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いけやんのお部屋なの~♪(^▽^)

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虹色の奇跡 第61回「そしてまだ見ぬ世界(みらい)へ」

「ひゃああああああ!!」
「うわああああああ!!」
このかも刹那も暴走した異世界ゲートに飲み込まれていった。
「くそっ!」
素子は後輩達を救うために、後に続いて飛び込んだ。
「このかー!刹那さーん!って、ひょえええー!!」
「アスナさーん!」
ネギの叫びも虚しくアスナも、このか達とは別のゲートに吸い込まれていった。
「なになに、どうしたの…って、あひょえー!」
「なんやー!?」
「まき絵さん!亜子さん!」
ネギが気づいたときにはもう遅かった。不用意に避難シェルターから外に出てきてしまったまき絵と亜子が、これまた別のゲートに吸い込まれていく。
「ちょっとー!」
なるがとっさにまき絵の手を握る。しかし、そのままなるともども吸い込まれていった。
「なるー!」
後を追うように景太郎も飛び込んでいった。
「もうだめです~!」
夕映が吸い込まれていく。
「へぷっ!?」
夕映は偶然可奈子にぶち当たって、そのまま一緒に…以下略。そして…
「きゃ~!」
「どしぇぇぇぇぇ!」
「アニキー!」
のどかと和美、そしてカモまでもが吸い込まれていった。
「もうダメアル~」
「ダメか…」
「拙者もここまでのようでござ…」
古菲・真名、そして…
「…るー!!」
楓の声も遠ざかっていった。
「ぼーや!これは…マズイ。吸い込まれたやつらを助け出すには…あっ!?」
茶々丸にしがみついていたエヴァだったが、茶々丸がバランスを崩し…以下同。
「うおおおぉぉぉぉぉ…」
「ネギ先生…」
「エヴァさん、茶々丸さん!!」
ネギは決意した。残っている小太郎に顔を向ける。
「小太郎君!」
「しゃあないな!いっちょやったるか!」
頷きあった2人は、そのまま暗いゲートへと自ら飛び込んでいったのであった。



しばらくしてなんとかゲートの暴風は治まった。現場で居合わせた中で残ったのは、自慢の発明品で何とか暴風をしのいだカオラただ1人であった。
「なんや、えらいことになってもうたな…」
さすがのカオラもなす術がない。シェルターが開いてしのぶや3―Aの面々が出てきた。
「カオラ、まき絵さんと亜子さんは見なかった?…あれ、他のみんなは?」
しのぶの質問にカオラは、答えるのに窮してしまった。
「あ、あんな…」
「あら、今ネギ先生がこちらにおられませんでしたか?」
あやかが聴いてきた。
「あの~彼が、各自解散と言ってましたよ~。」
むつみが機転を効かせてそう言った。
「あら、そうなんですの?」
「え~。もっとネギ君と遊びたかったな~。」
桜子が愚痴る。
「まあ、しょうがないんじゃない。帰ったらまた何かして遊びましょう。」
円がなだめるように言う。
「それにしても、さっきまでいったい何があったのかな?」
夏美が首を傾げる。
「さあ。あんまり気にしないほうがいいんじゃない?」
千鶴はあんまり気にしていない様子だ。
「そんじゃあひとまず帰りますか。」
美砂が言った。メンバーらはひなた荘の住民らに礼を言うと、各自で帰っていった。



カオラから事の顛末を聴いたしのぶはアワアワ目回し状態に…
「ど、どうするの、カオラー!」
「ナハハ~……」テンション下がって「どないしよ…」
途方にくれるカオラ。いつもの彼女らしくない落ち込み様だ。
「まあ、気にしたってどうにもならんのやろ。あいつらのことや。大丈夫やて。」
みつねが言った。
「そうですね。浦島さん達を信じて待ちましょう。」
むつみが優しい表情で言った。そこに裕奈とアキラが引き返してきた。
「あの、まき絵と亜子知りませんか?」
アキラが聴いてきた。
「ああ、先に帰るって言うてたで。」
みつねが機転を効かせてそう答えた。
「そうなの?分かりました。どうも。」
と裕奈。それを聴いて、裕奈とアキラは、首を傾げながらも帰っていった。



「なにこれー!?た、助けてー!!」
突如現れた異世界ゲートが、さよを吸い込もうとしている。
「さよちゃん!」
生霊となり、ひょんな成り行きからさよと知り合った、元プラネットウォーリアのネプチューンことセリアが、さよを必死につかむ。
「しっかりしろ!」
同じく生霊となった元プラネットウォーリアのマーズも手を貸す。
「なんなのじゃー!?」
学園長が柱にしがみついて叫び声を上げる。
3人はちょうど学園長室を訪ねていた。エヴァにマーズとセリアが復活するための助けを請うためだ。
しかし、エヴァは先にサンを退治しに行くと言ったので、3人は学園長室で待っていたのだ。
そのときサンが倒されるのを感じて校舎の外へと出た。そしてこんなところにもゲートが、本当に偶発的に開いてしまったのだ。
「あーれー!?」
「ウッ!」
「きゃああああ!」
1人の幽霊と2人の生霊達は異世界ゲートへと吸い込まれていってしまった。そう、なぜか呪縛霊であるはずのさよまで。
そしてゲートはあっという間に閉じてしまった。後にポツンと取り残されたのは学園長ただ1人。
「いったい何が起こっとるんじゃ?」
困惑する学園長。時刻は、人々が朝の活動を活発化させる時間帯になっていた。



「そんじゃ、そろそろウェイアードへ帰りましょうか。」
羅・尉鵡(ら・いむ)が包帯と絆創膏だらけの姿で他のみなに呼びかけた。
「ああ、わかったよ。」
同じく傷だらけの海瀬 悠が、すっかり自信と気力を失った様子で言った。
「………」
体のあちこちがアザだらけの春原 さくらは一言も喋らず、黙りこくっている。戦いに敗れたのが、よほど悔しかったのだろう。
「我々の戦いは無駄に終わった。カイゼルは復活してしまった。もうウェイアードもこの世界も終焉を迎えるだろう。」
大きなコブをこしらえたガイ・フォークスは落ち着き払って言った。もっともその内心はひどく動揺しているであろう。
「そうとは限らない、と思う。少なくともやつらがいる限り…」
伊武神 沙弥人はシンフォニアにいる戦士達のことを思い浮かべた。手にはマーズが持っていた魔剣とお守り代わりの鈴がある。
「まだ望みはある。」



「ものすごい異常値です!各地で空間が捻じ曲がっています!」
世界樹のある広場で、聡美がコンピュータの画面を見ながら驚愕の表情で興奮している。
「これは緊急事態アル。直ちに対策を講じる必要があるアルよ」
鈴音が深刻な表情で言った。何気なしに世界樹を見やる。ザワザワとざわめいている。
「このままじゃ、異世界から何が来るか分かったもんじゃないアル…」



パララケルス島。
「助けて、パパー!」
「サラ、つかまるんだ!」
瀬田がサラの方に手を伸ばす。突如開いた異世界ゲートがサラを飲み込もうとしていた。
瀬田達は破壊し尽くされた遺跡を見て回っていた。世羅零菜とダグバが熾烈な戦いを繰り広げた結果、この有様だ。
そのとき突如、ぱっかりとゲートが開き、恐ろしい吸引力で、たまたまそこにいたサラを吸い込み始めたのだ。
とっさに柱の残骸に捕まったサラだったが、ものすごい吸引力のせいで、足はゲートの方を向いて突風になびくような形になっている。
「うわあああ!!」
「サラ!!」
「サラ!!」
瀬田の手をつかみ損ねたサラは、暗いゲートの中へと吸い込まれていった。その瞬間ゲートは、まるで意思を持った生物が獲物を丸呑みにように口を閉ざしてしまった。
あっという間の出来事に、残された瀬田とはるかは、ただ呆然とするしかなかった。



異世界ウェイアード。魔法の国。人々が魔法を一般的に使って暮らしている国。
ウェイアードで、ネギ達の世界、通称“マホラワールド”や“地球”と呼ばれる世界を知っている人々は数多くいる。
しかし反対にネギ達の世界でウェイアードの存在を知る者はほんの一握りの者だけ。魔法の存在を知らない者が、ほとんどであるから当然といえば当然である。
ネギ達は今、そのウェイアードへと旅立った。人々が幸せに暮らす世界。しかし、この世界にも危機が迫っていた。
そして更に、ネギ達がサンを倒すために遺跡の封印を解いてしまったことにより、ウェイアードは混沌という泥沼の中へと沈もうとしている。


「向こうの世界の子達が来ちゃった、か…。いったいどうなるのかな。」
シンフォニア学園都市の高台にそびえる大樹。世界樹と呼ばれるそのかなり年季の入った大木の根元で、華道芽美がつぶやいた。
心地のよいすがすがしい朝の風を顔に受けて。長い髪が風に揺れる。目を閉じて深呼吸する。
大樹もザワザワと枝と葉を揺らす。輝く緑色の葉。木漏れ日が美しい。
この日は夏休みだが、学園都市内にあるレインボー魔法学院では登校日だ。そして間もなく夏休みも終わる。
これから先もこれまでのように、平穏無事に授業をしていけるのか。芽美はそのことを気にかけている。
今数多くの悪意が世界に満ちてこようとしている。これらが一斉に暴れだしたら、果たして止める手段はあるのだろうか?
芽美は空を見上げた。眩しく煌く日の光に目を細める。そしていつの間にか近くまで来ていた若い女性に、空を見上げたまま話しかけた。
「唯菜ちゃん、感じる?“マホラワールド”にある麻帆良学園の子達が来るのを。あと、あの中の1人に黄色の宝石(ジュエル)と惑星カードを持っている子がいるね。」
「…うん。ただ、みんなバラバラみたいだから迎えにはいけそうにないね。芽美姉ちゃん。」
芽美の幼馴染であり、後輩でもある青緑 唯菜(あおみどり ゆいな)も空を見上げながら深呼吸する。
唯菜のポニーテールが揺れる。まだ幼さの残るその表情に不安の影がよぎる。
「大丈夫だよね。この世界もマホラワールドも。絶対…」
今度は唯菜が尋ねるようにつぶやく。
「信じましょう。絶対、大丈夫だよ。」
芽美は、強く微笑みながら空と世界樹“ユグドラシル”をしっかりと見据えたのだった。


隠された過去。まだ見ぬ世界。まだ見ぬ未来。人々の想い。『虹の宝石(レインボージュエル)』は真実を知っている。



戦いは…続く…………
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by konosetu | 2001-01-01 01:00 | 自作小説 | Comments(0)

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