虹色の奇跡 第38回「ガーディアン、強襲」

「さて、いよいよ最後の遺跡に突入ですね。」
ネギが改まって言った。
「そうね。この遺跡の力を解放したら、ボスのサンとかいうやつもやっつけられるのよね?」
「ええ、そうですよ。もっとも解放するには私とこのちゃんとアスナさん、そしてこの9枚のカードの力が必要ですけれど。」
アスナの問に刹那が答えた。
「なんでもええからはよう行くで。」
「行くアル~」
小太郎と古菲が我先にと駆け出した。
ところが突如、上空から黒い塊が落下してきた。
ズドオオオオン!!!!!
「ぐわあああああああ!!」
「アル~!!」
小太郎と古菲が強烈な大波動を浴びせられ、一撃で倒されてしまった。
「こ、小太郎君!?く-ふぇさん!!」
ネギが2人の名を叫ぶが、もはや2人ともピクリとも動かない。
「だ、だれだ!?」
みんなが身構える。すると4人の人影が。
「我のグラビトンウェーブをまともに受けたか。ザコが…。俺はガイ・フォークス。惑星ガーディアンズの臨時雇い人だ。」
「同じく海瀬悠。拳法やってるぜ。」
「はいな~♪羅・尉鵡(ら・いむ)だぜ。甲賀中忍だ。よろしくな。」
「ったく、のんきに自己紹介かよ。まあいい。春原(すのはら)さくらだ覚えときな。」
「り、臨時雇い人だと!?ということは、カードは関係なしか。」
刹那が受け答えると、
「ま、そういうことだ。俺たちはサンと契約はしていない。俺達の狙いは分かっているな?その3人と9枚のカードをいただくぜ。」
悠がうずうずしながら言った。
「まあまあ、落ち着いて。みんなでかかって行ってもいいんだけど、ここはそれぞれ割り当てたほうがいいよ。」
羅・尉鵡の提案に他の3人も賛同した。
「いいかい?それじゃあおいらは長瀬楓さんと。あのジュピターを倒した実力を見せて欲しいからね。」
「ムムム…お主でござるか。承知した!!」
忍者2人は森の方へと駆け出した。
「拳法使いの子はやられたようだから、そうだな…龍宮真名だっけ?いざ勝負!!」
「ふ、後悔させてやるよ。」
悠と真名がその場を後にした。
「俺はそこの坊主だ。」
「ぐぐっ。」
ガイはネギを指名した。
「じゃあ、私はアスナをやっつけてやるよ。」
「い!わ、私!?」
慌てふためくアスナ。刹那が止める。
「待て、お前の相手は私が…」
「いや、桜咲刹那よ、お前の相手はこの伊武神沙弥人(いぶがみさやと)だ。」
「ああ、お前か。遅かったな。」
さくらが現れた背の高い長髪男に話しかけた。沙弥人はサングラスをはずしながら言った。
「ああ、悪い。とにかくこいつは俺がやる。いいな。」
「せっちゃん、ウチはアスナを手伝うえ。がんばってな。」
「分かりました。このちゃんもアスナさんもネギ先生もお気をつけて。」
みんなそれぞれの戦場へと散って行った。



「なるほど、分身殺法か~。こりゃおもしろいや。だけど…」
迫ってくる楓の分身の数々。しかし、羅・尉鵡は余裕で煙玉を取り出すと炸裂させた。
パアーーーーーン!!!!
「な!?」
楓の分身は瞬時にして消滅してしまった。
「たりゃ~!」
羅・尉鵡は楓に刀で切りかかった。クナイで受け止める楓。しかし、
「甘いな~。もうすでに勝負あったね~。」
羅・尉鵡がにやりと笑ったかと思うと、またボウンと煙が立った。
次の瞬間、楓の体には無数の手裏剣が刺さっていた。
「やった~決まったよ~♪」
小躍りする羅・尉鵡。と、その表情が一変する。
「あり?空蝉(うつせみ)!?」
「甘いのはそちらでござるよ。」
背後で楓の声がしたかと思うと、羅・尉鵡の体にクナイが食い込んでいた。
「あひゃあああ!!」
羅・尉鵡は地面に倒れこみ、のた打ち回った。
手裏剣が刺さっていた楓もまた分身だったのだ。
「まだまだ、お主も修行不足でござるな。出直してくるがよいでござるよ。」
楓が言葉を残し去って行こうとしたとき、不意に上空から多数の小型の竜巻が落ちてきた。
小型といっても人を巻き上げてしまうなど造作もないほどの威力があった。
「甘いのはあんただよ~♪はいな~♪」
「な!?」
楓は竜巻に巻き込まれ、
「うわあああああ!!」
そのまま地面に叩きつけられてしまった。
ズガーン!!!
「あううううううう!!…ふ、不覚でござった…」
「おいらはまだ無傷だよ。さっきクナイでやられたのだって分身だったんだもの。」
楓は追い込まれてしまった。



ダムッダムッダムッダムッダムッ!!
真名が拳銃を連発する。だが、いずれの弾丸も悠に命中することはなかった。
悠が軽々とした身のこなしで、それらをうまくかわすからだ。
いや、ヒットしたものも中にはあった。
しかし、なんと弾丸を素手で弾くというとんでもない芸当で、うまくさばかれてしまっていた。
「なんだ、その拳法は?見たこともないが。」
「そりゃそうだ。自己流なんだからな。ついでに言っておくと、魔法もちょいと使えるぜ。」
「ほう、おもしろいじゃないか。見せてもらおうか。」
「言われなくても見せてやるよ。ところでこんな言葉を知っているか?『己を信じ、己のために生きよ』俺の好きな言葉さ。」
真名との距離が一気に縮まる。
バコッバコッバコッと真名を殴りつける。
「くっ!バカな、速すぎる!?」
「いいねぇ。お前には信頼できる仲間がいてさ。俺は昔、親友に裏切られたことがあってさ。そのことを糧にここまで鍛えてきたってワケ。恨みの力は恐ろしいよ。君じゃ勝てないぜ。」
悠は真名の髪をつかむと至近距離から魔法弾を発射した。
「うわああああああ!!」
真名はバタリと倒れこんだ。
まだ、かろうじて意識はある。
「ぐぐ…」
「よし、トドメだ。今息の根を止めてやるよ。」
悠は真名に近づいて行った。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:38 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第37回「派遣者たち」

異世界ウェイアード、王立シンフォニア学園都市、総本部、学園長室。
「星美遺跡の封印が解かれるとどうなるのでしょうか?」
その屈強な男、神凱才臥が学園長に聞いた。
「遺跡を解放すると、秘められていたその強大な力を手にすることが出来るわ。確かにサン・エルサラマンドラを倒すには遺跡の力を使うしかないけど…」
自分の席に腰掛けている女学園長が言った。
「それと同時に、その力によって抑えられていた邪悪なものが解き放たれるの。サンが遺跡の封印を自ら解いて自分の物にしないのは、おそらくこの邪悪なものを恐れているからだわ。」
女学園長は机の上の書類を眺めつつ、目を細めた。
「学園長、まずいですよ。ただでさえ最近は敵対勢力が多いっていうのに…」
ユリウス・パルメキオという女が指を曲げ、勘定しながら言った。
彼女の体は透けている。それは彼女が幽霊だからだ。
「その邪悪なヤツってサンなんかよりもずっと厄介なんでしょ?やっぱなんとしてでも遺跡の封印解放を止めるべきだ。」
ユリウスの言葉に、女学園長はため息をつきながら席を立ち、部屋の窓を開け放った。
外はすがすがしい天候で日の光がまぶしく、穏やかな風が頬をなでる。
「アイゼン・クロイツのボス、カイゼルか。もしあんなやつを復活させたら…」
神凱才臥が渋い表情をする。
「今、アイゼン・クロイツのやつらが完全復活に向けて動いています。もしもカイゼルが復活したら、せっかく前に末次くんや神子たちがやつらを壊滅させたのに、元の木阿弥です。」
「…分かりました。このウェイアードを守るためです。あなたたちに任せます。ただし、無理をしないように。」
「いえ多少の危険は覚悟の上。この神凱才臥、なんとしてでも遺跡の解放を阻止します。桜御ことみ学園長殿。」
「ああ、そんでついでにサンのやつをとっちめてやるよ。このユリウス様に任せときなって。」
学園長である桜御ことみは、またもため息をつきながら力なく言葉を返す。
「2人ともほどほどにね…。麻帆良の人たちは話せばちゃんと分かってくれる相手だと思うから…」
ことみが言っているのは、あくまで説得で解決するようにしろということだ。
「今から行くと、ちょうど沙弥人たちが決着をつける頃になるな。やつらはサンを倒すよりも、麻帆良の連中との戦いを優先させるに違いないだろう。」
「まったく、あの戦い好きの連中ときたら…。元々はサンを仕留める為に派遣されたっていうのに。まあ、早いとこ行こうや。」
神凱才臥とユリウス・パルメキオは学園長室を後にした。
「まったく…あの2人も相当戦い好きなのよね。大丈夫かしら?」
彼らと入れ違いに若い男が来た。
「どうぞ。」
「失礼します。」
学園長の了承を得て、その若い男が部屋に入って来た。
「ウェイアードの女王がお呼びです、学園長。」
「きっと今度の件についてね。分かったわ、すぐに行くと伝えてちょうだい。」
「はい、それと…」
報告係の男がためらいながら口を開いた。
「パララケルスでB-ジャックと嘉島 春水(カシマ シュンスイ)が遺跡発掘者と交戦を開始した模様です。」
「ええ!?パララケルスというと、ディバイン・クルセイダーズの守護神が封印されている場所じゃない!以前、ソード君たちが封印した。」
「はい、相手はリーダー格の男性、その妻らしき女性、彼らの子どもらしき女の子の3人です…」
「あ~もう!どうしてこうも問題が次から次へと…。しかたない。とにかく女王のところへ行くとするわ。もう…カジノへ行く暇もないんだから…」
カジノ好きの学園長、桜御ことみはブツブツ文句を言いながら部屋を後にした。



「ここか…ここで封印を解けば、長年の苦労がやっと報われる。」
ここはパララケルス島。古代カメ文明の遺跡。
瀬田 記康が巨大な祭壇を前に目を輝かせている。
彼はあの成瀬川なるが、昔憧れていた人だ。ちなみに東大卒業生。
「ようやくここまで来たな…」
タバコをふかしながら、瀬田の妻であるはるかが感慨深げにつぶやく。
はるかは、あの浦島景太郎とは親戚関係である。
「ねぇ~パパ、早いとこやろうよ~。」
彼らの育て子のサラ・マクドゥガルが瀬田を急かす。
サラは齢(よわい)13才。そろそろお年頃なはずなのだが、まだまだ育ての父親にべったりだ。
「まあまあサラ、そんなに慌てなくても遺跡は逃げていかないからさ…」
瀬田がそう言ったとき、不意に遺跡内に声が響いた。
「残念だが、逃げていくかも知れんぞ。ただし、お前たちの方が。」
「「「え?」」」
瀬田・はるか・サラたち3人の振り向いた先には2つの人影があった。
「遺跡の封印は解かせない。それはあまりにも危険だからな。」
顔に継ぎはぎの後がある、黒いマントの男が言った。
「ああ、今すぐここを立ち去ることをおススメするよ。」
なにやら怪しげな力がうずいているバットを持った少年が言った。
「なに言ってるんだよ!今さら帰れるわけないじゃん!さては遺跡の発見を横取りしようと…」
サラがいきり立つ。
「まあまあ、サラ。どうして遺跡の封印を解くのが危険なんだい?」
瀬田が尋ねる。
「それを知る必要はない。どうしても立ち去らないというのであれば…」
黒いマントの男、B-ジャックの表情が険しくなる。
「力ずくで追い返すまでだ。」
「そういうことだ。俺様たちに勝てるかな?」
バットの少年、嘉島 春水(かしま しゅんすい)がそれに賛同する。
「やるしかないようだな…」
はるかが手をポキポキ鳴らす。
「ふむ、しかたないね…」
瀬田もしかたなく得意のクンフーの構えをする。
「アタシもやってやる!」
サラもヤル気満々だ。
直後、激しい戦いが幕を開けたのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:37 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第37.5回「幽霊たちの集い」

「………ん…ここは…?」
マーズ・バーストフレイムはぼんやりとした意識の中、目を覚ました。
「天国か…いや、地獄かも知れんな。いずれにせよ、私は死んだ…」
ふぅ、とため息を漏らす。ふと、周りを見渡す。
はて?天国や地獄にしては現実味が…。
マーズが、ここが学校の校舎の陰であることに気づくのに、そう時間はかからなかった。
「!?なんなんだ、ここ…どう考えてもここは…」
「あ、お目覚めになったんですね。よかった~」
「マーズ、具合はどう?」
2人の少女がこちらにやってくる。1人は…
「セリア、これはいったい…?」
ネプチューンことセリアである。
「マーズ、落ち着いて聞いて欲しい。まず、ここは麻帆良学園の一角らしいの。それから、どうやら私たちは完全には死んでいなかったらしいわ。」
「はぁ?」
怪訝な顔をするマーズ。と、マーズはある事に気がつく。
「あれ?セリア、体が透けている…。そっちの人も。あれ、そういえば私も…」
「そう、どうやら私たちは魂が肉体から抜け出した状態である、生霊になっているみたいなんだ。」
「生霊だって?まさか、そんな…」
「あの、でも、たぶん間違いないかと思います。」
今まで黙っていた、マーズも見知らぬもう一人の少女が口を開いた。
「あなたは?」
少女はニッコリ微笑むと名乗り始める。
「私は相坂さよ。一応この麻帆良学園の生徒です。」
「一応って…?」
代わりにセリアが説明する。
「なんでも、彼女はこの学園に未練があるらしい、呪縛霊らしいのよ。ほら、彼女には脚がないでしょ。」
「え?ああ、そういえば。」
マーズは目を丸くする。
妖怪や怨霊の類はこれまでの人生の中で山ほど見てきたので、それほど驚く事ではない。
それでも、この世界に来てからは初めて見る。
さよはゆっくりと話し続ける。
「その通りです。ちょっとワケありで…。それで、お2人にはちゃんと脚がありますよね?私とは違う存在…そこから導き出される結論を言いますと…」
「私たちは、まだ完全には死んでいないってこと。肉体がなく、魂だけになってしまったにも関わらず、まだ事実上は生きているってこと。たぶん間違いないわ。」
マーズは、まだいまひとつ理解しきれていないような表情で、目の前の2人を見据えた。
「な、なんでこんなことに…?」
「詳しくは分かりませんが…。“死んでも死に切れない”という言葉がありますよね?きっとお2人には、まだこの世に強い未練というか、想いというか、そんなものがあるからだと思います。だからこの世に命をつなぎとめたというか…」
「未練…だって?」
マーズはますます怪訝な顔になる。セリアが続ける。
「ええ、少なくとも私にはあるの。」
「お前の無二の親友、マーリンのことか?」
マーズが思いついたように言う。セリアは首を縦に振り、答える。
「そう、それもあるわ。あとそれと仲良くなった友達に会いたくて…」
セリアは木乃香と刹那を思い起こしながら、目を閉じる。
「未練…か。本当は父さんや母さんたちに会えると思っていたが…。どうやら私はまだ、ファムのことが気になってしかたがないらしい…」
マーズは沈痛な面持ちで目を閉じた。姉妹のように仲良くしてきたファム。
この先、重大な使命を彼女は担うことになる。できればそれを見守ってやりたいと思っている。
しばらくの沈黙の後、マーズが話し始めた。
「そういえば、他の連中はどうなったんだ?ひょっとして…」
少し恋人たちに会えるのでは、と期待したマーズであったが…。
「残念だけど、どうやら私たちだけだったみたいよ。」
セリアが答えた。
「そうか…フ、デイモスたちがいないんじゃあな…」
マーズのわずかな希望はすぐに消えてしまった。
「いえ、お2人の他にも、もう1人生霊となっておられる方がいますよ。紫色の髪の小さな女の子で…」
「レズン…レズン・プルートか。」
プルートの本名である。
「桜咲刹那に未練があるのかねぇ…。で、あいつはどこに?」
マーズが質問する。さよは少し考えてから、
「さあ、分かりませんが、おそらく復活するために何かをされているのだと思います。」
と答えた。
「まあ、何はどうであれ、私たちはまだ生きているみたいなの。半分死んでいるともいえるけどね。ともかく、私たちも復活する方法を何か考えましょうよ。」
セリアの提案にマーズは少し考えてから、
「そうだな。もし、生き返られるなら、やっぱりその方がいいのかもしれない。私たちも行こうか。」
「あ、待ってください。エヴァンジェリンさんが帰ってきたみたいです。あの人に相談すれば、何かいい方法が分かるかもしれませんよ。私、呼んできますね。」
そう言うとさよは、動き始めた。と、
コケッ、ドテッ!
「あうううう~…」
「「あ、転んだ…」」
マーズとセリアは唖然とした。脚のない幽霊が転ぶか普通?そんなの聞いたこともない。
「ごめんなさい。私幽霊なのにすごくドジで…ヒイイイイ!」
ヒョオオオ…
風の音にびびるさよ。
「私、怖がりなんです。ぐすっ…なのでいつも夜は明るいコンビニとかに出かけて…」
本当にコイツは幽霊か?
そういえば、ここは街灯がついていて比較的明るい。2人をここに運んだ理由は、暗い校舎内だと怖いから…?
マーズとセリアが呆れていると、空から学園の一角に降りて行く人影が見えた。
おそらくエヴァや茶々丸たちであろう。
「とにかく私はあの人に相談してみるわ。このちゃんや刹那さん、それにマーリンにまた会いたいから。」
「私もそうしよう。私はファムを守らなければ。ミュウやシトラスたちにもまた会いたいし。」
2人はさよのほうを向いた。
「案内を頼む。」
マーズが柔らかな表情で手を差し伸べる。
「よろしくね、さよちゃん。」
セリアも微笑みながら手を差し出す。
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
友人の少ないさよは、笑顔でマーズやセリアと握手を交わしたのだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:37 | 話題なの~♪(^▽^) | Comments(0)

虹色の奇跡 第36回「新たな戦いの予感」

結局、エヴァはチャチャ姉妹と一旦学園へ帰ることになった。
「いいか、太陽の神殿の封印を解くには木乃香、刹那、そしてアスナの力がどうしても必要だ。決して無理はするな、と言いたい所だが…急がなければサンのやつが封印している力を永久に消滅させてしまうやもしれん。そうなるとやつを倒すのは不可能になってしまう。」
「そのサンという人を倒すにはどうしてもその遺跡の力が必要。そしてその力の封印を解くにはこの3人の力が必要というわけですね。」
ネギがその3人を意識しながら言った。
「そういうことだ。それじゃ後は任せたぞ。学園長のじじぃにもう一度夜の魔法を私にかけさせるからな。また助けに来てやるから、それまではなんとしてでも持ちこたえるんだぞ。」
「はい、エヴァさんもお大事に。」
エヴァとチャチャ姉妹は去っていった。


その様子を遠目に見ている人影が4つ。
「あのオカマがくたばったようだね。」
銀髪の女、春原さくらが言った。
「ふぁぁぁぁぁ…そうみたいだな。ま、あの吸血鬼の真祖がいなくなったんだし、ちょうどいいんじゃないか?」
ガイが眠そうに言った。
「別にどうでもいいけどな。いよいよ俺らの出番ってワケだ。」
悠がニヤニヤして闘志を高めた。
「はいな~♪早いとこ終わらせよう。あいつらも疲れているだろうからチャンスだよ。」
羅・尉鵡(ら・いむ)が言った。
4人はそれぞれ行動を起こし始めた。


伊武神 沙弥人は果樹園でりんごをむさぼっていた。
「そろそろ行くとするか…」
暗くなっていく空を見上げる。
「すべてはウェイアードのためだ。もし遺跡の封印が解かれればウェイアードが今よりさらにひどいことになってしまう。」
故郷に思いを馳せながら沙弥人は歩み始めた。
戦場へと…



「わっととととと…」
「きゃっ!」
ドテッ!
その青年は転んだ拍子にまき絵を押し倒してしまった。
「あいたたたた…ご、ごめんよ。よそ見してて…あ…」
ゴゴゴゴゴゴ………背後から殺気が…
「こ~の~エロガッパー!!」
「あひょえ~!!」
青年はその女性の鉄拳パンチをくらって森の方へと飛んでいった。
「あわわわわわ…」
唖然とするA組メンバー。
「まったく…あいつときたら…あ、大丈夫だった?」
「え、あ、はい…私は大丈夫ですけど…」
まき絵がやっとのことで答えた。
「あ~今日はとても飛びましたね~。新記録なのでは?」
オトボケ女乙姫むつみがニコニコした表情で言った。
「…って、アノ飛び方は尋常ではありませんわよ…」
あやかが驚愕した表情のままでつぶやいた。
「な、なんかあるよね。こういうラブコメ漫画。」
ハルナは少し興奮気味。
「そ、それにしても誰、今の男の人?」
桜子が疑問を口にした。
「ああ、あの人はなる先輩のフィアンセなんです。」
料理上手な長髪の女性、前原しのぶが答えた。
「え?じゃあ、あのすごいべっぴんさんは今飛んでいった男と今度の春に結婚するんか?」
亜子が尋ねた。
「ウフフ…そうなんです。ほんと楽しみで……ひっ!」
ニコニコ笑顔で答えていたしのぶは不意に背後に寒気を感じた。
「私は兄の結婚なんて認めませんよ~。」
振り向くと、そこには黒猫を連れた浦島可奈子がこちらを睨んでいた。
「ひぃぃぃぃぃ…え、え~と…お、お帰りなさい。用事は済んだんですか?」
しのぶはおそるおそる聞いた。
「…いいえ…忘れ物を取りに来ただけです。ところで兄は今どこに?」
「アハハ…あっちの方に…」
しのぶはその兄が飛ばされた森の方を指差した。
「ふぅ…まったく…。それから昔のあなたにそっくりなあの子は?」
「ああ、本屋…のどかなら私たちのキャンプ場に戻るって。」
「ゆえっちや朝倉も一緒だったよね。」
しのぶの代わりに美砂と円が答えた。
「なんですって!せっかく安全確保のためにわざわざココに来るように仕向けましたのに…」
きょとんとするA組一同。
しのぶは申し訳なさそうに言った。
「すみません。その、いつの間にか出かけられてしまってて…」
実際にはちゃんと見送ったのだが…
「そうですか。分かりました、どうも。それでは。」
「みゃお…」
可奈子は黒猫を従えて去っていった。
「ねえ、今の人…」
裕奈が誰ともなく話しかける。
「やっぱり声が夕映と似ているね。」
ハルナがますます楽しそうに言葉を継いだ。
「はて?今の黒猫の声にも聞き覚えが…どこで聞いたかな…?」
鋭いアキラが首をかしげた。
「エヴァンジェリンさん…?」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:36 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第35回「オカマの逆襲」

「ここか、太陽の遺跡は。」
エヴァンジェリンと茶々丸、チャチャゼロ、小太郎が最後の遺跡の前までやってきた。
「せや、さっきのバナナ女がそういうとったし、信用したってもええやろ。」
小太郎が言った。
「ふ、相変わらず女に甘いやつだ。」
エヴァが苦笑いしながら返した。
「マスター、あれを。」
茶々丸が指差すほうを見ると、ちょうどネギたち7人が遠方からこちらへやってくるのが見えた。
「ああ、やっと来たかあいつら。まったく悪運の強いやつらだよ。」
エヴァがニヤニヤしながらつぶやく。
と、突然上空に巨大なドラゴンが現れた。それも30匹程も。
「な、なに!?こいつはまさか…」
「オホホホホホ、そのまさかよ。」
オカマのドラゴンナイト彗星のコメットがエヴァたちを見下ろしていた。
「探したわよ~エヴァちゃん。やっと会えたわね、早速で悪いけど…」
と、いきなりコメットの表情があの恐ろしい形相へと変貌した。
「怒りモード発動!!!!てめえだけは絶対に許さねえ!!直ちにぶっ殺す!!」
そう言うとドラゴンをけしかけてエヴァたちを襲わせる。しかし、今回のエヴァは余裕だった。
「フ、甘いな。今はもう日は落ちて夜だ。私の時間なんだよ!!」
そう言うと、魔法を発動する。
「氷の射手48矢!!」
瞬時にドラゴンが10匹消えうせる。
「まだまだ!闇の射手48矢!!」
さらに10匹。
「リク・ラクラ・ラックライラック 契約に従い我に従え氷の女王 来たれ とこしえのやみ!えいえんのひょうが!!」
「ギャアアアアア!!」
巨大なドラゴンたちの雄叫びが、断末魔が辺りにこだまする。
「全ての命あるものに等しき死を 其は安らぎ也。」
「うそだー!!!!!」
コメットの悲鳴。
そしてエヴァの指パッチン。リョウメンスクナノカミとの戦いの再現であった。
「おわるせかい。」
ボンッ!!!!!バラバラバラ………
粉々になったドラゴンたちの残骸が落ちてきた。それらも瞬時に消失していく。
「ほんまにやるなあ、吸血鬼の姉ちゃん…」
小太郎は唖然としてその様子を見守っていた。
ところが、
「うおー!くそったれーーー!!!よくも、よくもー!お仕置きペンペンだ、ゴルァ!!」
「ゲッ!まだ生きとったんかこいつ?」
小太郎が戦慄する。
「チッ、太陽系ガーディアンズ最強の幹部コメット。ふざけたヤツだが一筋縄ではいかんか。」
さすがのエヴァも余裕がなくなってきた。
茶々丸が結界弾を放つ。しかし、軽くあしらわれてしまった。
「ニンニクの息―!!うらああああ!!」
「ぶわああああああー!!!!ま、またかー!!」
「な、なんやこれはー!?!?」
コメットがまたもやニンニクの強烈なニオイを発する。
これにはエヴァだけでなく、小太郎まで参ってしまう。
「死ねぃ!!てえやああああああ!!」
ザクッザクッザクッ!!!
「うぐっ、うがっ、うがっ…」
龍の牙でエヴァはどんどん傷ついていく。苦しそうだ。
「バ、バカな…私に剣など通用するはずが…」
「あいにくだな…この龍の牙には超強力な呪いがかかってんだよ!!てめえも終わりだ、ゴラァ!」
「マスター!!」
「御主人ヤバイゼ!!」
「この野郎!!」
チャチャ姉妹と小太郎たちが飛びかかろうとしたが、強力な結界に阻まれ、進めない。
と、そのときコメットの頭が痛み出した。
「だあああああ!!な、なんだ、これは!?」
「これやこれ。このカードやえ。」
ようやくネギたちが到着した。このかのプルートのカードが紫色に輝いている。
「幻影のカードですって~!?がああああ!!ああ…あ…私は、私は…夢見る女の子~♪」
コメットはついに混乱状態に陥った。ちなみに改めて言うが、コメットはオカマだ。
「よし、今やみんな!」
このかが楽しそうに一声を上げる。
「ラス・テル マ・スキル マギステル…南洋の嵐…雷の暴風!!」
ネギの渾身の一撃がコメットに炸裂した。
「ふんっ!」
真名の魔法弾も叩き込まれた。
「あれええええええ!!こうなったら奥の手よ!!」
ボウン!
コメットは超巨大なドラゴンへと姿を変えた。
「ひょええええ!!まだ動けるの!?」
アスナが腰を抜かす。
「カ、カードだ…カードを刹那に渡すんだ…」
エヴァは苦しみながらカードを持っている者に告げた。
「わかったえ。はい、せっちゃん。」
このかはカード1枚を刹那に渡した。楓も持っていた1枚を渡した。
「うう…これはあいつの形見やねんけど…しゃあない!受け取れや!」
小太郎は持っていた3枚のカードを刹那によこした。
「よーし!」
刹那は9枚全てのカードを放り投げた。
全てのカ-ドが輝きを増す。
特にネプチューンとマーズのカードの輝きが著しい。
目もくらむような輝き。
「これは!?力がみなぎってくる!!」
刹那は羽を広げた。そして2本の刀を掲げる。
再びネプチューン・マーズ融合刹那へ。
さらにヴィーナスの鎧と翼をかたどった冠が目につく。
凶暴なドラゴンと化したコメットが襲い掛かってくる。
「疾風 二刀連撃斬岩剣!!」
バシュ、バシュ、ガシュ、ダシュ、ブシュ、ザクッ!!
刹那は目にも留まらぬ速さでドラゴンコメットをどんどん斬りつけていく。
ウラヌスのカードの効果だ。
「秘剣風塵乱舞!!」
女忍者ジュピターが使っていた葉っぱ型手裏剣を一気に数十枚投げつける。
ドラゴンに次々と突き刺さっていく。
「ギャアアア!!」
「地塵 斬魔剣!!」
刹那が地面に双剣を叩きつけると、地面がえぐられ大小たくさんの岩の塊が噴出し、コメットに直撃する。
「グエエエエ!!」
邪悪なドラゴンコメットがもがき苦しむ。
「ドドメだ!」
思い切り気を最大限まで上げる刹那。
「水流火炎連携奥義 水火雷鳴剣!!」
青と赤の光を放つ閃光がドラゴンに炸裂した。
「ぎゃああああああ!!オカマ帝国ばんざーい!!ぐああああああああ!!」
またも意味不明のアホなことを叫びながら、コメットは消滅していった。
ズドーン!!!!!
空中で激しく大爆発!
彗星のカードが舞い落ちてくる。
「「「やったー!!」」」

ネギたちは飛び上がって喜んだ。
「かっこええ~。ほんますごいわ、せっちゃん。ほんまに強いな~。」
「刹那さんさらにパワーアップだね。もう怖いものなしって感じよね。」
「そうですよ。本当に頼もしいです。」
このか、アスナ、ネギが刹那を賞賛する。刹那は照れていた。
「マスター、大丈夫ですか?」
「エヴァンジェリンさん!?」
ようやくネギたちは呪いで苦しむエヴァに気がついた。
「大丈夫ですかエヴァさん。」
刹那の問いをエヴァは鼻で笑った。
「フッ、だ、誰に向かって口を聞いて…いる…この程度で私が死ぬわけが…ぐうう…」
エヴァはあくまで強気だがエヴァの呪いのかかった傷は広がっていく一方であった。
「このままじゃエヴァさんが…」
するとこのかが思い出したように提案した。
「せや、この聖水を飲ませたったらどうやろ?さっき泉でくんだやつやねんけど。」
「あかん、吸血鬼が聖水なんか飲んだら…」
小太郎が言いかけたが、刹那が止めた。
「いえ、飲ませる必要はありません。患部にかけるだけならひょっとしたら…」
「よし、貸せ。」
真名がエヴァの傷口に聖水をかけた。
シュウウウウウウ…
傷が浄化されていく。
「う、ううう…な、なんとか治まったようだ…」
エヴァが大きく息を吐いた。
「やった!刹那さん、またお手柄ですね。」
ネギがうれしそうに言う。
「いえいえ。」
刹那はあくまで謙虚だ。
辺りはすっかり暗くなり、静寂な闇が支配していた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:35 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第34回「新たなウォーリア集結」

「ええ~!?うそ~。プラネットウォーリアの女の子たち、み~んなやられちゃったわけ?」
オカマのドラゴンナイトコメットは体をクネクネさせハンカチを噛みながらぼやいた。
「そうだ。サンの直属の幹部はもうあんただけになったのさ。」
忍者風の少年が言った。
「そんな~アタシ困っちゃう~。…ねぇところでさ~あんた結構いい男じゃない。アタシと…」
その少年は言いかけたコメットを制止した。
「おっと、おいらにはそんな趣味はないね。それに任務ってもんがあるんでね。ここでサンに認めてもらえればおいらの将来は安泰なんだもんね。」
その少年は人と馴染むのがうまかった。拒絶の意を表明したものの、顔はにやけている。
「雇われ兵なのに自信満々ね~。大丈夫なワケ?」
「はいな~♪この羅・尉鵡(ら・いむ)が必ずやあいつらを蹴散らしてやるよ!」

「そうか、サータンのヤツも倒れたか。プラネットウォーリアも全滅か。ふぁぁぁ…」
そのサングラスをかけた金髪で小柄な男が眠そうにつぶやいた。小学生くらいの背丈だが実年齢は20歳だ。
「そういうことさ、ガイ・フォークス。サンの頼みの綱は俺たちだけとなったわけさ。まあ、俺にとってはそんなことは別にいいんだ、どうでも。」
拳法の構えをしながらもう1人の少年が言った。なんでも我流らしい。
「どうでもいいというのか、海瀬 悠(かいせ ゆう)。」
ガイが言い返した。すると…
「それがどうした。弱いやつらがやられちまうのは当然だろが。あの形無し共が。」
シルバーの長い髪の少女が吐き捨てるように言った。
「春原 さくら(すのはら さくら)よ。俺は彼女らのことを尊敬していた。そんな言い方はしないでほしい。」
ガイに睨まれたさくらは肩をすくめた。
「はいはい、悪かったよ。」



「太陽の遺跡か?それならあっちや。」
エヴァに聞かれた金髪メカバナナ美女がその方向を指し示した。
目の前に風・水・火・地の神殿よりもさらに巨大な神殿がその姿を現していた。
4つの神殿の力すべてを解放した結果だ。
「そうか。助かった、礼を言う。」
「おおきにな、ねえちゃん。」
エヴァと小太郎が礼を言った。
「ナハハハ、ええてええて。それがウチの仕事やから。」
「仕事?」
「ほなウチは行くな。」
彼女は行きかけたが、ふと思い直したようで踵を返してきた。
「あ、せやせや。あんたらの名前聞かせてくれへんか?」
「俺は犬上小太郎や。」
「絡繰茶々丸です。」
「チャチャゼロッテンダ。」
「私か?エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。よく覚えておけ。」
「エヴァン○リ○ン・マクドゥガル?サラの親戚なんか?」
「誰だ、それは?エヴァンジェリン、そしてマクダウェルだ!あと上の名前もどっかのロボットアニメみたいな名前ではない!」
「ナハハハ。スマンスマン。んじゃがんばってな~。」
美女は去っていった。
「あいつは…ウチのクラスのガキ共よりも疲れる…」
エヴァがため息をついた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:34 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第33回「のどか、立つ!」

アスナを救出した後、地の祭壇を見つけ出したネギたちは地の力を解放した。
そのとき、力の解放の影響で、まばゆい光が辺りを包み込んだ。
「あわわわわわわ…」
このかをかばう刹那。楓はネギを、真名は古菲をそれぞれかばった。
まもなく強烈な光はやんだ。
同時に他の風・水・火の神殿も、ものすごい光を放っていた。
光はいったん天に伸びていき、そして4つの神殿の中央にあたるあたりへと吸い込まれていった。
すると今度は鈍い地響きが起こった。
ゴゴゴゴゴゴ…
「何でしょうこの音は?」
ネギが首を傾げる。


地の神殿から出てきた一行。
「見てください、あれを!」
刹那が指差す方角にそれは出現していた。
地中からさらに巨大な建造物がその姿を現していたのだ。
ちょうど4つの神殿の中央に。
それは…
太陽の遺跡



一方発掘所では…
「びっくりした~いきなり大きな地響きなんだもの。」
まき絵が胸をなでおろす。他のみんなも同様だ。
太陽の神殿が出現したときの衝撃が、地響きとしてこのキャンプ場まで届いていたのだ。
「それからこの大雨暴風。なんなんのいったい。確かにさっきから湿気強くて風も強くはなってきていたけれど。」
夏美がぼやく。
「それにすごく暑いですわ。どうしたんでしょう。」
あやかが不安な面持ちで言った。
「でもまあ、自然現象ならしかたがないわよ、あやか。」
と千鶴。
「そうですよ。それにここにいれば安全ですから。」
意味深なセリフを言う乙姫むつみ。
「なんでや?ここにおっても結構危なさそう…あり?」
亜子が言いかけたとき、不意に雨風がやみ、青空が戻った。さらに山特有の涼しさも戻った。
さっきまでの異常気象がウソのように静まり返ってしまった。
「姉さんたち、ちょっと。」
カモが小声でのどかと夕映、和美に話しかけた。
「どうしたの、カモさん。」
「なに?カモっち。」
「今の雨風、そして地響きに異常に上昇した気温。普通じゃないぜ。何かこう強力なただならぬ魔力を感じたんだ。」
「魔力ですか?」
夕映が興味深そうに聞き返した。
「ああ。それでのどかの姉さんの魔法本を見せて欲しいわけだ。」
「はい、分かりました。アデアット。」
のどかの手に魔法本が現れた。
「ネギの兄貴のことだ。また厄介なことに巻き込まれて…ああっ!」
「「「こ、これは!?」」」
魔法本を見た4人はようやくネギたちのこれまでの戦いを知ったのであった。
「た、大変です~。ど、どうしましょう…。」
うろたえるのどか。
「行くしかねぇだろう。その魔法本で兄貴たちを手助けするんだよ。」
「その通りだな、カモっち。」
和美が賛同した。ところが夕映は難色を示した。
「しかし、この本の通りだとすると、相当危険な戦いに身をおくことになってしまいそうですが…」
「ゆえ…ううん、私は行くよ。ネギ先生たちの助けになりたいの。」
のどかの決意は固かった。
「みなさんの足を引っ張ることになるやも知れませんよ?」
「それならゆえはここにいてもいいよ。私だけでも行くんだもん。」
「えらいね~。えらいよ、本屋。チアリーダーじゃないけど、私はあんたを応援するよ。多少の危険を犯さないと大スクープは取れないもんだしね。私も同行させてくれな。」
「どうすんだ、ゆえの姉さん。」
カモの問いに夕映は少し考え込んでいたが、
「ふぅ…つくづくあなたたちはバカだと思いますよ。しかし私もバカのようです。行きましょう。みなさんを助けに。」
「よっしゃいこいこ!」
カモを含む4人が出かけようとすると、長髪美人の前原しのぶがそれを呼び止めた。
「あれ、どこにいくの?もうこんな時間なんだし、出かけるのは危ないですよ。」
「いえ、大事な用があるので行かなければならないのです。」
夕映が落ち着いて対処した。
「あ、でも本当に危ないから…」
それでも行くのを止めようとするしのぶ。
「で、でも私たち今すぐに行かないとダメなんです。すみません。」
とのどかが言った。
これには夕映も和美も驚いてしまった。
のどかが積極的に物を言うなんて珍しいことだからだ。
「そ、そっか…それじゃあ仕方ないね。」
みな一礼して行こうとすると、しのぶにもう一度呼び止められた。
「ちょっと待って。ねぇ…のどかちゃんだっけ?ひょっとして…もしかして好きな人を助けに行きたいとか…だったりするの…かな…?ハハ、なんちゃって、ごめん。変なことを聞いちゃって。」
のどかたちは目を丸くしていたが、やがてのどかは意を決して言った。
確固たる想いを込めて。
「はい、私大好きな人がいるんです。その人が今大変な目に遭っているんです。私どうしてもあの人を助けたい。私は今まであの人に何度も助けられてきました。今度は私が助けないと。私、行きます。」
のどかは改めて一礼すると、再び歩み始めた。
夕映と和美もそれに倣う。
のどかたちは遺跡のキャンプ場を後にした。
「女の子ってやっぱり恋をすると変わるものなんだなぁ…。あの子…まるで昔の私を見ているみたいだなぁ…」
しのぶは昔を思い起こし、感慨にふけるのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:33 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第32回「最後のプラネットウォーリア」

ネギたち4人はとらわれたアスナを救うべく、サータンとの激戦を続けていた。
もうかれこれ1時間ほどになる。
「ロックブラスト!!」
サータンの上級魔法。多数の大岩がネギ、楓、真名、古菲を襲う。
「障壁が効かない。うわっ!」
危うく岩にぶつかりそうになったネギを楓が抱き上げ、身をかわす。
「無駄だよ。ガイアウォール!」
ドドドドドドドドーン!!!!
地中から勢いよく爆風が吹き上がる。
楓はネギを放り投げる。直後、
「ぐああああああ!!」
「な、長瀬さん!?」
地面に倒れ伏せる楓。その地面ももはやデコボコのガタガタだ。
「ふ、不覚でござった…後は頼むでござるよネギ坊主…」
「長瀬さん!!」
真名はサータンに銃弾を何十発も打ち込んだ。しかし、まったく通じてない。
すべて岩に防がれていた。
「バカが、そんなものが通用するものか!!」
岩が真名を襲う。
「アチョー!!」
古菲が真名に向かっていた岩を砕く。ところが、今度は上から槍状の岩が降ってくる。
「あひゃ~」
「クー!!」
真名は古菲に飛びついて槍状の岩をよける。
しかし、さらに2人の足元の地面から爆風が吹き上げられる。
「あひゃああああ!!」
「ぐああああああ!!」
ノックアウト。
「残るは坊や、あんただけだね。」
サータンは長い髪をかき上げ、余裕の表情で言ってのけた。
「くそ、よくもみなさんを。許しませんよ!」
怒りの表情でネギが怒鳴る。
「許してもらわなくて結構。これであんたらの最期なんだから。神楽坂明日菜だけは生かしておいてやるよ。マスターはあいつの力が必要なんだと。」
「風花武装解除…」
不意打ちを狙ったネギだったが、
「無駄だよ、バーカ。」
落ちてきた多数の岩に叩きのめされ、ネギは倒れた。
「ぐううう…」
「さあて、今息の根を止めてやるよ。成仏しな。」
「(アスナさん…)」
ネギは目を閉じた。そのとき、
「待て!今度は私が相手だ!」
刹那そしてこのかが颯爽と現れた。
「フフフ…お前たちか。探す手間が省けたわ!今ここでお前たちを捕らえてくれる!近衛木乃香、そして桜咲刹那!ロックパンチ!!」
拳の形状をした岩が多数刹那に迫ってきた。
「神鳴流奥義 百烈咲華斬!!」
敵との間合いを詰めながら、それらを切り払う。
しかしそれも束の間、今度はこのかが狙われた。
「わ~せっちゃん助けてー!!」
敵との間合いを詰めたのが仇となってしまった。
刹那は翼を広げてこのかの元へと急ぐ。
「このちゃーん!!くそっ!間に合わない。」
「いやー!」
「うおー!!!!」
刹那は“Venus”のカードを掲げこのかに覆いかぶさった。
ズドドドドドドーン!!
「全弾命中か。これはペシャンコだな。私に歯向かわなければこうはならなかったものを。しかたがない、遺体だけでも…」
「そいつはどうかな。」
砂煙が晴れた。
笑みを浮かべてサータンを見据える刹那。そして刹那に抱かれてちょっと戸惑っているこのか。
「な、なに、無傷だと!?そんなバカな!」
「カードの力は偉大だな。お前のすさまじい攻撃でさえも防いでくれるとは。」
見ると刹那の翼は黄金色に輝いている。
髪や瞳の色までピカピカだ。
さらに腕や脚にも輝く鎧が装着されている。
“Venus”のカードの力―――それは使用者に強大な防御力をもたらすものであった。
「おのれ!ロックランサー!!」
刹那は黄金の翼を広げ、このかと自分の体を包み込んだ。岩が砕けてはじけ飛ぶ。
「ええい!ガイアー!!」
地面からの爆風。しかしこれも効果がなかった。
「勝負あったな。お前では私を倒せん!」
刹那が勝利を確信した。
しかしサータンはあくまで強気であった。
「フン、確かにお前には攻撃は通じないようだな。しかし私とて防御が硬いのは同じ。お前も私を倒すことは出来ん。」
しかし刹那は余裕で言い放った。
「前にお前の部下のタイタンっていうゴーレムと戦った。しかし、私はそいつを倒したのだ。」
「なにっ、お前が倒しただと!?どうやって…」
「それは…こうだ!!」
刹那はサータンとの間合いを一気に詰める。翼が青く輝く。
「おのれ、ロックシールド!!」
「奥義 水流斬岩剣!!!!」
「なああああああ!?」
とっさに防御体制をとったサータンであったが、それも空しく岩の盾ごと切り捨てられた。
岩も砂も強大な水の力に削り取られてしまったのだった。
「舐めんじゃないよ!図に乗るなクソガキが!!」
怒り狂ったサータンがものすごい反撃に出る。
「サンドディバイド!!ロックブラスト!!」
強力な連携攻撃がみんなを襲う。
「うおおおおお!!」
翼を広げ、背を向けた刹那は、再びヴィーナス刹那になり、猛攻をその両翼で必死に受け止める。
防御は鉄壁とはいえ、そこにかかってくる衝撃に耐え切れるかどうかは本人しだいであった。
だんだん隙間から砂が進入してくる。
黄金の翼が大量の砂や岩で重くなってくる。
「刹那さん無茶です!危険です!」
ネギが叫ぶが、刹那は聞き流す。
「せっちゃーん!」
「!!…このちゃん!ウオオオオ!!」
このかの声を聞いた刹那はさらに気力を高める。このかへの愛は強し…
そして…
ズドドドドドドーン!!!!!
激しい砂煙が辺りを覆った。
ネギたちは息をのむ。
と、突如大量の水の渦が辺りを濡らした。
乾いた地面が湿っていき、漂っていた砂埃も消えていく。
水の渦が晴れた。
ネプチューン刹那が水の力がうずいている夕凪を天へと掲げていた。
「ざっとこんなものだ。」
得意げな刹那。
サータンはあっけに取られ、狼狽していた。
「ウ、ウソ…そんなバカな…」
「今こそ見せよう。我が渾身の一撃を!!」
ネプチューン刹那はさらにマーズのカードを掲げた。
水と火の渦が刹那を包み込む。
刹那は再び羽を広げた。そして2本の刀を掲げる。
刹那の左翼と左目、左手に握られている刀の方は水の力を宿らせてまぶしく青くゆらめいている。
一方、右翼と右目、右手に握られている刀が火の力を宿らせて真っ赤に燃えている。
髪は赤と青のコントラストがうまい具合に交わり、美しい。
カードを2枚同時に使って融合した、ネプチューン・マーズ刹那の誕生だ。
「覚悟!!」
「おのれええええ!!」
空中から刹那が掲げた双剣を振り下ろす!
「水流火炎連携奥義 水火雷鳴剣!!」
青と赤の光を放つ閃光がサータンに炸裂した。
ズドオオオオオン!!!!!
「ぐあああああ…!!!あ、あ、あ…バカな…この私が…」
サータンは“Saturn”のカードを遺し、消えていった。
9人の惑星たち最後の1人が滅びた瞬間であった。



少し離れたところからサータンが倒されるのを見ていた少女はやれやれと首を振った。
「まったく、頼りないんだから。あいつらなんてほんとたいしたことないのに。」
少女は故郷にいる1人の別の少女に思いを馳せた。
「あんただけにいい思いをされちゃあうっとうしいんだよ、京川さくら。さくらカードかなんか知らんが、そんな他人の作った魔法具なんかで…」
少女は地面につばを吐き捨てて言った。
「やつらを倒して必ずあんたを超えて見返してやるよ。この春原さくらがこの拳に誓ってな!」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:32 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第31回「声が似てる!?」

時は夕方。遺跡近くの発掘チームのキャンプ場。
「う~ん、おいしい~。」
桜子が満足そうに言った。
「ほんと、お昼のカレーも最高だったけど、この海の幸や山の幸のフルコースはまた格別だね。」
裕奈も大絶賛だ。他のみんなも頷く。
「どれもこの辺りで取れたものなんだよね。いくらでも食べられちゃう。」
まき絵はどんどん料理を取ってガツガツ食べる。
「まったくまき絵さんも桜子さんももっとお上品に食べられませんこと?」
あやかが呆れた表情で言う。そこへ、料理上手な長髪の女性Sこと前原しのぶが笑みを浮かべながら言った。
「ウフフ…よく食べるのはいいことだよ。遠慮せずどんどん食べてね。」
「「「「「「はーい!!」」」」」」」
みんな一斉に答えた。
「(やっぱり幼稚園児レベルですね…)」
夕映は呆れてかぶりを振った。
「それにしてもまき絵ちゃんの声ってほんとなるさんに似てますよね。」
しのぶがまき絵たちをここに連れてきた女性Nこと成瀬川なるに話を振った。
「そうね。似ているといえば…」
なるはのどかのほうを向いた。
「のどかちゃんだっけ?この子昔のあなたに似てない?」
「ええ?あは、そうかもしれませんね。」
しのぶは微笑みながらのどかの方を向いた。
「え?あ、あの~…」
見つめられて思わず赤くなるのどか。
「あはは、引っ込み思案なところまでそっくりじゃない。」
なるが楽しそうに言う。
「ほんとですね。すぐにオロオロしてしまうところとかも。」
オトボケお姉さんのMこと乙姫むつみがニコニコしながら言った。
しのぶは今度はアキラのほうを向きながら。
「はは、そうですね。それからアキラちゃんでしたっけ?やっぱり素子さんに似てる~。それでその素子さんは今どちらに?」
「ああ、残念だけど今出かけちゃってて…」
なるが答えると、和美が
「早く帰ってこないかね~。そのアキラに似ている人の写真を取らせてもらいたいんだけど。」
とまだかまだかといった態度でぼやく。
「仕方がありませんよ、彼女は忙しくてもうしばらく帰って来れませんから。」
「どうしてゆえっち?」
ハルナが尋ねた。
「今の私じゃありません。」
「へ?」
「ああ、お帰りなさい、カナちゃん。お疲れ様。用事はもう済んだの?あれ、その子達は?」
なるが話しかけると、変装名人Kこと浦島可奈子は脇に抱えていた2人の少女をゆっくりと下ろして答えた。
「いえ、この子たちをここに送り届けるためにちょっと立ち寄っただけです。すぐに次の仕事に行かないと。」
「そっか。それじゃすごく大変なことに…。ご飯も食べてられないのね。」
「はい、それでは。」
「気をつけてね。」
なるは去っていく可奈子に言葉を投げかけた。
円が指摘する。
「ねえ、今の人の声って夕映の声に似てない?」
「うんうん、確かにそうかも。」
「似てる似てる。」
夏美や美砂も賛同する。
「そ、そうでしょうか…」
『クァーサーティー』を飲みながら夕映がつぶやく。
「アノ声はまさにゆえっち。これもいいネタになりそうだな…。ニシシ…」
和美が含み笑いをした。
「あら、今の方が連れて来られたの、鳴滝さんたちではありませんか?」
あやかが気づいた。
「ありゃ、ほんまや。なんでこの双子が?」
亜子が首を傾げる。
「あら、あなたたちの知り合いだったの。まあとにかくテントの方へ運んであげないとね。」
そう言ってなるがしのぶと共に、未だ寝息を立てている鳴滝姉妹を抱き上げた。



だんだん日が落ちて辺りが暗くなっていく。
薄暗い中、1人の女性剣士が目を光らせている。
胴着を着て凛々しい表情をしており、彼女が勇ましく見える。
彼女は日が落ちきった空を見上げた。
少し風が強くなったようだ。
その風も空気が湿ったためか、生暖かい。
風・水・火の神殿の力が解放された結果であった。
「残るは地の神殿のみか…。間もなくだな。頼んだぞ後輩たちよ。」
その女剣士Mは明るく光る月を眺めながらそうつぶやいた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:31 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第30回「偽楓」

「これでマーズも少しは報われますね。」
火の神殿の祭壇で“Mars”のカードをかざし、神殿の封印を解いた刹那とこのか。
彼女らは今、鳴滝姉妹らをおんぶして遺跡を出てきたところだ。
鳴滝姉妹はスゥスゥと寝息を立てている。
「それにしても、なんやますます暑くなってきたえ。」
史伽を担いだこのかが言った。
「そうですね。火の遺跡の力を解放しましたから。おそらくそのためでしょう。あと、マーズが言っていた遺跡の聖水というものを飲んだためかもしれません。」
風香を担いだ刹那が答えた。
「ほえ?なんでや?」
首をかしげるこのか。
「その遺跡の聖水が私たちの体内にある聖水に反応したためでしょう。」
「でもそんなんいつ飲んだっけな?覚えがないえ。」
すると刹那がポッと顔を赤らめて、
「そ、その…おそらくこ、このちゃんがく、口移しで薬を飲ませてくれたとき…」
声が徐々に小さくなっていく。
「ああ、なるほど。あの薬に聖水が入っとったんやな~。」
いつものぽえ~とした表情でこのかが微笑みかける。
「でも、ほんまにせっちゃんって強うなったな~。」
「いえ…カードや遺跡の力もありましたし…」
「ううん、せっちゃん素敵やえ♪」
このかは刹那の頬にキスをした。
「あわわわわわ…このちゃん…」
「アハハハ、せっちゃん元気出たかえ?」
「あ、は、はい。ありがとうございます。」
そう、このかは刹那の沈んだ気持ちを元通りにするためにワザとハイテンションになったのだった。
刹那はふと気になったことを尋ねた。
「あの…このちゃん、あのカードを使うのには相当の魔力と精神力が必要なようです。プルートのカードを使って大丈夫でしたか?」
「ん、大丈夫やえ。問題あらへんよ。」
このかは気になる事があったのだが、刹那に余計な心配をかけまいと黙っていた。
一瞬意識が飛び、あのプルートのささやき声が聞こえたような気がしたのだが…?
「せっちゃん、これからどうするんや?」
思い直してこのかが尋ねる。
「そうですね。とりあえず、鳴滝さんたちを送り届けなければ。」
「それには及ばないでござるよ。」
楓が現れた。
「ああ、長瀬さん。ちょうどよかった。この2人をお願いできますか?」
「もちろんでござるよ。」
そう言って楓は鳴滝姉妹を両脇に抱えた。
「そんなら頼むわなバカレンジャー。」
このかが言った。
「ん、バカレンジャー…?ああ、そうでござるな。任せるでござる。」
「ああそうだ。長瀬さん、ネギ先生たちをご存知ありませんか?」
刹那が思い出したように聞いた。
「ああ、ネギ先生たちなら地の神殿でござるよ。あっちの方角でござる。」
「さすがは忍者やな~。情報収集がうまいえ。」
このかが楓を褒める。
「いやあ、それほどでも。ではこれにて。後で援護に参る。」
そう言って楓は去っていった。このかが手を振る。
「ほな、地の神殿へ行こか、せっちゃん。」
「え、は、はい。」
腑に落ちないような表情をする刹那。このかが首をかしげる。
「どないしたん?」
「はぁ…さっきの長瀬さん、なにかこう違和感が…」
「違和感?」
「はい。彼女はバカレンジャーという言葉を聞きなれない様子でした。さらにネギ先生のことを『ネギ坊主』ではなく、『ネギ先生』と言っていましたし…そして極めつけは自分が忍者であることを認めていました。」
「あ、そういえばそやったな…あり?もしかして偽者とかやったとかかえ?せやったらあの子らが危ないんと…」
このかが心配そうに聞いた。
「それは大丈夫だと思います。敵意も悪意も邪気も感じませんでしたし、もし本当に敵が化けていたのなら、今頃私たちが攻撃されていたと思います。私の考えすぎでしょう。」
「それもせやな。ほなら遺跡に行くかえ?」
「そうですね。行きましょう。」
「どうせやったら飛んで行こうや。ネギ君たちにはよう合流せんと。」
刹那は照れながら、
「え、そ、そうですね。ええと…」
「もちろんお姫様抱っこやえ♪」
このかがニコニコしながら言う。
「や、やっぱりですか。うう~…わ、分かりました。」
刹那は顔を赤くしながらもこのかを抱き上げ、一気に地の神殿の方へと飛んで行った。
「せっちゃん、やっぱり気持ちええわ~。ヒャッホー!!」



刹那たちが去った後の火の神殿。
伊武神 沙弥人(いぶがみ さやと)は遺跡の祭壇を見つめていた。
彼はマーズの壮絶な最期を見ていた。
元々は刹那の戦いぶりと腕前を見定めに来たのであったが、まさかあんなことになろうとは…。
知り合いだったこともあり、マーズを助けてやりたいという気持ちはあった。
しかし、今はサンの配下にある手前、余計な手出しはできなかった。
フゥと溜息をついた。
ふと見ると、マーズの愛刀―――魔剣プロミネンスが床に刺さっていた。
沙弥人はそれを引き上げるとそれを鞘に収め、綺麗な布に丁重に包んでいった。
足元には鈴が…。
彼はこれも拾い上げた。
チリン
寂しげで哀しげな音が鳴り響いた。
「シャイナ・バーストフレイム…いや、ファム・アークフレイムにアイツの最期を教えてやるか。仕事が終わった後で…」



場所は太陽の遺跡。
サンが愁いを帯びた表情で戦況を眺めていた。
「プラネットウォーリアの女たちではやつらにかなわぬか。しかたがない、切り札である『彼ら』を呼ぶか。プラネットウォーリアの力を凌駕するあいつらを。」
サンは雇った助っ人たちを呼ぶことを決意した。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:30 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第29回「怒りの進化」

「「マーズさーん!!!」」
号泣しながらしゃがみこむ鳴滝姉妹。しかしなんと、そこにヴィーナスの容赦ない攻撃が入った。
「「うわああああああ!!」」
双子姉妹2人は吹き飛ばされて気絶してしまった。
「なーんだ。マーズのヤツ結局くたばっちゃったか。」
ヴィーナスがけだるそうに言った。
「貴様ら…絶対に許さん!!オオオオオ!!!!!」
ブチ切れ状態の刹那がネプチューンのカードを使った。
先ほどのマーズとの戦いのときよりもさらに激しい青い光と水の渦が刹那を包み込む。
光が晴れた。
今度のネプチューン刹那は翼だけでなく、髪や瞳までもが青い光を放っている。
さっきよりも気力が圧倒的に高くなっているからであった。
その青い翼を広げ、一気に決める。
「セリアよ、またお前の力を使わせてもらう!水神奥義 水流斬岩剣!!」
ザザザザザザーン!!
「グオオオオオオオ!!」
今度はタイタンというゴーレムを一刀両断にした。硬い岩も水圧のためにもろくなってしまったのだ。
刹那は続けざまにこのかを拘束しているレアに技を繰り出した。
「な、なによ。このかも一緒に斬るつもりかしら?」
「奥義 斬魔剣ニの太刀!!」
魔のみを断つ技。習得が難しいこの技をレアにお見舞いした。
「だああああ!!」
レアは消えていった。このかには傷1つついていない。
2枚の衛星のカードを手にした刹那は気を抜くことなく、ヴィーナスに向き直った。
「貴様だけは絶対に許さん!!」
鬼のような形相でヴィーナスを睨み付ける刹那。
最強クラスの戦士、ヴィーナスも思わずたじろぐ。
「うっ………フ、フフ…な、なにいってんのよ。所詮私の鉄壁の防御を破ることなんて不可能よ。」
「水神奥義 水流斬空閃!!」
水の力のこもった斬空閃。青い光を放ちながらヴィーナスに命中した。
しかし、彼女の黄金のドレスではじき飛ばされてしまった。
「ね、言ったとおりでしょ。私の防御力は絶対なのよ。」
すると刹那が言った。
「この世に完璧なものなんてありはしない。よく見ろ。」
「え?な、ななな、な?」
ヴィーナスは、並みの鎧など目じゃない相当頑丈なドレスを見た瞬間驚愕した。
ドレスはものの見事に大きくへこんでいた。
「くうぅぅぅ…よくも、よくも私のドレスを。八つ裂きにしてくれる!メタルシザース!!」
無数の刃が刹那に向かって行く。しかし…
「水の力を舐めるな!ふんっ!」
刹那が水の力を帯びた夕凪を一閃させると、すべての刃が一瞬でかき消された。
「そ、そんなバカな!?そこまでカードの力を引き出せるなんて、お前はいったい…」
恐れおののきうろたえるヴィーナス。
「そ、そうか。ようやく分かった。これ程の力があるからマスターは刹那を捕獲しろと…」
「ウチだってやるで。えいっ!」
今度はこのかがプルートのカードをかざした。
すると、紫色の光が輝き、このかの髪や瞳が紫色に。
怪しく光る光線がこのかによって発射され、ヴィーナスの方へ飛んで行き、そのまま彼女を包み込んでしまった。
「なっ、近衛木乃香まで遺跡の聖水を飲んでいたというのか。ううっ、頭が…いやああああ!!」
以前刹那を苦しめた幻惑の効果でヴィーナスが錯乱状態になるのにはそう時間はかからなかった。
しかし、プルートが刹那に対して力を発動したときとは少し効果が異なっていた。
「ああん、佐野光くんス・テ・キ♪…ひかりく~ん愛してる~!私…バレンは幸せです~。桜御ゆいなんてほっといて~。」
過去にあった出来事が頭の中を駆け巡っているようだ。目が渦巻き状になっている。
「い、今やで、せっちゃん!!」
「はい!」
“Mars”のカードを素早く回収し、その力を解放した刹那は攻撃態勢に入った。
燃え盛る紅蓮の炎のように赤く輝く翼を広げて。
髪や瞳までまぶしく赤い光を放ち、まさに燃える戦士となっている。
名づけてマーズ刹那。
「マーズよ、お前の力を貸してくれ!火神奥義 火炎雷鳴剣!!」
火の力をまとって真っ赤になった雷がヴィーナスを直撃した。
鉄壁の防御を誇るはずの黄金のドレスはいとも簡単に溶けていった。
「し、しまった!ぎゃあああああああ!!!!」
我に返ったヴィーナスであったが、時すでに遅し。
金星の名を持つ女神の最期。
“Venus”のカードが飛んできて、刹那の手に収まった。
「マーズ…悲しいやつだった…」
愁いを帯び沈んだ表情で刹那がつぶやいた。


感傷に浸っていた刹那は気づいていなかった。
プルートのカードを使ったこのかの異常に…
未だ髪や瞳の色が紫色のままのこのかはささやき声を感じとっていた。
「(もっとカードを使ってください。ウフフフ…)」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:29 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第28回「誇らしき剣士」

…数ヶ月前
「本当に行ってしまうのか、マーズ?」
「ああ、一刻も早くあの神鳴流の女剣士と決着を着けたいからな。」
マーズの話し相手は寂しそうな顔をした。
その相手はマーズと同じ、小柄で赤い長髪、赤い瞳を持つ少女。
彼女らは幼い頃から姉妹同然で育てられた。
「そんな顔をするな、ファム。必ず帰ってくるからさ。そうしたらまた一緒に修行しよう。」
「ああ…分かった。約束だよ。そうだ、これを。」
ファムは鈴を取り出し、マーズに渡した。
「お守り代わりだ。こんなものしか用意できなかったけど…」
「いや、ありがとう。大事にするよ。」
ファムはマーズの手を取り、切なげな子を浮かべた。
「待ってるからね、あんたが帰ってくるのを。さくらやゆい、ミュウやらルナたちもよろしく言っといてってさ。」
「そうか。…じゃあ行ってくる。いこうかデイモス、フォボス。」
最後にファムがマーズの手を握って笑顔で言った。
「いってらっしゃい…」
「いってきます…」
マーズは笑顔で返し、手を振った。



…あの見送りから数ヵ月後…



「斬岩剣!!」
刹那はタイタンという名のゴーレムを攻撃した。
しかし相手は片腕でやすやすとガードする。逆にカウンター攻撃でパンチを浴びせる。
「ぐあっ!」
刹那は壁に叩きつけられた。
「せっちゃん!」
タイタンと同じく土星の衛星であるレアに捕らえられたこのかは身動きが取れない。


「フレイムドラゴン!」
ドラゴンの姿をした業火がヴィーナスを襲う。
しかし、ヴィーナスはそれを軽くあしらう。
彼女の体を覆っている黄金のドレスはとてつもない防御力を誇っていた。
「まったく、不甲斐ないですわ。それではこちらが。ゴールドラッシュ!!」
ヴィーナスの力で金の槍が飛んでくる。
「危ない!!」
デイモスがマーズをかばった。数々の金の槍がデイモスの体を貫いた。
「ぐおおおおおお!!お…ぉ…」
「デイモスゥー!!」
崩れ落ちて行く彼をマーズは支える。
「死んじゃ嫌だ!私と結婚してくれるんじゃなかったの!?」
「す、すまない…ど、どうやら…そ、その約束は果たせそうにない…マーズ…愛して…い…る…」
デイモスはマーズにそっと口づけすると、すぅっと静かに消えていった。後には、小さなカードだけが残された。
「あ…ああ…ああぁぁぁぁぁぁぁ!いやぁー!!!!!」

デイモスと過ごしてきた日々が頭の中を駆け巡る。
幼い頃は毎日のように一緒に遊んだ。
両親を亡くした時は自分を優しく励ましてくれた。
辛い修行にも進んで協力してくれた。
くじけそうなときもいつも彼がそばにいてくれた。
そして…告白してくれた。
お転婆でワガママな上、乱暴者な半人前剣士である自分を好きになってくれた。
あの夜、美しく輝く月に照らされながら、彼は優しく自分の華奢な体を抱いてくれた。
そのときの温かい彼のぬくもりは今でも憶えている。
体中が、心が温かかった。
そんな彼がたった今、自分の目の前から消えてしまった。
永久に…

マーズは今、とてつもなく後悔していた。
復讐のためにサンなどと契約を交わしたりするべきでなかったと。
自分はまんまと利用されただけだったのだ。
彼女はフォボスとデイモスの反対を押し切って契約を交わしてしまったという経緯があった。
そのため余計に負い目を感じていた。
「ちくしょう…ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
怒りの炎がマーズの周りに燃え上がる。
「であああああああああ!!メテオストライクゥゥゥゥゥ!!!!!」
遺跡の天井を突き破って燃え盛る巨大な隕石が一つヴィーナスに直撃した。
「ぎゃああああ!!」
ゴゴゴゴゴゴ…
「はぁはぁはぁ…」
もうもうと立ち込める煙と瓦礫を前にして、渾身の一撃を放ったマーズはその場にしゃがみこんだ。ところが!
「…なーんてね♪これがどうしたって言うワケ?死になさい!メタルラッシュ!!」
煙の中から刃状になった金属がマーズに襲い掛かった。
とっさにかわそうとするマーズであったが、刹那との戦闘のときのダメージのせいで思うように動けない。
普段の彼女にならかわすことなど造作もなかったはずなのだが…。
「ぐはっ!うっ…!あっ!うあっ…!」
次々と刃(やいば)がマーズの体をかすめていく。
「うっ…ぐふっ…がはっ!」
「マーズさんしっかりして!!」
「死んじゃ嫌です!!」
風香も史伽ももう泣き出しそうである。
「く、くるな!!」
よろよろと立ち上がる。
「メタルシザーズ!!」
しかし、大きな金属の鎌がマーズの左肩から腰の右側までをバッサリと斬った。
「くああっ…」
大きな傷口から大量の鮮血が飛び散った。もはやあたり一面血の海であった。
彼女の愛刀である魔剣プロミネンスが中を舞い、床に突き刺さった。
「アハハ!お前はまだこの程度じゃ死なないだろ。最強の戦士の一角なのだからな。だがあの刹那とかいう尻の青いガキなんかに負けるなんて同じプラネットウォーリアとして恥ずかしいわね。」
ヴィーナスはマーズを蔑むような目つきで睨んだ。
体を斬られ、体に大きな傷をつけられたマーズであったが、それでも起き上がろうとする。
「ウフフ…がんばるのね。でもね、あなたはもっと非道であるべきだったのよ。あんたは優しすぎたんだ。こうなったら精神改造でもして私の手駒にでもなってもらうとしましょうか。」
ヴィーナスはにやりと笑うと鳴滝姉妹の方を向いた。
ビクッと後ずさりする2人。
「フフフ…それにはあの2人が邪魔ね。」
手を前に突き出すヴィーナス。
「そんじゃ、そこの2人にはあの世に行ってもらうとしますか。バイバイ♪悪く思わないでね。」
無数の金属の槍が鳴滝姉妹を襲う。
「「うわああああああ!!」」
「危ない!…くっ!」
鳴滝姉妹を助けようとした刹那であったが、タイタンに阻まれてしまった。
グサッ!ブスッ!ザクッ!ザシュッ!バシュッ!ドウッ!グシュ!ザクザクザクザクザク…
無数の刃が正面から体を貫いていった。
鳴滝姉妹をかばったマーズの体を…。
刃はすべてマーズの体に刺さって止まっていた。
「「マーズさーん!!!」」
今度は鳴滝姉妹の悲鳴が響く。
2人はその場に崩れ落ちたマーズの元へと駆け寄った。
「なんで、どうして…うう…何で死ぬことを選んじゃうんですか!?」
と史伽。
「嫌だよ~ボクらに優しく…グスッ…してくれたのにどうして…」
と風香が泣きながら言った。
マーズは微笑んで答えた。
「わ、私は…死ぬのでは…ない。ゲホッ…桜咲刹那に…私の…札を渡したかったんだ。ガフ…桜咲刹那…聞こ…えるか…私のカードを…使って…コフッ…やつらを…グフッ…そして…そして遺跡の封印を…解いてく…れ…頼んだ…ぞ…」
血を吐きつつ、今にも消えてしまいそうなか細い声でなんとか言葉を紡いでいった。
最後に鳴滝姉妹の泣き声と何か叫んでいるのが聞こえていたが、それもだんだんと聞こえなくなってきた。
「(これで…これで…みんなの所に逝ける…父さん、母さん、伯父さん、伯母さん、フォボス…そしてデイモス………今そっちに行くよ……………。…ああ我が友、ファム・アークフレイム…後のことは頼んだよ…)」
マーズは1枚の大きな“Mars”のカードを遺して消えていった。
自分と姉妹同然に育てられたファムという少女へすべての想いを託しながら…


主を失った魔剣プロミネンスはその炎の輝きを失った…
チリリリリ…
そしてお守りである鈴が床に転がった。
哀しそうな音(ね)を響かせながら…
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# by konosetu | 2001-01-01 00:28 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第27回「優しさとプライド」

約30分続いた刹那VSマーズの決闘が幕を下ろした。
刹那はネプチューンのカードの効果を解除した。
倒れてうなだれているマーズを眺めながら、立会人のデイモスが悔しそうに言った。
「勝負あり…桜咲刹那の勝利…」
「やった~!やったえせっちゃ~ん!」
このかが飛び跳ねる。
「ぐうううう…ま、負けた…完全なる敗北。…もういい…私にトドメをさせろ…このまま生き恥など、さらしたくない…」
マーズは倒れたまま横を向き、刹那に言った。
「フン、無抵抗のヤツをいたぶる趣味などない。」
「ぐうううう…情けなど無用だ!お前に情けをかけられるぐらいなら!おい、フォボス!」
「は、はっ!」
フォボスがこのかに刃物を突きつける。
「はわわ…せっちゃん…」
「このちゃん!貴様…」
「近衛木乃香に傷をつけられたくなければひと思いに私にトドメを刺せ!」
「くっ、お前もおかしなヤツだ。しかたがない、終わりだ!」
「待って!待ってよ!」
「殺さないでくださーい!」
2人の小さな少女たちがこちらへ駆けて来た。
「な、鳴滝さんたち!?どうしてここに!?」
刹那は驚愕した。
「マーズさんを殺さないで。マーズさんは罠にかかったボクらを救ってくれたんだよ。」
「うん。本当はいい人なんだよ。だから。」
「お前たち…もういいんだ。私はこいつに負けた以上、もう生きている資格なんて…。」
パシッ!
頬をたたく音がこだました。驚き目を丸くするマーズ。
頬をたたいたのは彼女の部下…いや幼馴染のデイモスであった。
「すまんマーズ…しかし、君は昔からこうだ、突っ走って敗れてはすぐに死を選ぼうとして…。もっと自分を大切にしてくれ。お願いだから。」
そう言ってデイモスはマーズを抱きしめた。
「ううう…うう…うあああああ!!」
マーズはデイモスの胸で号泣した。
他の者は困惑の表情。
マーズはまるで幼い子供のように泣きじゃくった。
デイモスはそれを優しく受け止める。

と、そこに、
「やっぱり…あんたなんかには任せられないわね。」
「なっ、ヴィーナス!?」
とマーズは驚愕の表情を浮かべた。
「ヴィーナス…金星か?」
と刹那。
みなが振り向くと、黄金のドレスに身を包んだ美女が高台に立っていた。
「火の封印は解かさせん。それから近衛木乃香、そして桜咲刹那、お前たちには一緒に来てもらおう。我らのマスター、サン様のためにな!」
「サン、だと?」
刹那は身構えた。
ところが、突如男の悲鳴が響いた。
「ぐああああああああ!!」
「フォボス!?」
マーズが振り返ると、フォボスが槍状の岩に貫かれていた。
「よくやりましたわ、岩使いのタイタン。あんたをサータンから借りてきて正解だったようね。」
ヴィーナスはタイタンと呼ばれたゴーレムを称えた。
ちなみにタイタンは土星の衛星。金星の称号を持つヴィーナスはタイタンをサータンからいわばレンタルしている。
「ぐぐ…マーズ…生きろ…生きるんだ……」
そう言い遺し、フォボスはカードへと姿を変えた。
「ああ…そんな…フォボスゥー!」
悲痛な声を上げるマーズ。
「貴様!仲間ではなかったのか?」
「役立たずの仲間なんていなくなってしまえばいいのよ。」
ヴィーナスがほくそ笑む。
「この!奥義 雷鳴剣!!」
ヴィーナスに向けて発射!
ドオオオオオーン!!!
直撃。…ところが全く通用していない。
「バ、バカな!?」
驚愕する刹那。さらに、
「離して、離してや!」
このかが敵の手に落ちてしまった。
「このちゃん!!」
「お手柄ですわ、レア。」
「よくも…よくもフォボスを…」
マーズは再び復讐の鬼と化した。
しかし、今度の矛先は神鳴流剣士ではなく、かつての仲間であったヴィーナスであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:27 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第26回「プラネットカードの力」

ガキーン!!ジャキーン!!
刹那の剣とマーズの剣が激しく交錯する。
刹那が後方へ跳び、マーズとの間合いを開ける。
「はぁぁぁ…奥義 斬岩剣!!」
めいっぱい気を込めた斬岩剣をマーズに見舞う。
「フッ…!」
マーズは薄笑いを浮かべると、地面を蹴り後方へ逃れた。
「かかったな!秘剣 百花繚乱!!」
斬岩剣はフェイントであった。
百花繚乱が決まるかと思われたそのときマーズの反撃が!
「甘い!ファイアーウォール!」
刹那は灼熱の壁に突っ込んでしまった。
「うぐっ!くそっ…!」
百花繚乱で飛び散った多量の桜の花びらが燃えながら床に落ちて行く。
地面を転がり何とか体にまとわりついた炎を消した刹那。
と、転げまわった体勢から足を踏み込み、一気にマーズとの間合いを詰める。
「くらえっ!百烈咲華斬!!」
「むっ!?」
ガキン!ガキン!ガキン!!ジャキーン!!!
「なっ…すべて防いだだと!?てえええい!たあっ!」
刹那が再び剣を横なぶりに振る。
マーズはそれをまずジャンプでかわし、次の一撃はかがんでかわした。
そして逆に刹那の脚を払った。
バランスを崩す刹那。
「未熟者目が!バーストスマッシュ!」
ドウーン!
夕凪でガードしたものの、刹那はかなりの距離を吹き飛ばされた。
ザザザザザー!!
なんとか空中で体勢を整えなおし、脚で着地する
「はぁはぁ…なかなかやるようだな。神鳴流を滅ぼすとか言うだけのことはある。」
「そうやって余裕でいられるのも今のうちだぞ、桜咲刹那。もうすぐお前の命は朽ち果てるのだ。」
そう言ってマーズは剣に炎の渦をまとわらせる。
「はあぁぁぁぁぁ…くらえ!必殺、バーストプレッシャー!!」
ズドオオオオオオオオオン!!!!!
「な、な!?うわあああああああ!!」
あまりの圧力に耐え切れず刹那は後方へ大きく吹き飛ばされた。
シュウウウ…
刹那の体から湯気が上がっている。
「な、なんだこれは!?体中が火傷だと!?」
「その通り。この技は触れただけでも大火傷だ。そのままお前は皮膚がただれて終わりだ。」
「せっちゃーん!」
このかが心配して叫ぶ。身を乗り出したためフォボスに制止させられる。
「だ、大丈夫ですこのくらい…があっ!」
どんどん火傷が悪化していく。
「であぁぁぁぁっ!ブレイズラッシュ!」
さらにマーズの連続斬りを受ける刹那。
「うわああああああ!!」
斬られた部分がさらにひどい火傷に。いわゆるミミズ腫れ状態だ。
他の部分は裂傷。
「ヒートブースター!!」
さらに一撃。マーズがものすごい勢いで刹那に突進してくる。
またまた激しく突き飛ばされた刹那。
刹那の第一表皮はもう焼けただれており、刹那の皮膚はピンクの服を着ているみたいになっている。
ズザザザザザザー!!
吹き飛ばされた刹那は、今度は右肩の方を下にして地面に叩きつけられた。
地面に激しく擦ってしまったため、更なる激痛に。
「う…ぐ…ううう…」
あまりの痛さに声もまともに出せなくなっている。
薄くなった皮膚から血が吹き出てくる。
少し動いただけで、体中が悲鳴をあげるまでになっていた。
それでも夕凪を杖代わりによろよろと立ち上がる刹那。
しかし、もはや目の焦点が合っていないようであった。
実際彼女の視界はかすみ、ぼやけていた。
「(ダ、ダメだ…このままでは…確実に…負ける…)」
「せっちゃーん!」
「(このちゃん!うう…このちゃんを…守ら…ない…と…)ああっ…この…ちゃん…」
ついに刹那はガックリと地面に倒れ伏してしまった。
「(これは…勝負あったか…)」
決闘の立会人であるデイモスがマーズの勝利をつげようとした。
そのときであった。
「あなたの持つ水の力を使ってください。そうすれば勝てます。」
どこからともなく声がした。
「だ、だれだ!?」
マーズが叫ぶ。
「え、綾瀬さん?」
意識が飛びそうな中、刹那はかろうじて言った。
「夕映、来てくれたんかえ?」
このかもわずかに表情を明るくする。
しかし、もうその声の主の気配は消えてしまっていた。
「ふん、決闘の邪魔でなければいい。桜咲刹那、トドメだ!!」
「くっ!」
刹那が覚悟を決めようとしたとき、また声がした。
「刹那さん!ネプチューンの遺したカードを使ってください!!」
「カード?ああ、そうか!」
刹那はネプチューンのカードをかざした。
そのときだった。
まばゆい青く輝く光が刹那を包み込んだ。
カードからは水の渦が飛び出し、刹那のいる光の中に吸い込まれていく。
「か、体が熱い…内側から来る熱さ…。さっきから暑かったのはこのためか…う、うおおおおお!」
「せ…せっちゃん、ウ、ウチも体の中が熱いえ。」
このかの懐のプルートのカードも紫色に光る。

シュウウウウウウ…
光がやむと、刹那は翼を広げていた。
しかし、いつもと様子が違った。なんと翼は青く輝いていたのだ。
「こ、これは…水の力?」
思わずマーズがうろたえる。
夕凪には強力な水の力が宿っていた。と、同時に刹那のあのひどい火傷も完治していた。
「力が…力がみなぎってくる。いくぞ!ウオオオオオオオ!!!!」
「おのれー!」
宙に飛び上がって攻撃を仕掛ける刹那。マーズも飛び上がるが。
「くらえ!ブラスターエクスプロージョン!!」
「いけええええ!!水流斬岩けぇぇぇぇぇん!!」
マーズの技がかき消される。
そしてすさまじい水流がマーズを押し流す!!
「がっ、うあぁぁぁぁぁ!!」
ドオオオオオオオオオオン!!!!!!
轟音と共に大爆発が起き、マーズは宙に舞った。
そして床に叩きつけられた。刹那の方はゆっくりと着地する。
マーズがわずかに体を動かしたが、起き上がることはできなさそうだ。
立会人のデイモスが悔しそうに言った。
「勝負あり…桜咲刹那の勝利…」


遺跡の柱の影から1人の女性がその様子を見ていた。
「フッ…うまくいったようですね。思わず本当の声で助言してしまいました。」
看護師や楓に変装していた女性Kは刹那の勝利を確認すると、彼女の飼っている黒猫と共に遺跡を去っていった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:26 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第25回「燃える決闘」

「始め!」
カンッカンッ!キンキンッ!ガキーン!ジャキーン!!
交錯する2人の剣。
「くっなかなかやる。」とマーズ。
「お前もな。いい手ごたえだ。」と刹那。
決闘が開始されてから10分が経過しようとしていた。
「ウォーミングアップはこのくらいにしておこうか。」
とマーズ。
「そうだな。ここからは技のぶつけ合いだ!」
と刹那が賛同する。
刹那は相手との間合いを取った。そして技を繰り出す。
「奥義 斬岩剣!!」
「なんの!フレイムクラッシュ!!」
ドウン!!!!
辺りは爆煙に包まれた。
「奥義 斬空閃!!」
「ブレイズショット!!」
「奥義 雷鳴剣!!」
「ヒュームドラゴン!!」
ズドンズドンズドーーーーン!!!!
激しい力と力のぶつかり合いは続く。



ネギとアスナ、楓、真名、古菲の5人はある遺跡まで来ていた。
「地の神殿…ですね…この辺は遺跡だらけですね。」
ネギたちは辺りをキョロキョロ見渡しながら言った。
「そんなことよりどうすんのよこれから。相変わらず、このかや刹那さん、エヴァちゃんたちとは連絡がつかないし、敵は私まで狙っているんでしょ?もうやんなっちゃう…。」
アスナが愚痴をこぼした。真名がたしなめる。
「仕方があるまい。こうなった以上生き残るためには戦わねばならないのだからな。ここでのたれ死んでもかまわないというのなら話は別だが。」
「そんなの嫌に決まっているでしょ。もう~…。」
「しっ!なんだか地面から妙な音がしてこないでござるか?」
楓が今自分たちが立っている砂の床に注意を向けた。
「そうアルね…ってアル~!!」
古菲の悲鳴が響く。そして、
「い、いや~なによ、これ!?」
突如足元が陥没を始め、アスナが砂に飲み込まれていく。
「ア、アスナさ~ん!!」
「くそ、流砂…アリ地獄か!?」
さすがの真名も慌てる。
「フフフ…その通り。」
土色の衣装をまとった女が姿を現す。
「我が名はサータン。地をつかさどる者である。」
「むむ、幹部のお出ましでござるな。」
「神楽坂明日菜はいただいていく。お前らは…処刑だ!!」
「ネギー!!」
アスナは砂に飲み込まれていった。
「アスナさん、アスナさーん!!」
ネギの叫び声も空しく響くだけであった。
「くそ、アスナさんを返せ!!ラス・テル・マ・スキル・マギステル風精召還 剣を執る戦友!!」
サータンに攻撃を仕掛けるネギ。
「やる気かい?いいよ、こっちは4人が相手でも負ける気がしないね。」
サータンは余裕の表情で言ってのけた。
その瞬間、ネギの魔法はかき消されてしまった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:25 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第24回「復讐の炎」

「はぁはぁ…(どうしたんだろう…さっきから体が熱い…。)」
力の解放を終えたこのかと刹那は次の場所を目指していた。
刹那は体から湧き上がってくるような力のせいで汗をかくほどの熱を体に感じていた。
「はぁ…はぁ…せっちゃん…なんか暑いえ。体がほてってもうて…。どうしてもうたんやろ?」
「ああ、それはおそらく火の神殿へ向かっているからでしょう。」
実はそれだけが理由ではないのだが…。
あのプルートとの戦いの後に飲んだ薬…。あれが遺跡と反応して…
「ふぅ…さっきセリアが渡してくれた地図が役に立ちますね。」
そう、2人は火の神殿へ向かっていた。セリアの行っていた通り、サンを倒すため残りの遺跡の力を解放しようというのだ。
と、刹那は歩みを止めた。
「どうしたん、せっちゃん?」
このかが尋ねる。刹那はそれには答えずに物陰に隠れている人影に話しかけた。
「何を隠れている。不意打ちなど通用せんぞ。」
すると物陰から2人の侍風の男たちが出てきた。
マーズの従者、デイモスとフォボスであった。
「我々はお主たちと戦うつもりはない。桜咲刹那、お主が戦うのは我らが主マーズである。」
デイモスはそう言うと、果たし状を刹那に渡した。
「ほう…なるほど、火星か。そいつもカードをコアにしている戦士か?」
今度はフォボスが答える。
「いかにも。マーズはお前との1対1の決闘を申し込みたいと言っている。すぐに火の神殿の祭壇へ来い。」
刹那は決闘という言葉に反応した。刹那も剣士の一端。戦士の血が騒ぐのであろう。
「いいだろう。ちょうど向かっていいたところだ。案内してもらおうか。」
4人はマーズの待つ祭壇へと向かった。



「待っていたぞ、桜咲刹那。」
マーズが巨大な祭壇上から言った。
「お前か、私に果たし状なんて届けさせたのは?」
「いかにも。我が名はマーズ。ドラゴンの血統なり。我が両親の仇(かたき)神鳴流。必ずや復讐してくれる。」
刹那は記憶の糸をたぐった。
「そういえば聞いたことがある。ドラゴンを暴れさせて街1つを壊滅させてしまった術士の夫婦がいたと…」
「そうだ。私は彼らの娘だ。神鳴流の戦士に殺された2人のな!」
刹那よりもさらにその小柄な少女は刹那を睨み付けながら言った。
「それで神鳴流であるこの私を倒そうというわけか。」
「ああ、そうだ。お前の首級(くび)を見せしめにし、いつかあのにっくき女を八つ裂きにしてくれる!」
刹那の脳裏に疑問がよぎる。
「あの女?」
「ふっ、私の両親は濡れ衣を着せられたのだ。あの女は話も聴かずそれを誤解して両親を…。」
マーズは憎々しげに顔を歪めた。
「さて、もしお前が勝ったらもちろん私のカードはお前のものだ。私が勝ったら、近衛木乃香をいただく。」
「くっ!結局そういうことなのか。」
刹那はこのかをかばうそぶりをする。
「勘違いするな。あくまで私が勝った後のことだ。それまでは私も私の部下も彼女には手を出さない。」
「…信用してもいいかどうか。」
「信用してもらってかまわない。私は卑劣な手段を使ってまで勝とうと思うほど落ちぶれてはいない。」
刹那は少し考えていたが、
「…いいだろう。信じよう。このちゃん、少し待っていてください。必ず勝って見せますから。」
「せっちゃん…」
心配そうなこのか。
「デイモスは立会人を頼む。フォボスは近衛木乃香が決闘の邪魔をしないかどうか見張っていてくれ。くれぐれもお前たちが決闘の邪魔をしないように。手出しは無用だ。」
マーズが念を押す。
「十分承知しております。」とデイモス。
「ご健闘を祈ります。」とフォボス。
刹那とマーズが対峙した。
愛刀夕凪を構える刹那。同じく愛刀プロミネンスを構えるマーズ。
まもなく決闘が始まる。

神殿の外では力の解放の影響から少しの間大雨が降った。
まるでこのかの、そしてセリアの悲しみを代弁するかのように。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:24 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第23回「ずっとずっとフレンズ」

「海の王者ポセイドンよ、我に力を…ブルーエクスタシー!」
バッシャーーーーーーン!!!!
「まだまだ、海の墓場・オーシャングレイヴ!!」
ゴオオオオオオオオーン!!!!
セリアの魔法で大半の半漁人たちが消し飛んだ。しかし、まだまだ大勢いる。
「奥義 斬空閃!!…くそ、これではキリが無い。」
刹那にもセリアにも焦りの色が見え始めた。
そのときこのかが半漁人に襲われる。
「危ない!」
セリアは咄嗟にこのかの前に腕を広げて立ち塞がった。
このかをかばったセリアの体を銛や水中銃が貫いた。
続けざまに何本も突き立てられる。
しまいには刺さった銛や水中銃が爆発を起こした。
「がふっ!がああああ…」
血を吐いた。体中からもひどい出血。
「セリア、セリア!いややーしっかりしてや!」
このかが泣き叫ぶ。
「くそっ、大技を使う。このちゃん、セリアとあの高い祭壇へ。早く!」
「分かったえ!!」
セリアを抱き上げるこのか。
このかたちが水の神殿の巨大な祭壇へ上りきるのを見て刹那は翼を広げて空へ浮かんだ。
「いくぞ!秘技 真・雷鳴剣!」
ビリビリビリ…ドッカーン!!!!
「ぎゃああああああああ!!」
半漁人たちおよび敵の人魚たちは感電とすさまじい衝撃で一気に全滅した。
刹那はセリアの元へ駆け寄った。
「セリア、セリアしっかりしてな。今回復させたるえ。」
このかは回復魔法を使おうと…
しかし、セリアはそれを制した。すでに体が泡と化し始めていた。
「私は…もうだめです。もういいんです…これで…よかったんですよ…」
「そんなセリア!」
「泣かないで…私ね、本当に…本当にあなたのことが…好…き…。あ、愛してるくらいに…」
そう言うとセリアはこのかの顔に手を持っていき、このかの涙を拭った。
しかし、すぐにその手は泡と化してしまう。
「このちゃん…最後にあなたと仲良くなれて本当にうれしかった。もう二度と会えなくなってしまうけど、ずっと友達でいてくれるかしら…?」
「あ、あたりまえやえ。セリアは…うぐっ…これからも…ずっと…ずっと…ううっ…友達やえ。」
このかは涙をぼろぼろ流し嗚咽を漏らしながら、何度も何度もうなずいた。
「ありがとうこのちゃん…。刹那さん…これからもこのちゃんをよろしく…。さようなら…このちゃん…」
「セリアーいややあー!!」
ネプチューンことセリアは完全に泡と化し消えていった。
消える寸前、セリアはある少女の顔を思い浮かべていた。
「(マーリン…もう一度だけ会いたかった…)」
後には“Neptune”のカードだけが残された。
「ああ…ううう…う、うああああーん!!!」
このかは刹那の胸で大泣きした。
ほんの短い間でも友達だった者のために。


悲しみにくれるこのかを脇で休ませておき、刹那は祭壇の中央に立った。
そして“Neptune”のカードを掲げた。
霧状の水の粒が天へと吸い込まれていく。
まるで、雨が下から上へと昇っているような不思議な光景だった。
水の神殿の力が解放された瞬間であった。


神殿の外では力の解放の影響から少しの間大雨が降った。
まるでこのかの、そしてセリアの悲しみを代弁するかのように。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:23 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第22回「出会いは人を変えるもの」

トントントン…
リズムの良い包丁の音が聞こえてくる。
「フンフンフフン…♪」
そばのコンロでは鍋がグツグツと湯気を立てている。
ここは遺跡のキャンプ場の調理場。
料理しながら小声で歌っている。彼女は極めて機嫌が良かった。
「負けないで もう少し 最後まで 走り抜けて♪」
今エプロン姿の彼女は昼食の準備をしている。
切ったものを鍋に入れて…しばし待つ。
彼女は長髪で穏やかな表情が印象的な美女である。
なかなか肉付きもよく、女性らしいラインが浮きだっている。
昔のいつもオロオロして自信のない性格はどこへいったのやら。
そう、彼女は5,6年ぐらい前は人見知りがかなり激しく引っ込み思案だった。
その上、泣き虫で自分の体のことについてもコンプレックスを感じていた。
学校でも学業の成績が芳しくなく、失敗の連続であった。
さらには家庭の事情が悪いことがさらに彼女を追い込むのに拍車をかけていた。
しかし今ではそれらとは正反対に自信と心の余裕に満ち足りていた。
今では立派な東大生の一人である。
そう、彼女は今年の春に晴れて東大に入学したのであった。
「感じてね 見つめる 瞳~♪…っとでーきた!」
完成した特性カレーを味見する。
「うん。うまくできてよかった。なんだか今日はお客さんが多いみたいだからたくさん作っちゃった。」
彼女は意気揚々と発掘仲間や客たち(麻帆良の生徒たち)を呼びに行った。
「麻帆良学園のみなさ~ん!お昼ごはんをご一緒しませんか~?」
あの女子寮での数々の出会いが彼女をここまで変えたのだ。



「着きました。ここです。」
セリアに案内されて来たのは巨大な水の女神の像とさらに巨大な青い祭壇のある大広間だった。
多くの人魚像も立ち並んでいる。
「すごい。こんな巨大な遺跡が星美山に眠っていただなんて。」
「ほんまやねせっちゃん。」
「ここで遺跡の力を解放するのです。そうすれば大いなる力が甦るでしょう。」
「「大いなる力!?」」
このかと刹那は声を揃えて言った。
「はい。太古の昔から眠り続けている強大な力。サンはこの力を手に入れるためこのちゃんや刹那さん、そしてアスナさんを捕らえようとしていたのです。」
「ええ!アスナもかえ?」
「そうだったのか…早くこのことをアスナさんたちに知らせなければ。」
「その前に遺跡の解放を。サンはずっと封印が解かれるのを恐れていました…それは力を奪われるのを避けるため…もしこのちゃんが捕まれば彼はこのちゃんの力を利用して遺跡の強大な力を意のままに操れるようになってしまう。」
「そういう事情があったのか。分かった、信用しよう。それでどうすればいい?」
するとセリアが物悲しそうな表情になっていった。
「私を…私を…アナタの刀で貫いてくれればいいのです…刹那さん。」
「ええっ!?なにゆうとんセリア!?」
「な、なんだと!?そんなことできるわけが…」
「せや!セリアはもうウチらのお友達なんやえ。そないなこと出来るわけ…」
「だからです…友達だからこそあなたたちの手で…私はもうすぐサンに消されるでしょう。彼の意志に背いてしまったのだから…それに私が生きている限り、あなた方は遺跡の力を解放できません。それに対してサンは私を利用すればいつでも…」
セリアは辛そうな表情で言った。
「そんな!セリア…そんならセリアはウチが守ったるえ。絶対に助けたるから。せやから死ぬなんて言わんといてえな。」
すがるように懇願するこのか。
「このちゃん…ううっ!」
このかを抱きしめるセリア。
このかもしっかりとセリアを抱きしめ返した。
そのときであった。
大勢の半漁人たちが広間になだれ込んできた。
「なに半漁人!?…召喚した覚えは…ま、まさか。」
セリアは半漁人の大群の中に顔馴染みのある人魚たちの姿を数人認めて声をかけた。
「プロテウス隊長!ネーレイド参謀!ラリッサ!タラッサ!デスピナ!ガラテア!こ、これはどういう…ま、まさか…」
「その通り。セリア、本当に残念だよ。ただ今から我々海王星の衛星団はマスター直属の部隊となったのだ。」
プロテウスという男の人魚がでかい態度で言った。
「ネプチューンの名を捨てた人魚の女を始末しろとのご命令だ。というわけで消えてもらうよ。私はお前のことが好きだったのだがな。本当に残念だよ、セリア。」
ネーレイドが哀れむような表情でセリアを眺める。
「それから近衛木乃香もいただくわよ。」
ガラテアが言った。彼女はセリアの幼馴染であった。
他のメンバーも昔からの仲間…それが今…
ネーレイドが合図すると半漁人の大群が一斉に襲い掛かってきた。
半漁人たちは銛や水中銃をを使って攻撃してくる。
「神鳴流奥義 百烈咲華斬!」
半漁人が20体ほど倒される。しかし、まだまだ残りは多い。
「くそ、足元が水浸しだと動きにくい…。」
「それなら、私に任せてください。私はこのちゃんに助けられたのです。それから…」
セリアは決意した。自分の命に代えてもこのかを守り通すと。
昔からの友人たちは自分から離れていってしまった。しかし今はこのかたちがいる。
「それからこのちゃんはかけがえのない友達ですから!」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:22 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第21回「遺跡発掘所にて」

「はぁ…やっと着きました~。」
そのおっとり系お姉さんMは言った。
ようやく遺跡発掘のキャンプに到着したあやか、千鶴、夏美、和美、のどか、夕映、ハルナ、そしてオトボケな女性M。
「ほお、すごい設備じゃん!キャンプ場も広いし。」
和美が感心する。
「なんでもここを発掘している人が以前海外ですごい大発見をしたとかで。それで、大学のほうからも援助が出ているそうですよ。」
夕映が遺跡のことを知った図書館でその発掘チームのことに詳しい係員に聞いたことを説明する。
「大学?どこの?」
ハルナが興味深そうに訊く。
夕映が表情を和らげて答えた。
「あのかの有名な東京大学だそうです。発掘チームの人たちのほとんどが東大卒業生か現役東大生なんです。」
「と、東大!?なんだかすごいことになってきたね。」
とのどか。
「あれ?いいんちょたちも来たの。」
「あら、まき絵さん。どうしてあなたがここに?ああ、他のお3方もご一緒でしたか。」
あやかが出てきた裕奈、亜子、アキラを見て言った。
「あたしたちもいるよー!」
「あ、桜子。もう体のほうは平気なんか?」
亜子が桜子を気遣って聞く。
「うん。もう大丈夫だよ。」
「私ももうOK!」
「うん。もう十分休ませてもらったよ。」
美砂と円もいつもの元気を取り戻していた。
そのときあやかたちを連れて来たオトボケお姉さんMが言った。
「あらあら~こんなところにいたのね~、タマちゃん。心配したわ~。」
「みゅう。」
今着いたばかりのメンバーは仰天した。
あやか「な、なんなんですの。これは…」
夏美「ひえー。ほんとにこれってカメ?」
千鶴「あらあら、かわいいわね~。」
ハルナ「こ、これは…大発見!?」
のどかと夕映だけはいつも喋るオコジョを見ているのでそれほど驚かなかったが。
「空飛ぶカメか…これはスクープだ!」
和美がシャッターを切る。
「朝倉さん、今さら空飛ぶカメを見ましても…そう興奮することではないと思いますが…」
夕映がツッコミを入れる。
「そ、そうですぜ、姉さん。あれも何かの魔法に違いねえ。」
和美の肩にいるカモが小声で言った。
「それもそうか…。ナハハハ。」
喋るオコジョであるカモを横目で見ながら、和美は苦笑いするのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:21 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第20回「遺跡の封印」

小太郎はある古い遺跡まで来ていた。
「なんやこの建物は?」
首を傾げる小太郎。
そこへ見覚えのある大柄な少女が現れた。
「ここは風の神殿でござる。拙者が祭壇までお送りしよう。」
「あんたは楓の姉ちゃん!?」
楓はニコニコ顔のまま答えた。
「うむ。お主の姿を見かけたので、助言をと思ったのでござるよ。」
「せやったんか。ほんま助かるわ。あんたにも借りがあったのに、また借りを作ってしまうな。」
「気にする必要はないでござるよ。ついてくるでござる。」
楓は進み始めた。小太郎も後に続く。

途中敵の妨害やトラップがあったりして少々忙しかったが、この2人の相手ではなかった。
「着いたでござるよ。」
「ほぉー!!すごいやんけ。」
あまりに巨大な祭壇に小太郎は感嘆の声を漏らした。
風の女神象が立ち並んでおり、中央にはこれまた巨大な像が。
「ここの中央に立つでござるよ。そして、“Uranus”のカードを掲げるでござる。」
「ウラヌスのカードか。わかった。いくで。」
不意に突風が吹く。
風の力の封印が解き放たれた瞬間であった。
「それでは拙者は失礼するでござる。」
「あ、姉ちゃん行ってしまうんか。また会えるかな?」
「お主が望むのなら…」
そう言って楓は去った。

神殿の外まで戻って来た楓―――いや、刹那に薬を渡したあの女性Kはほっとした表情を浮かべた。
そう、小太郎と行動していたのは楓に変装した彼女であったのだ。
「さて、このお仕事も完了です。次に行きましょう、クロ。」
「ミャア。」
黒猫を従えて、彼女は次の仕事に取り掛かるのであった。



「ふぅ…なんとか振り切ったか…。」
敵が追ってこないのを確認したエヴァはチャチャ姉妹をその場に下ろし、自分も座り込んだ。
辺りは先ほどまでいた薄暗い地下通路とは打って変わって、木々の生い茂る中庭のような場所であった。
風が心地よい。しかし、どうやら今朝方より強くなったようだ。
そばには池があった。あの星美湖とつながっている池だ。
「うう…喉が渇いた…この池の水は飲めるのか?」
茶々丸が困ったように答えた。
「すみま…せん、マスター。私の…ガガガ…体は…大破し…てしまい、ただ今ほとん…ガガ…どの機能が使用…ガガ…不可能です。」
「コッチモ…ガガ…オテアゲダ…ガガ…ゼ。」
チャチャゼロも動けない。
「ああ、そうかすまない。我慢するとしようか。」
エヴァは唾を飲み込んだ。そのとき、
「この池の水か?そんなら大丈夫や。なんかえらい浄化されてうまなっとうで。」
とエヴァに話しかけてきた。
「だ、だれだ!?」
振り向くと、金髪色黒美女がニコニコしながらエヴァを見つめていた。
「ウチ?ウチか?うーん…せやな…しがない科学者とでも名乗っとこか。」
「はぁ?」
「それよか池の水やけど、成分も問題なしや。むしろなんかすごい成分も含まれとるで。」
「すごい成分だと?」
「ええから飲んでみ。うまいんやから。」
「そ、そうか?それじゃあ…」
そのとき上空から1つの影が。
「やめとき。吸血鬼の姉ちゃん。そら聖水や。人間が飲んだら力が増幅されるけど、妖怪や悪魔の類にとっては毒や。もっともなぜか俺は平気やったがな。」
「ん?ああ、お前はあの狗神使いの坊やか。こんな所で何をしている?」
犬神小太郎は着地し、黒き翼をしまった。
「ああ、ちょっとネギのやつたちに借りを返したろうと思ってな。よういろんな女も関わっとるみたいやし。」
小太郎は少し悲しげな表情を浮かべた。
セイラのことを思い出したのだ。
「で、その様子は何か発見したという感じだな。」
「ああ、風の神殿へ行ってきた。」
「風の神殿へか?それで、もしかして封印を解放したとかか?」
エヴァもすでに遺跡や神殿の情報をある程度はつかんでいた。
「そのまさかや。この聖水を飲んだら(飲ませてもらった)、このカ-ド、“Uranus”の力を使えるようになりおった。そんで風の封印を解いたったってわけや。」
小太郎は得意げだ。
「ほう…そいつはお手柄だな。どうりで少し風が強くなったわけだ。」
「ああ…やつらは封印が解かれるんを恐れとる。なんでかは知らんが。」
「で、なぜお前はこの広場に?」
「なぜって、ここは地の神殿やないか。“Earth”のカードで封印解いたろう思て…」
「いや、それは祭壇に上がるためのカードだ。封印を解くのは土星のカードだぞ?」
「あ、せやったんか…」
「あのなぁ…はぁ…生半可な情報と知識だけで乗り切れるほど甘くはないぞ。」
エヴァは呆れてため息をついた。と、
「マスター見てください。すっかり完全に回復しましたよ。」
「コッチモダ。モウスッカリゲンキダゼ!」
「あれ?お前らどうして?」
見ると茶々丸もチャチャゼロもすっかり元通りに修理されていた。
「お前らは葉加瀬にしか直せないはず。ここにあいつが来ているのか?」
「いえ、あの方が…」
「せやせや、ウチが直しといたったで♪」
例の金髪美女がルンルン顔でバナナを頬張りながら言った。
「な、なんだと!?お前が?」
「うん。なんやけっこーすんごい複雑な作りになっとったな~。このロボ作ったやつって天才やで。」
美女が感心しながら言った。
「って、それをこの短時間で直してしまえるお前はいったい…おい、茶々丸、チャチャゼロ、本当に問題はないのだな。」
「はい、まったく。むしろ処理能力と運動性が上がったように感じられるほどです。」
「オナジク。」
「おいおいおい…お前はいったい?」
「フフフ…」
美女はニコニコしながらバナナを食べ続けていた。
よほどの好物なのであろう。
「どや?お前らも食うか?」
差し出されたバナナをエヴァと小太郎は手に取った。
最初は胡散臭そうにしていた2人であったが、結局バナナを受け取った。
「……ムシャムシャ、パクパク…」
腹が減っていたエヴァと小太郎は夢中になってそのバナナを食べたのであった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:20 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第19回「怒れる少女たち」

「チャチャたちを…よくも、よくもー!!」
 聖なるドラゴンの結界を破ったエヴァが魔法を乱射する。
「うひょ~!な、なんとまあ…やる~。そうこなくっちゃ~!」
しかし、闇の力を失ったエヴァの魔法はパンチ力に欠ける。
コメットは難なくエヴァの攻撃を塞いでしまった。と、そのときだった。
「やあああああん!!」
 胴体と左腕だけになってしまった茶々丸が結界解除弾を撃ったのだ。
「うっそー!まだ動けるの!?このポンコツロボ?」
「ポンコツッツッテンジャネーヨ!」
体の左半分が失われたチャチャゼロが残った右手の大剣でコメットを切りつけた。
「ひゃあああああ!いっやーん!」
コメットの障壁が弱まった。
「今だ!闇と氷の射手52矢!!」
「きゃああああああああああ!!」
ズガーン!!!!!
爆発に巻き込まれたコメット。ようやくエヴァはホッと一息つくことができた。
「はぁはぁ………ああ…お前たち…生きていたんだな…よかった…本当に…」
「マ…ス…ターがお泣きに…ガガ…なられるなんて…」
「ゴシュジンモ…ガガ…ヤサシク…ガガガ…ナッタ…モン…ダヨ…」
「や、やかましい!待ってな!すぐにでも葉加瀬の所へ連れて行って修理してやるからな!」
エヴァは照れた顔とうれし涙を見せまいと顔を背けて大声で言った。
「マスター!危ない!」
「ハッ!」
ドゴゴゴゴゴゴーン!!
「よくも…よくも…私の顔に傷をつけてくれたわね~。」
エヴァはありえない声を聞いた。
しかもさっきまで聞いていたものより、ゾッとするほどの低音な声。
振り返るとコメットがものすごい怒りの形相で、エヴァを睨んでいた。
厚化粧が剥がれて顔の不気味さがより増している。
「てめえ~ぶっつぶすー。死にさらせぃ!!」
すさまじい攻撃がエヴァを襲う。
「うわあああああ!!…くそぅ…くやしいがもう力が出せん。ひとまず退却だ!」
エヴァはチャチャ姉妹を必死に担ぎ上げ、一目散に逃げ出した。
「おのれー!!邪悪龍共よ!やつをたたき殺せー!!」
コメットは何十匹ものドラゴンを召喚し、エヴァを追わせた。
エヴァはドラゴンの群れを振り切るべく一気にスピードを上げた。



マーズという少女がいた。本名もマーズ。マーズ・バーストフレイム。
歳の頃は15歳。
顔立ちは美人の部類に入る。体格は小柄。ツリ目で紅い瞳、いわゆる灼眼。髪も紅く、ロングヘア。
彼女にはドラゴンの血が流れていた。そういう家系の出なのだ。
傍らには長剣が置かれていた。魔剣プロミネンス。この剣には常に炎の力が渦巻いている。
彼女はある任務を遂行すべく動いていた。
自分を拾ってくれたマスターのために。
そしてあのにっくき神鳴流の剣士たちを叩き潰すために。
10年ほど前、自分の両親や尊敬していた伯父伯母の命を奪った奴ら。まあ、確かに彼らにも否はあった。
ドラゴンを暴走させて町1つを壊滅させてしまったのだから。
しかし、大好きだった両親らの命を奪ったという事実には変わりない。
彼女は1人の剣士の名を思い浮かべていた。
この女剣士こそが両親らの最大の敵(かたき)。
この女剣士を筆頭とするグループに父と母は…。
こいつは…こいつだけはいつか必ず見つけ出してこの手で…この手で…

今、マーズの目の前には2人の小柄な少女たちが横たわり、気持ちよさそうにすぅすぅ寝息を立てていた。
小柄なマーズよりもさらに小さい鳴滝風香と史伽の双子の姉妹であった。
鳴滝姉妹は楓と別れた後、キャンプ場へと帰る途中で森に仕掛けてあったジュピターのトラップにかかり、危うく命を落とすところだったのだ。
マーズはこの2人を保護し、この火の神殿にかくまっていた。
そう、復讐に燃えるマーズであったが、実は根は心優しく弱い者の味方なのである。
姉妹の穏やかでかわいい寝顔を眺めながら、マーズは微笑んでいた。
数十本のたいまつが赤い炎を上げ、暗闇を照らしていた。
不意に声がした。マーズの従者であった。
「マーズ様、どうやら彼らは…」
彼は現在の戦況を報告した。
「そうか。ご苦労だったな、フォボス。」
「いえ。」
赤髪の男フォボスはマーズに親しげに微笑みかけた。
「フフッ…」
マーズもそれに答える。
「マーズ様、重要な情報が。」
もう1人赤髪の男が現れた。少し興奮気味だ。
「デイモスか。どうした?」
「神鳴流の剣士が麻帆良学園の生徒の中にいることは前にご報告いたしましたが、実はもう1人この近辺にいることが判明しました。」
マーズの顔色が変わる。
「ま、まさか…まさかあの女か…?」
デイモスはかぶりを振った。
「いいえ、残念ながら。しかし、調べましたところあの女の妹であることが判明しました。」
マーズの顔に赤みがさした。
「なにっ……そうか…フフフ…ハハハ…。あの新米の師範か。おもしろい。どれほどの実力か試させてもらうか。しかしまずは桜咲刹那の方が先だ。ヤツは今どこに?」
「現在、水の神殿にいる模様です。」
「そうか…まあいい。フォボス、デイモス、いよいよ私は桜咲刹那に決闘を申し込む。ヤツを連れてきてくれ。」
フォボス「ははっ!」
デイモス「仰せのままに!」
威勢のいい返事をする衛兵2人。だがマーズは2人を制した。
「しーっ………この子たちを起こしてしまうではないか。せっかく気持ちよさそうに眠っているというのに。」
フォボス「ああ、申し訳ございません。」
デイモス「フフフ…しかしながらマーズ様はお優しい。敵である麻帆良の生徒を助けるとは。」
マーズは憂いを帯びた表情で答えた。
「フッ…私にとって敵は神鳴流のやつらとマスターの邪魔をする輩のみ。力無き者を傷つけるなど私の自尊心が許さない。」
フォボス「あなたは昔からそうでしたね。」
デイモス「いつでも弱き者の味方でありましたな。」
マーズは照れくさそうに笑った。
「ああ…まあな。さあ、行って来てくれ。くれぐれも無理はしないように気をつけてな。」
部下思いのマーズであった。
「「はっ。」」
今度は小声で返事をした衛兵たち。静かに物音も立てずに出て行った。
「ふう…よし。今に見ていろ、神鳴流…。目に物見せてくれる。」
マーズは目を細めて決意の言葉をつぶやいた。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:19 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第18回「人魚のお友達」

「はぁはぁ…不覚…ゆ、油断した…。」
深手を負ったネプチューンはある水浸しの一室で体を休めていた。
しばらくして彼女は眠りに落ちた。
水に身を任せ、ユラユラ浮いている。
そこへアジトに潜入したこのかと刹那がやって来た。
ジャブジャブ…
「あ、この人…いや人魚かえ?」
「しっ、このちゃん。…敵のようです。怪我をしているみたいですし、今ならトドメを…。」
「あかんえ。いくら敵さんでも怪我して寝ている相手を襲うなんて卑怯やえ。」
「うう…確かに…しかし…」
「ウチが治したろうかえ…」
「ええ!そ、そんなこと…ってこのちゃん!?」
このかはネプチューンの傷を治してしまった。



そのころパートナーたちを壊され、怒りが頂点に達したエヴァの傷はもう完璧に直っていた。
「あらあら吸血鬼さん、たかがバトルに邪魔くさい、へなちょこロボと、ダメダメ人形なんかいらなかったんじゃなくて?」
「ダメダメ人形と…へなちょこロボ…だと?」
エヴァの怒りだけで地下3階はほぼ浸水状態だった。
「な・な・な・うふ・なんて魔力なの!!??」
コメットが一歩退いた。
「リ・ラクラ・ラックライラック…黒帝國の大氷河…」
ものすごい魔力が地下6階までも浸水状態に…



暖かい力に包まれてネプチューンは目を覚ました。すぐ目の前に優しい表情をしたこのかの顔があった。
「なっ…お、お前たち…。」
「よかった…気ぃついたえ。」
ネプチューンは後ずさりながらこのかと刹那をにらみつけた。
「貴様ら…ネギ・スプリングフィールドや神楽坂明日菜たちの仲間か!?」
刹那が答えに窮しているとこのかが言った。
「…そうやえ。ええんよ。ウチが助けたかったんや。助けられたんやったらそれでええんや。」
ネプチューンは赤くなりながらおずおずと言った。
「…礼は言う…しかし、次にあったときは…倒す!」
そう言うと姿を消した。このかと刹那はそのまま佇んでいた。



「ど、どうしたというのだ。この胸の高鳴りは…?ま、まさか…」
ネプチューンは浮かんだ考えを顔を振って否定しようとした。
が、しかしすぐにこのかの優しい笑顔が浮かんできてしまう。
なんということだ。
マスター以外の人物に好意を寄せてしまうなんて。
ネプチューンは水晶を取り出し、このかと刹那の様子を覗いた。2人はちょうどさっきいた場所とは別の水浸しの部屋に入るところだった。
そのときだった!
階上で戦っているエヴァのパワーの影響で、部屋が崩壊し始めた。
水が一気に部屋を満たす。
2人が入ったその部屋はすぐに全方向が封鎖されてしまい、水で満たされ始めた。
「危ない!!」
ネプチューンはこのかたちのもとへ駆けつけた。
「せっちゃん、せっちゃーん!」
「このちゃん…くそ、もう空気のスペースがない。出口はないし、壁を壊すこともできない。どうすれば。」
「捕まって!」
「人魚さん!?」
ネプチューンはこのかを抱えるとゲートを出現させ、部屋を脱出した。刹那も後に続く。



「た、助かったえ。」
「ああ…かたじけない。」
このかと刹那に礼を言われた。ネプチューンは恥ずかしそうに顔をそらした。」
「ふん…さっきの借りを返したまでだ。礼を言われる筋合いは無い。」
しかし、このかはネプチューンに抱きついてきた。驚きのあまり真っ赤になるネプチューン。
「な、ななな…何を!?」
「そんなこと言わんといて。ウチ人魚のお友達は初めてやえ。うれしいわ~。」
ぽかんとするネプチューン。刹那も開いた口が塞がらない。
「ば、バアな。私たちは敵同士。馴れ合うつもりなど…」
「ちがうえ。人魚さんは敵なんかじゃないえ。ほんまは優しいんや。さっき助けてくれたときそれがよう分かった。」
「………」
「なあ、人魚さん。名前なんていうん?」
「ネプチューン…いえセリアといいます。」
ネプチューンは自分の本名を名乗った。
自分をセリアと呼ぶ者はすでにこの世には存在しなかった。数人を除いて…
彼女はこのかのことが好きになっていた。
そのため自分でも無意識のうちにそう名乗っていた。
「そうか、セリアかえ。あはは、“せっちゃん”やな。」
「このちゃん…(汗)」
トホホな刹那。
「せや、セリアもウチのことこのちゃんって呼んでもええで。あ、ややこいからセリアって呼ぶわな。」
セリアははにかみながらこのかを呼んだ。
「え…そ、それじゃ…こ、このちゃん。」
「ん~ええなええな♪そういやセリアはほんまに美人さんやえ。スタイルも抜群やし、うらやましいわ~。」
楽しそうなこのか。ますます照れるセリア。
仮にも敵陣のど真ん中だというのにのんきなものである。
セリアはうれしかった。
長い間こうして人に優しくされたことはなかった。
最初の頃はマスターであるサンも優しかった。
ところが、しだいにウラヌスやマーキュリーばかりをひいきするようになっていった。
彼女はとても不満だった。
なので、ウラヌスがサンを裏切ったときは激しくウラヌスに嫉妬した。
しかし、今こうしてこのかの笑顔を見ていると、これまで抱いていた嫌な思いがすべて吹き飛んだように感じた。
「そうだ、お2人にあの祭壇を見てもらいましょう。案内します。水神の祭壇に。」
「水神の祭壇?」
「ええ、ここ水の神殿の最大のスポットに。」
このかと刹那はセリアの案内でその祭壇へと向かった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:18 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第17回「癒しの力」

「う、う~ん…」
このかは目を覚ました。そこはプルートに襲われるまでいた医務室であった。
「目がさめたでござるな。」
「ほえ?楓かえ?」
「うむ。お主らが倒れていたのでここまで運んだでござるよ。」
「ほか。ありがとな。あっ、せっちゃんは!?」
「それがでござる…」
このかの怪我は大事には至らなかった。
しかし、刹那の後遺症は深刻であった。
いまだ体中に嫌悪感と激痛が走る。
刹那はベッドで眠ったままうなされ続けていた。
プルートはいなくなったが、その悪夢の呪いの効果は今でも根強く残っており、刹那を苦しめ続けていた。
「あ…あ…あ…やめてくれ…ぐ…あ…体を触…るな…舐めまわ…すな…ああ…そこだけ…は…そこ…だけは…頼む…や、やめ、やめて…あ…あ…ああああああ…」
「せっちゃん、しっかりしてや。」
このかは悪夢を見せられ苦しみあえいでいる刹那の手をギュッと両手で握り締めた。
このかはまだ魔法を自在に使えるようにはなっていないため、彼女には治療の仕様がなかった。
それに仮に出来たとしても精神のダメージを回復できたかどうか…。
「それではこの薬を飲ませるとよいでござるよ。」
「あや?なんやそれ?」
「拙者が調合した特効薬でござる。これで刹那殿も助かるであろう。さっき拙者が飲ませようとしたのでござるがうまくいかず…」
「…分かった。飲ませてみるえ。」
このかはベッドから起き上がると、薬を受け取ってうなされ続けている刹那の元へ。
「せっちゃん、これ飲んでや。」
このかは薬を刹那の口へ流し込んだ。
ところが…
「ぐふっ…ゲホッゲホッ…」
もはや刹那には薬を飲む力さえ残っていなかった。
「さっきもこうなってしまったのでござるよ。お主ならうまくいくと思ったのでござるが…」
「せっちゃん…今までウチはせっちゃんに守られてばかりやった。ウチは絶対にせっちゃんを助けたるえ。」
このかは意を決して残った薬を自分の口に含んだ。うっかり少し飲んでしまったが。
そして…
「んんっ………」
このかは口移しで刹那に薬を飲ませた。
そして、刹那がきっちりと薬を飲むまで口付けをやめなかった。
コクン…ゴクン…
楓はぽかんとしていた。
………刹那が目覚めた。
するとすぐ目の前にこのかの顔が。
ニッコリと笑うこのか。
刹那の顔に赤みがさした。
プルートの呪縛が完全に解けたためでもあるが、このかの笑顔に見とれてしまったというのもある。
そして、刹那の体中にあった刀傷までが治っていった。
「で、では拙者はこれで。先に敵のアジトへ行っているでござるよ。」
この場にいづらくなった楓は逃げるように外の方へ。
「うん。分かったえ。」
楓は去っていった。
このかと刹那はしばらく無言で見つめ合っていたが、刹那がその沈黙を破った。
「このちゃん…すみません、私があなたをお守りしなければならないはずがその結局あなたに助けられて…あ…」
このかは無言で刹那を強く抱きしめた。そして刹那に優しく話しかける。
「そんなんええて…せっちゃんが助かってくれたんやからそれでええんよ。」
2人はもう少し休んでから、敵のアジトを目指した。



医務室の屋根の上で楓の変装を解いた女性Kが刹那の回復を確認してほくそ笑んだ。
彼女の年のころは約20歳といったところか。
ちょっと趣向を凝らした服装をしている。
あの図書館司書…いや看護師であった。
ところで刹那自身はまだ気づいていなかったが、実は刹那の体調は回復するどころか、能力が以前よりずっと増していた。
「フフフ…どうやら遺跡の力のおかげでパワーアップに成功したようですね。お兄ちゃんが調合し、効果を増した遺跡の聖水の効力は本物でした。まさか口移しなんてするとは思いませんでしたが。それでは次の仕事に移りましょうか…。」
「ミャア。」
彼女は1匹の黒猫と共にいずこかへと去っていった。



「桜子ちゃん、しっかり。」
「う…ん…あれ?まきちゃん?」
「ああよかった。」
まき絵がホッとしたような表情で桜子に微笑みかけた。
今彼女たちは遺跡のそばに張られたキャンプのテント内にいた。
「桜子ちゃんが起きたよ~。これで3人とも助かったね。」
桜子がまだぼんやりする頭で周りを見渡すと、両隣に美砂と円がすうすうと寝息をたてていた。
「ああ、2人ともさっき起きたんだけれど、まだ疲れてそうだったからそのまま寝かせたの。」
と裕奈がテントに入ってきて説明した。
「それにしてもびっくりしたで。歩いとったらチアリーダーの3人が倒れているんやもんな。」
亜子も入ってきて言った。
「心配したぞ。どうしてしまったのかと思った。ほら。」
桜子に飲み水を渡しながらアキラが言った。
「あ、ありがとう。ゴクゴク…」
「いったい何があったんや?3人そろって貧血でも起こしたんか?」
亜子が訊いてきた。
「う~ん…。確か変なカメを追いかけて森に入ったら、今度はおかしな怪物に襲われたような…。」
「はあ?怪物?」
運動部4人組は顔を見合わせた。
「いや…私の勘違いだと思うんだけど…。」
「でも、変わったカメならここにいるよ。ほら。」
桜子は裕奈の指し示した方を見た。
それはアキラの頭の上。
「みゅう。」
カメは前足を挙げて桜子に挨拶した。
「あー!この子…」
「あら、あなたも起きたのね。」
まき絵たちをここに招待した女性Nが桜子に笑顔を向けた。
その人の美しさに思わず頬を赤く染め、見とれてしまう桜子。
「あ、あの…」
「ああ、この人が桜子ちゃんたちをここまで運ぶのを手伝ってくれたんだよ。」
まき絵が事情を話した。
「そうだったんですか。ありがとうございました。」
「ううん。体にも異常はないみたいだし、よかったわ。それじゃ、私は仕事があるから。」
「あ、はい。」
女性は出て行った。
「はぁ…綺麗な人…。」
桜子は思わずつぶやいていた。
「だよねー。私もあんな人になれたらなー。」
まき絵もうっとりする。
桜子が気づいた。
「あれ、なんだかさっきの人の声とまきちゃんの声って似ていない?」
「そうなんや。なんかそれで親近感が湧いてな。ついて来させてもろたっちゅうわけや。」
亜子がことのいきさつを説明した。
「何している人なの?」
「普段は高校の先生をしているらしい。今は休暇中で、婚約者の発掘作業を手伝っているということだ。」
アキラが答えた。
「へぇ~。そうなんだ。」
曇りだしていた空がわずかながら明るくなった。
それは彼女たちの今の心情を表しているようだった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:17 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第16回「熾烈」

逃げても逃げても水が追いかけてくる。
アスナと共に走る楓は必死になって脱出口を探したが、いっこうに見つからない。
この遺跡に来たときに使った道も含め、通路が閉鎖されてしまっていた。さらにネギたちともはぐれてしまった。
また大きめの部屋に出た。
残念なことにここも水浸しだ。
「水がたまっているのは当然よ。なぜならこのエリアは私の力の源が凝縮されている場所だもの。そう、つまりここは私の家なのよ。逃げ切るなんて不可能よ。」
「あわわわわ…。だ、だめ。本当に出口なんてないみたい…。」
「ううむ…さてどうするでござるかな…。」
「死ねばいいのよ!水の刃・プルームエッジ!」
水柱をあげてよけようとする楓。
しかし攻撃が直撃してしまった。真っ二つに割れる影。
「アハハハハハハハハ!死んだな………な、なにっ変わり身の術!?」
楓たちの生死を確認しようとしたネプチューンは、丸太が忍者装束を着ているものが半分に割れているのを見つけた。
「どこだ?どこへ行った!?」
辺りを見回すネプチューン。不意に水中から声がした。
「ここでござるよ!」
ザバーン!!
ネプチューンの足元から現れた楓は、連続でネプチューンに切りつけた。
さらに間髪いれずに分身殺法で追い討ちをかける。
「ぎゃあああああ!ぐううう…おのれ…ひとまず引く!」
しぶといネプチューンは撤退した。
「ふむ、逃げられたでござるか。アスナ殿けがは?」
「私は大丈夫。あの人魚完全に逃げちゃったわね。そうだ!ネギと龍宮さんと古菲を助けないと。」
「そうでござったな。参ろうか。」



「ぎゃあああああああああ!!!!」
エヴァは昔サウザンドマスターの落とし穴にハメられた時の気分になった。
「あらら、もう少しサービスしといたほうがよかったかしら。」
「キモチワリイコトイッテンジャネーヨ!!」
後ろからチャチャゼロが大剣を振り下ろした。
「彗星チラリズム!!」
チャチャゼロは後方に倒れた、
「ゴハッ!!マスターコイツゲヒンダ…オエエエエエ…」
エヴァが半涙目で、
「ぬおおおお、キサマこの私の前で下ネタとは…。」
コメットがエヴァをなめるような態度で目を細めて言った。
「あ~ら、失礼な吸血鬼さん、これでも十分マナーに反しない戦いかたですわよん。うっふん。」
しかし茶々丸はこれに動じず、コメットにグーパンチを一発当てた。
「私の障壁の前ではあなたの攻撃はアリンコどうぜんよ。ハイヒールでもおなめ!!」
意味と趣旨がよくわからない。
「たらたら流れるロウソクをぶっちゃけちゃおうかしらねん。ああん。ムチでピシャってね♪」
エヴァはオカマの前で怒りをピークに達するのであった。
「このアホオカマぐぁぁぁ!!」
「もう怖い顔するとかわいいのが台無しよ。エヴァちゃん。そーれ!龍の牙!」
コメットの手に龍の牙で作られた大剣が現れた。本来なら神聖な雰囲気を待つおおいなる魔剣…のはずだった。
しかし、この剣にはピカピカ光るラメがちりばめられていて、カワイイネコやクマのマスコットがぶらさがっている。
「えーいや!とおっ!あちょー!えいっ!うっふん…。」
「ぐはっ!ぐあっ!どあっ!うおっ!…って最後のはなんだー!?」
エヴァはすでに傷だらけ。普通の人間ならすでに死んでいるだろう。
不死身のエヴァだからこそ生きていられるのだが、それでも多量の魔力を吸い取られ、息が上がっている。
その上気力が落ちるオカマの態度とニンニクや葱のにおい。もうふらふらだった。
「スキアリよ!ああ~ん!逆鱗!」
コメットの連続回転攻撃がエヴァにヒットしまくった。魔力が急激に衰える。
やがてエヴァを覆っていた夜の闇が消えてしまった。
「がああああ…フッフハハハハハハ!この程度か!こんなことではいつまでたっても私は倒せんぞ!」
あくまで強気な態度のエヴァ。だが内心、
「(くっ、さすがにこれはマズイぞ…。)」
「うっふ~ん。それじゃあエヴァちゃんそろそろ終わりにしましょうね。大いなるドラゴンの封印よ~ん!」
巨大な聖なる龍が出現した。
その龍が口から光の球体を発射し、エヴァを球体の中に閉じ込めてしまった。
同じく茶々丸とチャチャゼロも閉じ込められてしまった。
「うふふふふ。万事休すかしらね~ん。永久にその中で眠ってなさ~い。あはぁん♪」
エヴァは体の力が急激に抜けていくのが分かった。聖なるドラゴンの力で闇の力を完全に封じられてしまったためだ。
「(うう…すまん…ぼーや…後は…任せたぞ…)」
そう考えたエヴァは眠りについてしまった。チャチャ姉妹も機能停止状態に。
そのときコメットがヤバイことを考えついてしまった。
「あっそうだわ。吸血鬼ちゃんはともかく、ロボちゃんたちは封じておく必要なんて無いわね~。スクラップにしちゃいましょ~。」
そう言うとコメットはチャチャ姉妹の封印を解き、魔力をためてチャチャ姉妹に向けて発射した。
「そ~れ!マグマドラゴンファイアーオカマデラックスー!!」
灼熱の炎がチャチャ姉妹を包み込み…爆散した…。
ハッと目を覚ましたエヴァはその光景を見てしまった。
長年連れ添ったパートナーたちが散っていくのを…。数々の思い出が頭をよぎる。
いるのが当たり前だったパートナーたちがチリと化してしまった…。
「ああ…あ…貴様…貴様…貴様―!!」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:16 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第15回「新手出現」

ネギは先に岸へ上がったアスナの手を借りて、水から上がった。
「はぁ…はぁ…ありがとうございます、アスナさん。」
「こんなの当然よ。ん?」
今はまっていた水たまりの水がうねうねと動き始めた。
「え?え?な、なに?なんなのこれ?」
「ハッ!アスナさん、危ない!!」
槍状に変形した水が襲い掛かってきた。
ネギはアスナに飛びついてこれを何とかかわした。
「ほほう…私の攻撃をかわすとはな。」
「あ、あなたは!?」
「神楽坂明日菜をいただく。覚悟しろ!」
「え?わ、私?このかじゃなくて?」
現れた新たなる敵。



体を回復させた楓と真名、クーの3人は川縁に洞穴があるのを発見した。
その奥から邪気を感じたため、探索することにした。
中は水浸しで、腰の辺りまで水に浸かってしまう。
ジャブジャブジャブ………
「う~長い水路アルな…疲れてきたアル。」
「この洞穴の構造はかなり複雑なようでござるな。上へ行く道に地下へと続く階段…ん、階段?」
「どうやらここは人工的に作られたもののようだな。」
楓の見つけた階段を見て真名が分析した。
「あの敵の集団アルか?」
「いや。壁も階段も相当な年数を積んでいる。おそらく、何百年か前に作られた遺跡か何かだな。それをやつらはアジトとして利用しているということかな?」
楓とクーはうんうんと頷いた。
そのとき、
「この!離しなさいよ、もう!」
アスナの声が響いてきた。
3人はお互いの顔を見合わせると、声のするほうへ駆け出して行った。



「極限の水圧ハイドロプレッシャー!!」
「魔法の射手連弾・風の29矢!!」
「水の槍・ウォーティーランサー!!」
「魔法の射手連弾・雷の29矢!!」
「死の波・デッドウェーブ!!」
「風花・武装解除!!」
ズガガガガガガガーン!!
ネギは吹き飛ばされてしまった。
魔力も戦闘力も相手のほうが何枚も上手だった。
アスナは水でできた縄で縛られて身動きが取れなくなっていた。
エヴァたちと共に遺跡へ突入したネギとアスナであったが、トラップのせいではぐれてしまった。
今、エヴァは階上にいる別の敵と戦っていて、ネギを助けられない。
「フフフ…ハハハ!!サウザンド・マスターの子供だと聞いたからどれほどのものかと思いきや。たかがしれているようだな。私はまだ半分の力も使っていないぞ。」
ネギの相手はネプチューン。
最強の魔力を持つ人魚の1人である。
ネギは劣勢を強いられていた。
「うう…ぼくじゃ勝てないのか…?」
「フッ、魔力の無駄だ。トリトン、お前がトドメをさせろ。」
「グオオオオオオ!!」
巨大な水龍トリトンがネギをひと飲みにしようとしたそのとき、
ズドーン!
大きな銃声の乾いた音が響いた。
「グギャアアアアアアア!!」
トリトンは断末魔を上げ、衛星のカードとなった。
カードは現れた真名の手中に収まった。
「長瀬さん!龍宮さん!古菲さん!助けに来てくれたんですね!!」
「待たせたでござるなネギ坊主。もう大丈夫でござるよ。」
「バカレッド、大丈夫アルか?」
「だれがバカレッドよ!」
「安心するでござる。今助けるでござるから。」
「ふん…人魚か。おい、痛い目に合いたくなければ投降するんだな。」
銃を構えた真名の降伏勧告をネプチューンは鼻で笑った。
「だれが投降するって?バカにすんじゃないわよ。あんたたち程度に高等魔法はもったいない気もするけど、実力差をはっきりさせましょう!英雄たちの大船!」
宙に巨大な船が現れ、砲撃の嵐が!
「うひゃああああ!逃げるでアル~」
「まだまだ!海の墓場・オーシャングレイヴ!」
「くっ!しまった!」
攻撃の嵐をかわしきれなかったネギと古菲と真名は吹き飛ばされた。拘束を解かれたアスナと楓は退却を余儀なくされた。



「はあイン。ようこそ、うっふ~ん。」
「…………」
さすがのエヴァの目も点になった。
「私はコメットで~す!ドラゴン族の血をひいてま~す。これでも太陽系ガーディアンズ最強の戦士で~す!うっふ~ん。」
「あのな…なんでよりによって、誇り高きドラゴン族の戦士がオカマなんだ?」
…こいつだけは惑星の名を持つプラネットウォーリアとは違うので、女ではなかった。
「あら~いいじゃない。吸血鬼さ~ん!何かのロボットのお話に“赤○彗星”って強い人が出てきたじゃな~い。」
「アホらし…とっとと終わらせるぞ。茶々丸、チャチャゼロ。」
「あらん。そうはいかなくってよん。それ~竜の息吹!」
エヴァは余裕の態度で障壁を張った。ところが。
「な、なんだ、これは!!ニンニクとネギの香り!?」
「あらん、別に餃子を食べたんじゃないわよ。あなたをいじめたくて…。うふん。」
「オエエエエエ…いろんな意味で気持ち悪い…。やば…初めてやばいかも…。」
「いくわよ!オカマフラーッシュ!」
「うぎゃあああああー!!」
「ウッフン♪まだまだいっくわよー!コメットパーンチ!!」
「でえええええええ!?」
エヴァ、思わぬ大苦戦!
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# by konosetu | 2001-01-01 00:15 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第14回「哀しき儚き恋」

ウラヌスとマーキュリーの激突は続く。
「ふん…マーキュリー…またの名を“雪の女王”か。雪女の遺伝子を持つ女。“このちゃん”よう。」
「ホホホ…女王とは名ばかり。なぜだか分かるわよね?ハルピュイア(鳥型モンスター)と人間のハーフ。“せっちゃん”」
そう…ウラヌスの本名はセイラ、つまり“せっちゃん”。
マーキュリーの本名はこのゆき、つまり“このちゃん”。
2人は幼馴染だった。
本当に幼い頃からの腐れ縁。
だから、2人の付き合いが始まってから十数年という年月が経過していた。
その関係はまったく良好とは程遠いものだった。
いつも激しくぶつかり合い、いがみあい、非難し合い、欺き合い、憎み合って生きてきた。仲がよかった時期などわずかも無かった。
「さあ、ここからが本当の戦いだ!」
「フフフ…マスターを裏切った報いを受けよ。そして長年の恨み今ここで晴らさん!!」
彼女らは相手を蹴落とすことに至上の喜びを感じ、相手を出し抜くことに何よりもの快感を覚えた。
相手の痛みなどこれっぽちも考えたことはないし、考えも及ばなかった。
また最強の戦士はそうでなくてはならない、そう教え込まれてきたのでなおさらだった。
「永遠の氷河!」
「漆黒の螺旋城!」
名前こそあの2人――刹那とこのか――と同じであるが、この2人とは雲泥の差であった。
「凍死の猛吹雪!」
「漆黒の炎!」
せめてアスナとあやかの関係のようだったらまだ救いはあったのだが。
しかし、この2人は100%相手に好意のかけらさえ抱いたことはない。
ずっとそうだったし、これからもそうであるに違いない。
たとえ死んだとしても。
「雪男の大牙!!」
「アゼレースク!闇の騎士たちよ、行け!!」
同じマスターに仕えるようになってからも、いがみ合いは続いた。
アスナ・あやかやこのか・刹那たちが、この2人の終わらせたくとも終わらせることのかなわない悲しい関係を知ったらどう思うだろうか。
「これで最期だ!氷の棘鎧!!」
ウラヌスはこの攻撃をよけることも防ぐこともできなかった。
直撃…緑の血がほとばしる。
「ウラヌスゥー!?」
まだ身動きの出来ない小太郎が絶叫した。
「ぐあっ…フ…フフフ…」
それでもウラヌスは立ち上がる。
彼女は生まれて初めて知ったのだ。
人を愛するということを。
愛する人のためにつくす素晴らしさというものを。
いつしか“アイツ”が言っていたのはこのことだったんだ…

「ちくしょう、もう血が足りない…」
魔法の打ち合いとなったウラヌスとマーキュリー。
マーキュリーの「氷の棘鎧」をまともに喰らって5分間血を流し続けた結果だ。
「あなたは昔から嫌いでしたの。幼稚園からの腐れ縁…お前ははいつもわらわよりも上を行っていた、ルックスも璧…」
マーキュリーは昔を語りだした。
「ゴホッ…そんな話はするな…」
ウラヌスが倒れたまま血を吐きながら言った。
「ほほほ、あなたは自分の最も大切な人を守れなかった。人からも化け物と蹴落とされ、何とも惨めでしたわ。」
ウラヌスは血がざわめくように吐き捨てた。
「殺すぞ…」
マーキュリーはウラヌスを奈落の底に突き落とすようなことをつぶやいた。
「このバケモノが…あなたマスター以外の方を好きになるなんて、神をうらぎったようなもの。ハルピュイアのハーフと犬っころなんて結ばれないのよ。」
「じゃあ殺してやるわよ。」
ウラヌスは小太郎の方へむいて唱えた。
「ヘル・ダークネス・エンドレス…命を奪う悪霊…」
と唱えた瞬間、自分の胸に技を突き刺した。
「これで私は自動的にカードになる。お前も道連れだよ!!」
ウラヌスは隙をつき、マーキュリーのカードを心臓から奪い取った。
「ぐ、ぐあっ!ウラヌス…あなた…なんて…卑怯な…ことを…あああ…」
マーキュリーは“Mercury”のカードを残して消え去った。
「人種なんて…関係…ないのよ。ぐうっ…さ、さようなら…犬上…小太郎…愛しているわ…」
ウラヌスも小太郎の頬にキスをして彼を抱き締めた。
彼女は最後にこんなことを考えていた。
「(紅子よぅ…お前の言っていたこと…人を好きになることの大切さ…やっと分かったぜ…もう一度会いたかったなぁ…でもまぁ、ありがとな…。)」
体がスーと透けていく。そして“Uranus”のカードを残して消えていった。
小太郎は飛んできたウラヌスのカードを手に取った。
「天王星…ウラヌス…」
倒れたままカードをギュッと握り締めるのであった。
小太郎の悲しみとは対称的に、周りの空気は元の穏やかな暖かさを取り戻していった。

最後の最後に小太郎とウラヌスは両想いに…。しかしもう遅すぎた…。
「なんでや…なんでもう逝ってしもたんや…なんで…なんで…どうしてやー!」
小太郎は…泣いていた。今までにないほどに。
そのときだった。
「泣かないでほしい…。」
“Uranus”のカードが光り、小太郎に語りかける。
「ウラヌス…いや本名はセイラとかいったな。」
「すごくうれしかった…。私を愛してくれて…。私もあなたのことが本当に…。ほんのひと時だったけどあなたといてとっても楽しかったわ。」
「セイラ…」
「私を好きになってくれたのなら、私のことを忘れないでほしい。そうすれば私は、いつまでもあなたの中で生き続けることができるから。」
小太郎は涙をぬぐい、強くうなずいた。
「ああ、一生忘れん。絶対に…絶対に…。」
カードの輝きが消えていく。
「ありがとう小太郎。さようなら。」
「セイラー!」
小太郎には言いたいことが山ほどあった。彼女のことをもっと知りたかった。もっと語り合い恋人らしいこともしたかった。しかし、それはもうかなうことはない。小太郎は一言だけ伝える事にした。
「おれを助けてくれて…それからおれを好きになってくれてありがとな…。」
ウイングデビルの黒い羽が1つ落ちてきた。
そして3枚の惑星カード。
小太郎はそれらを大事にふところへしまった。
そのとき、小太郎の背にセイラの黒き翼が。
「セイラ、おれらはずっといっしょやで…。ずうっと…永遠にな。お前を自由にしたる。それからアースもな。敵の親玉をぶっ倒しに行く!」
小太郎は決意を胸にエルのアジトへと向かった。



遺跡の奥へと進むネギ、アスナ、エヴァ、チャチャ姉妹。
「なんか暗くて不気味ね…きゃっ!」
何かの仕掛けが作動した。
ネギとアスナの足元がぱっくりと口を開いた。
「わあああああああああ!!」
「きゃああああああああ!!」
バッシャーン!
どうやら2人とも水中に落ちたようだ。
とりあえずエヴァはホッとした。
そして2人を助けに行こうとしたそのときだった。
背後にすさまじい殺気を感じた。
エヴァに難敵が迫る!
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# by konosetu | 2001-01-01 00:14 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第13回「魔性の女の最期」

「(いよいよセンパイと厚い口付けを…)」
「せっちゃ~ん!!あかん!戻って来てえなー!!」
「ハッ!このちゃん!」
プルートの唇が触れる寸前にこのかの声で刹那は正気を取り戻した。
「こ、この女―!!あたしたちの邪魔をするなー!」
プルートはカーロンを呼び出し、このかを斬りつけさせた。
「あうっ!」
「アタシと刹那センパイの邪魔をするなんて!アンタが生きているとアタシは刹那センパイとは結ばれない。今度こそ死になさい!!…センパイ、お願いします~♪」
刹那はこのかの方に向かって行った。もう顔には絶望の色が浮かんでいる。
「あああ…も、もうだめです。私はこのちゃんを傷つけた上、あいつに汚されて…もう死んでしまいたい…。」
苦しそうだが、それでもなんとか笑顔を保ちながらこのかはよろよろと立ち上がった。
「せっちゃん…あかんえ…ぜったいに死ぬなんて言わんといてえな。せっちゃんはウチが守ったるから…。」
「このちゃん…もういいよもう…。」
この言葉を別の意味に捉えたプルートは、
「そうですか。もういいのですか~?それではこれで茶番は終わりにしましょう。刹那センパイ、その女の肉と骨を真っ二つにしてくださいな。あは♪」
「い、いやだー!!やめろやめろやめろやめろぉー!!やめてくれー!わー!!!!!」
刹那は狂ったように叫び続けた。
いや、もはや本当に狂ってしまったのかもしれない。
この世で最も大好きな大切な人を自らの手で傷つけるという、恐ろしい程の嫌悪を感じる行為に。
そして、これがプルートの狙いでもあった。
このかを殺させることで刹那の精神を根底から破壊し尽くし、抜け殻と成り果てた刹那を完全に自分の意のままにしてしまおうという魂胆だ。
刹那はこのかの脳天から夕凪を思いっきり振り下ろした。
いや振り下ろすように命令された。
刀がこのかの頭に達するかと思われた瞬間、まばゆい光が広がった。
「な、なんなのよこれは!?」
プルートは思わず目を覆う。
このかが無意識に魔力を発揮したためであった。自己防衛に魔法を。
「もう…もうやめてえな…せっちゃんをこれ以上いじめんといて…。」
このかはこれまでに無いほど低い声でつぶやいた。直後、
「いじめんといてー!!!!わああああああああああああああああああああああ!!」
このかの体が激しい閃光を放った。
刹那はこのかが無意識に張った結界に保護されている。
閃光は一直線にプルートの元へ。
「くっ、カーロン!」
プルートの衛兵カーロンがプルートの盾となる。
しかしそれは無駄だった。
閃光に触れたカーロンは瞬時に消滅してしまった。
そしてプルートにも…炸裂!!
「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ズガーン!!!!!
プルートは絶叫を上げて爆発に包まれた。
刹那の呪縛はようやく解かれた。
ぐったり倒れこむ刹那。
そして、力を使い果たしたこのかも倒れこんだ。
なんとか刹那の手を握る。
そして気を失ってしまった。
プルートはかろうじてまだ生きていた。
「ぐはっ…あああ…まさか…あの女にこれ程の魔力が…ぐふっ…。…ああ…刹那センパイ…お綺麗ですわ…どうせ死ぬなら…センパイに…斬って…げふっ…もらい…たかったで…すわ…。せめて…センパイのお美…しい肌に…お顔に…触れて…がふっ…。」
プルートは刹那の元にたどり着く前に倒れた。
手を伸ばしたが刹那には全く届かない。そして、そのまま動かなくなった。
「フリリお姉さまだけでなく…刹那セン…パイも…私の…ことがお嫌い…なの…ですね…。」
プルートは以前想いを寄せていた女のことを一瞬思い出した。
が、すぐにまた刹那への想いだけで頭をいっぱいにした。
「ああ…セ…ン…パ…イ…地獄の果てでも…愛して…いま…す………。きっとまた…会いに…来ますので…。永遠に…永久に…アナタを…愛し…て……い……………………………」
プルートの意識はブラックアウトした。
“Pluto”というカードがこのかの体の上に飛んでいった。そう、刹那でなくプルートを倒したこのかのもとに…。



ネギとアスナ、そしてエヴァとチャチャ姉妹は現れた敵を撃退しつつ、森の中を進んでいた。
「だめです。パクティオーカードで呼び出すこともできなければ、会話すらも出来ません。」
ネギが困惑顔でそう言った。
「やつらの結界のせいか。しかたあるまいな。」
エヴァも考え込む。
すると先ほどの戦闘で退散した敵が洞穴へと逃げ込むのを発見した。
「洞穴に隠れたわね。みんな、トドメをさせましょう。」
「待ってください。アスナさん。ひょっとしたらあそこは…」
「ボーヤの予測通りだろう。おそらくあの洞穴は敵のアジトの入り口だ。」
5人は敵の後をつけて、深く暗い洞穴へと入っていった。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:13 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第12回「夢から覚めて」

ウラヌスはムーンの手を借りて、森の中にある湖へ小太郎を運んだ。
湖に力を送り込むと濁りが取れ、水が澄んだ。
“Earth”のカードの浄化能力だ。
このカードには植物を操って攻撃や防御をしたり、汚染されたものを浄化したり、傷を癒す治癒能力まである。
その水をウラヌスは小太郎に優しく飲ませた。
小太郎は驚いて目を見開いた。
彼の顔にほんのりと赤みが差した。
アースの植物の治癒魔法が、そして神秘的な力を秘めた星美湖の聖水が小太郎へと送り込まれたのだ。
ウラヌスは安堵の表情を浮かべると、小太郎を抱きしめた。
「よかった…本当に…。」
「フ、な、なんや俺に惚れたんかいな?」
「ち、ちがっ…だ、だれがおまえなんかに………いや、どうやらそのようだな。…アタシは…お前が好きだ。」
ウラヌスは否定しようとしたが、ムーンの諭すような瞳に見つめられ、素直に白状した。
小太郎は赤くなりながらからかうように言った。
「そ…そうか?俺も、もてるようになったもんやな。」
「うるさい…お前のような極端なフェミニストバカなど私以外の誰が好きになろうか…」
ウラヌスも頬を赤く染めながら、照れ隠しの言葉を述べた。
「へっ、かわいくねえやつ…」
その真意を汲み取っているのか、小太郎は苦笑いを浮かべた。

ザシュ!ヒョオオオオ…
不意に辺りの空気が冷たくなった。
「この裏切り者が…わらわはお前を許さない!」
ザクッ…!!
氷の刃がそばにいたムーンを貫いた。
「あ…」
ムーンは小さく声を上げると同時にカードへと姿を変えた。
「マーキュリー!?な、何てことを…。」
振り返ると、マーキュリーがすごい形相でウラヌスを睨み付けていた。
「我ら9惑星が敬愛していいのは、マスターだけ。プルートにも言えることだが、他の者に色目を使うことは許されない。」
「私は…。」
ウラヌスの言葉をマーキュリーは遮りなおも言う。
「おまえはマスターを裏切ったのだ。ただちに処刑する。」
マーキュリーは膨大な魔力を結集させた。
湖が瞬時に凍り木々が枯れ始める。
「ここは湖。水属性魔法使いのわらわのほうが有利だ。精霊獣モロク!」
「くっ、アースよ、力を借りるぞ!樹木の刃アルベロカッター!」
二つの力が交錯する。
「氷の角アイスホーン!!」
「葉の刃リーフカッター!!」
「氷の槍アイスランサー!!」
「漆黒の螺旋城!!」
「氷の山アイスマウンテン!!」
「種の機関銃シードバルカン!!」
二人の魔法合戦は続く。
ウラヌスは自分の小太郎への愛を貫き通せるのか?
「うう…ウラヌス…死ぬんやないで…」
まだ体を動かせない小太郎はそう祈った。



このかの体は刀傷だらけだった。プルートに操られた刹那に斬りつけられたからだ。
プルートはこのかをすぐに刹那に切り殺させずにいたぶって楽しんでいた。
「次は、上着と下着ですわセンパイ。」
笑みを浮かべ、とろんとした表情で命令した。
「わああああ!このちゃん逃げてー!」
「あかん、せっちゃんをおいて逃げられへんえ。」
夕凪がこのかをかすめる。残っていた上着と下着が切られて落ちた。
もはや上半身は裸で無数の傷がついている。
「あ…。」
傷だらけの腕で胸を押さえ、このかはしりもちをついた。
しかし、すぐによろよろと立ち上がる。
「ふふふ…。セ・ン・パ・イ…いかがです?愛する人が鮮血を流し、苦痛にあえぐのを眺めるのは。最高でしょう♪」
「ふざけるなーー!!このどこまでも腐りきったやつが!!」
プルートが手を上げると、またも刹那がこのかに夕凪を振り上げた。
スパッ!
このかのスカートとパンツが真っ二つになり落ちた。ついにこのかは全裸にされてしまった。
倒れこむこのか。
刹那は傷ついたこのか以上の苦痛を味わっていた。
「このちゃんゴメン…ううう…」
彼女を守るはずが、反対に操られているとはいえ傷つけてしまっているのだから。
刹那もまた全裸だった。いつもは結んでいる髪もほどけている。
このかを傷つけさせられるたびに衣服を剥ぎ取られ、体中を触られたり、舐められたり、とても人には言えないようなイケナイことをされた。
しかもこのかの目の前で。
もはや刹那の心も体もボロボロだった。
しまいにはプルートが自分の着衣を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿に。
体のいたるところから血が流れ出ている。自分の体をわざと刹那に斬らせたためだ。
しかし、平気な顔をしている。
それもそのはず、プルートは血がなくならないようにできる特殊な術まで使えるからだ。
それも自分にだけではなく、他人の血液も。本来は体の治療に役立つ術なのだが…
刹那とプルートの足元は血だまりになっていた。
刹那の顔色から血の気が失せてきていたが、これもプルートの能力で回復させられた。
エンドレスナイトメア…
プルートは自分と刹那の血にまみれた体で刹那に抱きついた。
「アアアン…センパイ…クフゥ…」
グチャグチャ、ベチャベチャ、ビチャビチャ…卑猥で嫌悪をかきたてる音が…
あの悪夢の再現だった。
「いや…ああん…だめ…や、やめ…ああー!!」
「ああ、センパイが私を感じてくださっておられる。センパイ…愛してます。センパイもアタシのことを愛してー!!」
「あぁぁぁぁぁぁ…嫌だ!離せ!離してくれー!!」
「嫌です。もう離れたくありません、センパーイ!アタシを、プルートを…いえ、レズンをアナタで満たしてー!!」
抵抗しようにも刹那はまったく身動きがとれない。
プルートは刹那を強引に引き寄せると、首筋に息をそっと吹きかけた。
「あぁぁぁぁ…だ…め…」
今までは嫌悪と憎悪、傷の痛みばかり感じていた刹那もだんだん感覚が麻痺してきて、それらを快楽だと錯覚してしまうようになっていた。
刹那はもはや意識は朦朧として、もうどうなってしまってもいいと考え始めた。
プルートはまだ血が流れ出ている刹那の首筋や頬、額などにキスや舐めまわしの嵐を行った。
チュッ、チュッ…ペロペロ…
「やん…あぁ…はぁはぁ…んんっ…」
「…ハァハァ…気持ちがいいでしょう、センパイ?…ハァハァ…ずっとこうしていたいでしょう?」
刹那の血や汗を舐めて吸い尽くす。プルートの手は刹那のアンナ場所を撫でていた。
そしていよいよ唇に口付けしようと刹那の頬を両手で包み込み顔を近づけていった。
プルートも刹那も目をとろんとさせている。
「(いよいよ刹那センパイとキスを…舌も使ったディープキスよ。ウフフフ…幸せですわ…)」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:12 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第11回「Fall In Love」

「…やっぱり女を殴ることはできへん。」
小太郎はアースに向けた拳を下げた。
「そのマスターってヤツをぶっ倒せばお前は自由なんやな?」
アースは首を前に振った。と、その瞬間!
「じゃあ裏切り者は死ねば?」
すさまじい閃光がアースに直撃した。
「ああああああ…ウ、ウラヌス!?」
「アタシのかわいい部下をよくもやってくれたわね。消えなっ!」
「ウラヌス…」
アースは倒れこんだ。最後に思い浮かんだのは昔の親友の顔であった。
「(もう一度会いたかった…花美ちゃん…)」
アースは消えた。“Earth”と書かれたカードを残して。
「お前なんて事をするんや!!!」
小太郎が不意打ちをかけたウラヌスを怒鳴った。
「ちょうどいいわ、あなたのかわいいお耳をもらってあげる。」
ウラヌスが長い白色の髪を後ろにさげて黒い翼を生やした。
「お前みたいな外道一発で片付けてやるわ…」
小太郎が『対西洋魔術師』と書いた札を取り、身構えた。
「マダスプラズマ・ダークベロイカ!!漆黒の螺旋光!!」
ウラヌスを中心とした全面攻撃が始まった。
「そんなドデカいビームなんかこの俺にあたるかよ!!」
小太郎が飛んでいるウラヌスに突っ込んだ。
「じゃあこれはどう?ヘル・プラズマ・ゲシェンク!!漆黒の螺旋城!!」
ウラヌスの上にとてつもなく巨大な城が出現した。
「闇よりいでよ、アリエル!ウンブリエル!」
とウラヌスが唱えた瞬間、暗黒の騎士が襲いかかってきた。
「くっそ~。変な騎士2体に黒いビームの両方をかわすのは骨やな。おまけに相手は女や、殴れるモンでもない。」
ウラヌスがちょっとキレた。
「変な騎士とは何よ!!それに『綺麗な』とか『かわいい』女とかつけなさいよ!!」
ウラヌスは天才だがどこかズレた性格だった。
「はぁ?自己ナルシストかお前は?そうゆうヤツはアホでブサイクなんや!」
ウラヌスはブチギレて我を失った。
「ぬぁんですってー!もういいわ!!消え失せろ!!ヘル・プラズマ・ゲロイア!!漆黒の死神 命奪いの悪霊達!!チタニア、オベロン!かのものに死を!!」
ウラヌスの目には小太郎は映ってなかった。
小太郎はウラヌスより高い所にいた。
「喰らえ!のしかかり!てやあああああ!!」
ウラヌスは我を取り戻した。
「えっ、なによあんた!?女子の上にのしかかるつもり?」
小太郎は睨んで言った。
「アホ!!こっちは玉砕覚悟で突っ込んでるんや!!」
小太郎とウラヌスは地面に落下した。
ズドーン!!
しかしウラヌスの魔法はまだ続いていた。
強力なビームがウラヌスめがけて飛んできた。
「はっ、しまったー!?」
ウラヌスは死を覚悟した。
ズガーーーーーーン!!!!!!
しかしウラヌスには攻撃は当たらなかった。
小太郎が変わりに受けてくれたのだ。
「ごっつー痛たいわ…き、綺麗でかわいい姉ちゃん。…はよう術解けや…」
ウラヌスは赤くした顔を横にしながら言った。
「私の負けだわ…」

がくっ…小太郎はその場に崩れ落ちた。
まだかろうじて意識はある。
ウラヌスは一瞬小太郎にトドメをさせようと考えた。
しかし、どうしてもできなかった。
今彼女は今までの長い人生には感じたことの無かった暖かい気持ちがあることに気づいていた。
小太郎を見ていると、胸がドキドキしてくる。この気持ちはいったい…?
「あなたは小太郎さんのことを好きになったんですね。」
ウラヌスが振り向くと、“Earth”のカードが浮き上がっていた。カードはアースの声で言った。
「あなたは小太郎さんに恋をしたんです。あなたが感じているその心が恋というものなのです。」
「ま、まさかこんな下等なやつに私が…。」
すると小太郎が苦しそうにうめいた。アースが聞いてきた。
「彼を救いたいですか?」
ウラヌスはためらっていたが、ついに首を縦に振った。
「分かりました。私の力をあなたへお贈りしましょう。それから森の湖へ。彼に愛の手を差し伸べてあげてください。」
そういうと、“Earth”のカードがウラヌスの体内へ入っていった。ウラヌスはさらに優しい気持ちになった。
「ああ…これが人を愛するということなの…?」
「その通りです。」
1人の小柄な少女が現れた。無表情である。
「お前はアースの従者、ムーン。」
無表情な少女の顔がほころんだ。
「ご安心を。今の私はアース様の意志でのみ動いております。さあウラヌス様こちらへ。星美湖の聖水を小太郎様に飲ませて差し上げましょう。そうすればアース様もお喜びになられますので。」
「…分かった。」
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# by konosetu | 2001-01-01 00:11 | 自作小説 | Comments(0)

虹色の奇跡 第10回「カードの秘密と新たな戦士」

空を見上げた真名は何かひっかかった。
「このカード星名が書かれてあるが何か意味があるのかも知れない。」
真名がカードを見て気になった。
「これはネギ坊主の仮契約カードと同じようなカードアル!!」
古菲が思い出したように言った。
「クー、お前どこでそんなことを…」
真名がツッコミを入れるように古菲に聞いた。
「修学旅行のときのラブラブキッス大作戦のスカカードってやつをみせてもらったアル。…文字だけって事は…わかんないアル。」
真名がもしやと思い聞いた。
「先生のカードにはお前の姿が書いてあったのか?」
「アスナやのどかははっきりした絵だたアル。口と口じゃなきゃちゃんとしたカードは作れないみたいアル。それがどうかしたアルか?」
真名がどうやらカードの秘密に気がついた。
「なるほど…カードをコアにしているんだ。式神や精霊やモンスターもしくは…人間の戦士もいるか…を自分の好みで選び出し、英語の惑星を表す文字がその力を振り分けるんだ。そして選んだ式神たちと契約を交わしといていつでも召喚できたというわけだ。カードのある場所にやつらは現れ、存在する。だからそいつを倒したらカードが残る。しかしそんな高度な術を使う相手となれば…かなりやっかいだな。」
真名の話にチンプンカンプンだった楓と古菲はとりあえず首を縦に振った。
「で、その高度な術の使える相手って誰アルか?」
「はっきりしたことはまだ分からない。しかし、考えてみろ。大きな惑星のカードに小さな衛星のカード…つまり…。」
「つまり…なんでござるか?」
「まだ分からないのか。惑星が幹部でそいつらが下に衛星という部下たちを従える。お前たちは太陽系にある惑星はいくつか知っているか。」
楓も古菲も首をかしげて「?」を浮かべている。
「まったく…9つだ。9つの惑星だ。それから木星の衛星は確か61あったと何かで見た覚えがある。」
「なるほど、だんだん見えてきたでござる。」
「さっきの忍者集団は木星の手下だたアルね?」
「そうだ。そして…。」
「拙者が倒したのは幹部の木星でござるな。」
「ああ…つまり楓が戦ったような強敵がまだ最低でも8人はいるということ。そしてそいつらを束ねている親玉がいるというわけだ。」
「じゃあさっきクーが申した術者、親玉というのはまさか…」
真名は目を細めて答えた。
「ああ、おそらく…恒星…つまり太陽だ。」



「う~ん…いないねあの変な小カメ。」
桜子が言った。チアリーダーの3人は星美湖まで来ていた。
「いったいどこに行ったんだろ?」
美砂が首を傾げる。
「まぁいいじゃん。ん~、この辺の空気って澄んでて気持ちがいいわね。」
円は背伸びして深呼吸した。
「も~、カメカメどこだ~?」
桜子が茂みに入ろうとしたそのときだった。
「フッフッフッフッフフフフ…」
「なに?今の気味の悪い笑い声は…?」
「カワイイ女の子が3人…いただきま~す!」
3人は絶叫した。
「き、きゃああああああああああああ!!!」

3人は蜘蛛の巣に絡めとられてしまった。
身動きがとれず、3人とも気を失ってしまった。
「さあて、どの娘からかわいがってあげようかな。クックック……ようしこの子に決定。」
蜘蛛男ミランダが桜子にいやらしいことをしようとしたとき、声がした。
「やめんかいな。そこのげす野郎。」
そう、そこにいたのは犬上小太郎だった。ミランダはその存在に気づいた。
「ほう、狗神使いの小僧か。俺の邪魔をするつもりか?」
「そうや。俺は犬上小太郎。女をいじめるやつは許さへん。それに借りのあるやつもおる。おまえをぶっ飛ばしたるで!」
「ケッケッケッケッケ!くらえ、糸地獄・ウェブプレッシャー!」
ねばねばした無数の糸が小太郎を襲う。
「ふん、こんなもん!」
余裕でかわした小太郎。お返しにと相手にパンチを見舞う。
「あぎゃあああ!よくも。それなら。」
ミランダは桜子を盾にした。キックを繰り出そうとした小太郎の動きが止まる。
「し、しまった。卑怯やで!」
大量の糸に絡めとられ、身動きができなくなった小太郎は大ピンチ。狗神を放つもすべて糸にかき消される。
「ひひひ、男には用は無い。今すぐ死んでしまえ!」
鋭い刃状の糸の塊が小太郎を襲う。そのとき、
「うぐあっ…アースめ…裏切りおったな…。」
見るとミランダの腹が樹木の太い枝に貫かれていた。と、同時にツルに巻かれ動きも封じられていた。
「私はあなたたちのやり方に嫌気が差した。消えてもらう!」
ミランダは姿を現したアースという植物人間の女の方を向いた。
「今や!」
小太郎はなんとか糸を振りほどき、ミランダにパンチとキックの嵐を浴びせた。
「だああああああ!うう…もっとカワイイ女の子をいじめたかった…ぎゃああああ!ウ、ウラヌス様~!」
ミランダは衛星の小さなカードを残して姿を消した。
「なんや?このカード…。」
「それが我々9の惑星の出入口。そのカードをゲートに我々はマスターに呼び出されたのです。」
「ふーん…あれ、さっきあの蜘蛛野郎が裏切り者やて…。」
「ええ、植物族である私は本来争いを好みません。しかし、マスターにより術を施され戦闘マシーンに…。今はこうして自分を取り戻しています。苦しめられている女性を見るとまるで、昔の自分を思い出すみたいで…。」
そういうとアースは遠くを見るような目でため息をついた。
「まあ、何であれ助かったわ。おおきにな、草の姉ちゃん。」
「犬上小太郎さんといいましたね。私は自分でカードに戻れません。私を倒してください。マスターに支配されて正気をなくしてしまう前に。」
「な、なんやと!?」
「私はもう裏切り者。彼に精神をのっとられるのは時間の問題。もう、彼の操り人形になるのは嫌なのです。私を楽にしてください。」
「そ、そんなアホな!恩人にそないなこと…まして女に…」



「お久しぶりです、サン様。」
その小柄な男がいつもつけているサングラスをはずし、サンに一礼した。
「うむ。お前の活躍、期待しているぞ。ガイ・フォークス。」
「わざわざ俺をお呼びになったということは、今回の相手は曲者ですか。」
「なかなかの難敵だよ。君の喜びそうなね。惑星の名を持つ女たちも苦戦している。」
「俺と同じく『ウェイアード』の世界のやつらか。まったく、頼りない。」
ガイと呼ばれた男は苦虫を噛み潰したような表情をした。
「まあ、中にはこの世界の出身者もいるのだがね。」
「フフ…それでは俺の出番を楽しみにしていますよ。」
ガイはもう一度礼をすると、再びサングラスをかけて去って行った。
不敵な笑みを浮かべながら。
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# by konosetu | 2001-01-01 00:10 | 自作小説 | Comments(0)