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いけやんのお部屋なの~♪(^▽^)

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虹色の奇跡 第48回「新たの戦乱の予感」

パララケルス島にて。
「医療器具を武器に使ってくるなんて、医者の端くれかな?」
瀬田記康は攻撃してくる相手、B-ジャックに話しかける。
「まあな。だが、今は違う。真の医者は医療器具を武器などにはせんからな。」
B-ジャックは目を細めて言った。
「いろいろとワケありみたいだね。でも、ここで負けるわけにはいかないんだよ。」
いつもの緩やかな余裕の表情を崩さずに、瀬田は返答する。飛んできたメスや注射器の束を器用にかわす。
「そうだ。いろいろあって私は医者という職業に絶望した。やってられんよ、まったく。」
「それで?どうして僕達の邪魔をするんだい?」
「言ったはずだ。遺跡の封印を解くことは危険なことだと。ウェイアードだけではない。この世界、マホラワールドも危険にさらされるのだぞ。」
瀬田が怪訝な表情になる。
「う~ん…さっきから言っていることが見えないのだけれど…。もう少し詳しく…。」
しかし、B―ジャックは聞く耳を持たないようだ。
「うるさい!いいから早くここを立ち去れ!」
メスや注射器の雨が襲ってくるが、瀬田は大きなキックでこれをなぎ払った。次の瞬間、一気に間合いを詰める。
「な、なに!?」
「これで決まりだよ。」
「し、しまっ…うおおおお!!」
左ストレート、右アッパー、そして上段回し蹴り!宙を舞うB―ジャック。瀬田の渾身の一撃がB―ジャックを仕留めた。
元天才外科医の哀れな末路であった。(死んでないけど…)


嘉島春水とはるか・サラペアの戦いもそろそろ雌雄が着こうとしていた。
春水は苦戦を強いられていた。最初こそは余裕をかましていたが、2人の巧みな攻撃に次第に押されていった。
サラの父親譲りのクンフー。そしてはるかの銃さばきに。
「ぐ~なんだ、このオバサンとガキ…最強の暴走族と恐れられたこの俺様が…」
「だ・れ・が・オ・バ・サ・ンだって~。」
「ガキ扱いするなよ!!」
「あ…」
春水は絶句した。どうやら禁句を口走ってしまったようだ。
はるかが春水の至近距離にまで来て、彼の魔法の力のうずいているバットを取り上げた。
そしてそれを…へし折った。
「ひぃぃぃぃぃ…」
さらにサラが素早く近づいて来て、春水の股間を思い切り蹴飛ばした!
「△■○×☆*$%@◇▼#&◆!?」
地に倒れ伏し、言葉も出せず、身悶える春水。ダメ押しにと、はるかの鉄拳が左頬に入る!
遺跡の壁に激突し、完全にノックアウトしてしまった。
残されたのは、過去に最強のスラッガーと呼ばれた男の、憐れな成れの果てであった。(まだ生きているけど…)



所変わって星美遺跡。
素子は幽霊のユリウスと死闘を繰り広げていた。
(ちなみにサンの刺客が数十人ほど襲ってきたが、素子が彼らを瞬時に片付けてしまった。)
「斬魔剣弐の太刀!!」
「ちぃぃぃ、これしきのことで!」
刀と剣が交差する。
ジャキン、ジャキン、ジャキーン!
「この幽霊が!浦島となる先輩を倒しても、この私は倒せんぞ。なぜなら…」
素子が愛刀の『ひな』を逆袈裟に振り上げる。
「神鳴流の本来の役割はお前たちのような悪霊を倒すためなのだからな!」
「うわあああ!!」
盾ごと斬られたユリウスは、追い討ちを逃れようと後退する。
「弓矢ならどうだ!」
矢を信じられないほどのスピードと正確さで矢を射り、素子を攻撃する。
しかし素子は、それらを余裕で叩き落していく。
「トドメだ!」
素子は一気にユリウスににじり寄る。
「神鳴流決戦奥義 真・雷光剣!だああああ!!」


一方、可奈子とカオラは才臥を相手にしている。
「どんどんいくで。てええええい!!」
「うおっ!?」
カオラのミサイル攻撃とメカタマの大群に押されぎみの才臥。
さらに可奈子が追い討ちをかける。
「よくも兄を!許しませんよ!浦島流柔術 落葉!!」
可奈子の踵落しが才臥の肩や腕に命中する。
「やるな、小娘どもが…。しかし私も名門校である、レインボー魔法学院の教師。そのメンツにかけて負けるわけにはいかん!」
才臥が大技を使おうと、力を思い切り溜め始めた。
「はああああああ!!」
しかし、可奈子たちはそんな暇を与えなかった。
「浦島流龍牙・極!」
「メカタマ、ツインサテライトバスターキャノンやー!!」


「うぎゃああああああ!!」
「うおおおおおおおお!!」
ユリウスも才臥もノックアウト!景太郎・なる戦の時と比べて、なんともあっけない決まり方である。
「トドメをさせる必要はない。行くぞ、可奈子にスゥ。」
「ええで!いよいよ親玉が相手やなぁ。」
「分かりました、本当は兄が気になりますが…行きましょう。」
3人はネギま!組を追って神殿の奥へと進んで行った。



後に取り残された才臥とユリウスは、未だ床に倒れたままだった。
「ぐううう…ま、負けた…」
ユリウスが悔しそうに言う。
「残念だが、あやつらの決心は固いようだ。我々には止められん。」
才臥も苦虫を噛み潰したような表情で言う。
「私も衰えたものだ…」
そう言いながら、才臥は目を閉じた。
「あいつらはおそらくサンには勝てるだろうが…」
ユリウスが何とか起き上がりながら言う。幽霊なだけに体力的には自信がある。
一方才臥の方は並の人間に比べると、相当高いものの、それでも年(38歳)のためか体力が続かない。
「ああ、おそらくアイゼン・クロイツの長、カイゼルに滅ぼされるであろう。いくらこの遺跡の強大な力を手にしたところで…」
「カイゼルに勝つには、並みの力じゃ太刀打ちできないってか。ちくしょう…」
ユリウスは地団太踏んだ。しかし、遺跡の封印が解かれることが、半ば決定してしまった今となっては、麻帆良の連中が勝つことを願うしかない。
「まったく、サウザンドマスターもサン・エル・サラマンドラなどという、賊をガーディアンなどにするからこんなことになるんだよ。」
ユリウスはこちらの世界で最強級の魔法使い、サウザンドマスターに思いを馳せ、愚痴を言う。
「今更そんなことを言っても意味がない。それよりこれからどうする?」
才臥がそう言った時、近くの空間に歪みが生じた。その部分の空間だけが、渦を巻いたように揺れている。
「おっと、お迎えが来たようさね。」
ユリウスがその異世界ゲートを見て言う。
「2人ともお疲れ様。どうぞ帰還してくださ~い。B-ジャックさんと嘉島 春水君も帰ってきましたよ。」
迎えに来たニコニコ顔の女性――華道芽美が言った。
「おっとこれはこれは、芽美先生ですか。まさかあなたがお迎えに来てくださるとは。」
才臥はこの自分より10歳以上年下の若い、カウンセラー兼心理学教師に対して、低姿勢な言葉で話しかけた。
「で、パララケルス島の方はどうだったの?」
ユリウスの方は親しげに話しかける。すると、芽美のニコニコ笑顔が一転、冷笑に変った。明るかった声もトーンが下がる。
「こちらと同じ。ディバイン・クルセイダーズの神が復活するのも時間の問題ね。」
芽美はあくまでクールに答えた。腕を組み、やや下を向いている。
「これ以上ここにいてもできることはないわね。それより、ウェイアードで信じられないことが起きてしまったわ。」
「なんですと!?」
才臥の表情がますます強張る。
「その対策を早急に練る必要があるわね。世界は確実に混沌へと道を歩んでいるわ。それを止められるのは…」
芽美は、普段の彼女からは想像もできないほどの深刻な表情をしている。
いつもの明るいポケポケお姉さんの面影は、微塵も感じられない。
「あの子達だけ…」
彼女は戦士達の姿を思い描いた。まだ大人にも達しない戦士達。自分の生徒達。
かつて芽美も子どもの頃、1人の魔法使い少女だった。
その当時の自分と同じ様な境遇の者達が今、これまでよりずっと激しく厳しい戦いへと巻き込まれていく。
そう思うといたたまれなくなる。
「最悪の場合、ウェイアードは愚か、このマホラワールドまで、滅びの道を歩むことになりそうね。さあ、行きましょう。」
芽美に急き立てられ、才臥とユリウスは、ゲートを通ってウェイアードへと帰って行った。
芽美は目を閉じて、今この神殿で戦っている、麻帆良学園の生徒達へと思いを馳せた。
「歩む道は違っても、みなさんに幸運がありますように。」
芽美の想いは届いただろうか?
最後に彼女は、シンフォニア学園都市とソックリな麻帆良学園のことを想いながら、ゲートをくぐっていった。
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by konosetu | 2001-01-01 00:48 | 自作小説 | Comments(0)

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