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いけやんのお部屋なの~♪(^▽^)

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幕間「あるアークチルドレンの過去」(フルバージョン)

※以下性的描写あり。苦手な方、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
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キーパーソン:長谷川慈雨

夢の中で、風上真央は1人の少女になっていた。
とはいっても、意識が少女の視野と重なっているというだけで、真央自身に行動の主導権はない。ただただ、少女の見ている光景やその思考を共有するのみだ。



「ぐあああああ!!」
「きゃあああああ!!!」
その村は殺戮の嵐に包まれる。
「いけー潰せー!」
「1人も逃がすな。皆殺しだー!」
「すべて破壊し尽くせー!」
村を地獄へと変貌させたのは、約30名の戦士達である。彼らは強力な戦闘集団。その名も“ランドビースト”という。
世の人間達から恐れおののかれているアークチルドレンの強力な一団。数あるグループや派閥の中でも5指に入るほどの有力な集団である。
「やめて。せめて子ども達だけでも見逃して!」
「例外は認めん!」
泣き叫び許しを請う親子が切り裂かれた。
「やめてくれ! 妻は子どもを身ごもっているんだ!」
「関係ないね。うひゃははは!!」
妊婦が中にいるはずの家が跡形もなく吹き飛ばされた。
「あ、ああ、そん……」
悲しむ暇もなく、その夫も体を一刀両断にされた。



わずか2時間後。
「この村はほぼ制圧完了した。今、生き残っている奴がいないか捜索中だ」
「ご苦労。強力な“ハンター”どもが住んでいると聞いていたが、他愛もなかったな」
その報告に、グループのリーダー格である男が、つまらなさそうな表情と声音で言った。茶色い逆立った髪が特徴的な、筋肉質な男だ。
「そうねぇ、レオネス。いざとなったら私も出ないとダメだと思ったけどぉ、出る幕はなかったようねぇ」
レオネスと呼ばれた男に寄り添うようにしている女が、猫撫で声で色っぽく言ってみせた。
「フン、まぁいいさ。ここは同士諸君らに任せて、俺達は先に帰るとするか。アシュリー」
「ウフフ、そうこなくっちゃ♪」
緑がかった白いウェーブ髪のアシュリーという少女が、その艶かしい豊満な肢体をくねらせる。彼女はこのグループのサブリーダーに相当する地位にある。
「じうタンはどうする?」
話を振られた少女は一瞬身を硬くする。そして、おずおずと首肯する。
「ん、うん。レオネス達と一緒に行きたい」
「フッ、もちろんだ。歓迎するよ」



長谷川慈雨。彼女も他の構成員と同じくアークチルドレンの1人ではあるのだが、元々は別の者達と一緒に暮らしていた。
そのときは数人の仲間達がいたのだが、あるとき慈雨以外の全員がハンターの“狩り”に遭ってしまった。
ある人物の卑劣な裏切りと計略と嘲笑によって心をズタズタにされ、独りぼっちになってしまった慈雨。そんな彼女を拾い救ったグループが、この“ランドビースト”なのだ。

「んっ、はぁっ―――」
「ハァ、ハァ―――」
「………」
ここはアークチルドレンの隠れ家のリーダー室。若干11歳の慈雨にとって、刺激の強すぎる光景が繰り広げられる。
いや、すでに大勢の同胞達が狩られる様や、ハンターどもが殺戮されていく様はもう何度も目にしていたし、慈雨自身もこれまでに十数人のハンターを葬っている。普通の11歳がおよそ経験することのないような残虐な光景にはもう慣れきってしまっている……はずなのだ。だが……

慈雨が10歳のときのある夜、独り寂しくなって一緒に寝てもらおうと彼らの寝室を訪ねて行ったとき、慈雨は中睦まじく囁き合う声を聞いてしまった。
そのときも彼らは今と同じように、互いに慈しみあっていた。唖然呆然とする慈雨に、しかし彼らは構わず抱きしめあい、キスしあい、そして―――

「レオネス、いいわぁ。もっとぉ…もっと奥まで突いてぇ…」
「くっ、アシュリー。うぐぅ……」
グループ最年少である慈雨は、自分を救ってくれたレオネスとアシュリーを兄や姉のように慕っている。いや、実際、2人とも兄と姉なのだが。アークチルドレンはみな、兄弟姉妹なのだから。

慈雨が10歳のときのある夜、独り寂しくなって一緒に寝てもらおうと彼らの寝室を訪ねて行ったとき、慈雨はその喘ぎ声を聞いてしまった。
そのときも彼らは今と同じように、互いを慰めあっていたのだ。唖然呆然とする慈雨に、しかし彼らは構わずその行為を続けた。
そして―――
「あ、あ、レオネス。もう私―――」
「俺もだ。あうっ―――」
あのときもちょうどこのように快楽の表情とともに体を跳ね上がらせたのだ。
慈雨はその辺りの知識について少しは心得ていたので訊いてみた。「こういうことは普通‘兄妹同士’ではしないのではないのか」と。それに対し、アシュリーが人差し指を慈雨の口元に当ててウインクして見せた。そしてこう言った。
「幸せなら何だっていいのよ。私達には未来が許されていないのだから。アクマが復活しない限りはね」

そして今。愛の抱擁を終えた目の前の2人は、幸せの余韻に浸っている。
「………」
慈雨がこの光景を見るのは何回目だろう。初めて見てしまったときからかれこれ1年になる。確かこれで7回目くらいであろう。しかし、依然としてこの淫猥な光景に慈雨の心は、乱れ続けている。もっとも、物静かな性格のため、外見では平常を装っているが。
ふと、アシュリーの視線が慈雨のものと重なる。
「ふふ、あなたも11歳になったのね、慈雨ちゃん♪ どう、そろそろ一緒に混ざらない~?」
トクン、と慈雨の心の臓が跳ね上がる。自分では気づかないが、顔がみるみる高潮していっている。
「さすがにまだ早いのではないか?」
レオネスの意見に、アシュリーはダメだしをする。
「何言ってるのぉ。私達の人生は決して長くはないわよぉ。明日にはもうない命かもしれないしぃ。今のうちに女としての悦びを教えてあげなきゃぁ」

気がつくと、慈雨は一糸纏わぬ姿で、さっきまで兄と姉が愛を交わしていたベッドの上に寝かされていた。
「クス、かわいいわぁ、じうタン」
アシュリーが優しく慈雨の体を愛撫していく。膨らみかけの胸を刺激され、首筋に唇と舌が這わされる。そのゾクゾクする感触に酔いしれていく慈雨。しまいには秘密の部分まで撫で回され……
「あ、あぁ……」
そして……
「い、やぁ……怖いよぉ」
「フフ、最初だけよぉ。さぁ、力を抜いて……」
後ろからアシュリーに抱え込まれたかと思うと、レオネスが迫ってきて、まだ発達途上の幼い下半身に太い異物が押し込まれていった。
「あぁっ、いたぁい……」
鋭い痛み。しかし、アシュリーに可愛がってもらっているうちに、それは次第におかしな感触――快感――に変わっていき、そして……
「はぁぁぁ……」
頭の中が真っ白に弾けとび、小さな身体を思い切りのけぞらせた。そしてその直後、まだ幼きその体内に熱いモノが大量に注ぎ込まれていった。

数時間後。
「はぁ、はぁ……」
慈雨の幼き裸体は、レオネスの発した熱く白き液体がたくさんこびりついた状態となっていた。わずかに膨らみの兆しのある胸や白く透き通るような腹と下腹部だけでなく、顔面や口の中にまで、その独特の香りを放つ液体はいっぱいになっていた。
遠い意識の中、慈雨は初めて見た。レオネスとアシュリーの真の姿を。たくましき獣、ライオンの特徴を露にしたその姿を。2人がこの姿になるのは‘本気になったとき’だけだという。強力なハンター達との戦いのとき。そして、相手を激しく愛するとき。
2人は自分ことを本気で愛してくれたのだ。アシュリーの身体ももうベトベトになっている。彼女もきっとレオネスに愛されて幸せに違いない。それをぼんやりする頭の中で理解し、幸せな気持ちに包まれる。慈雨は2人の腕の中で安らかな眠りの世界へと旅立って行った。



それからというもの、慈雨は幾度にも渡ってレオネス達と交じり合った。
時には撫で回され、時にはキスされ、時には貫かれ、時には掻き回され、時にはかけられ、時には舐めさせられ、時には飲まされ、時には肌に跡をつけられ―――
慈雨が一番好きだったのは、レオネスとの行為の後、自分の秘密の場所から溢れ出てくる彼の液をアシュリーに吸い上げてもらうことであった。気づくともうこの快感が癖になってしまっていた。反対に、アシュリーから溢れ出てくるモノを吸い上げてあげたこともある。
それから、時々レオネスとアシュリー以外のメンバーも加わって乱れ交わり合うこともあった。特に中でも、ベアルという名のメンバーで最も大柄な男を受け入れたときは、もういろんな意味ですごかった。カザフという女もすごかった。アシュリーに負けず劣らずテクニックに長けていた。ヌメヌメとした触手を伸ばして慈雨の身体じゅうに巻きつき、ヌルヌルのジェルを塗りたくり、メチャクチャのグチャグチャに……


慈雨はアシュリーがそう呼んでいたこともあり、一部の仲間達から「じうタン」の愛称で呼ばれるようになり、グループの人気者になった。みんなからも可愛がられ、そして愛された。
「世界が じうタンの~ 登場を待ってる♪ ぢゅぢゅぢゅ~ちゅちゅ~♪」
一時期仲間内でこんな歌が流行った。
大好きな人達と快楽を分かち合う。こんな幸せなこと、ない。


一方で、みんなで有力な“ハンター”を大勢‘狩って’やった。奴らにも狩られる恐怖を味あわせてやった。
大勢殺し、壊してやった。慈雨ももちろん参加した。偉そうに威張っていたハンターの中年の男の血祭りに上げてやると、レオネスが褒めてキスしてくれた。高慢ちきな女戦士を高台に吊るしてやったら、アシュリーが抱き締めて頭を撫でてくれた。“セイヴァー”の振りをして接触してきたスパイを血の海に沈めてしてやったときは、ベアルがご褒美にその巨体で気持ちのいいことを教えてくれた。“ハンター”の有力な幹部の首を持ち帰ったときには、カザフが宴会を開いてくれた。そうして酔いしれた後、みんなで仲良く乱れ交じり合った。
嬉しかった。仲間達に認めてもらえる悦びに、慈雨はどんどん殺し、壊していった。遂には、その破壊する行為自体に快感を覚えるようになっていった。
破壊が終わった後、戦場の残骸の死臭漂う中で、彼らは愛し合った。数々の骸を横目に、彼らは壊れるほど交じり合い、快楽を貪り合った。



しかし、ずっと続いていくかと思えたそんな日々も、遂に終わるときがやってきた。
その発端はグループいちの巨体を誇るベアルが殺されたことだった。ある村を襲撃した折、ある人物にあっさりと仕留められてしまったのだ。
その人物はハンターではなかったということを後で聞いた。なぜその人物がそこにいたのかは定かではないが、その名はサン・エル・サラマンドラといった。
怒りに震えたレオネスは、同胞の仇であるその男に復讐を誓った。程なく、サンと遭遇する機会がやってきた。
果敢にもサンに挑んでいったレオネス。ところが、まったく勝負にならなかった。その恐るべき力の差に、あの負け知らずだったはずのレオネスは、いとも簡単に倒されてしまった。
虫の息のレオネスに、しかしサンはトドメをさせなかった。去っていくサンを、アシュリーとカザフが追跡していく。仕方なく、慈雨達残されたメンバーはレオネスを介抱する。しかし、そこを“ハンター”の大群に襲われてしまった。サンと“ハンター”がつるんでいるという話は聞かないので、おそらくレオネスとサンの戦いをどこからか傍観していたのであろう。漁夫の利を得んと押し寄せてくる圧倒的な戦力差にもめげず、必死に応戦するメンバー達。しかし、重傷のレオネスを庇いながらのため、うまく実力を発揮できない。まさか、尊敬し愛しているレオネスを見捨てるわけにもいかず、次第に追い詰められていったメンバー達。
そして、レオネスと慈雨が人質に取られてしまったことにより、“ランドビースト”は降伏を余儀なくされた。



ウソだ。誰か嘘だと言ってくれ。
目の前で繰り広げられる悪夢。女の仲間達が全員裸にされ、女として屈辱的な拷問を受けていた。抵抗できないよう、強化魔法のかかった鎖や猿ぐつわなどの拘束具でみんな束縛されている。
「さあ言え。“ランドビースト”ナンバー2のアシュリーはどこにいる?」
「いやあああ!!」
鞭がしなり、少女の背中や尻に傷が走る。
「他のグループの情報を教えろ。教えなかったら…こうしてやる!」
「やめてぇぇ!!」
別の少女には、太くて硬い棒状のものが下半身に無理やり埋め込まれていく。というより、突き刺さっていた。
「もう殺して! 殺しなさいよぉぉー!!」
他にも首を締め上げられたり、水攻めにされたり、刃物で切り傷をつけていかれたり、焼けた烙印を押し付けられたり、手足を銃で撃ち抜かれたり、注射をされたりしている者もいる。拷問場にあちこちで悲鳴が上がる。そして拷問の魔の手は慈雨にも迫ってきた。
「オラオラ、すべて言え、吐けよ!」
「お、こいつ、ガキのくせしてもう開発済みじゃねぇか、ハハハ! アークチルドレンってのは、理性のカケラもねぇ、野生の動物だな、このメス豚め!」
どっちが理性のカケラもない野獣どもだ。慈雨はギロリと男達を睨みつける。彼らは一瞬たじろぐが、すぐに睥睨し返してくる。
「生意気なんだよ、このガキが!」
「調教が必要だなぁ」
頬を張られた。すべて身包み剥がされ全身を鞭で叩かれた。下半身の大事な部分に硬い金属の棒のようなものを押し込まれた。そして、変な薬を投与された。
「自白剤を兼ねた淫乱剤だ。こいつは効くぜぇ」
意識が朦朧としてきた。嫌なのに、嫌なのにもうどうでもよくなってきてしまった。延々と数時間に渡って繰り広げられた拷問。しかしそれは唐突に終わりを告げた。

施設の天井に大穴が空く。サンを追いかけて離脱していたアシュリーが助けにやってきたのだ。仲間達の惨状に、怒り狂ったアシュリーは、“ハンター”どもを血祭りに上げていく。
「クソてめぇらぁぁぁぁぁーーーー!!!!
彼女はさっと見回しただけで状況を確認する。ここにいる仲間は女のみ。むごたらしい拷問を受けていたため、全員拘束されて傷だらけである。中には致命傷を負っていそうな者もいる。そして、もはや全員助けている余裕はない。
そのとき彼女は慈雨の姿を認めると、邪魔な敵を軽く蹴散らしながらこちらの方へと歩を進めてくる。しかし、その一発の銃声が、わずかに膨れ上がった希望をあっという間に打ち砕いてしまった。
アシュリーの右腕が大きく膨れ上がり、破裂した。
「あっ、ぐふぁっ!!」
そのとき飛び散った血液が、近くの慈雨の身体にもかかった。何が起きたのか、理解できない、というより理解したくない慈雨。そうだ。噂に聞く『銀の玉』か。並みのミュータントやアルフェノクなら一撃で沈められる強力な弾丸だ。シスター専用銃であるはずの『アウフルーフ』を、ハンターの誰かが持っていたということか。入手経路は定かではないが、彼らなら手に入れるのは造作もないことだろう。
片腕を失ったアシュリーは、それでもなんとか戦おうとするが。そこに何発もの銃弾やエネルギー弾が撃ち込まれていく。アシュリーはその場を動かない。きっと動くと背後の慈雨が蜂の巣にされてしまうと分かっているからであろう。
「うおおおおおおお!!!」
ライオンの爪を一振りすると、発砲していたハンター達が悲鳴を上げるまもなく絶命していった。なんとかわずかながら時間を得たアシュリーが、血だらけの体を引きずりながら、慈雨のところまでやってきて、その拘束具を断ち切った。
「じう~……私達のカワイイじうタン~♪」
傷だらけの慈雨を、ギュッと抱きしめる。傷だらけで苦しいはずなのに、口調はなぜか普段の調子だ。
「あったかぁい。今までいろんなオンナノコ抱いたけど、やっぱり慈雨ちゃんが一番ねぇ」
そう言って、慈雨の頬にキスをする。そして、残った方の腕で頬を撫でてくる。その頬がアシュリーの血で赤く染まる。
「これからももっと慈雨ちゃんをかわいがってあげたかったけどぉ、ここでお別れねぇ」
フッと柔らかい笑みを浮かべると、慈雨をその残った腕で抱え上げる。
「あなたはなるべく長く生きなさいよぉ。一生幸せはやってこないかもだけど、ちょっとくらいこの世界を楽しんでよぉ。私達がいいって言うまでこっちにきちゃダメだかんね」
「アシュリー!?」
「さようなら。愛しているわ。じうタン―――!!」
穴の開いた天井から宙に数十メートルは投げ飛ばされた。すると、どこかに待機していたと思われる青みがかった翼を生やしたカザフによって、キャッチされ、上空へと舞い上がっていく。直後、下方で凄まじい何発もの銃声が轟いた。
地上でアシュリーらしき人影が地面に突っ伏したのが見えた。
「あ―――」
それでも、カザフは飛ぶスピードを緩めない。どんどん遠ざかっていく。何人かのハンターどもが逃げたこちらに向かって追いかけてくる。
「カザフ、あの……」

何も聞こえなくなった。桁違いの閃光と爆音と爆風によって。慈雨が最後に見たのは、追撃隊もその爆風に呑まれていく様子だった。



「あ……」
「気がついた?」
気がつくと、慈雨はカザフの腕の中だった。
「カザフ」
ぼんやりとする意識を何とかはっきりさせようとする。何があったんだっけ?
そうだ。みんなハンターに捕まって拷問されて、アシュリーが助けにきて、それから……
「みんなは? アシュリーは? レオネスは? どうなったの?」
「…………」
カザフはとても言いにくそうに躊躇っていたが、やがて意を決したのか。口を開いた。
「もういない。どこにも、いない」
「………?」
何を言っているの。変なカザフ。そんなワケないじゃん。レオネスもアシュリーも無敵なんだよ。勝てる人なんてどこにもいないんだから。
「みんな、死んだ。もう会えない」
だから、そんなのありえないって。だって、レオネス達が私をおいてどこかに行っちゃうなんて考えられないよ。私のこと、あんなに愛してくれているんだから。
「アシュリーは、みんなが捕まったことを知った後、私に待機を命じて単身で敵の基地に突っ込んだんだ。みんなを助けるために。結局、救えたのはあんただけだった」
カザフの目から涙が溢れていた。
「アシュリーは、最初から死ぬ気だったんだ。自爆装置抱えて、もし自分が死んだら吹っ飛ぶように設定していた。みんなも覚悟していたんだ。あんな目に遭わされるくらいなら、死を選ぶって。だから、自爆に巻き込まれても平気だって思っていた。だから、これでよかったんだ。でも……」
ギュッと慈雨を抱きしめてくる。
「あんただけは違う。あんただけはいざというとき命を捨ててもいいなんて言っていない。いや、まだそういうことを判断できる歳じゃないから。だから、アシュリーはあんただけは逃がしたんだ。待機していた私に託して」
もう、何言ってんの、カザフ。分かんないよ。何も分かんないよ。
「慈雨、すまない。あんたと一緒にいてやりたいのは山々だけど、私も1人だけ生き恥をさらすわけにはいかない。みんなのところへ行かなくちゃならない」
なんだろう。頭がぜんぜん話についていけないのだけれど。何も……
「追っ手が近づいてきている。慈雨、あんたは反対側の方角へ逃げな。シンフォニア学園都市ってのが見えてくるはずだ。あそこまで行けば、運が良ければアークチルドレンの同胞か“セイヴァー”の連中に拾ってもらえる」
慈雨の髪を撫で、最後にこう言ってくる。
「いいな。アシュリーの言ったとおり、あんたはもう少し生きるんだ。ひょっとしたら、アクマの復活に立ち会えるかもしれないしな。何かの間違いで、また幸せをつかむことだってできるかもしれないんだ」
額にキス。最後の温かい、しかし悲しいキス。
「さようなら、私達の可愛いじうタン。また来世で会うことがあったら、そのときはもっともっと……」
カザフはそこで俯き、そして飛び去っていった。慈雨の顔に、雫が飛んできた。それは慈雨には見せたくないと堪えていたカザフの涙だったのかもしれない。

数分後、爆音とともに視認できるまで接近してきていたハンターの大群部隊が消し飛んだ。



(もう一歩も動けない)
もうどれくらい歩いたのだろうか。距離、時間。もう分からない。
慈雨はもはや惰性だけで歩き続けていた。自分1人だけ残っていても意味がないではないか。どうせなら、早くみんなの元に行きたい。そう思って、何度も自分の首を掻き切りかけた。何度も崖から身を投げ出そうとした。
でも、できなかった。アシュリーやカザフの最後の言葉が、それをさせてくれないのだ。
その言葉だけで生きながらえた慈雨であったが、もう限界だった。ふらふらと、わずかな意識の狭間で、崖から身を投げ出した。
(アシュリーも、もう許してくれるよね)
ああ、これで楽になれる。みんなとまた会える。心がようやく解き放たれた。そう思った。
……違った。そこにあったのは、痛みだけだった。
慈雨は確かに崖下まで落ちた。しかし、幸か不幸か。木や草むらがクッションとなったためか、慈雨の身体能力が高かったためか。あるいはその双方かのせいで、死に切れなかったようだ。
(痛い……。ねぇ、お願い。森に住むモンスターでも、あの世から遣わされた死神でも、厄災神とかいう怪物でもいいから、私を、私を殺して)
ガサリ
草むらを掻き分けてくる音が聞こえてきた。
(遂に来た。来てくれた。あの世から私を迎えに来てくれたんだ)
慈雨はろくに見えなくなっていた目を、その現れた影に向けた。自分にトドメをさしてくれる者の姿を最後に見ておきたかったからだ。薄ぼんやりと見える、栗色の長髪。
「君! 大丈夫!?」
その人物は、慈雨のところまで駆け寄ってきた。
「くっ、なんて酷い怪我なんだ。すぐに手当てしないと。大丈夫、安心してください。私は“セイヴァー”です!」
慈雨は愕然とした。ああ、なんでよりによって。“ハンター”が来てくれていれば。いや、それでは一思いに殺してはくれないかもしれないから、魔物だったらよかった。どうして。どうしてこんな森の中で“セイヴァー”と会ってしまうのだ。どうして。どうして!
「殺し…て」
「え?」
「私を…殺し…て、楽にさせ…て。お願…い……」
慈雨の意識はそこで途絶えた。

※文字制限のため、掲載はここまで。以下は編集バージョンと同じなので割愛します。

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by konosetu | 2001-02-28 22:04 | 自作小説 | Comments(0)

はちみつ色の午後が過ぎてく はちみつ色の午後は何味?


by konosetu