに勧めてきた。
「あの~…」
A組メンバーは唖然としている。しのぶが注意する。
「みなさんはまだ中学生!未成年ですよ!」
「ナハハハハ、冗談やてしのぶ。ところでなるはどないした。あのアホなフィアンセも。」
「ああ、それでしたら…」
しのぶは微笑みながら言った。
「今頃、麻帆良学園のみなさんを助けている頃だと思いますよ。」
夜が更けていった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:40 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第39回「追い込まれて…」
「アデアット!!てえええええーーーーーーい!!!!!」
アスナはパワーアップバージョンのハマノツルギをさくらに見舞った。
ところが、さくらはそれを軽く受け流した。
「うそ~!?」
「それがどうした?こんなくだらない攻撃受け止められて当然だ。」
さくらに蹴り飛ばされてアスナは、少し離れた草むらまで飛ばされてしまう。
「うひゃああああ!!」
「ア、アスナ~!!」
「じゃあ、今度はあなたの番ね。」
さくらがこのかに迫ってくる。
「ウ、ウチだって戦える。負けへんえ。」
闘志を燃やすこのか。だが、
パコン!ピシッ!バキッ!
「ほえええええええ~!?」
…ヒュウウウウウウウ~…バサッ!ポテッ!コテッ!
このかも草むらまで飛ばされていってしまった。
「こののろま。隙だらけだ。やられて当然だぞ。」
さくらは手をプラプラさせながら、小ばかにしたような表情を、2人が飛ばされていった草むらに向けた。
「ふーっ。さあてと、アスナもこのかも拘束させてもらうと…」
さくらが言いかけたとき、不意に草むらからアスナが飛び出してきた。
「くらえ~飛び膝蹴り!!」
「フン、これがどうしたって…」
余裕でこれを受け止めるさくら。しかし…
「いっけー!!ハマノツルギ!!」
いきなり背後からアスナが斬りかかってきた。
「な!?アスナが2人!?うわっ!」
ハマノツルギが炸裂…しなかった。さくらはギリギリでアスナの奇襲をかわしてしまった。
「ふ~、あぶね~あぶね~」
「そんな~…。ぐはっ!」
「あうっ!」
2人のアスナはさくらのパンチとキックを食らって倒れこんだ。
「ふん、片方は偽者か。正体をあらわしな。」
「ちぇ、ばれちゃしょうがない。変装名人の朝倉和美だ。よく覚えときな。」
ベリッ!アスナの覆面を取る和美。
「う~せっかくいい作戦だと思ったのに~。」
草むらに落ちたアスナは和美と出くわした。彼女らはすぐさま作戦を立てた。
まず和美がアスナに変装して蹴りをかまし、さくらがそれに気をとられている隙に、本物のアスナが勝負を決めてしまおう、という算段であったのだが…。
結果はこの通り、大失敗であった。
「アスナ~。」
草むらから出てきたこのか。と、さくらが背後からこのかの首に腕を絡めた。
「このか!」
「アハハハハ!のこのこ出てくるなんて間抜けだねぇ。」
さくらが腕に力をこめる。
「ううう…」
このかが、苦しそうにうめき声を上げる。
「さあ、この子が苦しむのを見たくなかったら、降参して私たちの元へくるのね。あとそこの草むらに隠れている2人。お前らもこっちにきな。」
「み、見つかってしまいましたか…」
震えるような夕映の声がした。
ガサガサ…
のどかと夕映が草むらから姿を現す。
アスナもこのかもそしてのどかたちまでもが追い詰められてしまった。
アスナたちはなすすべもなく、たださくらを睨むことしかできない。
「ナハハハハハ!!!(これで、京川さくらを越える力をサンにもらえる。そうすれば京川なんて怖くない。さくらは私だけでいいのさ)」
京川さくらと同じ名前だというだけの理由で、春原さくらはこれまで嫌な思いをしてきた。
“さくらのはしくれ”なんて呼ばれたこともあったのだ。
そのため、京川さくらには憎しみを抱いている。
1度京川に決闘を挑んだことがあった。
京川は決闘とかが苦手なので、嫌々ながらしぶしぶであったが、春原と戦った。
結果は、春原の惨敗。春原のプライドはズタズタになってしまった。
それ以来、春原は京川を倒そうと、躍起になってきた。
ここで手柄を立てれば、サンに強力な力を与えてもらえる。
そうすれば京川さくら…いや、“カードスレイヤーさくら”なんて恐れるに足らない!
「さあ、早く降参しな!」
さくらはこのかの首を絞めている腕に、より力を込めた。



「水流火炎連携!二刀連撃斬鉄閃!!」
ネプチューン・マーズ二刀流刹那が片方の剣にはマーズの力を、もう片方にはネプチューンの力をまとわせて会心の一撃を放った。
ところが、相手はいともたやすくこれをさばききった。
「甘いな…。」
「これならどうだ!」
背にハルピュイアの羽を生やしたウラヌスせつなが、高速で技を繰り出す。
「奥義 疾風斬空せ…うわあああああ!!」
刹那の悲鳴が夜空に響いた。
「遅い、遅すぎるぞ。ウラヌスの風の力を使ってもなおそれじゃ、俺には勝てないよ。あーん…」
シャクシャクシャク…
伊武神沙弥人(いぶがみさやと)は戦闘中であるにもかかわらず、持っていたりんごにかぶりついた。
「うん、うまい。これをつんでいたら遅刻しちゃってさ。危うくあんたと対決できなくなるところだった。」
かなり余裕。余裕過ぎる。
「秘剣 風塵乱舞!!」
ジュピターの手裏剣を投げつけまくる。
しかし、沙弥人の剣の一振りですべてが払い落とされてしまった。
それでも刹那はサータンのカードを取り出す。
「地塵 斬魔剣!!」
サータン刹那の渾身の一撃!
地面が地割れを作ってえぐられる。しかし…
「サータンの力かい?ムダムダ。」
言っているそばで刹那はアースの力でツタを伸ばし、沙弥人を拘束した。
アース刹那。草の冠が特徴的だ。
しかし、次の瞬間にはツタはバラバラに斬られてしまっていた。
「しょうもない技ばかりだね。今度はこちらから行くよ。」
刹那はビィーナスの防御カードを取り出そうとした。ところが…
パッ!
「カードはいただいたよ。9枚全部ね。」
沙弥人はまさに目にも止まらぬ速さで刹那からカードを奪い取った。ついでに斬りつけた。
「し、しまった…ぐううう…」
「もう終わりにしないか。これ以上やっても無駄だと思うがね。おとなしく俺たちと共に来い。」
「な、なに寝言を…ほざいている?私は…決して負けない。絶対に…負けられないんだー!!うああああああああ!!」
翼を広げた刹那は宙から沙弥人に突進して行った。
「ふん、やれやれ。破魔小太刀の錆にしてやるよ。」
沙弥人が大きく跳び上がる。
直後、沙弥人の破魔小太刀が、一瞬鋭い閃光を放つ。
「ぐあああああああ!!」
と、同時に刹那の小さな体が地に落ちた。
…そしてたくさんの赤い血の付いた羽が、ヒラヒラと辺りを漂った。
「お前らに遺跡の封印は解かせない。カイゼルの復活は、ウェイアードを更なる混沌と危機に陥れることになるからな。」
沙弥人は虚空を見据えながら、そうつぶやいた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:39 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第38回「ガーディアン、強襲」
「さて、いよいよ最後の遺跡に突入ですね。」
ネギが改まって言った。
「そうね。この遺跡の力を解放したら、ボスのサンとかいうやつもやっつけられるのよね?」
「ええ、そうですよ。もっとも解放するには私とこのちゃんとアスナさん、そしてこの9枚のカードの力が必要ですけれど。」
アスナの問に刹那が答えた。
「なんでもええからはよう行くで。」
「行くアル~」
小太郎と古菲が我先にと駆け出した。
ところが突如、上空から黒い塊が落下してきた。
ズドオオオオン!!!!!
「ぐわあああああああ!!」
「アル~!!」
小太郎と古菲が強烈な大波動を浴びせられ、一撃で倒されてしまった。
「こ、小太郎君!?く-ふぇさん!!」
ネギが2人の名を叫ぶが、もはや2人ともピクリとも動かない。
「だ、だれだ!?」
みんなが身構える。すると4人の人影が。
「我のグラビトンウェーブをまともに受けたか。ザコが…。俺はガイ・フォークス。惑星ガーディアンズの臨時雇い人だ。」
「同じく海瀬悠。拳法やってるぜ。」
「はいな~♪羅・尉鵡(ら・いむ)だぜ。甲賀中忍だ。よろしくな。」
「ったく、のんきに自己紹介かよ。まあいい。春原(すのはら)さくらだ覚えときな。」
「り、臨時雇い人だと!?ということは、カードは関係なしか。」
刹那が受け答えると、
「ま、そういうことだ。俺たちはサンと契約はしていない。俺達の狙いは分かっているな?その3人と9枚のカードをいただくぜ。」
悠がうずうずしながら言った。
「まあまあ、落ち着いて。みんなでかかって行ってもいいんだけど、ここはそれぞれ割り当てたほうがいいよ。」
羅・尉鵡の提案に他の3人も賛同した。
「いいかい?それじゃあおいらは長瀬楓さんと。あのジュピターを倒した実力を見せて欲しいからね。」
「ムムム…お主でござるか。承知した!!」
忍者2人は森の方へと駆け出した。
「拳法使いの子はやられたようだから、そうだな…龍宮真名だっけ?いざ勝負!!」
「ふ、後悔させてやるよ。」
悠と真名がその場を後にした。
「俺はそこの坊主だ。」
「ぐぐっ。」
ガイはネギを指名した。
「じゃあ、私はアスナをやっつけてやるよ。」
「い!わ、私!?」
慌てふためくアスナ。刹那が止める。
「待て、お前の相手は私が…」
「いや、桜咲刹那よ、お前の相手はこの伊武神沙弥人(いぶがみさやと)だ。」
「ああ、お前か。遅かったな。」
さくらが現れた背の高い長髪男に話しかけた。沙弥人はサングラスをはずしながら言った。
「ああ、悪い。とにかくこいつは俺がやる。いいな。」
「せっちゃん、ウチはアスナを手伝うえ。がんばってな。」
「分かりました。このちゃんもアスナさんもネギ先生もお気をつけて。」
みんなそれぞれの戦場へと散って行った。



「なるほど、分身殺法か~。こりゃおもしろいや。だけど…」
迫ってくる楓の分身の数々。しかし、羅・尉鵡は余裕で煙玉を取り出すと炸裂させた。
パアーーーーーン!!!!
「な!?」
楓の分身は瞬時にして消滅してしまった。
「たりゃ~!」
羅・尉鵡は楓に刀で切りかかった。クナイで受け止める楓。しかし、
「甘いな~。もうすでに勝負あったね~。」
羅・尉鵡がにやりと笑ったかと思うと、またボウンと煙が立った。
次の瞬間、楓の体には無数の手裏剣が刺さっていた。
「やった~決まったよ~♪」
小躍りする羅・尉鵡。と、その表情が一変する。
「あり?空蝉(うつせみ)!?」
「甘いのはそちらでござるよ。」
背後で楓の声がしたかと思うと、羅・尉鵡の体にクナイが食い込んでいた。
「あひゃあああ!!」
羅・尉鵡は地面に倒れこみ、のた打ち回った。
手裏剣が刺さっていた楓もまた分身だったのだ。
「まだまだ、お主も修行不足でござるな。出直してくるがよいでござるよ。」
楓が言葉を残し去って行こうとしたとき、不意に上空から多数の小型の竜巻が落ちてきた。
小型といっても人を巻き上げてしまうなど造作もないほどの威力があった。
「甘いのはあんただよ~♪はいな~♪」
「な!?」
楓は竜巻に巻き込まれ、
「うわあああああ!!」
そのまま地面に叩きつけられてしまった。
ズガーン!!!
「あううううううう!!…ふ、不覚でござった…」
「おいらはまだ無傷だよ。さっきクナイでやられたのだって分身だったんだもの。」
楓は追い込まれてしまった。



ダムッダムッダムッダムッダムッ!!
真名が拳銃を連発する。だが、いずれの弾丸も悠に命中することはなかった。
悠が軽々とした身のこなしで、それらをうまくかわすからだ。
いや、ヒットしたものも中にはあった。
しかし、なんと弾丸を素手で弾くというとんでもない芸当で、うまくさばかれてしまっていた。
「なんだ、その拳法は?見たこともないが。」
「そりゃそうだ。自己流なんだからな。ついでに言っておくと、魔法もちょいと使えるぜ。」
「ほう、おもしろいじゃないか。見せてもらおうか。」
「言われなくても見せてやるよ。ところでこんな言葉を知っているか?『己を信じ、己のために生きよ』俺の好きな言葉さ。」
真名との距離が一気に縮まる。
バコッバコッバコッと真名を殴りつける。
「くっ!バカな、速すぎる!?」
「いいねぇ。お前には信頼できる仲間がいてさ。俺は昔、親友に裏切られたことがあってさ。そのことを糧にここまで鍛えてきたってワケ。恨みの力は恐ろしいよ。君じゃ勝てないぜ。」
悠は真名の髪をつかむと至近距離から魔法弾を発射した。
「うわああああああ!!」
真名はバタリと倒れこんだ。
まだ、かろうじて意識はある。
「ぐぐ…」
「よし、トドメだ。今息の根を止めてやるよ。」
悠は真名に近づいて行った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:38 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第37回「派遣者たち」
異世界ウェイアード、王立シンフォニア学園都市、総本部、学園長室。
「星美遺跡の封印が解かれるとどうなるのでしょうか?」
その屈強な男、神凱才臥が学園長に聞いた。
「遺跡を解放すると、秘められていたその強大な力を手にすることが出来るわ。確かにサン・エルサラマンドラを倒すには遺跡の力を使うしかないけど…」
自分の席に腰掛けている女学園長が言った。
「それと同時に、その力によって抑えられていた邪悪なものが解き放たれるの。サンが遺跡の封印を自ら解いて自分の物にしないのは、おそらくこの邪悪なものを恐れているからだわ。」
女学園長は机の上の書類を眺めつつ、目を細めた。
「学園長、まずいですよ。ただでさえ最近は敵対勢力が多いっていうのに…」
ユリウス・パルメキオという女が指を曲げ、勘定しながら言った。
彼女の体は透けている。それは彼女が幽霊だからだ。
「その邪悪なヤツってサンなんかよりもずっと厄介なんでしょ?やっぱなんとしてでも遺跡の封印解放を止めるべきだ。」
ユリウスの言葉に、女学園長はため息をつきながら席を立ち、部屋の窓を開け放った。
外はすがすがしい天候で日の光がまぶしく、穏やかな風が頬をなでる。
「アイゼン・クロイツのボス、カイゼルか。もしあんなやつを復活させたら…」
神凱才臥が渋い表情をする。
「今、アイゼン・クロイツのやつらが完全復活に向けて動いています。もしもカイゼルが復活したら、せっかく前に末次くんや神子たちがやつらを壊滅させたのに、元の木阿弥です。」
「…分かりました。このウェイアードを守るためです。あなたたちに任せます。ただし、無理をしないように。」
「いえ多少の危険は覚悟の上。この神凱才臥、なんとしてでも遺跡の解放を阻止します。桜御ことみ学園長殿。」
「ああ、そんでついでにサンのやつをとっちめてやるよ。このユリウス様に任せときなって。」
学園長である桜御ことみは、またもため息をつきながら力なく言葉を返す。
「2人ともほどほどにね…。麻帆良の人たちは話せばちゃんと分かってくれる相手だと思うから…」
ことみが言っているのは、あくまで説得で解決するようにしろということだ。
「今から行くと、ちょうど沙弥人たちが決着をつける頃になるな。やつらはサンを倒すよりも、麻帆良の連中との戦いを優先させるに違いないだろう。」
「まったく、あの戦い好きの連中ときたら…。元々はサンを仕留める為に派遣されたっていうのに。まあ、早いとこ行こうや。」
神凱才臥とユリウス・パルメキオは学園長室を後にした。
「まったく…あの2人も相当戦い好きなのよね。大丈夫かしら?」
彼らと入れ違いに若い男が来た。
「どうぞ。」
「失礼します。」
学園長の了承を得て、その若い男が部屋に入って来た。
「ウェイアードの女王がお呼びです、学園長。」
「きっと今度の件についてね。分かったわ、すぐに行くと伝えてちょうだい。」
「はい、それと…」
報告係の男がためらいながら口を開いた。
「パララケルスでB-ジャックと嘉島 春水(カシマ シュンスイ)が遺跡発掘者と交戦を開始した模様です。」
「ええ!?パララケルスというと、ディバイン・クルセイダーズの守護神が封印されている場所じゃない!以前、ソード君たちが封印した。」
「はい、相手はリーダー格の男性、その妻らしき女性、彼らの子どもらしき女の子の3人です…」
「あ~もう!どうしてこうも問題が次から次へと…。しかたない。とにかく女王のところへ行くとするわ。もう…カジノへ行く暇もないんだから…」
カジノ好きの学園長、桜御ことみはブツブツ文句を言いながら部屋を後にした。



「ここか…ここで封印を解けば、長年の苦労がやっと報われる。」
ここはパララケルス島。古代カメ文明の遺跡。
瀬田 記康が巨大な祭壇を前に目を輝かせている。
彼はあの成瀬川なるが、昔憧れていた人だ。ちなみに東大卒業生。
「ようやくここまで来たな…」
タバコをふかしながら、瀬田の妻であるはるかが感慨深げにつぶやく。
はるかは、あの浦島景太郎とは親戚関係である。
「ねぇ~パパ、早いとこやろうよ~。」
彼らの育て子のサラ・マクドゥガルが瀬田を急かす。
サラは齢(よわい)13才。そろそろお年頃なはずなのだが、まだまだ育ての父親にべったりだ。
「まあまあサラ、そんなに慌てなくても遺跡は逃げていかないからさ…」
瀬田がそう言ったとき、不意に遺跡内に声が響いた。
「残念だが、逃げていくかも知れんぞ。ただし、お前たちの方が。」
「「「え?」」」
瀬田・はるか・サラたち3人の振り向いた先には2つの人影があった。
「遺跡の封印は解かせない。それはあまりにも危険だからな。」
顔に継ぎはぎの後がある、黒いマントの男が言った。
「ああ、今すぐここを立ち去ることをおススメするよ。」
なにやら怪しげな力がうずいているバットを持った少年が言った。
「なに言ってるんだよ!今さら帰れるわけないじゃん!さては遺跡の発見を横取りしようと…」
サラがいきり立つ。
「まあまあ、サラ。どうして遺跡の封印を解くのが危険なんだい?」
瀬田が尋ねる。
「それを知る必要はない。どうしても立ち去らないというのであれば…」
黒いマントの男、B-ジャックの表情が険しくなる。
「力ずくで追い返すまでだ。」
「そういうことだ。俺様たちに勝てるかな?」
バットの少年、嘉島 春水(かしま しゅんすい)がそれに賛同する。
「やるしかないようだな…」
はるかが手をポキポキ鳴らす。
「ふむ、しかたないね…」
瀬田もしかたなく得意のクンフーの構えをする。
「アタシもやってやる!」
サラもヤル気満々だ。
直後、激しい戦いが幕を開けたのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:37 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第37.5回「幽霊たちの集い」
「………ん…ここは…?」
マーズ・バーストフレイムはぼんやりとした意識の中、目を覚ました。
「天国か…いや、地獄かも知れんな。いずれにせよ、私は死んだ…」
ふぅ、とため息を漏らす。ふと、周りを見渡す。
はて?天国や地獄にしては現実味が…。
マーズが、ここが学校の校舎の陰であることに気づくのに、そう時間はかからなかった。
「!?なんなんだ、ここ…どう考えてもここは…」
「あ、お目覚めになったんですね。よかった~」
「マーズ、具合はどう?」
2人の少女がこちらにやってくる。1人は…
「セリア、これはいったい…?」
ネプチューンことセリアである。
「マーズ、落ち着いて聞いて欲しい。まず、ここは麻帆良学園の一角らしいの。それから、どうやら私たちは完全には死んでいなかったらしいわ。」
「はぁ?」
怪訝な顔をするマーズ。と、マーズはある事に気がつく。
「あれ?セリア、体が透けている…。そっちの人も。あれ、そういえば私も…」
「そう、どうやら私たちは魂が肉体から抜け出した状態である、生霊になっているみたいなんだ。」
「生霊だって?まさか、そんな…」
「あの、でも、たぶん間違いないかと思います。」
今まで黙っていた、マーズも見知らぬもう一人の少女が口を開いた。
「あなたは?」
少女はニッコリ微笑むと名乗り始める。
「私は相坂さよ。一応この麻帆良学園の生徒です。」
「一応って…?」
代わりにセリアが説明する。
「なんでも、彼女はこの学園に未練があるらしい、呪縛霊らしいのよ。ほら、彼女には脚がないでしょ。」
「え?ああ、そういえば。」
マーズは目を丸くする。
妖怪や怨霊の類はこれまでの人生の中で山ほど見てきたので、それほど驚く事ではない。
それでも、この世界に来てからは初めて見る。
さよはゆっくりと話し続ける。
「その通りです。ちょっとワケありで…。それで、お2人にはちゃんと脚がありますよね?私とは違う存在…そこから導き出される結論を言いますと…」
「私たちは、まだ完全には死んでいないってこと。肉体がなく、魂だけになってしまったにも関わらず、まだ事実上は生きているってこと。たぶん間違いないわ。」
マーズは、まだいまひとつ理解しきれていないような表情で、目の前の2人を見据えた。
「な、なんでこんなことに…?」
「詳しくは分かりませんが…。“死んでも死に切れない”という言葉がありますよね?きっとお2人には、まだこの世に強い未練というか、想いというか、そんなものがあるからだと思います。だからこの世に命をつなぎとめたというか…」
「未練…だって?」
マーズはますます怪訝な顔になる。セリアが続ける。
「ええ、少なくとも私にはあるの。」
「お前の無二の親友、マーリンのことか?」
マーズが思いついたように言う。セリアは首を縦に振り、答える。
「そう、それもあるわ。あとそれと仲良くなった友達に会いたくて…」
セリアは木乃香と刹那を思い起こしながら、目を閉じる。
「未練…か。本当は父さんや母さんたちに会えると思っていたが…。どうやら私はまだ、ファムのことが気になってしかたがないらしい…」
マーズは沈痛な面持ちで目を閉じた。姉妹のように仲良くしてきたファム。
この先、重大な使命を彼女は担うことになる。できればそれを見守ってやりたいと思っている。
しばらくの沈黙の後、マーズが話し始めた。
「そういえば、他の連中はどうなったんだ?ひょっとして…」
少し恋人たちに会えるのでは、と期待したマーズであったが…。
「残念だけど、どうやら私たちだけだったみたいよ。」
セリアが答えた。
「そうか…フ、デイモスたちがいないんじゃあな…」
マーズのわずかな希望はすぐに消えてしまった。
「いえ、お2人の他にも、もう1人生霊となっておられる方がいますよ。紫色の髪の小さな女の子で…」
「レズン…レズン・プルートか。」
プルートの本名である。
「桜咲刹那に未練があるのかねぇ…。で、あいつはどこに?」
マーズが質問する。さよは少し考えてから、
「さあ、分かりませんが、おそらく復活するために何かをされているのだと思います。」
と答えた。
「まあ、何はどうであれ、私たちはまだ生きているみたいなの。半分死んでいるともいえるけどね。ともかく、私たちも復活する方法を何か考えましょうよ。」
セリアの提案にマーズは少し考えてから、
「そうだな。もし、生き返られるなら、やっぱりその方がいいのかもしれない。私たちも行こうか。」
「あ、待ってください。エヴァンジェリンさんが帰ってきたみたいです。あの人に相談すれば、何かいい方法が分かるかもしれませんよ。私、呼んできますね。」
そう言うとさよは、動き始めた。と、
コケッ、ドテッ!
「あうううう~…」
「「あ、転んだ…」」
マーズとセリアは唖然とした。脚のない幽霊が転ぶか普通?そんなの聞いたこともない。
「ごめんなさい。私幽霊なのにすごくドジで…ヒイイイイ!」
ヒョオオオ…
風の音にびびるさよ。
「私、怖がりなんです。ぐすっ…なのでいつも夜は明るいコンビニとかに出かけて…」
本当にコイツは幽霊か?
そういえば、ここは街灯がついていて比較的明るい。2人をここに運んだ理由は、暗い校舎内だと怖いから…?
マーズとセリアが呆れていると、空から学園の一角に降りて行く人影が見えた。
おそらくエヴァや茶々丸たちであろう。
「とにかく私はあの人に相談してみるわ。このちゃんや刹那さん、それにマーリンにまた会いたいから。」
「私もそうしよう。私はファムを守らなければ。ミュウやシトラスたちにもまた会いたいし。」
2人はさよのほうを向いた。
「案内を頼む。」
マーズが柔らかな表情で手を差し伸べる。
「よろしくね、さよちゃん。」
セリアも微笑みながら手を差し出す。
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
友人の少ないさよは、笑顔でマーズやセリアと握手を交わしたのだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:37 | 話題なの~♪(^▽^) | Comments(0)
虹色の奇跡 第36回「新たな戦いの予感」
結局、エヴァはチャチャ姉妹と一旦学園へ帰ることになった。
「いいか、太陽の神殿の封印を解くには木乃香、刹那、そしてアスナの力がどうしても必要だ。決して無理はするな、と言いたい所だが…急がなければサンのやつが封印している力を永久に消滅させてしまうやもしれん。そうなるとやつを倒すのは不可能になってしまう。」
「そのサンという人を倒すにはどうしてもその遺跡の力が必要。そしてその力の封印を解くにはこの3人の力が必要というわけですね。」
ネギがその3人を意識しながら言った。
「そういうことだ。それじゃ後は任せたぞ。学園長のじじぃにもう一度夜の魔法を私にかけさせるからな。また助けに来てやるから、それまではなんとしてでも持ちこたえるんだぞ。」
「はい、エヴァさんもお大事に。」
エヴァとチャチャ姉妹は去っていった。


その様子を遠目に見ている人影が4つ。
「あのオカマがくたばったようだね。」
銀髪の女、春原さくらが言った。
「ふぁぁぁぁぁ…そうみたいだな。ま、あの吸血鬼の真祖がいなくなったんだし、ちょうどいいんじゃないか?」
ガイが眠そうに言った。
「別にどうでもいいけどな。いよいよ俺らの出番ってワケだ。」
悠がニヤニヤして闘志を高めた。
「はいな~♪早いとこ終わらせよう。あいつらも疲れているだろうからチャンスだよ。」
羅・尉鵡(ら・いむ)が言った。
4人はそれぞれ行動を起こし始めた。


伊武神 沙弥人は果樹園でりんごをむさぼっていた。
「そろそろ行くとするか…」
暗くなっていく空を見上げる。
「すべてはウェイアードのためだ。もし遺跡の封印が解かれればウェイアードが今よりさらにひどいことになってしまう。」
故郷に思いを馳せながら沙弥人は歩み始めた。
戦場へと…



「わっととととと…」
「きゃっ!」
ドテッ!
その青年は転んだ拍子にまき絵を押し倒してしまった。
「あいたたたた…ご、ごめんよ。よそ見してて…あ…」
ゴゴゴゴゴゴ………背後から殺気が…
「こ~の~エロガッパー!!」
「あひょえ~!!」
青年はその女性の鉄拳パンチをくらって森の方へと飛んでいった。
「あわわわわわ…」
唖然とするA組メンバー。
「まったく…あいつときたら…あ、大丈夫だった?」
「え、あ、はい…私は大丈夫ですけど…」
まき絵がやっとのことで答えた。
「あ~今日はとても飛びましたね~。新記録なのでは?」
オトボケ女乙姫むつみがニコニコした表情で言った。
「…って、アノ飛び方は尋常ではありませんわよ…」
あやかが驚愕した表情のままでつぶやいた。
「な、なんかあるよね。こういうラブコメ漫画。」
ハルナは少し興奮気味。
「そ、それにしても誰、今の男の人?」
桜子が疑問を口にした。
「ああ、あの人はなる先輩のフィアンセなんです。」
料理上手な長髪の女性、前原しのぶが答えた。
「え?じゃあ、あのすごいべっぴんさんは今飛んでいった男と今度の春に結婚するんか?」
亜子が尋ねた。
「ウフフ…そうなんです。ほんと楽しみで……ひっ!」
ニコニコ笑顔で答えていたしのぶは不意に背後に寒気を感じた。
「私は兄の結婚なんて認めませんよ~。」
振り向くと、そこには黒猫を連れた浦島可奈子がこちらを睨んでいた。
「ひぃぃぃぃぃ…え、え~と…お、お帰りなさい。用事は済んだんですか?」
しのぶはおそるおそる聞いた。
「…いいえ…忘れ物を取りに来ただけです。ところで兄は今どこに?」
「アハハ…あっちの方に…」
しのぶはその兄が飛ばされた森の方を指差した。
「ふぅ…まったく…。それから昔のあなたにそっくりなあの子は?」
「ああ、本屋…のどかなら私たちのキャンプ場に戻るって。」
「ゆえっちや朝倉も一緒だったよね。」
しのぶの代わりに美砂と円が答えた。
「なんですって!せっかく安全確保のためにわざわざココに来るように仕向けましたのに…」
きょとんとするA組一同。
しのぶは申し訳なさそうに言った。
「すみません。その、いつの間にか出かけられてしまってて…」
実際にはちゃんと見送ったのだが…
「そうですか。分かりました、どうも。それでは。」
「みゃお…」
可奈子は黒猫を従えて去っていった。
「ねえ、今の人…」
裕奈が誰ともなく話しかける。
「やっぱり声が夕映と似ているね。」
ハルナがますます楽しそうに言葉を継いだ。
「はて?今の黒猫の声にも聞き覚えが…どこで聞いたかな…?」
鋭いアキラが首をかしげた。
「エヴァンジェリンさん…?」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:36 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第35回「オカマの逆襲」
「ここか、太陽の遺跡は。」
エヴァンジェリンと茶々丸、チャチャゼロ、小太郎が最後の遺跡の前までやってきた。
「せや、さっきのバナナ女がそういうとったし、信用したってもええやろ。」
小太郎が言った。
「ふ、相変わらず女に甘いやつだ。」
エヴァが苦笑いしながら返した。
「マスター、あれを。」
茶々丸が指差すほうを見ると、ちょうどネギたち7人が遠方からこちらへやってくるのが見えた。
「ああ、やっと来たかあいつら。まったく悪運の強いやつらだよ。」
エヴァがニヤニヤしながらつぶやく。
と、突然上空に巨大なドラゴンが現れた。それも30匹程も。
「な、なに!?こいつはまさか…」
「オホホホホホ、そのまさかよ。」
オカマのドラゴンナイト彗星のコメットがエヴァたちを見下ろしていた。
「探したわよ~エヴァちゃん。やっと会えたわね、早速で悪いけど…」
と、いきなりコメットの表情があの恐ろしい形相へと変貌した。
「怒りモード発動!!!!てめえだけは絶対に許さねえ!!直ちにぶっ殺す!!」
そう言うとドラゴンをけしかけてエヴァたちを襲わせる。しかし、今回のエヴァは余裕だった。
「フ、甘いな。今はもう日は落ちて夜だ。私の時間なんだよ!!」
そう言うと、魔法を発動する。
「氷の射手48矢!!」
瞬時にドラゴンが10匹消えうせる。
「まだまだ!闇の射手48矢!!」
さらに10匹。
「リク・ラクラ・ラックライラック 契約に従い我に従え氷の女王 来たれ とこしえのやみ!えいえんのひょうが!!」
「ギャアアアアア!!」
巨大なドラゴンたちの雄叫びが、断末魔が辺りにこだまする。
「全ての命あるものに等しき死を 其は安らぎ也。」
「うそだー!!!!!」
コメットの悲鳴。
そしてエヴァの指パッチン。リョウメンスクナノカミとの戦いの再現であった。
「おわるせかい。」
ボンッ!!!!!バラバラバラ………
粉々になったドラゴンたちの残骸が落ちてきた。それらも瞬時に消失していく。
「ほんまにやるなあ、吸血鬼の姉ちゃん…」
小太郎は唖然としてその様子を見守っていた。
ところが、
「うおー!くそったれーーー!!!よくも、よくもー!お仕置きペンペンだ、ゴルァ!!」
「ゲッ!まだ生きとったんかこいつ?」
小太郎が戦慄する。
「チッ、太陽系ガーディアンズ最強の幹部コメット。ふざけたヤツだが一筋縄ではいかんか。」
さすがのエヴァも余裕がなくなってきた。
茶々丸が結界弾を放つ。しかし、軽くあしらわれてしまった。
「ニンニクの息―!!うらああああ!!」
「ぶわああああああー!!!!ま、またかー!!」
「な、なんやこれはー!?!?」
コメットがまたもやニンニクの強烈なニオイを発する。
これにはエヴァだけでなく、小太郎まで参ってしまう。
「死ねぃ!!てえやああああああ!!」
ザクッザクッザクッ!!!
「うぐっ、うがっ、うがっ…」
龍の牙でエヴァはどんどん傷ついていく。苦しそうだ。
「バ、バカな…私に剣など通用するはずが…」
「あいにくだな…この龍の牙には超強力な呪いがかかってんだよ!!てめえも終わりだ、ゴラァ!」
「マスター!!」
「御主人ヤバイゼ!!」
「この野郎!!」
チャチャ姉妹と小太郎たちが飛びかかろうとしたが、強力な結界に阻まれ、進めない。
と、そのときコメットの頭が痛み出した。
「だあああああ!!な、なんだ、これは!?」
「これやこれ。このカードやえ。」
ようやくネギたちが到着した。このかのプルートのカードが紫色に輝いている。
「幻影のカードですって~!?がああああ!!ああ…あ…私は、私は…夢見る女の子~♪」
コメットはついに混乱状態に陥った。ちなみに改めて言うが、コメットはオカマだ。
「よし、今やみんな!」
このかが楽しそうに一声を上げる。
「ラス・テル マ・スキル マギステル…南洋の嵐…雷の暴風!!」
ネギの渾身の一撃がコメットに炸裂した。
「ふんっ!」
真名の魔法弾も叩き込まれた。
「あれええええええ!!こうなったら奥の手よ!!」
ボウン!
コメットは超巨大なドラゴンへと姿を変えた。
「ひょええええ!!まだ動けるの!?」
アスナが腰を抜かす。
「カ、カードだ…カードを刹那に渡すんだ…」
エヴァは苦しみながらカードを持っている者に告げた。
「わかったえ。はい、せっちゃん。」
このかはカード1枚を刹那に渡した。楓も持っていた1枚を渡した。
「うう…これはあいつの形見やねんけど…しゃあない!受け取れや!」
小太郎は持っていた3枚のカードを刹那によこした。
「よーし!」
刹那は9枚全てのカードを放り投げた。
全てのカ-ドが輝きを増す。
特にネプチューンとマーズのカードの輝きが著しい。
目もくらむような輝き。
「これは!?力がみなぎってくる!!」
刹那は羽を広げた。そして2本の刀を掲げる。
再びネプチューン・マーズ融合刹那へ。
さらにヴィーナスの鎧と翼をかたどった冠が目につく。
凶暴なドラゴンと化したコメットが襲い掛かってくる。
「疾風 二刀連撃斬岩剣!!」
バシュ、バシュ、ガシュ、ダシュ、ブシュ、ザクッ!!
刹那は目にも留まらぬ速さでドラゴンコメットをどんどん斬りつけていく。
ウラヌスのカードの効果だ。
「秘剣風塵乱舞!!」
女忍者ジュピターが使っていた葉っぱ型手裏剣を一気に数十枚投げつける。
ドラゴンに次々と突き刺さっていく。
「ギャアアア!!」
「地塵 斬魔剣!!」
刹那が地面に双剣を叩きつけると、地面がえぐられ大小たくさんの岩の塊が噴出し、コメットに直撃する。
「グエエエエ!!」
邪悪なドラゴンコメットがもがき苦しむ。
「ドドメだ!」
思い切り気を最大限まで上げる刹那。
「水流火炎連携奥義 水火雷鳴剣!!」
青と赤の光を放つ閃光がドラゴンに炸裂した。
「ぎゃああああああ!!オカマ帝国ばんざーい!!ぐああああああああ!!」
またも意味不明のアホなことを叫びながら、コメットは消滅していった。
ズドーン!!!!!
空中で激しく大爆発!
彗星のカードが舞い落ちてくる。
「「「やったー!!」」」

ネギたちは飛び上がって喜んだ。
「かっこええ~。ほんますごいわ、せっちゃん。ほんまに強いな~。」
「刹那さんさらにパワーアップだね。もう怖いものなしって感じよね。」
「そうですよ。本当に頼もしいです。」
このか、アスナ、ネギが刹那を賞賛する。刹那は照れていた。
「マスター、大丈夫ですか?」
「エヴァンジェリンさん!?」
ようやくネギたちは呪いで苦しむエヴァに気がついた。
「大丈夫ですかエヴァさん。」
刹那の問いをエヴァは鼻で笑った。
「フッ、だ、誰に向かって口を聞いて…いる…この程度で私が死ぬわけが…ぐうう…」
エヴァはあくまで強気だがエヴァの呪いのかかった傷は広がっていく一方であった。
「このままじゃエヴァさんが…」
するとこのかが思い出したように提案した。
「せや、この聖水を飲ませたったらどうやろ?さっき泉でくんだやつやねんけど。」
「あかん、吸血鬼が聖水なんか飲んだら…」
小太郎が言いかけたが、刹那が止めた。
「いえ、飲ませる必要はありません。患部にかけるだけならひょっとしたら…」
「よし、貸せ。」
真名がエヴァの傷口に聖水をかけた。
シュウウウウウウ…
傷が浄化されていく。
「う、ううう…な、なんとか治まったようだ…」
エヴァが大きく息を吐いた。
「やった!刹那さん、またお手柄ですね。」
ネギがうれしそうに言う。
「いえいえ。」
刹那はあくまで謙虚だ。
辺りはすっかり暗くなり、静寂な闇が支配していた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:35 | 自作小説 | Comments(0)
虹色の奇跡 第34回「新たなウォーリア集結」
「ええ~!?うそ~。プラネットウォーリアの女の子たち、み~んなやられちゃったわけ?」
オカマのドラゴンナイトコメットは体をクネクネさせハンカチを噛みながらぼやいた。
「そうだ。サンの直属の幹部はもうあんただけになったのさ。」
忍者風の少年が言った。
「そんな~アタシ困っちゃう~。…ねぇところでさ~あんた結構いい男じゃない。アタシと…」
その少年は言いかけたコメットを制止した。
「おっと、おいらにはそんな趣味はないね。それに任務ってもんがあるんでね。ここでサンに認めてもらえればおいらの将来は安泰なんだもんね。」
その少年は人と馴染むのがうまかった。拒絶の意を表明したものの、顔はにやけている。
「雇われ兵なのに自信満々ね~。大丈夫なワケ?」
「はいな~♪この羅・尉鵡(ら・いむ)が必ずやあいつらを蹴散らしてやるよ!」

「そうか、サータンのヤツも倒れたか。プラネットウォーリアも全滅か。ふぁぁぁ…」
そのサングラスをかけた金髪で小柄な男が眠そうにつぶやいた。小学生くらいの背丈だが実年齢は20歳だ。
「そういうことさ、ガイ・フォークス。サンの頼みの綱は俺たちだけとなったわけさ。まあ、俺にとってはそんなことは別にいいんだ、どうでも。」
拳法の構えをしながらもう1人の少年が言った。なんでも我流らしい。
「どうでもいいというのか、海瀬 悠(かいせ ゆう)。」
ガイが言い返した。すると…
「それがどうした。弱いやつらがやられちまうのは当然だろが。あの形無し共が。」
シルバーの長い髪の少女が吐き捨てるように言った。
「春原 さくら(すのはら さくら)よ。俺は彼女らのことを尊敬していた。そんな言い方はしないでほしい。」
ガイに睨まれたさくらは肩をすくめた。
「はいはい、悪かったよ。」



「太陽の遺跡か?それならあっちや。」
エヴァに聞かれた金髪メカバナナ美女がその方向を指し示した。
目の前に風・水・火・地の神殿よりもさらに巨大な神殿がその姿を現していた。
4つの神殿の力すべてを解放した結果だ。
「そうか。助かった、礼を言う。」
「おおきにな、ねえちゃん。」
エヴァと小太郎が礼を言った。
「ナハハハ、ええてええて。それがウチの仕事やから。」
「仕事?」
「ほなウチは行くな。」
彼女は行きかけたが、ふと思い直したようで踵を返してきた。
「あ、せやせや。あんたらの名前聞かせてくれへんか?」
「俺は犬上小太郎や。」
「絡繰茶々丸です。」
「チャチャゼロッテンダ。」
「私か?エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。よく覚えておけ。」
「エヴァン○リ○ン・マクドゥガル?サラの親戚なんか?」
「誰だ、それは?エヴァンジェリン、そしてマクダウェルだ!あと上の名前もどっかのロボットアニメみたいな名前ではない!」
「ナハハハ。スマンスマン。んじゃがんばってな~。」
美女は去っていった。
「あいつは…ウチのクラスのガキ共よりも疲れる…」
エヴァがため息をついた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:34 | 自作小説 | Comments(0)
  

はちみつ色の午後が過ぎてく はちみつ色の午後は何味?
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