本当の気持ちと向き合えますか？

魔法少女まどか☆マギカ　第7話「本当の気持ちと向き合えますか？」

壊れゆく心。



魔法少女の真実を知り愕然とするさやかは、どうして真実を話してくれなかったのかとキュゥべえに詰め寄ります。が、彼は単に訊かれなかったからと言うばかり。魂のありかが変わっただけで強固な体を手に入れられたのだからいいではないかと主張します。しかし、そんなことでさやかは割り切れるはずもなく…。

ほむらに魔法少女の真実を知っていたのか聞くまどか。当然知っていたほむらですが、これまで教えたところで誰も信じてはくれなかったといいます。
本来奇跡というものは命を対価にしても実現するものではない。そんな奇跡を売り歩いているのがキュゥべえ。キュゥべえには人間の価値観は通用しない…。
以前の事件でさやかが助けてくれなければ、自分も仁美も助からなかった。だからさやかのために何かしたいとまどか。しかし、ほむらは感謝と責任を混同してはダメだと忠告。改めてさやかのことは諦めろといいます。

寝込んで学校も休んでしまったさやかに、念話で話しかけてきたのは杏子。
杏子もまた、真実を知ってショックは受けていたものの、魔法を自分のために使っているのだから自己責任だと割り切っていました。
杏子が魔法少女になった理由。それは神父をしていた父親のためでした。世のため人のために懸命に説法をしていた父親でしたが、次第に胡散臭い宗教のようだと次第に世間から相手にしてもらえなくなってしまいました。父親は正しいことを言っているのに。もっと話を聞いてくれればと悔しがった杏子は、人々が父親の説教を聞くようになるという願い事と引き換えにキュゥべえと契約して魔法少女となりました。
父親の教義が再び人々に受け入れられるようになり、陰では杏子が魔女退治を頑張る。そうして家族に明るさが戻ってきた矢先。父親が事のカラクリを知ってしまい、杏子が魔女になってしまったと絶望。酒に溺れるようになり、遂には杏子を残して一家心中。
そんなことがあったため、杏子は二度と他人のために魔法は使わないと心に決めたのでした。

「奇跡ってのはタダじゃないんだ、希望を祈れば同じ分の絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きをゼロにして世の中のバランスは成り立っているんだよ」

そう言って、かつて自分が犯したのと同じ過ちをしているさやかを励まします。
杏子の事情を知ったさやかは杏子に対して誤解があったと謝罪。しかし、魔法を自分のためだけに使うという考え方には賛同できないと、歩み寄りを見せた杏子を突き放し、去っていきます。

次の日は学校に登校し、気丈に振舞うさやか。
恭介が学校に復学しました。本来なら喜ばしいことなのに、さやかは曇り顔。
そんなとき、仁美が恭介のことを慕っているとさやかに告白。
「さやかさんは、本当の気持ちと向き合えますか？」
恭介の幼馴染であり、友人のさやかを裏切ることはできないと、1日だけ恭介に告白するのを待つといいます。

そのことでさらに苦悩してしまうさやか。優しく声をかけてきてくれたまどかに、恭介が仁美に取られてしまうこと、仁美を助けなかったらよかったと考えてしまったこと、恭介に想いを伝えようにも自分はもう人間じゃないこと…。溢れ出る想いを涙とともに吐き出しました。

まどかのお陰で調子を取り戻したさやかは、発見した魔女と交戦開始。さやかが苦戦する様子を察した杏子が助太刀に現れますが、さやかはそれを拒絶。1人で魔女に立ち向かいます。
確かにどんなダメージを受けても痛みは感じない。その事実に、さやかは次第に狂気の笑いを漏らし始めます。そして、そのまま笑いながら魔女を切り刻み…。


いくら強固な体を手に入れても、心がそれについていけなくては押し潰されてしまう…。
ダークサイドに堕ちた青の子（ガクガク）

敵視して挑発していたさやかに歩み寄りを見せた杏子。その過去は、「正しいことをしたはずなのにそれが裏目に出てしまった」というものでした。前回、まどかの母が正しいことを積み重ねていたとしてもハッピーエンドになるとは限らないと言っているのと連動しているように感じます。
また、彼女は貧しい生活を強いられていた時期があったようで、食べ物を粗末にする奴は許せないという姿勢のようで。食べ物（＝動植物の命）を大切にしようという姿勢はご立派ですが、人の命も大事にしないとね…（＾＾；
とはいえ、バックボーンが分かっただけで、京子に対する見方は変わりますわな。なぜ自分のためだけに魔法を使うという主義に至ったのか。他人の願いを叶えるというリスクを痛感したから。そして、自分のために魔法を使っているのなら自己責任なのだから、もはや人間の身体じゃないと知らされてもショックは小さく済んだと。
彼女のように自分の尻拭いは自分ですると割り切れるなら、うまく渡り切っていくこともできましょう。背負うものが自分の運命だけなのだから、荷物が軽くて幾分気も楽ですわな。
（それにしても、杏子の回想シーンの描写が不気味でした。これが劇団犬カレークオリティか…）

杏子の設定が、さやかとうまい対比になっています。さやかは恭介のために魔法少女になった。そして世のため人のために戦おうとしている。
立派な志なのですが、それがさやかの大きな心理的負担になっている。そして、気丈に振舞っていても、自分が人間でなくなってしまったことへの恐怖と後悔に苛まれている。
さらに追い打ちをかけるように、助けたはずの恭介が、友人の仁美に奪われようとしている。さやかは墓穴を掘りました。自分の本当に叶えたい願い事（恭介と結ばれること）をしなかった。尊敬していたはずのマミの忠告を破ったことになります。自分の本意と違うことを願い事にしてしまい、人ならざる体になってしまった。

さやかは精神的に壊れてきてしまったのでしょうか。最後の戦闘シーンは、キャラクターが黒く塗り潰されていました。さやかの表情が見えず狂った笑い声が響くだけという辺り、余計に不気味です。
体は頑丈でも、精神が先に参ってしまうかもしれません…。

最悪、さやかは次回で退場かも。
放送開始前後にとある場所で流れた情報通り、第3話でマミさんがお亡くなりになりました。
その情報通りだと、第8話でさやかが…ということらしいです。
ちなみにほむらが12話で、まどかが13話…。

それにしても、キュゥべえマジ悪魔(￣□￣lll)
淫獣というより、害獣ですな。


これまで「仮面ライダー龍騎」を彷彿とさせられるシーンが多かったですが、今回は「灼眼のシャナ」に通じるものを感じました。
主人公のシャナは例外なのですが、ほとんどのフレイムヘイズは、復讐という自分の目的のために体を異世界人に強化してもらい、人ならざる強化戦士となります。原則、自分の利益のために動いているため、時には同業者や人間と対立することもあります。
肉体は強化されますが、存在は空っぽの器になり、人々からも忘れ去られます。老化が止まるため、寿命が尽きることはなく何百年も生きることが可能です。しかし、その身に宿る精神は普通の人間のまま。何百年も戦いに明け暮れる毎日。精神的に潰れてしまう戦士も少なくないのです。
さらに、復讐のためではなく人助けのために戦うフレイムヘイズもいました。しかし、彼は人を助けるため圧倒的に格上の敵に無謀にも挑戦し、あっけなく殺されてしまいました。
人助けのために戦うというのは、背負うものが多くなり、自分にかかる負担が増えるということ。命懸けの戦いを生き延びていくのにはふさわしくないのです。

なお、魂と肉体を別々にしている魔女というのは「よくわかる現代魔法」にも見られた設定です。

人助けの精神は大変素晴らしいものです。しかし、自分の人生を犠牲にするかもしれないというリスクが伴うのもまた事実なんですよね…。


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