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虹色の奇跡 第14回「哀しき儚き恋」

ウラヌスとマーキュリーの激突は続く。
「ふん…マーキュリー…またの名を“雪の女王”か。雪女の遺伝子を持つ女。“このちゃん”よう。」
「ホホホ…女王とは名ばかり。なぜだか分かるわよね?ハルピュイア(鳥型モンスター)と人間のハーフ。“せっちゃん”」
そう…ウラヌスの本名はセイラ、つまり“せっちゃん”。
マーキュリーの本名はこのゆき、つまり“このちゃん”。
2人は幼馴染だった。
本当に幼い頃からの腐れ縁。
だから、2人の付き合いが始まってから十数年という年月が経過していた。
その関係はまったく良好とは程遠いものだった。
いつも激しくぶつかり合い、いがみあい、非難し合い、欺き合い、憎み合って生きてきた。仲がよかった時期などわずかも無かった。
「さあ、ここからが本当の戦いだ!」
「フフフ…マスターを裏切った報いを受けよ。そして長年の恨み今ここで晴らさん!!」
彼女らは相手を蹴落とすことに至上の喜びを感じ、相手を出し抜くことに何よりもの快感を覚えた。
相手の痛みなどこれっぽちも考えたことはないし、考えも及ばなかった。
また最強の戦士はそうでなくてはならない、そう教え込まれてきたのでなおさらだった。
「永遠の氷河!」
「漆黒の螺旋城!」
名前こそあの2人――刹那とこのか――と同じであるが、この2人とは雲泥の差であった。
「凍死の猛吹雪!」
「漆黒の炎!」
せめてアスナとあやかの関係のようだったらまだ救いはあったのだが。
しかし、この2人は100%相手に好意のかけらさえ抱いたことはない。
ずっとそうだったし、これからもそうであるに違いない。
たとえ死んだとしても。
「雪男の大牙!!」
「アゼレースク!闇の騎士たちよ、行け!!」
同じマスターに仕えるようになってからも、いがみ合いは続いた。
アスナ・あやかやこのか・刹那たちが、この2人の終わらせたくとも終わらせることのかなわない悲しい関係を知ったらどう思うだろうか。
「これで最期だ!氷の棘鎧!!」
ウラヌスはこの攻撃をよけることも防ぐこともできなかった。
直撃…緑の血がほとばしる。
「ウラヌスゥー!?」
まだ身動きの出来ない小太郎が絶叫した。
「ぐあっ…フ…フフフ…」
それでもウラヌスは立ち上がる。
彼女は生まれて初めて知ったのだ。
人を愛するということを。
愛する人のためにつくす素晴らしさというものを。
いつしか“アイツ”が言っていたのはこのことだったんだ…

「ちくしょう、もう血が足りない…」
魔法の打ち合いとなったウラヌスとマーキュリー。
マーキュリーの「氷の棘鎧」をまともに喰らって5分間血を流し続けた結果だ。
「あなたは昔から嫌いでしたの。幼稚園からの腐れ縁…お前ははいつもわらわよりも上を行っていた、ルックスも璧…」
マーキュリーは昔を語りだした。
「ゴホッ…そんな話はするな…」
ウラヌスが倒れたまま血を吐きながら言った。
「ほほほ、あなたは自分の最も大切な人を守れなかった。人からも化け物と蹴落とされ、何とも惨めでしたわ。」
ウラヌスは血がざわめくように吐き捨てた。
「殺すぞ…」
マーキュリーはウラヌスを奈落の底に突き落とすようなことをつぶやいた。
「このバケモノが…あなたマスター以外の方を好きになるなんて、神をうらぎったようなもの。ハルピュイアのハーフと犬っころなんて結ばれないのよ。」
「じゃあ殺してやるわよ。」
ウラヌスは小太郎の方へむいて唱えた。
「ヘル・ダークネス・エンドレス…命を奪う悪霊…」
と唱えた瞬間、自分の胸に技を突き刺した。
「これで私は自動的にカードになる。お前も道連れだよ!!」
ウラヌスは隙をつき、マーキュリーのカードを心臓から奪い取った。
「ぐ、ぐあっ!ウラヌス…あなた…なんて…卑怯な…ことを…あああ…」
マーキュリーは“Mercury”のカードを残して消え去った。
「人種なんて…関係…ないのよ。ぐうっ…さ、さようなら…犬上…小太郎…愛しているわ…」
ウラヌスも小太郎の頬にキスをして彼を抱き締めた。
彼女は最後にこんなことを考えていた。
「(紅子よぅ…お前の言っていたこと…人を好きになることの大切さ…やっと分かったぜ…もう一度会いたかったなぁ…でもまぁ、ありがとな…。)」
体がスーと透けていく。そして“Uranus”のカードを残して消えていった。
小太郎は飛んできたウラヌスのカードを手に取った。
「天王星…ウラヌス…」
倒れたままカードをギュッと握り締めるのであった。
小太郎の悲しみとは対称的に、周りの空気は元の穏やかな暖かさを取り戻していった。

最後の最後に小太郎とウラヌスは両想いに…。しかしもう遅すぎた…。
「なんでや…なんでもう逝ってしもたんや…なんで…なんで…どうしてやー!」
小太郎は…泣いていた。今までにないほどに。
そのときだった。
「泣かないでほしい…。」
“Uranus”のカードが光り、小太郎に語りかける。
「ウラヌス…いや本名はセイラとかいったな。」
「すごくうれしかった…。私を愛してくれて…。私もあなたのことが本当に…。ほんのひと時だったけどあなたといてとっても楽しかったわ。」
「セイラ…」
「私を好きになってくれたのなら、私のことを忘れないでほしい。そうすれば私は、いつまでもあなたの中で生き続けることができるから。」
小太郎は涙をぬぐい、強くうなずいた。
「ああ、一生忘れん。絶対に…絶対に…。」
カードの輝きが消えていく。
「ありがとう小太郎。さようなら。」
「セイラー!」
小太郎には言いたいことが山ほどあった。彼女のことをもっと知りたかった。もっと語り合い恋人らしいこともしたかった。しかし、それはもうかなうことはない。小太郎は一言だけ伝える事にした。
「おれを助けてくれて…それからおれを好きになってくれてありがとな…。」
ウイングデビルの黒い羽が1つ落ちてきた。
そして3枚の惑星カード。
小太郎はそれらを大事にふところへしまった。
そのとき、小太郎の背にセイラの黒き翼が。
「セイラ、おれらはずっといっしょやで…。ずうっと…永遠にな。お前を自由にしたる。それからアースもな。敵の親玉をぶっ倒しに行く!」
小太郎は決意を胸にエルのアジトへと向かった。



遺跡の奥へと進むネギ、アスナ、エヴァ、チャチャ姉妹。
「なんか暗くて不気味ね…きゃっ!」
何かの仕掛けが作動した。
ネギとアスナの足元がぱっくりと口を開いた。
「わあああああああああ!!」
「きゃああああああああ!!」
バッシャーン!
どうやら2人とも水中に落ちたようだ。
とりあえずエヴァはホッとした。
そして2人を助けに行こうとしたそのときだった。
背後にすさまじい殺気を感じた。
エヴァに難敵が迫る!
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by konosetu | 2001-01-01 00:14 | 自作小説 | Comments(0)

はちみつ色の午後が過ぎてく はちみつ色の午後は何味?


by konosetu